ブロンソンズ(みうらじゅん&田口トモロヲ)の「大脱走’95」を聴いて衝撃を受け、映画『大脱走』を一度見てみたくてDVDを借りたのだけれど、170分もあると知り、『ナバロンの要塞』より10分も長く、週末にかなり強烈に気合を入れないと見れないなぁと思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第83回めの放送を見ましたよ。
布美枝(松下奈緒)は、漫画雑誌『ゼタ』の編集長・深沢(村上弘明)に原稿を届けに来た。雑誌はまだ赤字であるが、売上も伸びつつあるし、茂(向井理)の人気も上々だという。読者からの反響の手紙も多い。
新人漫画家の持ち込みもひっきりなしだ。漫画以外にも、詩や散文も郵送で投稿されてくるという。その中には、布美枝の知人である太一青年(鈴木裕樹)からのものもあった。即掲載というわけではないが、深沢はなかなか悪くない詩であったと評する。
茂の漫画が人気なのは、社会の矛盾や滑稽な点を風刺する作風にあるのだ。布美枝も深沢も、その点を認めている。
話は膨らんで、深沢は自分自身のことを語り始めた。終戦直前、満州で働いていて、一歩間違えばシベリアに抑留されるところだった。シベリアでは多くの仲間が死んだという。また、自身が身体を壊して長期入院した体験から、やりたいことはすぐに始めないと、次の機会が与えられるかどうか分からないという人生観を得た。だから、無謀だと認めながらも『ゼタ』の発行に全身全霊をかけるのだという。そしてまた、社会風刺を通じて、世の中に一石を投じたいとも思っている。
深沢の事務所からの帰り道、布美枝はこみち書房に立ち寄った。しかし、客は一人もいなかった。
その代わり地主(九十九一)が来ていて、美智子(松坂慶子)に先日の暴力沙汰の苦言を呈していた。地代さえ払ってくれれば文句はないと言うものの、商売替えしてはどうかと、善意とも嫌味とも取れない一言を告げて帰っていった。
布美枝は、親身になって美智子の話を聞いてやることにした。そこへ、夫の政志(光石研)が外出しようと姿を現した。美智子は店や家族の生活のことについて政志に相談したいのだが、彼は店を閉じてつつましく暮らせばいいと冷たく言い放つだけだった。心ない一言に、美智子はつい感情的になる。店は単なる生活の道具ではなく、人々との交流の場なのだ。一家が社会と繋がっている窓口でもあるのだ。それがなくなってしまうことは、心の大きな支えが失われてしまうことになるのだ。
されに加えて、政志が自分に心を開いてくれないことも悲しくて、辛い。そう訴えるのだが、政志は無視して出かけてしまった。辛抱できなくなった美智子は布美枝の前で涙を流す。布美枝もまた、夫婦の危機を目撃し、もらい泣きするのだった。
帰宅し、美智子夫婦のことを思いながら台所に立つ布美枝。ふと気づくと、そばに居たはずの藍子の姿が見えない。外からは、野犬の唸り声と藍子の泣き声が聞こえてくる。目を離した隙に、勝手に外に出ていったようだ。
慌てて家を飛び出すと、政志が藍子を抱き抱えて救出してくれていた。藍子は無事だった。
政志は、美智子との夫婦喧嘩で家に帰りにくい。町をブラブラしていたら、茂(向井理)のことを思い出して、もう一度話をしてみたくなったという。漫画が大好きであり、それを仕事にすることで、貧しくとも幸せを感じている茂。政志は何かを思いつめたように、その好きなこと(漫画)で仲間から裏切られることがあったとしたら、どんな思いがするだろうか、と茂に問いかけるのだった。
その頃、こみち書房からは美智子の姿が消えていた。
どうも、なんだか、アレでした。そう。退屈な回でした。水増しっつーか、時間調整っつーか。
ひたすら暗かった。暗い時には、ギャグで中和するというパターンが今まではあったのだけれど、今日はそれすらもなし。しんどかった。
明日のカタルシスのため、雌伏の時なのだろうけれど。