NHK『ゲゲゲの女房』第118回

 実家に一泊しただけで、早くも「ふるさとは遠きにありて思うもの」(室生犀星)の境地に達してしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第118回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪いそがし」

 藍子(菊池和澄)は相変わらず、学校でからかいの対象になっている。見知らぬ児童にまで「ゲゲゲの娘、妖怪の娘」とはやしたてられる。彼女は、嵐が通り過ぎるのを待つように、じっとしているしかなかった。心配をかけたくないからと、家族にも黙っているのだった。

 家庭訪問に来た担任教師(堀内敬子)は、まだ問題に気づいていない。藍子の過度に引っ込み思案な性格は、家庭環境に原因があるのではないかと考えている。教育方針を問われた布美枝(松下奈緒)は、全て本人任せだが、健康で優しい子に育てばいいと答えた。
 偶然、茂(向井理)の仕事場を垣間見ることになった担任教師は、締め切り直前の活気と混乱に目を回した。それとは別に、成人向けの漫画雑誌が子どもの手に届く場所にあることも注意したりした。

 一方で、担任教師は藍子の作文のできの良さを褒めた。家族で連休に高尾山にハイキングに行った様子が、活き活きと楽しそうに描写されているのだ。しかし、それは完全な捏造だった。本当はデパートに出かけただけなのに、藍子は高尾山に行ったと嘘を書いたのだ。布美枝は驚きながらも、担任の前では素知らぬふりをしていた。

 布美枝はふたりっきりの時、それとなく藍子に作文のことを聞いてみた。藍子の言い分は、ケチな茂が何も買ってくれなかったデパートの話など書いても面白みがない。友達から聞いた高尾山の話が面白かったから、それを書いたまでだ。父がこの世では有り得ないことを漫画に描くのと同じことだと言い張るのだった。
 布美枝から学校は楽しいかと聞かれると、ますます不機嫌になって部屋に閉じこもってしまった。

 その夜、漫画の構想を練るので頭がいっぱいな茂を捕まえて、布美枝は藍子のことを相談した。しかし、茂はまともに取り合わない。子供は創作をするものだから作文のことは瑣末だ、娘は健康に育てばそれでいい、などと話もそこそこに仕事に戻ってしまった。布美枝は、茂に相談しても無駄だと思い始めるようになった。

 ふと茂の背中を見つめると、なにやら妖怪が取り付いているようにも見えた。

 そして5月の末。
 布美枝の実弟で、騒動の末ミシン問屋に婿入りした貴司(星野源)が調布に遊びに来た。
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 学生の頃、京都大学霊長類研究所正高信男先生の集中講義を受講した。発達心理学(ようするに、子供の成長に関する心理学)の講義だったのだけれど、彼の雑談を今でもよく覚えている(他のことはほとんど忘れた)。

 「私は子供の研究をする中で、多くの親御さんたちとも話をする機会がありました。そこで気づいたことは、子供の年齢にあわせて、お母さんたちの心配事も変化してくるということです。小学校低学年くらいまでの小さな子供を持つお母さんは『うちの子はどうも他の子と違っている、異常なようなのです。先生、大丈夫でしょうか?』と心配をします。ところが、中高生のお母さんは『うちの子は個性がなくて、集団の中で埋没しています。先生、この子の将来は大丈夫でしょうか?』と言うのです。
 小さい時は他の子と『違っていること』を心配する、大きくなると他の子と『同じであること』を心配する。おかしな事です。私から見れば、小さな子たちの違いは些細でどんぐりの背比べですし、大きな子たちは似ているようで全く違う個性を持っているのですけれどもね。」

 そんな話を思い出しつつ、藍子頑張れと応援している俺がいる。

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