NHK『ゲゲゲの女房』第125回

 昨日は、とても刺激的な研究会に参加させていただき、関係者の皆様どうもありがとうございましたと、ここでこっそりお礼を述べる当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第125回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 ラバウルの玉砕は大本営に報告され、国民の士気高揚の道具として喧伝された。玉砕命令に逆らった三井(辻萬長)らは山に篭ってゲリラ作戦を展開していたが、公式には生きているはずのない兵士と位置づけられる。後に他の守備隊に合流したが、辻褄を合わせるために次回の戦闘で真っ先に突撃して死ぬよう求められた。しかし、幸いなことに終戦まで大きな戦闘も発生せず、三井は生きて帰ってくることができた。

 茂が自分の部隊が全滅して逃げ帰った時も、敵前逃亡だとなじられ、戦って死ぬように命じられた。当時の日本軍は「生きていることが罪」という異常な状況にあったのだ。多くの仲間達はそれを素直に受け入れて死んでいったが、茂や三井は今でもそれを納得できないでいる。
 最近、茂は死んでいった戦友たちの夢を頻繁に見る。そして、彼らは決まって自分たちのことを漫画に描いて欲しいと訴えるのだという。

 藍子(菊池和澄)は祖母・絹代(竹下景子)に自分の悩みを打ち明けた。
 赤木(藤崎花音)を鬼太郎に登場させることはできないと告げると、彼女は「約束したはずだ」といって激しく怒りだした。藍子は「聞いてみる」と言ったにすぎず、約束はしていないと言い返すが、水掛け論になった。クラスメイトたちも赤木の味方をし、藍子は孤立してしまった。誕生会に行くこともできず、母から預かったプレゼントを捨ててしまおうとしていた時に、絹代に出くわしたのだという。

 絹代は、他人がなんと言おうと自分が間違っていなければそれでいい、と励ました。自分は戦時中にも、竹槍やバケツリレーの訓練には一度も参加しなかった。そんなもので戦争に勝てるはずがないのは自明で、バカバカしかったからだと体験談を話した。もちろん隣組の組長が怒鳴りこんできたが、自分の考えは間違っていないと言って追い返した。藍子もそのように振舞えと言うのだ。

 ただし、絹代はひとつだけ藍子の落ち度を指摘した。嘘をつくことは悪い。街で時間を潰し、プレゼントを捨てることで誕生会に行った振りをし、布美枝(松下奈緒)に嘘をつくことは許されることではない。布美枝に告白し、プレゼントを返すことが必要であると諭した。
 藍子は、祖母の言い分に納得し、元気も取り戻した。

 話しを聞いた布美枝は、自分がもっと親身になって藍子の気持ちに耳を傾ければ良かったと反省するのであった。藍子は誕生会の朝にプレゼントを用意しておらず、それは誕生会には行かないというサインだったのだ。強引にプレゼントを持たせて送り出したのは布美枝だった。
 一方の藍子も、自分の歯切れの悪さを反省した。赤木を鬼太郎に出演させるなど、無理なことは分かっていたのだから、始めからはっきりと断れば良かった。また、布美枝に嘘をつく寸前であったことも謝った。

 それに加えて、学校でからかわれても言い返す度胸がないことを反省した。布美枝はそういうところは自分と一緒だと言って、娘の負担を少しだけ軽くしてやろうとした。布美枝は小さい頃から背が高く、「電信柱」とからかわれるがままだったのだ。

 さらに布美枝は、茂から聞いた話をそのまま藍子に伝えた。
 茂は戦争で左腕をなくしたが、そのおかげで後方部隊に配属され、生きて帰ってこれた。腕をなくしたことを悲観しても生きていけない。弱みは誰にでもあるが、工夫して人並み以上に仕事ができるようにしている。
 くよくよせずに前に進むことが重要だという茂の言葉でもって、藍子を励ました。

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 今週は、茂の父を演じる風間杜夫がいいアクセントになっている。
 全般に暗くて重い話が続くのだが、その合間にワンカットだけ風間杜夫のギャグシーンが挟まれる。たとえば昨日は、あちこちを粉だらけにしながら、次女・喜子(松本春姫)と最後の大福餅1個を奪い合うシーン。今日は、布美枝と藍子の深刻なシーンのラストに、腹がへったと素っ頓狂な様子で現われるシーン。
 ギャグシーンがあったおかげで暗いシーンが中和されて、後味が良かった。いずれも本筋には全く関係のない内容なのだが、まったく嫌味のないシーンだった。構成がうまいと思いました。

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