おはよう舞妓さん: 東海道五十三クリング(15) -3日目-

昨日、予定を丸1日早めることができた。それで慢心してしまったのだろう。今日は最悪な1日だった。

* * *


朝、新しい和手ぬぐいをおろした。手ぬぐいを頭に巻いて、その上からヘルメットをかぶって走っている。昨日までは富士山の柄の手ぬぐいだった(写真上)。

今朝、「よーこがはりますなぁ」というタイトルの手ぬぐいをおろしたのだ。
舞妓さんが自転車で疾走するという柄の、楽しげな手ぬぐいだ(写真下)。
こちらで柄を見ることができる永楽屋という店の商品で、通販もできる。
(富士山のやつもおなじ店のものだ。いろいろあって、心が折れてるので商品情報を探すことができなかった)

手ぬぐい

京都まで自転車で向かう僕にとって、シャレのきいている柄だと思っていた。
本当は最終日のフィナーレに着用する予定だったのだけれど、前倒しすることにした。

理由は、周りのみんなが僕の予想以上の進行に驚いているようだったからだ。「よーこがはりますなぁ」と感心しているように思った。
一方で、もっとトラブルがあると期待していたのに、あまりにスムーズに進むもんだから、呆れている人もいるようだ。「よーこがはりますなぁ」と皮肉を言われているように思った。

だから、今日これを着用するのが、みんなの気持ちを代弁するだろうと思ったのだ。
自分の脚力に自信も付き始めていたので、自分自身を「よーこがはりますなぁ」と褒めてやりたいとも思った。
* * *


しかし、物事はそんなに甘くはなかった。

午前中、府中(静岡市)→藤枝に移動する際、通常なら20kmほどの道のりを大幅に迷子になってしまって、40km以上も走ってしまった(大迷子の図)。
人っ子一人通らない急で薄暗い山道を登る事になった(舗装されてはいた)。Google maps で現在地や山を越えるまでの距離を調べようと思っても、木々に遮られてGPS測位ができなかったし、docomo のケータイ(おそらく国内のエリアカバー率は一番いいだろう)すら圏外になってしまった。
ぬるくなったスポーツドリンクが250mlほどと、体にかけて冷却する用の水道水も250mlくらいしかなかった。捕食はキャラメルを1パッケージだけ。この山道があとどのくらい続くのかわからなかったし、どこに繋がっているのかもわからなかった。
自分が遭難寸前なんだと恐怖した。自分は絶対に山で道に迷う人間ではないと思っていたけれど、そんなの幻想だと思い知った。泣いたり叫んだりは一切しなかったけれど、本当に怖かった。

もう旅をやめたくなった。家に帰りたくなった。でも帰れないし。

もちろん、引き返せばよかった。
でも、「実はこの先が近道なんじゃないか。戻るよりも進んだほうが早いんじゃないか。さっきケータイで見た地図の感じはそんなふうに思える。」などと考えてしまった。

小1時間かかって、やっと大きな道に出た。ここ数年で一番の安堵をした。

* * *


それがケチの付き初めだ。その後はトラブル続きだった。

立ち寄る郵便局全て(全宿場の郵便局の消印を集める企画)で道を間違えたり、気づかずに行き過ぎたりした。
自販機にお金を入れて商品のボタンを押したのに、商品が出てこなかった。
かわいい女の子がいたので、ちょっと邪な気分を抱きつつ道を尋ねようとした。かっこ良く自転車を止めて、クールに道を聞くつもりだったのに、荷物の重さと足の疲れのために、自転車を止めた途端に横に倒れ、沿道の垣根の中にひっくり返った。しかも、その女の子も地元の人ではないそうで道はわからなかった。

頑張って浜松まで行くつもりだったけれど、掛川の街中で急に道路に座り込んで、もう動きたくなくなった。
完全に意気消沈した。

そして、掛川のホテルにチェックインした。

洗濯機と洗剤が無料だというので、衣類やタオル類をすべて洗った。昨日までは手洗いだったので、嬉しかった。
そこに油断があった。和手ぬぐいをそのまま突っ込んだら、レーサーパンツの紐と絡んで大変なことになった。

ぐちゃぐちゃになった洗濯物

京都のある女の子が、今回の旅の成功を祈って贈ってくれたものだ。
すごく悲しくなった。


* * *


でも、こんなことで挫けてはいられない。
僕は最大の難関である箱根を越えたんだ。しかも、2時間ほどで登り切った。
東海道において、箱根以上にたいへんなことはあるだろうか。いや、ない。(反語)
だから、明日から気分を入れ替えて走る。

そして、たくさんの人に応援してもらっている。
それにずいぶん助けられている。

この旅、いける。

* * *


そして、今日のホテル、フロントがすんげぇカジュアルで、フロントのおねーさんも私服っぽい。話してみると気さくな、ちょい美人さんだった。この後、フロントに降りて彼女とおしゃべりしてくるんだ。

しかもさ、フロントには猫ちゃんがいるんだ。看板娘的扱い。
猫ちゃんを愛でつつ、それを口実にフロントのおねーさんと愉快におしゃべりしてくるんだ。

そう思うと、わくわくするね。
途中で心が折れて、掛川に泊まってよかった。

旅程表 (7/13更新)

宿場 区間(km) 総距離(km) 当日移動(km) 通過時刻
日本橋 0.0 0.0 0.0 2011年7月11日 7:00
スタート
1 品川 7.8 7.8 7.8
2 川崎 9.8 17.6 17.6
3 神奈川 9.7 27.3 27.3
4 保土ヶ谷 4.9 32.2 32.2
5 戸塚 8.8 41.0 41.0
6 藤沢 7.8 48.8 48.8
7 平塚 13.7 62.5 62.5
8 大磯 2.9 65.4 65.4
9 小田原 15.6 81.0 81.0 7/11 16:00 箱根湯本・泊
10 箱根 16.5 97.5 16.5 7/12 9:00 通過
11 三島 14.7 112.2 31.2
12 沼津 5.8 118.0 37.0
13 5.9 123.9 42.9
14 吉原 11.7 135.6 54.6
15 蒲原 11.1 146.7 65.7
16 由比 3.9 150.6 69.6
17 興津 9.1 159.7 78.7
18 江尻 4.1 163.8 82.8
19 府中 10.5 174.3 93.3 7/12 17:00 静岡市・泊
20 丸子 5.6 179.9 5.6
21 岡部 7.8 187.7 13.4
22 藤枝 6.7 194.4 20.1
23 島田 8.6 203.0 28.7
24 金谷 4.0 207.0 32.7
25 日坂 6.5 213.5 39.2
26 掛川 7.1 220.6 46.3 7/13 17:00 掛川市・泊
27 袋井 9.5 230.1 9.5
28 見付 5.8 235.9 15.3
29 浜松 16.4 252.3 31.7
30 舞阪 10.8 263.1 42.5 7/14 泊(予)
31 新居 5.9 269.0 5.9
32 白須賀 6.5 275.5 12.4
33 二川 5.7 281.2 18.1
34 吉田 6.1 287.3 24.2
35 御油 10.2 297.5 34.4
36 赤坂 1.7 299.2 36.1
37 藤川 8.8 308.0 44.9
38 岡崎 6.6 314.6 51.5
39 知立 14.9 329.5 66.4
40 鳴海 11.0 340.5 77.4
41 6.5 347.0 83.9 7/15 泊(予)
42 桑名 27.3 374.3 27.3
43 四日市 12.6 386.9 39.9
44 石薬師 10.7 397.6 50.6
45 庄野 2.7 400.3 53.3
46 亀山 7.8 408.1 61.1
47 5.9 414.0 67.0 7/16 泊(予)
48 坂下 6.5 420.5 6.5
49 土山 9.7 430.2 16.2
50 水口 10.5 440.7 26.7
51 石部 13.7 454.4 40.4
52 草津 11.7 466.1 52.1
53 大津 14.3 480.4 66.4
三条大橋 11.7 492.1 78.1 7/17 夕 ゴール(予)

コメント (12)

  1. あるむ
    また他の猫に浮気するのにゃ?
    アタシはパパ来るのを待ってるニャ。

  2. 木公
    おいおいおいおい!駅前のビジネスホテルなのに家族経営なのか!?ロビーで女子高生が母親らしきのとだべっててびっくりしたぞ。おかげで猫みれなかった。おもわず、飯食ってると言って出てきた。
  3. 矢口
    Viva positive thinking!
    今日の格言
    『浮気心と夏の空』
  4. Caesar
    >フロントのおねーさんも私服っぽい。話してみると気さくな、ちょい美人さんだった。

    >ロビーで女子高生が母親らしきのとだべっててびっくりしたぞ


    ・・・結論として・・・
    フロントのおねーさん=母親らしき?
    それとも・・・
    フロントのおねーさん=女子高生?!

    ココ、重要だからハッキリして頂かないとっ!w
  5. tks
    本日の走行大変でしたね。お疲れ様です。
    明日に備えて休息してくださいね。

  6. 矢口
    私の見解としては、母親らしき人物と、女子高生らしき(逆にこの人物が女子高生か否かの方が重要視したいのは私だけ?)人物は、フロントのお姉さんとは異なる、第二、第三勢力と見ますが、皆様の見解は如何でしょうか?
  7. 木公
    昨夜のビジネスホテルの登場人物一覧

    女性A:
    僕のチェックインを担当してくれた女性。ちょい美人で、猫を口実に話しに行こうとした人。

    女性B:
    年増の女性。直感的に女子高生の母親だと思った。

    女性C:
    フロント係。(本文にも僕のコメントにも出てこない。ここで初登場)

    女子高生:
    直感的に、女性Bの娘らしく思える女の子。

    おっさん:
    フロント係。(初登場)

    【僕がチェックインしたとき】
    女性Aのみがいた。

    【女性Aと話をしようと降りたとき】
    女性Bと女子高生と女性Cがロビー(狭い)にいた。
    いきなり女子高生がいて、僕はビックリして「飯食ってくる」と行ってホテルを出た(前のコメント)。
    なお、女性Bにオススメを聞いたら、うなぎが自慢の店を推薦してもらった。美味かった。

    【飯を終わって帰ってきたとき】
    女性Cのみがフロントにいた。猫を口実に話しかけてみたけれど、反応が薄かった。
    #この時、twitter に写真を投稿した。

    【今朝のチェックアウト】
    5:30。ロビーのベンチでおっさんが寝てた。
    おっさんを起こして、手続きして出てきた。
  8. alm-ore
    (I can’t get no) Satisfaction: 東海道五十三クリング(17) -4日目-
    本日は、掛川を出発し岡崎まで94kmを走行した。 * * * 昨夜、予定を作る段階では、舞坂までの42kmで終わらせるつもりだった。弁天島(浜名湖)で息抜きに遊ぼうかと思ったのだ。 その予定を変更した根本的な原因は、昨日の大迷子の悔しさである。昨日、本来なら20kmたらずの道を40kmも大迂回してしまった。 済んでしまったことは仕方ないし、当初の日程に戻った(箱根で稼いだ分がチャラになった)だけだと理性では分かっていたのだが、どうにも腹立たしかった。体力&精神的な疲労で、22時前にはフラフラになって…
  9. alm-ore
    永遠にアムロ: 東海道五十三クリング(19)
    本日は、岡崎宿(38番)から亀山宿(46)まで移動。約93km。本当は関宿(47)まで行く予定だったのだが、そこには適当な宿がなかった。だから、一つ前でストップした。 そして、明日の夕方には京都に到着しそうだ。 * * * 今夜宿泊するカンデオホテルズ亀山は、亀山と関とのちょうど中間あたりだ。気分的には関宿に泊まったような気分になっている。 ネットで調べたら、朝食が付かない代わりに最上階の部屋(ベッドも大きい)が与えられるという宿泊プランがあったので即座に決めた。 さらに、僕がどこから来てどこに行く…
  10. alm-ore
    夏の終わりのハーモニー: 東海道五十三クリング -最終日-
    これからここに書くことは、どれも嘘っぽいが本当にあったことである。 これが嘘なら嘘でいいけれど、それならば時間を巻き戻して欲しい。 せめて、昨夜22時に。…
  11. ピンバック: [alm-ore] NHK『カーネーション』第103回

  12. ピンバック: [alm-ore] 思い出がいっぱい: 東海道五十三クリング(25) -スタートから1年-

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