NHK『カーネーション』第26回

國村隼といえばサントリーオールドのCM(参考映像)を真っ先に思い出し、それにともなってCMの相手役の伊藤歩のことを思い、彼女は前作『おひさま』で夏子先生役だったよなぁ・・・と遠い目になる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第26回目の放送を見ましたよ。

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第5週「私を見て」

糸子(尾野真千子)は百貨店の制服のデザイン画を持っていったが相手にされなかった。平凡すぎると言って断られたのだ。

しかし、それくらいのことでへこたれる糸子ではない。帰りに大量の婦人雑誌を買い込んで勉強し、休むまもなく新たなデザイン画を描き始めた。しかし、それはワンピースに振袖をつけるなど奇をてらい過ぎており、自分で見ても駄作だった。時間がかかり過ぎると、他の洋服屋に仕事を取られてしまうかもしれない。糸子は焦る一方だった。

八重子(田丸麻紀)が様子を見に来てくれた。彼女に相談しながら、百貨店の支配人・花村(國村隼)に言われたことを反芻した。従業員の制服は目立つほうが良い。一方で、店の象徴となるので奇抜すぎるものはふさわしくない。八重子の助言は「この人に接客して欲しいと思えるものが良い」というものだった。
その一言で糸子は蒙が啓かれる思いがした。和服を基調とした現在の制服はどこかしら地味で、一緒にいてもあまり嬉しくないし、ワクワクもしない。どこか素敵な所へ案内してくれる、そんな期待を抱かせる制服が必要だと考えた。
見ているだけで嬉しくなる制服。そういったものをつくろうと決意した。

糸子は徹夜でデザイン画を描き上げた。自分でも満足できる物ができた。

朝一番で心斎橋に出かけようとしていたところ、家族の誰も起きてこないのに、善作(小林薫)だけが糸子の様子を見に来た。躊躇する糸子にかまわず、なかば強引にできたてのデザイン画を見た。
善作はデザインについては何も言わなかった。その代わり、画などではなく、現物見本を持参すべきだと助言した。「そっちの方が面白い」と。

糸子もその考えに賛成した。しかし、材料を購入する金がない。善作も貸す金は無いという。しかも、失敗したら金を失うことになる。
糸子と母・千代(麻生祐未)は、神戸の祖母(十朱幸代)から贈られてきたガラクタをかき集めた。神戸の祖母は外国の品物を頻繁に送ってくれる。それらは美しく珍しいものなのだが、小原家には似つかわしくない調度品(異国情緒満点の民族仮面など)ばかりで使い道がないのだ。
そういったガラクタを古道具屋に振り払って金を作った。最上級品を買うことはできなかったが、3番目くらいに上等な生地を買うことができた。

材料を手に入れると、糸子は寝食を忘れて見本を手で縫い始めた。一晩かかり、2日連続の徹夜の末に完成した。それは自分でも満足できるできだった。
早速、家族に披露した。家族は異口同音に褒めてくれた。糸子はますます自信を得た。

善作の指示は、それを着たまま百貨店に行けというものだった。制服で突然現れて披露すると効果的だというのだ。糸子はまったくその通りだと思い、すぐに実行に移した。

そのまま隣の履物屋(上杉祥三)に靴を買いに行った。これ以上金は無いので堂々とツケで買った。
岸和田の街をハイヒールで颯爽と歩いた。根岸(財前直見)の洋服レッスン初日に「胸を張って歩け」と言われた時以来であったが、2年前の教訓を忘れずに堂々としていた。

ところが、いざ百貨店に到着すると、糸子は緊張で押しつぶされそうになった。堂々と快活な立ち居振る舞いをしなければ印象が悪くなり逆効果だ。頭ではそう思っていても、支配人・花村に見せることを考えるとどうしても顔がうつむいてしまった。自分を奮い立たせようとすればするほど、背中は丸くなるのだった。

店内の陰で花村が来るのをじっと待った。すると彼が歩いてくるのが見えた。
意を決し、制服姿の糸子は花村の前に飛び出した。

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相変わらず、毎日の密度が濃いです。
まとめ記事を書くのに、どこを残してどこを削るか判断がつきかねる。あれもこれもと書き残すものだから、まとめが全然まとまってないのが自分でもわかる。うれしい悲鳴中。

一言でまとめれば、「善作の助言で、実物の制服を着てプレゼンすることにした」である。これまで洋服のことが大嫌いだった善作が、ぶっきらぼうながらも、明らかに楽しそうに口出しておるわけです。その態度の変化を楽しむところでありました。

それを軸に、細かいくすぐりもいっぱい。金がない → 神戸のガラクタ! → 金になった! → でも3番目に高いのしか買えない → 靴代がない!近所だから強引にツケ という流れは見事でした。神戸のガラクタの視覚的とほほ感が白眉。金がないという描写のダメ押しとして靴エピソードで締めるあたりが冴えてる。

絶賛べた褒め中。

追伸:
制服完成については、中の人も大喜び

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