NHK『カーネーション』第115回

昨日は比較的真面目なランチだったのに、ジャガーさんの話題で盛り上がってしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第115回目の放送を見ましたよ。

* * *

第20週「あなたを守りたい」

優子(新山千春)が本格的に直子(川崎亜沙美)の店を手伝い始めた。丁寧な言葉遣いで人当たりの良い優子は百貨店の支配人(谷口高史)にもすぐに気に入られた。
もちろん、客あしらいも上手かった。店先に飾られている直子の服はいずれも派手すぎて客うけが悪かった。そこで、直子の服の中でも落ち着いたデザインのものを自ら着て店頭に立った。優子の選んだ服と着こなしは確かになかなかのもので、店の評判も上向いてきた。

しかし、直子は少々面白くなかった。直子は自分の感性を理解してくれる者だけを相手にしたかった。冷やかしの客にまで媚びを売る優子の商売に反発した。すると客前ではニコニコと愛想の良い優子の表情が一変した。岸和田弁で啖呵を切り、直子の頭を殴って言うこと聞かせた。いつまでも芸術家気取りの直子を批判し、商売だと割り切ることを説いた。
承服しかねる直子であったが、優子のおかげで客が増えているのも事実だった。少しずつ仕事が忙しくなり始めた。

そんな頃、聡子(安田美沙子)がテニスの大会で順調に勝ち進んだ。府大会の後、近畿大会でも優勝し、ついに東京で行われる全国大会に出場することになった。聡子の快挙に近所も盛り上がり、木之元(甲本雅裕)の喫茶店・太鼓で盛大な壮行会が開かれた。ただし、日中に行われたため、オハラ洋装店の者は誰も出席することができなかった。

糸子(尾野真千子)は壮行会に出席しないどころか、聡子の出発の日程もあまり把握していなかった。聡子出発の日も徹夜で仕事をし、ミシンの前で寝ていた。千代(麻生祐未)に起こされ、寝ぼけ眼でぼんやりと聡子を見送った。それでも聡子は元気よく出かけていった。
聡子は、東京で姉たちの下宿に泊まることにした。会場近くのホテルを手配しようとしたのだが、本人が頑なに姉の所に寝泊まりすることを希望したのだ。優子や直子は遅くまで店で働いたので、少しも聡子の相手をすることができなかった。それでも聡子は毎日機嫌よく会場に向かった。

そしてついに、聡子はテニス全国大会で優勝した。
その日ばかりは、優子と直子も仕事を早く切り上げ、家で祝賀会を行った。疲れはてた聡子は宴会の横で眠ってしまったが、幸せそうだった。

ただし、東京の姉妹は誰も岸和田に連絡をしなかった。そのため、糸子はいつもどおりに徹夜で仕事をしていた。
あくる朝、店の戸を激しく叩く音で糸子は目を覚ました。そこには、聡子の中学時代のテニス部顧問(立川貴博)が立っていた。新聞で聡子の優勝を知り、祝いを言いに来たのだという。近所に住む木之元も新聞を握って駆けつけてきた。
大はしゃぎするふたりの前で、寝不足の糸子は機嫌が悪かった。聡子のニュースにほとんど興味を示さず、すぐに引っ込んでしまった。

聡子が岸和田に帰ってきて、再び木之元の喫茶店で祝賀会が開かれた。最近はテニスの実業団からのスカウトも多いという。周囲は聡子がテニスを一生続けるものと思い、大いに盛り上がった。ところが、将来の話になると聡子は密かに寂しそうな表情を浮かべた。
結局、糸子は祝賀会に顔を出さなかった。聡子本人にも、たった一言褒めてやっただけだった。言葉をかけ終わると、すぐに仕事に戻ってしまった。

ある日、聡子は改まった態度で糸子に向かい合った。そして、金輪際テニスをやめると打ち明けた。聡子の将来は決まったものだと思っていた糸子はたいそう驚いた。考えなおすように促した。
けれども、聡子の意思は固かった。暗い笑顔を浮かべながら、その決意に至った経緯を説明した。

聡子は寂しかったのだ。母とふたりの姉が洋裁に打ち込む横で、聡子は自分だけが仲間はずれだと思っていた。その疎外感に苦しめられていたのだという。テニスは頂点を極めたので、一切未練がないという。
涙ぐみつつも真剣な聡子の眼差しに、糸子は何も言うことができなかった。

打ち明けてすっきりした聡子は持ち前の明るさをすぐに取り戻した。
すぐさま、千代にもにこやかに報告した。やっとみんなの仲間入りができると言って笑った。

* * *


僕は安田美沙子という人をこれまであまりよく知らなくて、NHK『祝女』の中で「恋する方言」というコントで京都弁を指導する講師をやったり、iPod touch/iPhone用のランニング・アプリ「Nike+GPS」でノーテンキな応援コメントをする人(彼女自身はフルマラソンの大会を完走したりしているらしい)といった認識しかなかった。
グラビアアイドルだったと知ったのもつい最近のことで、「ははぁ、なるほど、それで朝ドラでもお色気シーン担当なんだな」と思っていた。さらには、「芝居できなくても、画面に映っているだけでいいという役割なんだな」とまで思ってた。

実際、ドラマでの喋り方もアホっぽかったし、画面の端でニコニコしてばかりいる役どころだったので、「女優としてはイマイチだと思わているから、あんまり演技もさせてもらえないんだな」と思ってた。

しかし、しかし。俺の目は節穴か?
よくよく思い返してみれば、安田美沙子の演じる聡子のアホ面笑いには幾つものパターンがあった。セリフはなくても、聡子の心情は読み取れるような作りになっていた。たいていは機嫌よくニコニコしているのだが、糸子の心ない一言で一瞬顔を曇らせるというシーンが何度かあった。面白くないことがあっても、それを悟られまいと、少し無理に笑うところもあったように記憶している。

そんな安田美沙子の「表情芸」の真骨頂が今日の放送でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です