朝倉かすみとは北海道出身・在住の小説家で、代表作に『田村はまだか』などがある。『田村はまだか』は、同窓会に遅刻して来る男をバーで待ち続けるという変なシチュエーションの物語なのだが、田村という男の断片的なエピソードが次々と披露され、その奇妙ながらも魅力的な人物像に惹き込まれるという内容。さらっと読めて、読後感もいいのでお勧め。
僕が朝倉かすみという著者を知ったきっかけは、彼女と同じく北海道出身・在住の在野の素人イラストレーターRinpon女史から
「木公くん、朝倉かすみいいよー。『夏目家順路』がチョ~おすすめ。読んでみー、読んでみー。」
と推薦されたからである。推薦されたものの、『夏目家順路』は未読のままなのだが。
それはさておき、『田村はまだか』を最初に読んで、とても面白かったので朝倉かすみがお気に入り作家の一人となったわけである。
朝倉かすみは北海道武蔵女子短期大学を卒業しているという。
武蔵女子は札幌(ひいては北海道)を代表する女子短大の一つで、僕が高校を卒業する平成ヒトケタの頃には、藤女子短大(短期大学部は2001年に廃止)、静修女子短大(1997年に札幌国際大学に名称変更)と並ぶ御三家だった。
僕の高校時代のクラスメート女子の進学先を思い返すと、カワイコちゃんはこぞって静修女子短へ進学した。お利口な女の子は藤女短へ入学した。それに対して、武蔵女子短へ行った女の子は、かわゆさと利発さのバランスのとれた女の子だった。これだけで、武蔵女子短大がどんなに素晴らしい女子短大か推して知るべしである。
クラスメートの女の子たちがそれぞれ無事に進学した春、大学受験に失敗した僕は札幌の予備校の寮に入った。あまりに惨めに思ったので、誰にも連絡先を知らせずにひっそりと札幌に移り住んだ。その寮から自転車で10分もしない所に武蔵女子短大があったのだが、女子学生たちの華やかなキャンパスライフからは背を向けるように、日陰者のように暮らすことを決意した。
確か、入寮の初日か2日目のことだった。近所のコンビニで、その日の夜のオカズにするエロ本を買って寮に帰る時だった。向こうから見覚えのある若い女の子が歩いてきた。それは高校の時のクラスメートの女の子で、武蔵女子短大に入学したかわゆさと利発さのバランスのとれた女の子だった。
「わぁ!こんなところで何してるのー?」
なんて無邪気に声をかけられたのだが、こっちは大学入試に失敗した挫折感とコンビニのビニール袋に入ったエロ本を背中に隠すのに精一杯で、しどろもどろな受け答えしかできなかったわけで。あの時の事を思い出すと、今でも赤面してしまう。
その女の子とは、後日、彼女の部屋でコークハイを飲みながら、テレビで当時設立されたばかりのJリーグの開幕試合(1993年)の中継をふたりっきりで見たりしたのだが、それはまた別のお話。
さて、そんなわけで、武蔵女子短期大学の卒業生には並々ならぬ愛着を抱いてしまう当方である。
そんな武蔵女子短大出身の Rinpon 女史から、同じく武蔵女子短大の卒業生である朝倉かすみを紹介してもらったというその事実だけで、当方は朝倉かすみを一生応援することを決めたわけである。
前述のとおり、まずは文庫で入手しやすかった『田村はまだか』を読んだ。
続いて手にしたのが『そんなはずない』であり、アラサー女子の主人公が婚約者に逃げられるというトホホなお話だ。自分の家に婚約者を招き、両親に紹介した直後、その相手が行方をくらますという話である。謎の失踪というミステリーものではなく、単に相手に結婚する気がなかったというトホホなお話。なんか、こっちまでいろいろとトホホな気分になってくるけど、それはまた別のお話。
そして、この『そんなはずない』を読んでいた時に事件が起きた。
かばんの中に入れていたタンブラーの蓋がちゃんと閉まってなかった。かばんの中が水浸し。意気消沈。まだ60ページしか読んでなかった文庫がおしゃか。そんなはずない!! pic.twitter.com/NDWHwWo1
— 木公 (@almore) April 12, 2012
水筒から漏れたお茶によって、朝倉かすみ『そんなはずない』をびしょ濡れにしてしまったのだ。
不幸中の幸いだったのが、日本茶だったことだ。紙が薄い緑色になってしまい、全体的にゴワゴワにもなったが、なんとか読書できる状態は保たれた。それで無事に読了することができた。
そして、読み終えた時である。
https://twitter.com/kasumiasakura/status/191039989453299712
著者ご本人から twitter でメッセージを頂いた。これは嬉しかった。
文庫本は一度濡らしてみるものである。そして、そのことを公表すべきであると思った次第。
本日、僕は一応、お盆ということで会社を休んだ。特に北海道へ里帰りするでもなく、単に有給消化のために休んだに過ぎない。そのため、特に予定もなく退屈なのであった。一応、いつもどおりの時間に起きて『梅ちゃん先生』の放送を見たのだが、何もすることがないので朝っぱらから昼寝した。
12時ころ目が覚めて、どうしようもなく退屈だったので、街の本屋を冷やかしに行く事にした。
特にこれといって目当ての本があったわけではないのだが、棚を適当に眺めて、東直己『札幌方面中央警察署 南支署 誉れあれ』(彼も北海道出身・在住作家だよね)、池井戸潤『オレたちバブル入行組』、さらに朝倉かすみ『ともしびマーケット』を購入した。
さて、『ともしびマーケット』を購入したことを twitter で公開したところ、音速より早く著者の人が反応してくれた。この人、おもろい。
https://twitter.com/kasumiasakura/status/235259715070865408
しかも、僕が以前にご著書を水浸しにしてしまったことまで覚えていてくださってる。恥ずかしいけど、とても光栄。
そして、もう一度水濡れさせることを密かに期待しているご様子。
https://twitter.com/kasumiasakura/status/235260841581236224
これに応えなきゃ男がすたる。
そんなわけで、買ったばかりの本を携えて、早速喫茶店に入った。nana’s green tea本厚木ミロード店で宇治冷茶350円をオーダーし、小洒落た女子らの居並ぶ店内に陣取った。
この時は、買ったばかりの本を濡らすつもりは全くなかった。
それでも、本とコップを横に並べて「ああ!今にもこぼれて、濡れてしまいそう!」という写真を撮ってアップするつもりだった。
まずは、お茶の入ったコップを不安定な所に置こうと思った。そしてその横に『ともしびマーケット』を並べて、ヒヤヒヤ写真を撮ることにした。どうやったら不安定でドキドキできる写真が撮れるか思案した結果、キーホルダーをテーブルに置き、その上にコップを設置することに決めた(急場しのぎで、他に良い物品が思いつかなかった)。
無事にキーホルダーの上にコップを置き、さてケータイで写真を撮るかと準備をした瞬間・・・。
ひとりでにコップが倒れた!
最愛の山瀬まみに誓う。僕はネタのためにわざとこぼしたんじゃない。あくまで、ヒヤヒヤドキドキ写真を撮影するに留めるつもりだったんだ。それなのに、気付いたらコップが倒れていたんだ。床まで水浸しになるわ、氷は床を滑ってあっちまで転がっていくわ。
恥ずかしくて死ぬかと思った。
ていうか、朝倉かすみと日本茶は危険。絶対に事件が起きる。みんなも気をつけるべき。
なお、今回、不幸中の幸いだったことは、本は全く濡れずに済んだ。
そんなわけで、これから真新しい『ともしびマーケット』を読みます。
朝倉先生からツィート!?すげえ。すごすぎ。中央ローンでのぼさばさんと寝っころがりながら、あなたの記事読んでいて、たまげました。もう、一生応援しましょう!選挙に出たら投票しましょう!ちなみに私は女子ものが好きなので「ほかに誰がいる」がお気に入りだよ。
朝倉先生が選挙に出たら当然投票しますが、選挙区が違うので比例代表に出てもらいたいと思うところです。
『ほかに誰がいる』、ともしびが終わったらアタックしてみます。
つーか、朝倉先生を紹介してくださって本当にありがとうございます。ビバ武蔵女子。
当方、従姉妹に武蔵短大卒2名、静修短大卒2名おります。従兄弟・従姉妹、総勢21人いるからね、僕。
武蔵は学校としてはちょっと地味なイメージですね。藤との対比効果か。
地味さも必要だということは、中山美穂も歌ってますよ。
♪派手だね、派手もいいけど、愛した時はもっと地味にね
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