いつも走ってた oh フレンズ、あなた真剣な目をしたから

先日アナウンスした通り、今日は音楽教室のミニ発表会でした。

ヴォーカル(JD)、ベース(アラサーおっさん)、ギター(当方)、ドラム&シンセサイザー(打ち込み)という編成で2曲演奏してきました。
曲目は『フレンズ』(レベッカ)と『タッチ』(岩崎良美)。いずれも1985年に発表された曲で、ヴォーカルちゃんは受精卵すら存在していなかった。そんな懐メロを彼女に無理を言って歌ってもらいました。だって、僕らオッサンの思い出の萌え曲はぜひとも若い女子に歌ってもらいたいじゃん。
#本当は彼女もギター科に通ってるんです。
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手ぬぐいは濡れるか?

朝倉かすみと俺。

出会いはいわゆる「知人の紹介」ってやつだ。最初は一方的に「好きだなー」と思うだけだったのだけれど、いつしかSNSで連絡を取り合うようになり、気づけば僕は彼女にゾッコンだった。主な経緯はこっちに書いてある

そんな彼女から、贈り物が届いた。

朝倉かすみ20冊記念手ぬぐい

朝倉かすみ20冊記念手ぬぐい


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原由子「イロイロのパー」

原由子のアルバム『MOTHER』(1991)をレンタルして聞いている。

ご存知の通り、原由子はサザンオールスターズのメンバーで桑田佳祐の妻。Wikipediaの記述によれば、本作は原由子が出産を経て活動を再開した後に初めて出したアルバムであり、桑田佳祐がプロデュースしたものであるという。

実は僕は、サザンオールスターズには縁遠い。彼らの歌はほとんど聞いたことがない。それでも、さすがにヒット曲くらいは知っていて、聞けばサザンの曲だと同定することはできる。「勝手にシンドバッド」とか「みんなのうた」とか「マンピーのG★SPOT」とか、桑田の「すべての歌に懺悔しな!!」とか。あと、「いとしのエリー」はカラオケで歌ったこともある。知人のえりちゃんのことが大好きだし。

国民的バンドと言っても過言ではないサザンオールスターズなのに、なぜ僕は縁遠かったのか。理由は割とはっきりしていて、僕の幼少時の話だ。僕の父が「こいつらは低俗だ」と言っていた。テレビに映るとチャンネルを変えろと騒ぎ立てるほど毛嫌いしていた。その様子がなんとなく脳裏に焼き付いていて、僕にとってサザンがタブーになったのだと思う。知人のえりちゃんに言わせれば、僕は「永遠の反抗期」のまっただ中にあるほど両親とはことごとく対立してきたわけだが、どういうわけかサザンに対する印象だけは合致していたわけである。あな恐ろしや、三つ子の魂。

さて。
先日、僕は朝倉かすみ『幸福な日々があります』を読んでいた。結婚10年目で、特に諍いのあるわけでもない、傍から見れば円満な夫婦であるにもかかわらず、妻が一方的に離婚を切り出すというお話。新婚時代と現在の状況が交互に対比的に描かれ、妻の心境の変化と不変性が物語られるという小説。

この小説の中で、主人公である妻の思い出の曲として何度も出てくるのが原由子の「あじさいのうた」であった。ところが、僕はその歌をよく知らなかったので、主人公(と、筆者)が何をそんなにこの歌にこだわるのかさっぱり理解できなかった。そこで、小説は読み終わってしまったけれど、「あじさいのうた」が収録されているアルバム『MOTHER』を借りてきて復習をしたという次第。はたして、「あじさいのうた」は相手への愛情をゆっくりゆっくりと育んでいくような、それでいて欲しい物が結局手に入らずもどかしいような、しっとりとした歌であった。なるほど。
そして、サビの部分は確かにどこかで聞いた覚えのあるものだった。

そろそろ前置きを終える。そして、以下は性的な内容を含むことを注意喚起しておく。
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朝倉かすみ『少しだけ、おともだち』

短篇集。
そのうちのひとつ『C女魂』は、著者が「3.11小説」だと宣伝していた。
https://twitter.com/kasumiasakura/status/261291346160152577
どれどれと思い、興味を持った。

朝倉かすみは今年知った中で最大のお気に入り作家なのだが、文庫化されたものしか買ってなかった。しかし、今回これをどうしても早く読みたくて、ついに単行本で買った。本棚で他の文庫と揃わなくなるのは残念だが。
あと、帯の応募券を貼って送ると抽選で手ぬぐいがもらえるとのことで、それも目当てだったわけだが。

書名にあるように、短篇集のテーマは「おともだち」。
その割には、仲がいいんだか悪いんだか微妙な関係や、表面上は親しく付き合っているけれど心の中ではちょっとウザったく思っている話やらのオンパレード。ひらがなで「おともだち」と記されたほのぼのムードとは若干距離がある。
それでいて、お友達のことをおともだちらしく思わないでいることを申し訳なく思い、心苦しく感じている人物たちがたくさん出てくる。そんな微妙な「少しだけ」遠い感じが主題。
そういう意味では、絶妙な書名。
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朝倉かすみ『ともしびマーケット』

太宰治の『走れメロス』は面白い(青空文庫で読む)。
しかし、僕は長い間、その面白さの本質がなんなのかわからずモヤモヤしていた。中学生の読書感想文なら「友情とはなんて素晴らしいものなのでしょう」などと無難にまとめておけば国語のセンセーの覚えはめでたかろう。けれども、なんだかそれだけではないような気がしていた。

森見登美彦の『【新釈】走れメロス』のあとがきには以下のように書かれていた。

「走れメロス」は、作者自身が書いていて楽しくてしょうがないといった印象の、次へ次へと飛びついていくような文章。

それで僕ははたと膝を打った。確かに、太宰の『走れメロス』はまるで活字がひとりでに踊りだすかのような迫力と躍動感がある。それが『走れメロス』の面白さの本質なんだと理解した。

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朝倉かすみ濡れ濡れ事件

朝倉かすみとは北海道出身・在住の小説家で、代表作に『田村はまだか』などがある。『田村はまだか』は、同窓会に遅刻して来る男をバーで待ち続けるという変なシチュエーションの物語なのだが、田村という男の断片的なエピソードが次々と披露され、その奇妙ながらも魅力的な人物像に惹き込まれるという内容。さらっと読めて、読後感もいいのでお勧め。

僕が朝倉かすみという著者を知ったきっかけは、彼女と同じく北海道出身・在住の在野の素人イラストレーターRinpon女史から
木公くん、朝倉かすみいいよー。『夏目家順路』がチョ~おすすめ。読んでみー、読んでみー。
と推薦されたからである。推薦されたものの、『夏目家順路』は未読のままなのだが。
それはさておき、『田村はまだか』を最初に読んで、とても面白かったので朝倉かすみがお気に入り作家の一人となったわけである。
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