フジ『北の国から』第18回

昨夜は朝までカラオケ大会だたのだが、山瀬まみの歌を唄おうと思っても「メロンのためいき」、「スターライト・セレナーデ」、「ホワッツマイケルNo.1」、「ゴォ!」しか収録されておらず、「なんで『可愛いいひとよ』が無いんだよ!」とプリプリしつつも、アラサー女子に請われ♪ニャオニャオ♪などと「ホワッツマイケルNo.1」を歌ってしまった当方が、BSフジ『北の国から』の第18回を見ましたよ。

* * *

空知川筏下りの2日前。大人たちはまるで子どものように筏造りに熱中していた。
五郎(田中邦衛)は吉本辰巳(塔崎健二)と組んで筏を造っていた。しかし、ふたりは筏の安全性よりも目立つことばかりを気にしていた。筏の真ん中に大きな旗を立てることを第一の目標にした。そんな様子を見ていた純(吉岡秀隆)と螢(中嶋朋子)は、五郎の筏に乗る気が失せた。中畑(地井武男)たちの作る、大きくて頑丈そうな筏に乗せてもらうよう頼んだ。中畑の筏に、雪子(竹下景子)らと共に乗り込むことが決まった。

本番前日の朝。
五郎はいじけた。誰も五郎の筏に乗ろうとしないからだ。雪子は大勢が乗るには中畑の筏のほうが適しているなどともっともらしい理屈を述べたが、五郎は納得しなかった。五郎の作る筏は危険だと思って乗らないことを見抜いていたのだ。雰囲気にのまれた螢は、五郎の筏に乗り換えると申し出た。しかし、完全にへそを曲げてしまった五郎はそれを断った。

草太(岩城滉一)は自分の筏の最終調整を行なっていた。彼の筏は水すましのような長い足の先に浮き輪を接続した、独特のデザインのものだった。全体に細身の造りで、バイクのようなタンデムシートの付いた二人乗りのものである。去年はつらら(熊谷美由紀/現・松田美由紀)を乗せて出場したが、今年は一人で乗るつもりである。本当は雪子を乗せたいのだが、自分から誘うのは男がすたると思っているのだ。
草太の母・正子(今井和子)は、雪子のせいで草太が不機嫌であることを分かっていた。牧場の牛を増やす予定で人出が足りなくなる、そこで清吉(大滝秀治)と相談して雪子を再雇用したいなどと相談を持ちかけた。しかし、草太は両親がつららに肩入れして雪子を追い出したことを知っており、その申し入れを冷たくあしらうのだった。

その日の夜、凉子(原田美枝子)は分校にいた。分校は廃止になるが、涼子の転任先はまだ決まっていないのだ。決まるまでの間、今までどおりに分校の宿舎に寝泊まりしているのだ。そこへ五郎が訪ねてきた。純と螢が中畑の筏に乗るので、涼子も一緒に乗ってやって欲しいと頼むのだった。

そして、7月26日。空知川筏下り大会の開催日となった。
出発前、草太は中畑の筏の周りをウロウロした。何かと中畑の筏にケチを付けるのだ。子どもである純の目から見ても、いまだに草太が雪子を誘いたがっていることは明らかだった。しかも、見栄を張ってそれをしないでいることまで純にはお見通しだった。

いよいよ川下りが始まった。およそ8km先のゴールに向かう。スタートしてすぐに流れの急なところがあり、そこで衝突したり沈没したりする筏も少なくなかった。草太、中畑、五郎の3艘の筏は無事にそこを乗り越えた。難所を過ぎると川の流れはぐっと穏やかになり、のんびりとした道中となった。ただし、いつしかそれぞれの筏は離れ離れになった。

途中で、草太の筏は浮き輪にしていたタイヤチューブがパンクして動けなくなりリタイアした。

五郎と辰巳を乗せた筏は、スナック若駒の従業員たちの筏と並走していた。若駒の筏にはラジカセが載せられ、軽妙な音楽が大きな音で鳴らされていた。
筏の上では、こごみ(児島美ゆき)がくし切りにしたメロンにかぶりついていた。五郎は、彼女の若い肉体と、果汁で濡れた唇に目を奪われた。五郎と目が合うと、こごみはメロンを一切れ投げてよこした。お礼に、五郎は水に浸けて冷やしていた缶コーヒーを返した。言葉を交わしたわけではないが、親密な雰囲気に包まれた。
その直後、にわかに迫ってきた急流に飲み込まれ、五郎と辰巳は川に投げ出されてしまった。辰巳は岸に泳ぎ着けたが、五郎はいくらか流されてしまった。川から救い上げてくれたのは、駒草の筏だった。五郎はそれに乗ってゴールを目指すことになった。

五郎とこごみは、初めて口を利いた。ふたりとも富良野のあたりで生まれ、一時東京で暮らし、その後帰ってきたという共通点があった。しかも、東京での暮らしぶりを付きあわせてみると、五郎が務めていたガソリンスタンドとこごみが住んでいた下宿が目と鼻の先であったことがわかった。さらに、富良野に帰ってきたのが前年の10月頃だという点まで一致していた。ふたりは意気投合し、急に距離が縮まった。

純らを乗せた中畑の筏は順調だった。
純が川岸に視線を向けると、草むらの中につららがいるのを見つけた。大急ぎで雪子に報せ、雪子もつららの姿を認めた。一方のつららは、自分が見つかったと知るやいなや、草むらの奥に姿を消してしまった。
筏がゴールに着くやいなや、雪子は応援に来ていたつららの母・友子(今野照子)を捕まえ、つららが富良野に来ていることを報告した。友子と兄の辰巳、そして雪子は急いで家の様子を見に帰った。つららの姿はなかったが、彼女の置き手紙が残されていた。それはとても短いもので、元気だから心配はいらないと書かれているのみだった。つららは汽車で帰ると予想できたので、辰巳と雪子は駅に探しに行くことにした。

五郎や雪子とはぐれてしまった純と螢は、涼子先生と一緒に帰路についた。
涼子はUFOのことを話し始めた。涼子と宇宙人との関係に不審なものを感じる(第15回参照)純は涼子の話を警戒して聞き、螢にも目配せやジェスチャーで深入りしないように伝えた。しかし、螢は涼子の話に興味津々だった。涼子によれば、今夜あたりUFOが飛来しそうな予感がするという。少し離れた山に来るはずだから、そこへ案内すると提案した。純は断ったが、螢は一緒に行くことを決めた。

五郎の帰宅は少し遅れた。純は、川でつららを見たことを五郎に知らせた。さらに、置き手紙があり、雪子は辰巳と共に駅に行ったと報告した。すると、五郎もすぐに後を追うことにした。
螢は五郎に今夜のUFO観察の許可を求めた。慌てていた五郎は、螢の話をよく聞かずに許可を出してしまった。

駅に着いた辰巳、雪子、五郎は手分けをして駅の中を探した。しかし、つららの姿は見つからなかった。次の汽車までは時間があるので、一時駅を出て待つことにした。すると、草太が少し離れたところから駅の様子を見守っているのを発見した。辰巳からの連絡を受け、彼も駅に探しに来たのだ。ところが草太は、自分の姿が見つかったことに気づくと、逃げるように喫茶店へ入ってしまった。それを、五郎と雪子だけが追いかけた。

草太はずっとふてくされていた。そして、雪子を非難しはじめた。つららは雪子と顔を合わせたくないはずだから、雪子が駅にいては汽車に乗ろうにも乗れないと言うのだ。大卒のくせに人の気持がわからない女だとなじり、今夜は帰れと命じるのだった。雪子は反省し、彼の言葉に従うことにした。
しかし、横で聞いていた五郎は怒りを顕にした。元々は草太の無責任な態度が引き起こした騒動であるのに、草太が雪子に責任転嫁をしているように聞こえるからだ。草太は全ての非が自分にあることを認めた。それを認めた上で、混乱している苦しい心情を吐露した。自分はバカで単純な男だから、2つ以上のことは考えられないのだと言う。だから、つららか雪子かのいずれか一人のことしか考えられない。前年の秋に雪子が来てからというもの、毎日雪子のことだけしか考えていなかった。せめて今日だけは、雪子のことを頭から追い出して、つららのことだけを考えたいというのだ。

草太は、前年の筏下りの思い出話を話しだした。泳げないから嫌だというつららを説き伏せて、自分の筏に乗せたのだ。急流に差し掛かると怯え、泣きながら草太に抱きついたのだという。
そんな話を聞いて、五郎と雪子は家に帰ることにした。雪子は元気をなくしていた。帰りの車の中で、草太は素敵だ、と一言だけ五郎に漏らした。

草太と辰巳は駅でずっと待っていた。しかし、結局つららは見つからなかった。

そして、同時にもう一つの騒動が持ち上がりつつあった。UFOを見に行った螢と涼子が、21時を過ぎても一向に帰ってこないのだ。

* * *


男と女が惹かれる原因というのは、よくわかるようなわからないような。

ちなみに、当方が山瀬まみにゾッコンとなった原因は、「低音ボイスで伸びやかな歌唱力(e.g. 「スターライト・セレナーデ」)と、バラエティ番組(e.g.「テレビ探偵団」)で見せるボケキャラとのギャップ」ということが公式見解となっているが、その一言で本当に全てを言い表せているかというと、甚だ疑問である。ましてや、2000年代以降の山瀬まみは歌を歌わないし、バラエティ番組でもボケキャラというよりはソツのない司会進行役という位置づけである。それにもかかわらず好きなのだもの。
まぁ、当方と山瀬まみとのことは置いておくが。

今回、五郎(田中邦衛)はこごみ(児島美ゆき)と出会う。
最初は外見的/性的なものに惹かれたようだ。明示的な説明はなかったが、こごみは露出的な衣装を身に着けていたし、メロンにかじりつく口元のアップが執拗に映されていた。かなりエロいショットだった。これは、五郎がこごみに感じた性的な魅力の表現だと解釈するのが妥当だろう。続いて、メロンとコーヒーの交換という些細だが社会的な関係を結び、ついには境遇が似ているという超自然的な運命めいたものを感じるに至る。それで互いに惹かれ合ったようだ。
男と女というのはそういうもんかもしれないなぁと思いつつ、どうも出来過ぎているよなぁとも思うわけで。

そして、たった一つのセリフだが、雪子(竹下景子)が草太(岩城滉一)のことを素敵だと評価する言葉を発する。僕の記憶する限り、単なる好意や親切への返報ということ以上の意味で雪子が草太を尊重するのはこれが初めてのような気がする。ここで雪子が草太に fallin’ love したと見ていいのだろうか。

ところが、そのきっかけとなったのが、草太のつららに関する思い出話。今惚れている女の前で、過去の女との思い出を語る男。そういうので女性は落ちるもんなんですか?僕はおっさんなのでよ~わかりません。
よ~わからないのですが、何人かの女性からいくつかの雑談で僕が聞いた限りによれば、「昔の女の思い出に浸る男はかっこいい」派と「いつまでも過去の女を引きずる男はみっともない」派の女性は、僕独自の統計で4対6くらいでしょうか。適当な統計ですが。ただ、男の側としては、前者の意見に与する人が多いような気がする。本作の脚本家・倉本聰も男だし。

なお、当方は30歳を越えるあたりまで、世の中の女性はみな、都はるみの「北の宿から」みたいなものだと信じていました。いつまでもわかれた男に未練を持っているものなのだろうと。ところが、30歳を越えてから何人かの女性からいくつかの雑談で僕が聞いた限りにおいて、「いつまでも昔の男に未練を持つ女」と「別れたらあっさり昔の男を忘れる女」というのは1対9以上の開きがあると知りました。俗に「男は『名前を変えて保存』、女は『上書き保存』」なんて言葉もありますしね。そういえば、「北の宿から」の作詞家・阿久悠も男でしたね。
いやはや。

なお、山瀬まみ「可愛いいひとよ」の歌詞は僕の大好きなものの一つなんですが、これは阿久悠作詞です。

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