Googleドライブのスプレッドシートで「あまちゃんヒストリー」という年表を作り始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第16回目の放送を見ましたよ。
ミス北鉄コンテストの募集が始まった。主催の北三陸鉄道では、応募券付きの記念乗車券が発売された。それを使えば、自薦他薦を問わず、一人で何回でも応募できる仕組みだ。早速、大向(杉本哲太)は春子(小泉今日子)の名前を書いて応募した。応募資格は40歳以下に限定されており、春子は42歳であったが、もちろんそんなことは無視した。
駅でコンテストの告知と投票箱を見たユイ(橋本愛)は、「ださっ」と一言吐き捨てるだけだった。
そんなユイは、アキ(能年玲奈)を自宅に招いた。ユイの父・功(平泉成)がアキに会いたがっていると言うのだ。それというのも、功は元・北三陸高校の教師で、春子の担任だったからだ。
ユイの家は、北三陸駅から列車で1時間ほど南下した畑野駅にあった。その辺りはアキの住む袖が浜よりも田舎だった。周囲の長閑さとは対照的に、ユイの家は広大な敷地に建つ豪邸だった。功は高校教師を引退後、政治家になり地元の名士である。ユイの母・よしえ(八木亜希子)は仙台出身で、短大卒業後は岩手のテレビ局のアナウンサーになったという。仕事を通じて功に見初められ、結婚したという。
ユイは自分の家があまり好きそうではなかった。早く東京に行きたいとアキに話すのだった。兄・ヒロシ(小池徹平)が東京に就職したので、それを頼りに上京するはずだったのに、彼は2ヶ月あまりで帰ってきてしまったことを嘆いた。ヒロシは負け犬だと吐き捨てた。
アキは功と対面した。功に言わせれば、アキは春子に似ていないという。高校時代の春子はとてもかわいかったという。誰でも知っている評判の娘で、学校祭の時には他校の生徒が大挙して押し寄せ、整理券を配るほどだったという。一方で春子はツッパリだったので、功はずいぶんを手を焼いたと話した。ただし、彼の口調に嫌悪感はなく、昔の春子を愛おしく思い出す様子であった。功は春子の卒業写真を探したが見つからなかったという。それというのも、春子は高校を中退して東京へ家出したからだ。ユイは春子の生き方をかっこいいと言って憧れた。
ユイの母・よしえの料理は、まるで高級レストランで供されるもののように豪華で盛り付けも凝っていて、アキは驚くばかりだった。楽しく食事をしていると、ヒロシが帰ってきた。その瞬間、家の雰囲気がガラリと変わった。
ヒロシは誰とも口を聞かずに、食卓から離れた場所に座って一人で缶ビールを飲み始めた。功はアキの目の前だというのに、ヒロシのことを罵りだした。大学まで出してやったのに2カ月余りで東京の仕事を辞めて帰ってきてしまった、それからは仕事もせずにブラブラしている、世間体が悪いから家から出るな、などと言うのだ。
アキはヒロシの弁護を試みた。ヒロシが漁協の監視員をやっており、自分が溺れた時にサイレンを鳴らして助けてくれたこと(第5回)を話した。しかし、それが火に油を注ぐことになってしまった。ヒロシはその仕事すらすでに辞めてしまったことを白状した。功の方も、ヒロシが北三陸で仕事に就いたことすら初耳だった。ヒロシはそもそもまともな仕事のできるような人間ではないのだから、初めから東京などには行かず、地元で就職していればよかったなどと罵り、張り手を食らわした。
アキは、場を収めるはずの自分の一言が逆効果だったことを後悔した。功の剣幕に恐れおののき、身をすくめることしかできなくなった。隣のユイを盗み見ると、彼女は平常心で食事を進めている。アキは混乱し、食欲を失った。
帰りの列車の中で、アキはその日のことを一人で振り返った。たとえ田舎であっても大らかではない人はいるものであり、ギスギスした家庭もあるのだと思い知った。
放送の最後に、「そして、美味しいものはどんな状況でも食べられる」ことがわかったというナレーション(宮本信子)と共に、列車の座席でアキ(能年玲奈)が満腹を手で擦るというオチがあったのですが、それは本文からは割愛しました。とはいえ、ここに書いておきます。
深刻で緊張した展開の直後に、弛緩するギャグを持ってくるというのは、笑いの王道ですよね。テレビの前で大笑いしました。
その他、本文で割愛したシーンとして、春子(小泉今日子)と夏(宮本信子)の晩酌シーンがあります。アキが夕食に招かれて留守なので、残されたふたりだけで食卓を囲んでいたのです。互いに距離感がつかめず、ギクシャクしながら皮肉の応酬をするも、距離を近づけようと無器用に話し合うふたりでした。急には縮まらないんだけれど。