NHK『あまちゃん』第24回

この連休はドラマの舞台となっている岩手県久慈市に行こうかと思ったのだけれど、電車で6時間以上かかるとわかって怖気づいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第24回めの放送を見ましたよ。

* * *

第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

9月30日、本気獲り当日。この日だけは漁獲制限なく、どれだけウニを獲ってもよく、収入は全て本人のものとなる。ただし、一家から1人しか参加できない。

まだ一つもウニを獲ったことのないアキ(能年玲奈)であったが、天野家の代表として参加することを志願した。夏(宮本信子)はそれを許可した。春子(小泉今日子)からのアドバイスは、脳は大量の酸素を消費するので、息を長続きさせるには何も考えないことが一番だということだった。

しかし、本気獲りの日、アキは一睡もできなかった。前日にヒロシ(小池徹平)から告白されたからだ。生まれて初めて異性から告白をされたアキはすっかり動揺してしまったからだ。天野家代表というプレッシャーもあり、アキのコンディションは最悪だった。

本気獲りは船で沖に出て行われる。初めて沖に出たアキは、潮の速さと水温の低さに怖気づいた。他の海女たちは、ここぞとばかりに無我夢中でウニを獲っている。アキが溺れても、誰にも気付いてもらえないかもしれない。操船する漁協長・長内(でんでん)もアキを引き止めるほどだった。

しかし、アキは後に引くわけにはいかず、勇気を出して海に入った。けれども、やはり上手くウニが穫れない。春子のアドバイスに従って何も考えないようにしようとしたが、考えないということが予想外に難しかった。

様々な思いが交錯する中、アキは海開きの日に初めて海に入った時のことを思い出した。夏に背中を押されて海に落とされたのだが、その時の夏の言葉が蘇ってきた。夏が言ったことは、飛び込む前にいろいろ考えても思い通りにはならないのだから、何も考えずに海に飛び込めということだ(第4回)。夏は初めから「考えないこと」が重要だと助言してくれていたことを思い出した。

するとアキは深く潜ることができた。海底のウニを目掛けて一目散に沈んでいった。海の中で唯一アキに気を配っていた安部(片桐はいり)が危険を感じて引き止めた。しかし、アキはその手を振りほどいてさらに潜っていった。

そしてついにアキはウニを手中に収めた。浮上してそれを高く掲げると、みんなが祝福してくれた。アキは最高の気分だった。

ただし、結局その日のアキの収穫は1個だけだった。一家で500円の収穫にしかならなかった。夏が潜っていれば何万円もの収入になっていたはずだ。アキは自分の不甲斐なさに落ち込んでしまった。しかし、夏は金の問題ではないと言ってアキを責めなかった。むしろ、アキが初めて獲ったウニであり、天野家にとっては一生物だといって喜ぶのだった。

本気獲りが終わると、海の神に感謝を述べて漁期が終わる。漁協長・長内の計らいで、アキの獲ったウニが神に奉納された。

* * *

本気獲りは劇中の人々にとっては一大イベントで、大盛り上がりしている。しかし、画面で見ていると、どうにも地味でパッとしない映像だった。アキがなかなか海に入らずに葛藤し、いざ入ってみたら根性でウニを獲るというベタな展開。あえて言えば退屈。

しかし、しかしですよ。
なんでもない映像を見せられていたところから一転、アキ(能年玲奈)が笑顔でウニを掲げ、背景ではあのノーテンキなOP曲がかかる。いきなり感情が開放された感覚が沸き起こり、グッと来た。グッと来て心を持っていかれた。持っていかれて泣いた。やられた。名演出。

もう、ラストの5分は目が潤みっぱなし。
アキが獲ってきたたった1個の記念すべきウニは、他の海女が獲ってきたウニとまとめられ、単なる一つのウニになってしまった・・・かのようなカットが挟み込まれる。しかし、きちんと長内(でんでん)が取り分けていたということが判明し、良かった良かったと安堵の涙が流れるわけだ。やべぇ、面白いように転がされている、俺。

いい話だった。

あと思ったことは、アキが着ていたボロボロのドライスーツ。しかも、サイズがちょっと大きい。あれは夏(宮本信子)のものを借りてるという事なんでしょうね。真新しいスーツだったら興ざめだったんだろうなあ。急に本気獲りに参加することを決めて、機材の準備が間に合うはずがないから、家にあったもので間に合わせたわけで。こういうちょっとしたところがいいよなぁ。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)
『あまちゃん』 つづく

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