NHK『あまちゃん』第33回

昨夜の『火曜サプライズ』には宮藤官九郎がゲスト出演し、朝ドラの脚本は1日に1話ずつ書いていることや、話のペースや割り振りはあまり考えておらずわりと行き当たりばったりであること、その結果1話まるまる展開上の意味が無いこともあって後悔したりしているなどの話を聞いた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第33回めの放送を見ましたよ。

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第6週「おらのじっちゃん、大暴れ」

岩手こっちゃこいテレビのディレクターの池田(野間口徹)は、アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)を夕方の情報番組で紹介したいという。インターネットでふたりのことを知り、今時珍しくスレていない様子や、地元のために頑張っている姿に感動したと話した。反応が良ければレギュラーとして出演してもらうこと、さらには全国へ進出することも視野に入っているという。

アイドルを目指しているユイは、これこそチャンスの一つだと思った。衣装やメイク係が付くのかどうか、VTRの事前チェックはできるのか等、かなり本格的で詳細な質問をぶつけた。アキや池田はそんなユイの様子に圧倒された。

しかし、ひとまずその日は返事を保留し、池田は帰っていった。そして、アキとユイはふたりだけで相談した。ユイにとっては自分の夢を実現できることが嬉しい一方、池田の怪しい雰囲気をはじめ、自分の扱われ方に不安があるのだ。テレビに出るとなると一般にも広く知られるようになり、失敗すると取り返しがつかなくなる。だから慎重になるのだ。アキは、自分の浮ついた気持ちとユイの真剣な気持ちとの間に溝を感じた。

アキの主な心配事は、自分が華やかでないことや春子(小泉今日子)に猛反対されるだろうことだ。以前、アキがアイドルになることに興味がある素振りを見せたら、春子に「ブスがアイドルになれるはずがない」などと激しく怒られたことがあるのだ(第22回)。その話を聞いたユイは頭にきた。ユイによれば、アキは単に可愛いだでではなく、特別な素質がある。それが受けるはずだという。春子にはアイドルの何たるかがわかっていないと憤慨した。テレビに出て人気を博すことで春子を見返してやろうと焚きつけた。しかし、アキ自身はまだ春子に言い出せないでいた。

一方、当の春子は、スナック梨明日で大向(杉本哲太)らから説明を受けていた。すると春子は、ユイと異口同音に、衣装やメイク、VTRの事前チェック等について質問した。さらに、出演予定の番組がどの程度の格なのかといった点についても確認した。

一瞬乗り気であるかのように思えた春子だが、ユイはまだしも、アキについては反対する素振りを見せた。アキがアイドル的境遇を受け入れているのは、この街が好きであり、大好きな街の人々に喜んでもらうためである。いわば他人のためにやっていることだ。一方のユイはアイドルを目指し、今回の番組出演も自分のキャリアのために受けるものだ。そのようなアキとユイの思惑の違いが後々問題になるだろうと指摘した。さらに、ふたりはまだ子供であり、これ以上エスカレートしたら取り返しの付かないことになると心配した。

すると、ヒロシ(小池徹平)は自分がマネージャーになると言い出した。アキとユイの思惑の違いを内部で調整したり、テレビ局等外部との付き合いの矢面に立つことでふたりを守るというのだ。しかし、春子はその提案を受け入れなかった。ヒロシはユイの実の兄であり、また、アキに惚れていることを隠そうともしない。そのような立場の人物に冷静な判断ができるはずないからだ。

しかも春子は、アキにはヒロシ以外に好きな人がいるらしいとバラしてしまった。ショックを受けたヒロシは、潜水土木科の実習を覗きに行き、プールの覗き窓からアキの姿を見つめるのだった。水中のアキもそんなヒロシを見つけた。

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同じようにアイドル的扱いを受け、同じようにそれを受け入れているアキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)だが、そのモチベーションがそれぞれ違うという構造が興味深い。アキは利他的で、街の人々のために滅私奉公している。ユイは利己的で、自分の夢の実現のために状況を受け入れている。それでもふたりは、異なる思惑を越えて親友なわけであり、一緒にいることを楽しんでいる。
ところが将来は、その微妙な食い違いがなんらかの火種になるんだろうなと思うわけで。もしくは、利他的なモチベーションを持つアキは「ユイちゃんの夢の実現のために」なんて思いながら、付き合っていくんだろうなと思うわけで。けれども、アキに対して篤い友情を抱くユイは、そんなアキの思いやりにほだされることがあるんだろうなとも思うわけで。

今後のふたりの関係が楽しみです。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)
『あまちゃん』 つづく

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