NHK『あまちゃん』第125回

39年生きてきた中で、女の子の実家の寝室でその子が風呂から出てくるのを待つというシチュエーションが一度だけあったわけだが、そもそも出かけた理由というのが焼き増しした写真を自宅まで届けるという健全な用事であり、出かけたタイミングがたまたま入浴中だったから部屋で待つよう彼女の家族から正式に言われたのであり、要するに「家に誰もいない」という状況ではなく、ナニをするわけにもいかなかったわけだが、風呂あがりで上気した彼女の頬と髪から漂ってくるシャンプーの香りは、当時若くて健康な男子だった我が身にはかなり刺激的なものであり、しかもさっきまで世間話をしていたはずなのに、いつの間にか彼女の性体験を聞かされるという欲情的な雰囲気になっていたわけであり、これは彼女が俺を誘ってるってことか?階下に彼女の家族がいることも構わずにアレしちゃっていい場面なわけ?と思って僕の心のカウントダウンは残り5秒となったわけだが、彼女の当時の彼氏というのが近辺で有名なヤンキー高校の生徒であることが思い出され、バレた時に半殺しにされるかもとビビってしまい、スゴスゴと帰ってきたという20年以上前の出来事を回想している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第125回めの放送を見ましたよ。

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第21週「おらたちの大逆転」

自宅に種市(福士蒼汰)を招き、シャワーを終えたアキ(能年玲奈)は彼の待つ寝室へ向かった。ふたりは初めてキスをしようとするが、なかなかうまく行かなかった。種市が緊張のあまり怖気づいてしまったり、空腹のアキの腹の虫が鳴ったりするのだ。

春子(小泉今日子)から様子を見に行くよう命令された水口(松田龍平)は、正宗(尾美としのり)と合流し天野家へ到着した。ふたりは一目散にアキの寝室へ踏み込んだ。しかし、部屋は無人だった。

空腹を満たすため、アキと種市はキッチンで玉子焼きを作っていたのだった。ふたりが一線を超えなかったことに水口と正宗は少々安堵し、アキがオーディションの最終選考へ向けて種市と一緒にセリフ合わせをしていたと口裏を合わせ、春子に報告した。水口は、人目につかないところで逢引していた点については評価したが、アイドルにあるまじき行為だと言ってアキを非難した。

アキは水口に反論した。自分は女優やアイドルである前に、18歳の少女なのだという。恋愛をし、好きな人を励みに仕事に撃ちこむのは至極当然のことだと主張するのだった。けれども水口の怒りは収まらなかった。種市が他の人を好きになったらアキが悲しくなるのと同じように、アキが恋愛しているのを知ると100万人のファンたちは失恋したのと同じ気持ちになると言うのだ。だからアイドルとしてのアキの恋愛は決して認められないという。種市は、ファン100万人分と同じだけアキを幸せにしてみせると豪語した。冷静な水口は、種市がどんなにアキを大切にしても、それはファンの気持ちとは無関係だと否定した。

そこで助け舟を出したのは正宗だった。若い時、タクシーで春子(有村架純)と偶然知り合い、彼女のファン1号になった。春子の歌声に励まされて仕事を頑張ることができた。それと同じように、アキと種市も互いに励まし合い、いい関係が作れるだろうというのだ。正宗は種市のことを認め、種市も正宗に心酔した。

正宗までがアキと種市の味方についたことで、水口はふたりの交際を認めざるを得なくなった。ただし、ふたりがメールのやりとりと無頼鮨での面会以外は行わないという条件をつけた。それで一件落着した。

いよいよオーディションの最終審査となった。候補はアキと小野寺薫子(優希美青)の2名だけに絞られていた。最終選考では台本を持たず、母親役の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)を相手に本番さながらの演技を行った。鈴鹿ひろ美は、2名の候補者に対して公平に対応した。迫真の演技を見せ、2人には逐一指導を行った。厳しい雰囲気であったが、アキも小野寺薫子も全力を尽くした。

その様子を荒巻(古田新太)は黙って見ていた。彼の心は大きく揺れていたのだ。事務所の社長であり、商売人としての立場からは小野寺薫子を主演にして映画を撮る以外に選択肢はない。しかし、荒巻の人情がアキを推すのだ。春子やアキに対する後ろめたさがあり、アキを見捨てることができないでいた。

最終審査の選考会で、荒巻は正直な心情を他の審査員に語った。小野寺薫子を主演にし、カナヅチの彼女の影武者としてアキを起用するのが当初の予定だった。しかし、荒巻はアキを切り捨てられないという。前夜、荒巻はアキのネット動画を見つけたと言ってみんなに見せた。それは、アキが初めてウニを獲った時の映像だった。それを見ていたら切なくなり、アキを代役に留めておくことができなくなったのだという。そうして荒巻は、アキを主演にすることを決断した。

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荒巻(古田新太)は葛藤に悩まされ、ずっと困った表情を浮かべていました。ところが、審査会場で見せた表情とアキ(能年玲奈)が主演に決まった後の表情は、同じように困った顔なのですが、微妙に異なっていました。審査会上では悲しさや憐憫の情の含まれた表情でしたが、主演決定後は安堵と不安が入り混じったような表情でした。上手い表情作るものだなぁと感心してみてました。

明日はいよいよ蛇口さん(松田龍平)がアキを抱きしめるシーンですね。おそらくアキに恋愛感情を抱いていると思われる蛇口さんですが、渋々アキと種市(福士蒼汰)の恋愛を認めざるを得なくなっちゃったわけですが。辛いけど頑張れ、蛇口さん。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)
『あまちゃん』 つづく

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