異性を好きになるきっかけとして「今まで意識してなかったのだけれど、夢に出てきたから好きになった」みたいな話をちらほら聞くわけだけれど、昨夜の僕の夢の中にも今まで異性として意識していなかった女性が出てきたりして、ここはひとつこれをきっかけに告白してみようかなと思ったわけなんだけれど、問題は3人出てきたので誰にしようか、どう選ぼうかがわかんなくて困っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第84回めの放送を見ましたよ。
1947年(昭和22年)5月。
『ジャズカルメン』公演が終わって3ヶ月が過ぎた。そして、鈴子(趣里)の出産予定日まであと10日ほどとなった。
いつもどおり村西医師(中川浩三)の診察を受け、母子ともに順調であることが確認された。
しかし、鈴子は気が沈んでいた。
『ジャズカルメン』を必ず見に来ると言っていた愛助(水上恒司)は一向に東京へ戻ってこない。相変わらず頻繁にハガキは届くが、たいてい一言二言しか書かれていない。いつも同じように「具合は良くなってきた。もうすぐ帰れる」などと書いてあるのみである。
実のところ、愛助の病状はほぼ末期状態だった。ベッドから体を起こすのも一苦労で、母・トミ(小雪)が見舞いにきてもうわ言のように鈴子の名を呼ぶばかりだった。
秘書・矢崎(三浦誠己)は、愛助と鈴子を会わせるべきだとトミに進言した。鈴子に会うことで愛助の体調が持ち直すかもしれないというのだ。
トミもそれを仕方ないと思いかけたが、当の愛助が猛反対した。
今の自分の姿を見たら鈴子は心配のあまり気がおかしくなってしまうかもしれない。鈴子には安心して出産してほしいというのが愛助の願いだった。だから、くれぐれも自分の病状の一切を鈴子には知らせないよう頼んだ。その様子は息も絶え絶えだった。
そのことを知らない鈴子は、大阪へ行って愛助に会うと言い出した。しかし、いつ陣痛が始まってもおかしくない時期なので、担当医・村西は許可しなかった。
そこで鈴子は、村山興業東京支社長・坂口(黒田有)とマネージャー・山下(近藤芳正)を問い詰めた。しかし、ふたりはのらりくらりと言い逃れるばかりだった。『ジャズカルメン』の時にこじらせた風邪が長引いて帰ってこれないなどと言うのだ。
ふたりの態度がおかしいことは一目瞭然だった。鈴子が実力行使で大阪へ旅立とうとすると、ついに山下は愛助の病状が悪いことを白状した。そして、愛助の気持ちをくんでやり、大阪行きは取りやめてほしいと頼んだ。愛助は自分の弱っている姿を鈴子にだけは見せたくないのだ。
鈴子は一度はそれを受け入れた。しかし、愛助が心配で会いたい自分の気持ちと、鈴子に弱っている姿を見せたくない愛助の気持ちとの間で板挟みになってしまった。
一人では抱えきれなくなった鈴子は、羽鳥(草彅剛)の家を尋ねた。しかし、彼は留守で妻の麻里(市川実和子)だけが在宅だった。麻里は、鈴子の話を親身に聞いてくれた。夫はどんな時も自分勝手に音楽の話をするだけなので、留守だったことは好都合だと笑って見せた。
その上で、麻里は鈴子に自分の経験を話した。
麻里が初めて妊娠した時、出産までの間、夫は何もしてくれなかった。麻里がどんなにつわりで苦しんでいても知らんぷりで音楽に没頭していた。麻里は彼と一緒に子どもを育てていけるのか不安になったという。
その時、唯一の支えとなったのはお腹の中の赤ん坊だったと話した。麻里が不安になるたびに、胎児が自分の存在感をアピールするかのように動いたという。それで、この子のためにも頑張ろうと勇気づけられたという。
鈴子は蒙が啓かれる思いがした。確かに、自分が不安になっていたら、お腹の子も不安になるはずである。そして、自分が安心して元気な赤ん坊を産むことこそが愛助の希望である。その通り、安心して出産に臨もうと決意した。
帰宅した鈴子は、愛助の背広を抱きしめ、彼がそこにいるかのように話しかけた。
愛助が病気を治そうと頑張っている時に、自分が落ち込んでいてはいけないと悟った。お腹の子は今動いていて、愛助に会いたいと言っている。絶対に病気を治して、戻ってきてほしい。