某あいこちゃんが夢に出てきて目覚めの良かった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第89回めの放送を見ましたよ。
香川から父・梅吉(柳葉敏郎)がやってきた。
彼は鈴子(趣里)を休ませるためだと言って、愛子の子守りを始めた。ところが、梅吉はろくにオシメも替えられない。鈴子は愛子から解放されて楽になるどころではなく、梅吉の世話まで増えてしまってイライラするのだった。
その夜、愛子を寝かしつけると、鈴子と梅吉はゆっくりと語り合った。鈴子は、昔の梅吉にも今日の梅吉にも散々迷惑をかけられっぱなしであったが、やはり自分にとって大切な父親である。いつしか鈴子の態度もやわらくなっていた。
梅吉は、確かに愛子もかわいいが、自分にとっては鈴子の方がよりかわいく思うのだと話した。それが親というものであるという。
さらに、配偶者を早くに亡くした者同志として鈴子に同情した。梅吉は妻・ツヤ(水川あさみ)を失って何年も経つのに、いまだに彼女のことを思い出し、立ち直れないと話した。鈴子は黙って聞いているだけだったが、その気持ちがよくわかった。
現在の梅吉は香川で写真館をやっているという。持参したカメラで鈴子と愛子の写真を撮ってくれた。鈴子には愛助(水上恒司)の写真を持たせ、親子三人が収まるようにしてくれた。
こうして、一泊だけすると梅吉は香川に帰って行った。
その頃、羽鳥(草彅剛)はピアノの前にじっと座っているばかりだった。鈴子から新曲の依頼を受けたものの、彼女の復帰第一作として最高のものを作ろうとすればするほど、なにも浮かんでこなくなってしまった。ぼんやりとこれまでの鈴子との付き合いを思い返すばかりだった。
出かける用事のあった羽鳥は汽車に乗った。
車内は復員兵や父を亡くしたらしき家族などでごった返し、満員だった。羽鳥は吊り革に掴まりながら人々の様子を見るともなく眺めていた。どの顔も疲れ切っているように見えた。
羽鳥は、今再起しなければならないのは鈴子だけではなく、日本中の人々も同じだとぼんやり考えた。
羽鳥は列車の走行音に合わせて、なんとなく足でリズムをとった。その時、我知らずに鼻歌も歌った。その瞬間、一気に新曲のメロディが浮かんできた。慌ててメモを取ろうとしたが、あいにく紙を持っていなかった。列車が駅に停まると喫茶店に駆け込み、注文を聞きにきた店員を無視して、店の紙ナプキンに一心不乱に楽譜を書きつけた。
書き終えると、羽鳥は大急ぎで鈴子の家に来た。
紙ナプキンの新曲を鈴子に渡し、これからすぐに作詞家を探しに行くと言って慌てて出て行った。
羽鳥によれば、この曲は鈴子の復興ソングだけでなく、日本の復興ソングだという。
まだ歌詞のない曲ではあるが、タイトルだけは「東京ブギウギ」と記されていた。
僕の知識では、終戦直後の流行歌であり人々を勇気づけた曲は『リンゴの唄』(1945年)だと思っていたのですが、本作では完全にスルーしていくようですね。もちろん、『東京ブギウギ』(1947年)も良い曲なんだけど。
なお、鈴子(趣里)と梅吉(柳葉敏郎)の会話の中で、東京の懐かしい人々の消息が語られました。
ふたりが世話になった下宿家の夫婦(ふせえり、隈本晃俊)も、おでん屋台の伝蔵(坂田聡)も行方不明だそうです。
ちなみに、梅吉は鈴子に小夜(富田望生)の章右側は尋ねませんでした。あんなに仲良くしてたのに、薄情者め。