NHK『ブギウギ』第109回

久しぶりに冷たい牛乳を飲んだせいか、それとも寒い部屋に置いていて冷えたエレキギターを持ってお腹にあたったせいか、はたまた何かしらのストレスなのか、原因はよくわからないが昨日はお腹がゴロゴロしていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第109回めの放送を見ましたよ。

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第23週『マミーのマミーや』

鈴子(趣里)が4ヶ月ぶりにアメリカから帰国した。アメリカ行きに最後まで反抗していた愛子(小野美音)はどこかよそよそしい雰囲気だったが、すぐに打ち解けて元通りになった。

1951年(昭和26年)秋、鈴子たちが新居に引っ越して1年が経った。近所の主婦たちともすっかり仲良くなり、彼女らを家に招待しておしゃべりすることもしばしばだった。近所の主婦たちは、ステージ上でもプライベートでも変わらない鈴子の気さくな人柄をすっかり気に入っていた。
またその頃、羽鳥(草彅剛)の通算作曲数が2000曲に達した。それを記念して、自らパーティーを開くとのことだった。鈴子は羽鳥の仕事ぶりに感心すると共に、自分で自分を持ち上げるようなパーティーを開催することに呆れた。しかも、鈴子に余興をやってほしいと一方的に伝えられ、ますます呆れた。

ある日、鈴子へ電報が届いた。香川で暮らしている父・梅吉(柳葉敏郎)が危篤状態になったという。鈴子は愛子を連れて、すぐに香川へ向かった。

梅吉はガンになり、ここ半年ほど闘病生活を行っていた。自分で開いた写真館はたたみ、実弟・松吉(木内義一)、ユキ(沢暉蓮)夫婦の家に身を寄せていた。
梅吉の部屋の前の縁側には鉢が置いてあり、そこでカメが飼われていた。それは、鈴子の弟・六郎(黒崎煌代)が生前かわいがっていたカメである。鈴子はカメが長生きであることと、これまでずっと梅吉が大切に世話をしていたことに驚いた。

部屋に入ると、梅吉は弱りきって布団に横たわっていた。鈴子の姿を認めると「よく来てくれた」と喜んだが、声は弱々しく、体を起こすこともできないほどだった。
鈴子がカメのことを話題にすると、梅吉は六郎の分まで生きているのだろうと答えた。そして、鈴子が来てくれたことが嬉しく、寿命が2時間延びたなどと冗談を言った。あまりにつまらない冗談だったが、鈴子は思わず笑ってしまった。

鈴子は松吉から、香川での梅吉の様子を聞いた。
梅吉は口を開いたら、いつも鈴子の自慢ばかりしていたという。近所の人々からは親バカにすぎると言われていたが、全く気にする様子はなかったという。病気で写真館を閉じてからは、他にすることもなく、ますます娘自慢がひどくなった。
それでも、梅吉の写真の腕は確かで、経営する写真館の評判は良かったという。仕事のない日には、カメラを持って地元を回り、人々の写真を撮り続けていたという。そのせいもあって、娘自慢を除けば、梅吉は人気があったという。

梅吉が撮った写真は全て松吉の家の倉庫にしまってあるという。梅吉がどうしても捨てたくないと言い張ったからだ。鈴子はひとりでそれを見に行った。
そこには多くの写真が残されており、写っている人々はどれも満面の笑みを浮かべていた。鈴子は、梅吉がいつものようにくだらない冗談を言って、相手を笑わせた隙に撮ったのだろうと容易に想像できた。

そんな中、こっそりと隠すようにしまわれていたアルバムを見つけた。それを開いた鈴子は驚いた。水着の女性が艶かしいポーズをとった写真ばかりが集められていたのだ。

その頃、愛子は梅吉の部屋の前のカメで遊んでいた。
すると、部屋の中から梅吉の呻き声が聞こえてきた。それに誘われるように、愛子は梅吉の部屋に入って行った。

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NHK『ブギウギ』第108回

昨日のマクラでは日経平均株価が4万円を超えるかどうかというネタだったんだけれど、心の中では「どうせ肩透かしで株価はむしろ下がるんだろうな」と思っていたんだけれど、あっさり4万円を超えてびっくりした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第108回めの放送を見ましたよ。

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第23週『マミーのマミーや』

愛子(小野美音)の元気がない。鈴子(趣里)が愛子を置いて、4ヶ月間のアメリカ巡業に出かけるのが許せないのだ。鈴子がどんなになだめても、愛子はずっと拗ねたままだった。

そしていよいよアメリカへ出発する日となった。相変わらず愛子は拗ねたままで、鈴子から離れて見送ろうともしなかった。鈴子が根気強く優しく声をかけ、やっと愛子が近寄ってきた。そして、鈴子に抱きついた。
鈴子は、愛子のことが大好きで何よりも大切に思っていると話した。しかし同時に、もっと大きな歌手になりたいと願っており、そのためにはアメリカに行かなければならないと説明した。

それでも愛子は聞き入れなかった。激しく泣き始め、鈴子に抱きついて離そうとしなかった。
出発の時間が迫り、家事手伝い・大野(木野花)によって愛子が強引に引き離され、鈴子は家を出た。愛子の泣き声は家の外まで聞こえ、鈴子は苦しく思いながらも出かけて行った。

鈴子の出発後、愛子はますます元気をなくしていった。

1950年(昭和25年)9月、鈴子がアメリカに旅立って3ヶ月が経った。
かねてより建築中だった鈴子の新しい家が完成した。鈴子は留守だったが、大野と共に愛子はその家へ引っ越した。今までの家よりずいぶんと広く、現代風で素晴らしい家だった。新しい環境になっても、愛子は相変わらず元気がなかった。

そんな時、アメリカの鈴子から手紙が届いた。引っ越しの時期を見越して、新しい家に宛てて書かれたものだった。
手紙には、鈴子が充実した毎日を過ごしていることが記されていた。そして、そのような経験をできるのも愛子が我慢してくれているからだと書かれていた。最後には、アイ・ラブ・ユーと書かれていた。
アイ・ラブ・ユーの意味がわからなかった愛子は、大野に尋ねた。大野は大好きという意味だと教えてやった。

大野は鈴子へ返事を書くことを提案し、愛子も承諾した。
手紙にはアメリカでの鈴子の写真も同封されており、愛子はクレヨンで模写して送った。

ニューヨークの滞在中の鈴子のところへ返事が届いた。鈴子は愛子のお絵描きを見て涙をこぼした。早く日本へ帰って、愛子に会いたいと思った。

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NHK『ブギウギ』第107回

今から15年前の2009年に「日経平均株価が4万円を超えたら結婚するんだ」と自ら死亡フラグを立てたわけだけれど、その時には2050年ころに達成されると予測していた(2021年に再計算したところ2年後ろ倒しになって2052年と予測された)ので完全に油断していたのだが、なんと先週末の終値が39,910.82円に達して4万円目前になってしまい、それなのに僕の結婚計画の方はさっぱり進展がなく、それらしき相手すらも見つかっていないのでどうしたものかと心配してマジ死にそうになっている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第107回めの放送を見ましたよ。

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第23週『マミーのマミーや』

1950年(昭和25年)6月。
タケシ(三浦獠太)が鈴子(趣里)のマネージャーになって2ヶ月が経った。愛子(小野美音)は彼によく懐き、タケシが家に来るとふたりは大はしゃぎした。あまりのやかましさに鈴子は閉口しながらも微笑ましく見ていた。
また、鈴子はもうすぐ新しい家に引っ越すことも決まっていた。愛助(水上恒司)の療養生活のために住み始めた家だったので何かと手狭になってきたのだ。次は、愛子がのびのびと遊べるような広い庭のある家になる。

そんな頃、羽鳥(草彅剛)からアメリカ巡業の話が持ち込まれた。彼の知り合いの興行主からの提案で、4ヶ月かけてアメリカの都市をまわるということである。
鈴子はとても心が惹かれた。ブギの生まれたアメリカには行ってみたいし、自分の歌が本場でどこまで通用するか挑戦したいと思った。
しかし、愛子と離れなければならないことに躊躇した。GHQからの渡航許可は、鈴子とマネージャー・タケシの分しかおりないというのだ。鈴子は回答を保留した。

帰宅した鈴子は、愛子に本当のことは黙っていた。その代わり、家事手伝い・大野(木野花)に相談した。
大野は鈴子のアメリカ行きにきっぱりと反対した。愛子にとって母親は鈴子だけであり、存分に甘えられる相手も鈴子をおいて他にいない。愛子もアメリカに連れて行けるならまだしも、4ヶ月も離れることは看過できないというのだった。

鈴子と大野は愛子にだけは知られないようにしていたにもかかわらず、お調子者のタケシが愛子に漏らしてしまった。
愛子は、鈴子と離れたくないと言って大泣きした。その場はなんとかなだめたものの、それからというものの愛子はことあるごとにアメリカに行かないでくれと言うようになった。
鈴子は困ってしまった。

そうしているうちに、羽鳥からは回答を急かされるようになった。羽鳥も一緒に行くことになっており、楽しみで仕方ないのだ。さまざまな手配も必要であり、もう決断しなければ間に合わないという。

鈴子は、羽鳥と同席していた妻・麻里(市川実和子)を引き合いに、自分の気持ちを話した。麻里のような母親像が正しいを思っている。子どもの世話をして、家を守るのがあるべき姿だ。あたまではそうわかっていても、自分は歌手として成長したいという気持ちを抑えられない。愛子のために普通の人間、普通の母でありたいと思っているのに、娘よりも歌を選ぶことに後ろめたさがあると話した。

それを聞いた麻里は、鈴子の本心を見抜いて、こう話した。
鈴子は、アメリカに行っても行かなくても、いずれにせよ後悔するに違いない。そして、鈴子自身はほぼアメリカ行きに心を決めているのに、あと一押しが足りないと思っている。鈴子と同じような母親の立場にいる人間に背中を押して欲しいと思っているに違いない。だから、自分が鈴子のアメリカ行きを強く推すと述べた。自分が鈴子の母親だったとしたら、絶対にそう言うと話した。

その一言で、鈴子はアメリカ行きを決心した。

帰宅した鈴子は、家事手伝い・大野に報告した。大野は鈴子の決定には従うと言ってくれた。鈴子の留守中、しっかりと愛子や家を守ると約束してくれた。その代わり、愛子には鈴子からしっかり言って聞かせるようにと条件をつけられた。

鈴子は愛子に事情を話した。
離れ離れになるのは寂しいが、外国で歌ってみたいという気持ちが勝ったと説明した。予想通り、愛子は大泣きして駄々をこねた。
鈴子は、娘と歌との間で胸が引き裂かれるような思いだった。

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NHK『ブギウギ』第106回

いよいよ本作も残り1ヶ月になったのでがんばろうと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第106回めの放送を見ましたよ。

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第22週『あ~しんど♪』

鈴子(趣里)のワンマンショー当日の朝を迎えた。
しかし、迎えに来るはずの新人マネージャー・タケシ(三浦獠太)がなかなか現れない。鈴子はひとりで劇場に向かった。

本番前の最後のひととき、鈴子は作曲家・羽鳥善一(草彅剛)、喜劇王・タナケン(生瀬勝久)、旧マネージャー・山下(近藤芳正)など、これまで自分を指導し導いてくれた人々のことを思い出していた。彼らの厳しくも親切で適切なアドバイスのおかげで自分は一人前になり、人気スターになれたのだと思い返していた。

やっとタケシが楽屋に現れた。彼は寝坊して遅刻したという。もうクビになることを覚悟していた。これが最後だと思い、これまでの失敗を謝った。自分が歌や音楽に造詣が深いと言っていたのは嘘だったと白状した。
しかし鈴子は叱らなかった。鈴子はタケシが歌に興味がないことなどとっくに見抜いていたのだ。叱る代わりに、鈴子は微笑みながら、本番をよく見ておけと命じてステージに向かった。

ワンマンショーで披露された新曲『買物ブギ』はまたしても大好評だった。歌詞や踊りの滑稽さに客は大笑いした。
たけしは鈴子の見事なショーはもちろん、客たちが大喜びしている姿を見て感激した。

本番を終えた鈴子から感想を聞かれると、タケシは自分の感動を素直に伝えた。
鈴子は、これこそが歌であり、客を楽しませる仕事の真髄だと説明した。自分は多くの先輩たちから人を楽しませることの面白さと厳しさを教わってきた。今度は自分がタケシにそれを伝える番だと認識していると話した。タケシをクビにはせず、これからは一緒にがんばるつもりだと話した。
タケシも心を入れ替え、一生懸命務めることを誓った。

こうして、鈴子はタケシとともに歩み始めた。
ニンジンが大嫌いだった愛子(小野美音)は、タケシから鼻を摘んで食べれば平気だと教えられ克服した。愛子とタケシは食卓で鼻をつまみながらふざけ合ってニンジンを食べた。鈴子と大野は行儀の悪さに顔をしかめたが、彼の若さと調子の良さによって鈴子の周りはますます賑やかになった。

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NHK『ブギウギ』第105回

新マネージャー・柴本タケシ役の三浦獠太三浦知良三浦りさ子の息子だと知って、なるほどなんとなく面影があるなと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第105回めの放送を見ましたよ。

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第22週『あ~しんど♪』

山下(近藤芳正)は鈴子(趣里)のマネージャーを辞めると突如言い出し、後任として柴本タケシ(三浦獠太)を引き合わせた。彼は山下の甥で、大学を出たものの他に職が見つからなかったという。若くて威勢がよいので、必ず鈴子の役に立つと言って強く推薦した。

鈴子は全く乗り気にならなかった。経験豊かな敏腕マネージャーの山下に対して、タケシは芸能業界の経験がないどころか一度も働いたことがないというのだ。しかも、山下の言葉の端々からは、無職の甥をなんでもよいから仕事に就かせようとしているかのような様子も感じ取られた。それでも山下に押し切られ、鈴子は渋々受け入れることにした。

タケシの初仕事は、鈴子と共に羽鳥(草彅剛)の家に出向き、新曲『買物ブギ』の完成譜面を受け取ることだった。
道中、鈴子はタケシに羽鳥の歌は知っているか、どんな歌が好きかと訪ねた。答えに窮したタケシは、その場をごまかすために音楽ならなんでも好きだと述べた。歌謡曲ばかりか、クラシックや民謡まで広く聞くので、なかなか絞れないと言うのだ。それを鵜呑みにした鈴子は、新マネージャーが音楽に詳しいとは心強いと思った。
羽鳥に引き合わされた際も、タケシは羽鳥の歌は良いものが多く、お気に入りを一つだけ選ぶことなどできないと言った。それを聞いた羽鳥は気をよくした。

新曲を受け取り、いよいよワンマンショーの稽古が始まった。
『買物ブギ』は歌詞もメロディも早口言葉のように複雑で、鈴子は苦戦していた。
ただでさえ歌が上手くいかないところ、新人マネージャーのタケシは稽古場の隅で居眠りをしていた。その様子に鈴子は激怒した。
すぐにでもクビにしたいほどだったが、山下に頼まれた手前、一人になって頭を冷やすことにした。

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NHK『ブギウギ』第104回

誰かに招待されたわけではないし、ましてや自分が挙式する予定もないのだけれど、いつ呼ばれてもいいように結婚式の余興っぽいことの練習をしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第104回めの放送を見ましたよ。

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第22週『あ~しんど♪』

鈴子(趣里)の義母・村山トミ(小雪)が亡くなり、鈴子は大阪での葬儀に参列した。

トミの部下だった坂口(黒田有)や矢崎(三浦誠己)によれば、トミは愛助(水上恒司)が亡くなった後すぐに、彼と同じく結核になったという。しかし、本人から社外には漏らさないよう厳命されていたという。せめて鈴子だけには知らせるべきだと進言しても聞く耳を持たなかったという。自分の病気で鈴子を心配させることを避けたかったようだ。
鈴子は、愛助とそっくりだと思った。愛助も鈴子に気を使わせないよう、どんなに病状が悪化しても平気なふりをしていた。

トミは愛子(小野美音)のことも常に気にかけていたという。トミは結局、愛子が赤ん坊の頃に一度会ったきりである。鈴子はもっと頻繁に会いに来るべきだったと後悔した。鈴子とトミは夫に先立たれ、仕事をしながら女手ひとつで子どもを育ているという共通点もある。彼女から、もっとたくさん話を聞けなかったことも悔やんだ。
トミは、密かに鈴子のレコードを買い集めたり、出演映画を見にいったりしていたという。本人は隠しているつもりだったが、周囲にはバレていた。鈴子は、トミと最後に会った時、自分のファンだと言って彼女が笑っていたのを思い出した。ますますトミに会いたくなった。

葬儀が終わって数日後、羽鳥(草彅剛)が新曲『買物ブギ』を完成させた。いつもは別の作詞家が詞を書くが、今回は羽鳥自身が作詞も行ったという。羽鳥は、大阪出身の自分でなければ書けない詞だと言って自信満々だった。
譜面を見た鈴子は、メロディの難しさはもちろん、奇妙な詞に面くらった。野菜や魚などの品物が早口言葉のように羅列されているのだ。歌いこなすのは難しそうだと思った。

翌日から、鈴子は家で猛特訓を始めた。もうすぐワンマンショーも行われるので、それまでになんとしても身につけないとならないのだ。あまりに複雑な歌なので、少しでも気を抜くと歌詞を忘れてしまう。家事手伝いの大野(木野花)が心配になるほど集中して練習していた。

そうしていると、仕事のない日であるにもかかわらず、マネージャー・山下(近藤芳正)が訪ねてきた。山下は神妙な顔つきでマネージャーを辞めたいと切り出した。
山下は、トミの下でマネージャー人生を始めた。彼女の世話になり、息子・愛助が生まれると彼の子守り役になった。愛助が大人になった時、彼からの紹介で鈴子のマネージャーに就任した。つまり、トミと愛助が鈴子との縁を繋げたのだ。しかし、今やそのふたりがいなくなってしまった。完全に気が抜けてしまい、これ以上仕事を続けることはできないというのだ。
鈴子は当然に彼を引き止めた。新曲の発売とワンマンショーが目前に迫っている。このような大事な時期に辞められては困るのだ。そうでなくても、山下は自分をずっと支えてくれたし、山下以外のマネージャーは考えられないのだ。

しかし、山下の決意は堅かった。自分はもう高齢で、古い人間の時代は終わったと告げた。鈴子はもっと若く、これからの社会を支えていく人と仕事をすべきだと話した。すでに後任も見つけており、すぐにでも働けるという。
どんなに言っても鈴子は山下を引き止めることはできなかった。

しばらくして、山下は後任マネージャー・柴本タケシ(三浦獠太)を連れて鈴子の家にやってきた。門の前でタケシはひどく緊張していた。

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NHK『ブギウギ』第103回

今朝はエアコンのタイマーがなぜか起動せず、部屋が寒くて凍えている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第103回めの放送を見ましたよ。

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第22週『あ~しんど♪』

鈴子(趣里)は、入院したタナケン(生瀬勝久)を見舞った。
彼は過去に舞台装置の下敷きになって足に大怪我をしたことがあるという。その古傷が悪化し、立てなくなってしまったのだ。現在公演中の舞台は全て中止になった。
タナケン本人は、数日休んだ後は公演を再開するつもりだった。しかし、医者によれば少なくとも半年は療養が必要とのことだった。

タナケンは悔しい思いを鈴子に話した。
自分が休んでいる間に世間から忘れ去られるのが不安でたまらない。この業界は厳しい世界であり、自分の代わりなどいくらでもいる。自分はもっと客を笑わせたいと思っているのに、他の誰かに喜劇王の座を奪われ、それが叶わなくなるかもしれない。そんなことは我慢ならないと言うのだ。
医者からは、もう以前のような動きはできないと宣告された。それでも自分は必ず復活して見せると息巻いた。

鈴子はタナケンの気迫に押されて、ほとんど何も言えなかった。それでも、自分もタナケンに負けてはいられないという思いを強くした。

別の日、鈴子は新曲の催促のため羽鳥(草彅剛)の家へ出かけることにした。家事手伝いの大野(木野花)に、帰りに何か買ってくるものはないかと尋ねた。
大野は雇い主にお使いを頼むことなどしたくはなかった。それでもせっかくの鈴子の提案を無下にもできなかった。そこで、負担にならないよう、遠慮がちにネギを買ってきて欲しいと頼んだ。鈴子は喜んで請け負った。
しかし、いったん品物の名を口に出すと、大野は必要なものが次々に思い浮かんでしまった。ネギに加えて、ニンジン、ゴボウ、ジャガイモ、砂糖なども買ってきて欲しいと追加した。これだけの品数では、鈴子がいつも持ち歩いているハンドバッグには入りきらない。そのため、羽鳥の家に向かうにもかかわらず、鈴子は買い物カゴをぶら下げて出発した。

羽鳥の家に着くと、妻・麻里(市川実和子)が出迎えてくれた。買い物カゴを持っている鈴子をもの珍しく見た。

羽鳥の仕事部屋に行くと、羽鳥は息子・カツオ(内藤大帆)にピアノを弾かせ、口やかましく指導していた。カツオは嫌気がさして、宿題があると言って逃げていってしまった。
羽鳥は、まだ若いカツオは伸び盛りだし、純粋に音楽に打ち込める時期なのにもったいないことだと嘆いた。音楽が仕事になってしまうと、依頼主の要望や締切に追われるばかりで、音楽を楽しむどころではないからだ。
鈴子は、羽鳥に無理やりピアノをやらされているカツオに同情しつつも、音楽が仕事になると純粋に楽しめないという羽鳥の意見に同調した。『東京ブギウギ』を超えるレコードを売るように言われて困っているからだ。昔は好きで歌っていればよかっただけなのにと嘆いた。

羽鳥によれば、鈴子の新曲の状況はかんばしくないという。もうブギの新しいアイディアが浮かんでこないのだ。
鈴子は、「ムーンライトブギ」、「サンシャインブギ」などいくつかタイトルを提案したが、いずれもありきたりだと言って羽鳥に却下された。

そのまま結論は出ず、鈴子は帰ることになった。
ところが、話に夢中になっていた鈴子は、羽鳥の家に買い物カゴを忘れて行きそうになった。妻・麻里が慌てて持たせてやり、鈴子と一緒に買い物リストを復唱した。
その様子を見ていた羽鳥は何かを思いつき、仕事部屋に篭って何かを書き始めた。

鈴子が家に帰ると、マネージャー・山下(近藤芳正)が神妙な顔つきで待っていた。村山興業社長で、鈴子の義理の母にあたるトミ(小雪)が結核で亡くなったという。鈴子は、愛子(小野美音)と一緒に葬儀に参列することにした。

大阪の葬儀場に着くと、そこには大勢の記者たちが集まっており、福来スズ子のコメントを取ろうと群がってきた。

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NHK『ブギウギ』第102回

大好きな野菜はニンジンである当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第102回めの放送を見ましたよ。

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第22週『あ~しんど♪』

1950年(昭和25年)春。
大野晶子(木野花)が家事手伝いとして鈴子(趣里)の家に来て半年が経った。家の中はいつもきれいに整えられ、おてんば娘だった愛子(小野美音)もすっかりおとなしくなった。
ただし、愛子の食べ物の好き嫌いだけはなかなかなおらなかった。彼女はニンジンが大嫌いで、いつもそれだけ残していた。鈴子が叱ってもまったく言うことを聞かない。ある朝、食卓に出てきたニンジンを食べ終わるまで遊ぶのは禁止だと言いつけて、鈴子は仕事に出かけた。

今日の鈴子の仕事は、レコード会社での打ち合わせであった。近く、鈴子のワンマンショーが開催されることになっており、その企画会議である。
レコード会社社員・佐原(夙川アトム)はそのワンマンショーで新曲を発表したいという。しかも、その新曲は『東京ブギウギ』を超える大ヒットにしたいと述べた。『東京ブギウギ』が発表されたのは2年前で、その後も『ヘイヘイ・ブギー』や『ジャングル・ブギー』も人気を博した。しかし、後続作はいずれも『東京ブギウギ』ほどの大ヒットにはならなかった。これまでのイメージを変えてでも、次の大ヒット作品を作りたいというのが佐原の希望だった。

鈴子は困惑した。鈴子自身はレコードの売り上げを意識したことは一度もなかった。鈴子は自分の気持ちがよくなることと、客が楽しむことだけを考えて歌ってきた。どうすればヒット曲がでるのかなど、鈴子にはまったく想像がつかないのだ。マネージャー・山下(近藤芳正)は、佐原のいないところで、鈴子のやり方は間違っていないと励ました。今まで通りでよいと言うのだった。

レコード会社での打ち合わせを終えた後、鈴子は茨田りつ子(菊地凛子)に会いに行った。家事手伝い・大野を紹介してくれた礼をまだ言ってなかったからだ。
りつ子は、大野が鈴子に気に入られていると聞いて安堵した。自分が勝手に送り込んだため、ふたりの馬が合わなかったらと心配していたのだ。

りつ子は、大野の経歴について話し始めた。
大野は、りつ子の青森の実家の呉服屋で女中をしていたという。子ども時代のりつ子は、金持ちの娘として甘やかされて育ち、わがまま放題になっていた。親や他の女中たちも手をつけられなくなり、なかば見放されていた。そんな中、大野だけはりつ子に真剣に向き合ってくれたという。女中だという立場にもかかわらず、「わがままばかりでは誰にも相手にされなくなる。いい加減にしろ」と奉公先の娘であるりつ子のことを怒鳴りつけたことがあった。それでりつ子は目が覚めたのだ。
りつ子は15歳で家を離れたため、大野とも疎遠になった。その後、大野は青森で結婚したが、戦争のころに夫と死に別れた。離れて暮らしていた息子を頼って上京したが、その息子も戦死した。残された嫁と孫と3人で暮らしていたが、空襲の時にはぐれてしまい、そのふたりも亡くした。
それからはひとりぼっちで暮らしていた。どこかで女中として働いていたとのことだが、りつ子が再会したときにはすっかり打ちひしがれ、憔悴しきっていた。昔みたいに元気になって欲しいと思い、鈴子に紹介したというのだ。
鈴子なら大野の気持ちがわかるだろうし、苦労を重ねてきた大野だからこそ鈴子の力にもなるというのがりつ子の考えだった。鈴子は、りつ子の見立て通りだと感服した。

その頃、家では大野が愛子のニンジン対策を行っていた。
愛子が食べ残したニンジンを米、砂糖と一緒にすりつぶし、フライパンで焼いてがっぱら餅に仕立てた。その制作過程が面白く、愛子は自分から手伝った。大野によれば、ふつうのがっぱら餅にはニンジンを入れないが、今日だけは特別なおやつにしたという。しかも、ニンジンを食べれば美人になると付け足した。
愛子はおっかなびっくりかじってみると、そのおいしさを気に入った。出来上がったニンジン入りがっぱら餅をすっかり平らげてしまった。

鈴子が帰宅すると、愛子と大野は楽しそうにお絵描きをしていた。朝はニンジンを食べ残してぐずっていた愛子の機嫌がよくなっていて、鈴子は安堵した。また、大変な苦労をして人相が変わるほどだったと聞いた大野も楽しそうにしているのを嬉しく思った。
鈴子が帰宅したのと入れ替わりに、大野は愛子を鈴子に任せて買い物に行くと言う。鈴子は自分もついていくことにした。3人で手を繋いで仲良く歩いていると、近所の人からは大野が本当の祖母であると勘違いされた。鈴子はそれを否定しなかったし、良いことを言われたと思った。幸せな時間だった。

ある朝、マネージャー・山下が雑誌『真相夫人』を携えて、慌ててやってきた。
記事によれば、タナケン(生瀬勝久)が足に大怪我をしたという。

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NHK『ブギウギ』第101回

今日は大好きなReiちゃんさんのライブに行く当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第101回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

茨田りつ子(菊地凛子)から紹介されたと言って、大野晶子(木野花)が家事手伝いとして雇ってくれと押しかけてきた。鈴子(趣里)には寝耳に水で困惑した。なんとか断ろうとしたが、大野は一歩も引こうとしない。そこで、翌日1日だけ試しに働いてもらうことにし、家の鍵を渡して追い返した。

翌朝6時、鈴子は味噌汁のいい匂いで目を覚ました。
なんと、すでに大野が家に来ていて、朝食の準備をすっかり済ませていたのだ。鈴子は驚いたが、彼女の作った朝食は美味しかった。好き嫌いの激しい愛子(小野美音)もおとなしく平らげた。

その日の鈴子のスケジュールは、出演映画の試写会とレコード会社での打ち合わせである。
鈴子がいつものように愛子を連れて出かけようとすると、大野は自分が家で預かると言い張って押し問答になった。鈴子はこれまで愛子と離れて出かけたことがなく不安なのだ。映画の撮影中に楽屋でスタッフに預けたところ怪我をしたこともある。絶対に目を離したくなかった。一方の大野は、茨田りつ子から鈴子の負担を軽くするよう厳命されているのだ。なんとしても愛子を預かると言って譲らなかった。
迎えに来たマネージャー・山下(近藤芳正)が仲裁し、今日だけ大野に任せてみればよいと提案した。ダメだったら、明日からまた元通りに仕事場に連れて行けばよいと言うのだ。
鈴子は渋々、山下の案を受け入れた。愛子は鈴子と離れることを不安に思い泣き出した。鈴子もこの世の別れのように思われたが、断腸の思いで家を出た。

鈴子とタナケン(生瀬勝久)の共演作『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』の試写は好評だった。丁々発止の夫婦喧嘩のシーンでは笑い声が、仲直りしてデュエットするラストシーンでは啜り泣く声があちこちから聞こえてきた。タナケンも満足し、鈴子の演技を褒めた。鈴子は関係者一同に感謝の挨拶をした。

しかし、試写会の間中、鈴子は愛子のことが心配で気が気ではなかった。好き嫌いの多い愛子はきちんと昼ごはんを食べているだろうか。愛子があたりを走り回って怪我をしていないだろうか。大野は歳をとっているので、愛子の動きについていけないかもしれない。何かあったら、大野に任せた自分の責任である。
山下は鈴子の不安な様子を見ていられなくなり、家に帰すことにした。この後のレコード会社との打ち合わせは自分一人で十分だし、終始ソワソワしている鈴子が隣にいると落ち着かず仕事にならないと言うのだ。
山下の提案を受け入れ、鈴子は走って家へ帰った。

家へ着くと、鈴子の心配をよそに愛子はとても良い子にしていた。ちょうど大野と一緒に洗濯物を畳んでいるところだった。朝は離れることをあれほど泣いて嫌がっていた愛子なのに、鈴子が帰ってきても甘えることはなかった。
愛子がイタズラして破った障子も完璧に修繕されていた。大野によれば、愛子も手伝ってくれたという。障子に花柄のつぎあてを貼ったのは愛子の仕事だという。大野によれば愛子は楽しんで作業をしたし、女の子は花が好きだから、もう自分で破ることもないだろうという大野の企みでもあった。

鈴子は、愛子が落ち着いていることと大野の手腕にすっかり安堵した。そして我知らず涙がこぼれた。
大野は、これまで鈴子が一人で頑張ってきたことをねぎらった。そして、これからは自分を頼ってよいのだと優しく話した。
鈴子はすっかり大野を信頼した。こうして大野が正式に雇われることとなった。

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NHK『ブギウギ』第100回

キリ番の100に到達した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第100回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

鈴子(趣里)は羽鳥(草彅剛)にブギの新曲を作るよう依頼した。茨田りつ子(菊地凛子)から、歌を捨てて映画に出演している鈴子は次第に世間から忘れられ、ブギの人気もすぐに終わると言われたことを見返してやりたいからだ。鈴子とりつ子の対立を面白がり、羽鳥はそれを請け負った。

その頃、りつ子はりつ子で鈴子とやり合ったことを後悔していた。特に、ふたりの言い争いの声で幼い愛子(小野美音)が泣き出してしまった光景が頭から離れなかった。
そこへ、雑誌記者・鮫島(みのすけ)が顔を出した。鈴子とりつ子の対談記事は話題を呼び、掲載号がよく売れているという。続報を出したいので、言い足りないことがあればぜひ聞きたいというのだ。

しかし、りつ子は鮫島に愛想を尽かしていた。自分も鈴子も鮫島に煽られて、扇動的な記事の発表に利用されただけだと気づいたからだ。りつ子は冷淡に彼を追い返そうとした。
鮫島は、りつ子や鈴子がスターでいられるのは、自分たちが話題にしているからだと捨て台詞を吐いた。記事にされなくなったら人気もなくなり、歌手生命が絶たれると脅した。
それでもりつ子は毅然とした態度を貫いた。自分は人気が欲しくて歌っているわけではなく、たとえ客が一人になっても歌い続けると胸を張って答えた。その一人に対して一生忘れられない歌を聞かせてやるつもりだと不敵な笑みを浮かべながら答えた。
その剣幕に、鮫島は逃げていった。

ある晩、鈴子は愛子の世話に難儀していた。食べ物の好き嫌いを言い出すようになり、うまく食事を摂らせることができなかった。家の中も愛子のおもちゃで溢れかえり、掃除をする余裕もなかった。

そんな時、先触れもなく鈴子が訪ねてきた。
りつ子は、鈴子にひどいことを言ってしまったことを謝りたいのだという。居間にあがり愛子の顔を見ると、いつも険しいりつ子の表情がやわらいだ。
りつ子は、最近の自分はおかしかったと反省を述べた。戦争が終わって自由に歌えるようになったはずなのに、自分の歌が客に届いていないように思えて気分が晴れないのだという。歌手は歌を聞かせる仕事なのに、新聞や雑誌では歌手の色恋沙汰やトラブルばかりが報じられ、歌そのものが話題に上がることは少ない。そんな矢先、鈴子までもが映画に出ると聞いてカッとなったのだと説明した。

鈴子は自分の立場を話した。
芝居は芝居で楽しいと思っているが、歌を捨てたつもりは全くない。一人で愛子を育てるためには、どんな仕事も引き受けなければならないのだと説明した。誰にも頼らずに育てなければならず、不安もあるが仕方のないことだと話した。それを聞いて、りつ子は鈴子の境遇を理解した。
こうしてふたりは仲直りした。

その直後、羽鳥は新曲「ヘイヘイブギー」を完成させた。テーマは陽気な恋であり、恋をすれば誰もがおかしくなっている様子を表した歌だという。
鈴子はその曲を気に入った。羽鳥は何も言わなかったし、彼に尋ねもしなかったが、鈴子はその歌に隠されたテーマを一目で見抜いた。恋の歌であると同時に、鈴子と愛子のことが歌われていた。

ある日、大野晶子(木野花)と名乗る東北訛りの老婆が鈴子の家を訪ねてきた。彼女はりつ子と同郷の縁があるという。そして、りつ子の紹介状を携え、鈴子の家で家政婦として働くよう頼まれたのだと話した。
鈴子は、一人で愛子を育てるのを大変だと話したことをりつ子が気にかけてくれたのだと理解した。しかし、事前の相談もなく送り込まれてきたことで困惑してしまった。

大野は、りつ子からの頼みは必ず成し遂げなければならず、鈴子が雇ってくれるまで帰らないと言い張った。試しに一日だけでも働かせてくれと頼むと、鈴子は渋々了承した。喜んだ大野は、早速部屋の片付けを始めようとした。鈴子はそれを押し留め、試用期間の一日は翌日だと言い聞かせて帰し、なんとかその日はやり過ごすことができた。

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