NHK『ゲゲゲの女房』第128回

 昨日、水木しげるの『敗走記』を読んでみたくなり、押熊の某書店へ探しに行ったのだが売っておらず、おいおいドラマがこれだけ人気なのだからチャンスを逃すなよと小さく突っ込んだ当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第128回めの放送を見ましたよ。

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「おかあちゃんの家出」

 締切りがいくつも重なり、ろくに寝ることもできず、疲労困憊している茂(向井理)。それに加えて、夕食中も黙って新聞を読むばかりである。家族は不満に思いながらも、仕事の状況を考えれば仕方ないと納得するしかない。
 布美枝(松下奈緒)は茂の身体を気遣い、あまり無理はしないように優しく語りかける。それに対して茂はイライラとしながら、仕事の事に口出しをするなと言い返す。布美枝の態度が一気に硬化した。

 茂は、次の日曜日に富士山の別荘に一家で出かけると、急に宣言した。子供たちですら、あまりに突然ことで、他に用事があるなどと言って賛成しかねている。
 布美枝は不機嫌な態度で食器を片付け始め、自分は絶対に行かないと反抗した。自分に従わないことに腹を立て、怒鳴りつける茂。
 いよいよ感情的になった布美枝は、自分の話を全く聞いてくれないのが辛いと不満をさらけ出した。そして、そのまま家を飛び出してしまった。

 同居している茂の両親は、たまたま夜遅くまで芝居を見に行っており不在だった。泣き叫ぶ喜子(松本春姫)のことを、藍子(菊池和澄)が気丈に面倒をみた。
 茂は子供たちすら放っておいて、すぐに仕事に戻らねばならなかった。仕事をしながら、ちらりと布美枝のことが頭をよぎるが、彼は自分の何が悪いのか全く理解できないでいた。

 布美枝は、気づけば深大寺そばの社に座り込んでいた。貧乏だけれど笑顔の溢れていた頃を思い出し、今はいったい何が変わってしまったのかと考えこむのだった。
 我に返った布美枝は、おずおずと帰宅した。子供たちは落ち着いて帰りを待っていた。その様子を見て、頼もしく思う布美枝であった。

 台所の様子を点検していると、茂が姿を表した。目が合うふたりだったが、茂は即座に仕事に呼び戻された。何も言葉を交わすことなく、茂は去っていった。

 翌日、布美枝はふたりの子供を連れて、昼から夕まで長時間買い物に出た。帰宅すると、家では大騒ぎになっていた。茂は布美枝が子供たちを連れて家を出ていったのだと誤解し、大慌てしていたという。無事に帰って来たことを確認すると、茂はバツが悪そうな素振りを見せながらも、特に何も言わずに仕事に戻ってしまった。

 勘のよい絹代(竹下景子)が、夫婦に何かあったのかと無遠慮に聞くが、布美枝は何も無いとごまかすのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第127回

 実はほんのちょっとだけ、本当に少しだけ「まとめ記事もめんどくさくなってきな」と思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第127回めの放送を見ましたよ。

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「おかあちゃんの家出」

 貴司(星野源)から大きな荷物が届いた。藁で手作りした鬼太郎の家の模型だった。いつも鬼太郎の人形で遊んでいる喜子(松本春姫)は大喜びした。茂(向井理)によれば、喜子は想像力が豊かな子供である。想像力を働かせて人形遊びをしているし、おもちゃの電話で貴司にお礼を伝える芝居をしたりしている。
 幼稚園で描いた茂の似顔絵には、本来は生えていない髭が描きこまれていた。絵は自由に描くのが良いと考える茂は、褒めてやるのだった。

 一方で布美枝(松下奈緒)は、茂が忙しすぎて喜子とろくに顔を合わせないために、喜子が茂の顔を思い出せなくなっているのではないかと心配するのだった。

 喜子だけではなく、布美枝自身も茂とのすれ違い生活が顕著になってきていた。布美枝が夜食やお茶を仕事場に持って行こうとすると、出前の方が手軽だ、アシスタントが茶を準備するなどと言って茂は手伝いを断るようになっていた。水木プロダクションの役員に名を連ねている、茂の兄弟らが集まって何やら経営上の深刻な議論を行っているが、布美枝には何も教えてくれなかった。

 そんな時、元『ゼタ』の編集員で深沢(村上弘明)の秘書でもあった加納(桜田聖子)が、他誌の記者として茂の取材に来た。事情通の彼女から、布美枝は水木プロダクションの危機について教えてもらった。ある出版社が倒産し、滞納されていた原稿料を受け取れなくなったばかりか、漫画映画作成に投資していた資金も回収できないという。何も知らされていなかった布美枝は動揺するのだった。

 茂はますます仕事が忙しくなっており、周囲の人々に対しても余裕のない対応をし始めていた。
 鬼太郎のおもちゃに不具合が発生したのだが、購入者は製造元と連絡が取れないという。そのため、水木プロダクションに大量の手紙が届き始めている。しかし茂は、業者が勝手に作っているのだから、自分には関係無いことだと全く取り合わない。
 出版社倒産による損失のことについて、布美枝は茂に慰めの言葉を掛ける。しかし、茂は仕事の事に口出しをするなと頭ごなしに拒絶して、ぷいと出ていってしまった。

 話をする時間が全く取れないので、布美枝は手紙に自分の気持を記して茂の机に置いた。家族なのだから自分も仕事を手伝いたい。むしろ、そうできないことが寂しい。茂の過労が心配でならない。無理はしないで欲しい、など。

 しかし、茂はその手紙を一瞥すると、ゴミ箱に捨ててしまった。翌朝、仕事部屋の掃除に来た布美枝は無造作に捨てられた手紙を発見してしまった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第126回

 中高生の時によく遊んだTRPG『RuneQuest』最新版のPDFがダウンロード販売されていることを知って買おうと思ったが、誰と遊べばいいんだ?と考え込んでしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第126回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 藍子(菊池和澄)は元気に登校した。クラス内にはまだ少しだけシコリが残っていたが、藍子は祖母(竹下景子)の教え通りに気を強く持って立ち向かうのだった。

 布美枝(松下奈緒)は、絹代が藍子を励ましたと知って礼を言い、自分の至らなさを反省するのだった。絹代は、子供は自分の両親には悩みを言いにくいものだ。その代役として祖父母が一緒に暮らしているのだと冗談めかし、深刻に受け取らないようにした。

 『ゼタ』編集長の深沢深沢(村上弘明)が、珍しく自分で原稿を取りに来た。受け取った『近藤勇: 星をつかみそこねる男』のタイトルにあるように、深沢は自分も星をつかみ損ねていると自嘲するのだった。『ゼタ』の経営はまったく良い所がなく、茂(向井理)をはじめ、ほとんど全ての作家に原稿料を支払えない状態にあるという。自分のやり方は時代錯誤であり、そろそろ廃刊すべきだと考え始めていた。

 茂は、自分の戦争体験を綴る『総員玉砕せよ!』の構想を話した。惨めで滑稽な兵隊の日常を描くことで、戦争のバカバカしさを浮かび上がらせたいという。それも戦争。土木作業中にケガで死ぬ、マラリアで死ぬ、川に落ちてワニに食われる。
 「もっと生きたい」という当然の欲求が満たされない状況は不条理である。その思いを全てぶつけて描くと力強く宣言した。

 茂の熱い思いに心打たれた深沢は、自分も『ゼタ』を継続することを宣言する。商業的には失敗し、いろいろな人に迷惑をかけている。しかし、茂のように全身全霊をかけ、骨太な漫画を描く人材がどこかに埋れているかもしれない。それを発掘するという自らの使命を改めて思い知ったのだ。

 『総員玉砕せよ!』は翌年出版され、大きな反響を呼んだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第125回

 昨日は、とても刺激的な研究会に参加させていただき、関係者の皆様どうもありがとうございましたと、ここでこっそりお礼を述べる当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第125回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 ラバウルの玉砕は大本営に報告され、国民の士気高揚の道具として喧伝された。玉砕命令に逆らった三井(辻萬長)らは山に篭ってゲリラ作戦を展開していたが、公式には生きているはずのない兵士と位置づけられる。後に他の守備隊に合流したが、辻褄を合わせるために次回の戦闘で真っ先に突撃して死ぬよう求められた。しかし、幸いなことに終戦まで大きな戦闘も発生せず、三井は生きて帰ってくることができた。

 茂が自分の部隊が全滅して逃げ帰った時も、敵前逃亡だとなじられ、戦って死ぬように命じられた。当時の日本軍は「生きていることが罪」という異常な状況にあったのだ。多くの仲間達はそれを素直に受け入れて死んでいったが、茂や三井は今でもそれを納得できないでいる。
 最近、茂は死んでいった戦友たちの夢を頻繁に見る。そして、彼らは決まって自分たちのことを漫画に描いて欲しいと訴えるのだという。

 藍子(菊池和澄)は祖母・絹代(竹下景子)に自分の悩みを打ち明けた。
 赤木(藤崎花音)を鬼太郎に登場させることはできないと告げると、彼女は「約束したはずだ」といって激しく怒りだした。藍子は「聞いてみる」と言ったにすぎず、約束はしていないと言い返すが、水掛け論になった。クラスメイトたちも赤木の味方をし、藍子は孤立してしまった。誕生会に行くこともできず、母から預かったプレゼントを捨ててしまおうとしていた時に、絹代に出くわしたのだという。

 絹代は、他人がなんと言おうと自分が間違っていなければそれでいい、と励ました。自分は戦時中にも、竹槍やバケツリレーの訓練には一度も参加しなかった。そんなもので戦争に勝てるはずがないのは自明で、バカバカしかったからだと体験談を話した。もちろん隣組の組長が怒鳴りこんできたが、自分の考えは間違っていないと言って追い返した。藍子もそのように振舞えと言うのだ。

 ただし、絹代はひとつだけ藍子の落ち度を指摘した。嘘をつくことは悪い。街で時間を潰し、プレゼントを捨てることで誕生会に行った振りをし、布美枝(松下奈緒)に嘘をつくことは許されることではない。布美枝に告白し、プレゼントを返すことが必要であると諭した。
 藍子は、祖母の言い分に納得し、元気も取り戻した。

 話しを聞いた布美枝は、自分がもっと親身になって藍子の気持ちに耳を傾ければ良かったと反省するのであった。藍子は誕生会の朝にプレゼントを用意しておらず、それは誕生会には行かないというサインだったのだ。強引にプレゼントを持たせて送り出したのは布美枝だった。
 一方の藍子も、自分の歯切れの悪さを反省した。赤木を鬼太郎に出演させるなど、無理なことは分かっていたのだから、始めからはっきりと断れば良かった。また、布美枝に嘘をつく寸前であったことも謝った。

 それに加えて、学校でからかわれても言い返す度胸がないことを反省した。布美枝はそういうところは自分と一緒だと言って、娘の負担を少しだけ軽くしてやろうとした。布美枝は小さい頃から背が高く、「電信柱」とからかわれるがままだったのだ。

 さらに布美枝は、茂から聞いた話をそのまま藍子に伝えた。
 茂は戦争で左腕をなくしたが、そのおかげで後方部隊に配属され、生きて帰ってこれた。腕をなくしたことを悲観しても生きていけない。弱みは誰にでもあるが、工夫して人並み以上に仕事ができるようにしている。
 くよくよせずに前に進むことが重要だという茂の言葉でもって、藍子を励ました。

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NHK『ゲゲゲの女房』第124回

 いまだに、ふと気を抜くと「♪ 口笛吹いて~ 空き地へ行った~ 知らない子がやって来て~ 遊ばないかと笑って言った~」などと歌ってしまう当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第124回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 今日の放課後は、藍子(菊池和澄)の友達・赤木(藤崎花音)の誕生会が開かれる。藍子は、彼女から宿題を見せてもらった見返りに、赤木をテレビの鬼太郎に出演させるよう茂(向井理)に頼むよう言われている。茂に仕事の口出しをしてはいけないことになっており、藍子は茂と赤木の板挟みに悩んでいた。

 布美枝(松下奈緒)は、またしても藍子の気持ちを分かってやれない。藍子が学校のない南の島で暮らしたいと入ったことを、彼女流の冗談だと受け取った。誕生会に行きたくないと言うのは、プレゼントとして編んでいたリリヤンが間に合わなかったからだと、勝手に解釈する。
 布美枝は、密かに作っておいた端布の巾着袋をきれいに包装し、誕生日プレゼントとして藍子に持たせた。

 学校が終わったが、藍子は誕生会に行かないつもりだった。母に渡されたプレゼントを家に持って帰るわけにもいかず、商店街のゴミ置き場にこっそり捨てようとした。偶然、祖母の絹代(竹下景子)が通りがかり、声をかけた。藍子は緊張の糸が切れ、商店街の真ん中であることも顧みず、絹代に抱きついて泣き出すのだった。

 村井家には、茂の戦友だった三井(辻萬長)が、笹岡(井之上隆志)を伴ってやって来た。笹岡は、病気と負傷で弱っていた茂を熱心に看てくれた軍医である。終戦以来会っていなかったが、笹岡は『敗走記』を読んだときに、水木しげるの正体に気づいていたという。笹岡も茂も、飄々として型にはまらない落ちこぼれ軍人同士で、昔から気が合ったという。

 楽しい思い出話は、「楽園」の話題になった。「楽園」とは南方の傷病兵収容所のそばにあった、現地民の村である。茂は笑顔というノンバーバル・コミュニケーションだけで、そこの住民達と仲良くなった。彼らの親切な態度や、自然の中でゆったりと暮らしている様子に大きな憧れを抱いたという。それに対して、日本軍の上官は、茂が勝手に現地民と交流していることに激怒した。あやうく営倉に入れられそうになったところを、軍医の笹岡が必死の思いでとりなしてくれた。笹岡に感謝しつつも、茂はしゃちほこばった日本社会の生き方よりも、現地民の人間らしい生き方への憧憬を深める結果となった。
 そのエピソードを聞いて、布美枝は気持ちが少し分かった。

 もちろん、戦地での暮らしは楽しいことだけではなかった。茂らの所属していた部隊は、敵軍に包囲され、終戦の4ヶ月前に玉砕した。新しく赴任してきた隊長は、若く血気盛んな人物で、潔く散ることこそ帝国軍人の美学だと信じていたのだ。村井家に集まった戦友達は、当時の人々の考え方のバカバカしさを改めて認識するのだった。

 茂は、大怪我を負っていたことで後方部隊に配属され、難を逃れた。人生では何が幸いするかわからないということも、改めて思うのであった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第123回

 「イトーさん、どうもお世話になっております。あれはいい仕事ですね。」と突然挨拶をする当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第123回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 布美枝(松下奈緒)は、『敗走記』を初めて読んだ。それは、茂(向井理)が2年前に雑誌に発表したもので、自身の戦争体験に基づくものだ。見せながら、茂はラバウル島で経験した悲惨な体験を話して聞かせる。

 本隊から100km離れてた前線に、茂らは10人の小隊で送り込まれた。早朝、茂が歩哨に立っている時に突如敵に襲われ、味方は全滅した。茂は装備を全て捨て、生きるか死ぬかの逃避行を始めた。
 途中、崖にぶら下がって、敵をやり過ごすことがあった。手もしびれ、死を覚悟し、心のなかで両親に別れの言葉を送った。その夜、母・絹代(竹下景子)は茂が敵から逃げて崖にぶら下がっている夢を見た。茂の窮地だと知った絹代は、あの世に行ってしまわないように、夫(風間杜夫)と一緒に寝室から大声で茂の名を呼び続けた。その声は茂にも届き、力が蘇って、窮地を脱することができた。とても不思議な出来事であるが、復員後、双方の話を突き合わせると、間違いなくそのようなことがあったのだ。

 その後、何日もジャングルの中を抜けて、やっと本隊にまで帰ることができた。しかし、本隊では茂の帰還は歓迎されなかった。命より大切な銃を捨て、敵前逃亡をしたことは恥ずるべき行為だというのだ。次の戦闘では、戦闘で突撃するよう命じられた。あまりの理不尽さと疲労により、茂はその場で倒れてしまった。
 そして、ジャングルで大量の蚊に刺されたこともあってか、マラリアにかかって寝こんでしまった。高熱で寝ているときに空襲に遭い、流れ弾で茂は左腕を失うこととなった。

 一通り、自分の体験を話して聞かせると、茂は引き出しから未発表の漫画作品を取り出して、布美枝に見せた。それは、復員直後にどこに発表するわけでもなく、茂自身の記録として描いた戦争体験漫画であった。
 貸本漫画時代に、茂は戦争活劇漫画を描いていた。しかし、いつかは自分の体験に基づいた「本物の戦争」を漫画にしたいと考えている。先日、ラバウル島を再訪したのもそのための取材の一環だったと打ち明ける。松川(杉本有美)から『敗走記』を大急ぎで仕上げて欲しいと言われたのを断ったのは、全身全霊をかけて描くためには十分な余裕が必要だからである。今は、他の仕事が忙しくて、自分の納得する『敗走記』が描けないのだ。

 ある朝、布美枝は家に客を迎える準備に忙しかった。茂の戦友の三井(辻萬長)が尋ねてくるのだ。彼は宝塚の遊園地の関係者で、1年前に茂が仕事で行った際にばったり再会した。その後、一緒にラバウルに行くなど、親しく付き合っている。ただし、調布の村井家に来るのは初めてのことである。

 ラバウルの話が出たことで、藍子(菊池和澄)は自分もそこで暮らしたいと言い始めた。学校も試験もない生活はきっと素晴らしいものだろうと言うのだ。藍子の心境の変化を布美枝は不思議に思うのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第122回

 放送直前まで某所でガンダム話の添削をしていたので、あぶなく見逃すところだった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第122回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 藍子(菊池和澄)は明るくなった。小学校で新たに赤木(藤崎花音)という友達ができ、彼女の誕生会に招待されたのがうれしいのだ。その様子を見て、布美枝(松下奈緒)も安心する。

 喜子(松本春姫)は、茂(向井理)に左腕がないことを意識し始め、布美枝にそのことを聞く。戦争の話を聞かせるのはまだ早いと考えた布美枝は、大怪我をして失ったと言うに留めた。

 翌日、担当編集者の松川(杉本有美)がやって来た。美人を前にして、アシスタントの菅井(柄本佑)と茂の父(風間杜夫)は舞い上がる。

 松川は、『敗走記』を夏中に仕上げて欲しいと頼みに来た。しかし、茂はいつになく厳しい表情と口調で、そんなに早くは仕上げられないと断るのだった。心に何かを抱えているのであろう茂に対して、周囲はそれ以上何も言えなくなってしまった。

 小学校では、宿題をやり忘れた藍子の窮地を赤木が助けた。自分の宿題を見せて、書き写させてくれたのだ。しかし赤木は、宿題の引き換えとして、テレビの鬼太郎に自分をモデルとした人物を登場させて欲しいと頼んだ。茂は家族から仕事の指図を受けることを何よりも嫌う。藍子はそのことを懸命に伝えようとするが、赤木は決まったも同然だと思って立ち去ってしまった。

 困惑したまま藍子は帰宅した。宿題のカンニングを伏せたまま、友達をテレビに出せるかどうか布美枝に相談した。藍子の板挟みに気づいていない布美枝は、そんなことは茂が許さないだろうと、のんきで通りいっぺんの返事をするのみであった。

 夜、仕事部屋では、茂が一人で敗走記を読んでいた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第121回

 某所で見た「おかえり。おつかれ。」というフレーズに癒されている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第121回めの放送を見ましたよ。

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「戦争と楽園」

 真夏。妖怪物が得意な水木プロダクションは、夏の怪奇特集の注文を大量に受けて忙しい。

 しかし、茂(向井理)は南洋諸島文化にかぶれてしまって、仕事どころではなくなっていた。戦友達と一緒にラバウルを再訪し、戦時中に仲良くなった現地民との再開も果たした。その時に持ち帰ってきた民芸品やビデオ、音楽に心奪われていて、仕事が手に付かないのだ。
 周囲の迷惑も顧みず、ついには移住しようと言い出す始末。茂と気の合う喜子(松本春姫)は大喜びするが、布美枝(松下奈緒)と藍子(菊池和澄)は近代的ではない暮らしを受け入れることができず、猛反対する。

 喜子が一人で遊んでいると、気分転換に出かけようとした茂が声をかけて、かまってくれた。その時、喜子は初めて自分の父親が片腕で、他の人とは違うのだということを意識し始めるのだった。

 小学校では、藍子は相変わらずからかわれている。内気な藍子はじっと我慢するしかない。そんな彼女を、勉強ができてスポーツも万能、身なりもいい同級生・赤木(藤崎花音)が助けてくれた。今までそれほど仲が良かったわけではなかったのに、急に親しくしてくれたり、誕生会に呼んでくれることになったりした。藍子は嬉しく思いつつも、急に態度が変わったことを不思議に思う。

 最近、村井家は近所での評判があまりよくない。
 一つには、茂が大音量で聞いている南洋諸島の民族音楽のせいである。日本人にはまだ馴染みのない野性的なリズムであり、近所の人々は漏れ聞こえてくる音から、茂が新興宗教でも始めたのではないかと疑っているのだった。

 もう一つには、茂の母・絹代(竹下景子)が近隣住民との間にトラブルを起こしていることである。他の家がたまたま家の前に置いておいた荷物をゴミだとみなして勝手に捨ててしまったり、よその子供を激しく叱ったりするのである。
 すぐに怒るので、家族から「イカル」というあだ名を付けられるほど、激しやすいのだ。
 今日は、町内会の婦人役員(中村由起子)が絹代に老人クラブに入会するよう勧誘に来た。それを気に入らないと思う絹代は、頭ごなしに激しい口調で拒絶する。布美枝が間に入って取りなそうとするが、双方一歩も譲らず、完全に仲違いしてしまった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第120回

 数覚ゲームは今夜が締切りですよと最後の宣伝をする当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第120回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪いそがし」

 貴司(星野源)と話をする中で、布美枝は(松下奈緒)は忙しさを口実に、自分自身が家族にきちんと向きあっていなかったのだと悟った。今まで気付かなかったことを恥じ入る。
 貴司は、自分も仕事に追われて、家族と心が離れていると反省した。自分もしっかりと家族に向き合うと宣言し、布美枝にも「妖怪いそがし」に負けないようにと励ました。そして彼は安来に帰っていった。

 布美枝は、寝起きの茂(向井理)を捕まえ、遠慮することなく藍子(菊池和澄)のことを相談した。彼女が高尾山に登ったという捏造作文の内容を現実のものにしてやりたいと願い出た。つまり、本当に家族で高尾山へ行こうと言うのだ。

 茂は、もっと高い山が良い、富士山ではどうか、と突拍子も無いことを言い出す。しかし、よく話を聞いてみれば、彼は富士山麓に別荘を買う話を進めているという。茂は素知らぬふりをしていたが、最初に藍子の作文の話を聞いたときから思うところがあったのだ。自分の少年時代を思い出すと、自然に囲まれて遊んでいた。娘たちにも同じ経験をさせたいと思い、黙って準備をしていたのだ。
 茂の家族に対する愛情を再認識し、布美枝は嬉しかった。

 初夏のある日、布美枝の運転で富士山の別荘へ出かけた。話に聞いていたのとは違って、オンボロで汚れ放題のみすぼらしい山小屋だった。しかし、眺望と周囲の自然環境は最高だった。一家で協力して掃除をしたところ、なかなか雰囲気のある山荘になった。

 ただし、藍子には気がかりなことがあった。この別荘には電気も電話も、漫画道具もない。いつも締切りに追われている茂の仕事に支障が出るのではないかと心配でならないのだった。
 ところが、布美枝も茂も、彼女の心配を笑い飛ばす。布美枝の話によれば、茂に取って本当に大事なのは家族だ。始めから仕事はしないつもりで来ているのだから、心配の必要はないと説明してやる。茂本人は、虫も動物も仕事はしない。生きるためには、本当は仕事は必要ないのだ、と話してやった。

 そして、茂は「妖怪いそがし」に取り憑かれていて、無理やり忙しく働かされていたのだと藍子に説明してやった。

 藍子は自分のわだかまりを素直に話す気になった。茂が忙しいのは、空想の世界に生きる妖怪の仕業ではなく、現実世界に存在する雑誌編集者たちが急き立てるからだ。学校の友達も、妖怪など存在しない、水木しげるは嘘つきだと言っていると、最近の悩みを打ち明けた。茂は妖怪を本当に見たことがあるのか、と。

 茂は、妖怪を自分の目で見たことは一度もないと正直に告白した。しかし、気配を感じたことは何度もあると逸話を聞かせた。たとえば、戦地のジャングルでどんなに頑張っても前に進めなくなってしまったことがある。あとから思えば、あそこには「ぬりかべ」が居たに違いない。
 妖怪は目には見えない、しかし、気配は感じる。昔から、多くの人々が同じ様な経験をし、それを言い伝えで来た。自分の使命は、それを漫画にして分かりやすく伝えていくのだと、妖怪漫画を描く理由を話した。

 まだ半信半疑の藍子であったが、暗い山荘で夜が怖くなるから、もう妖怪の話はやめて欲しいと茂に伝える。茂はここぞとばかりに、藍子が怖いと思うのは妖怪の存在を信じているからだと指摘する。そこで初めて、藍子は素直に妖怪を受け入れることができた。

 家族に明るい笑顔が戻った。

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NHK『ゲゲゲの女房』第119回

 昨夜、21歳Gカップの天然物おっぱいに千円札をチップとして挟む(悩殺写真)という、生まれて初めての経験をした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第119回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪いそがし」

 布美枝(松下奈緒)の実弟であり、父(大杉漣)の反対を押し切ってミシン店に婿入りした貴司(星野源)が村井家に来た。新型ミシンの研修で上京したのだ。
 人当たりがよく手先も器用な貴司は、いつも気難しい茂の母(竹下景子)にもすぐに気に入られた。布美枝の娘たちをデパートに連れて行き、好きなものを買ってやるという約束もした。

 布美枝と貴司は、ひさしぶりにゆっくりと話をすることができた。夜遅くまで仕事をして家族と団らんする暇もない茂(向井理)について、布美枝は「妖怪いそがし」に取り憑かれているのだと説明する。この妖怪に取り憑かれると、休む間もなく働き続けるハメになるという。貴司は、大真面目に妖怪の話をする布美枝のことがおかしくて堪らなかった。
 しかし、明るい話題ばかりではなかった。近頃は大量生産による既製服が安く手に入るようになり、ミシン業界は景気が良くないという。

 それに加えて、貴司は茂が家族と一緒の時間を持たないことを真剣に心配していた。男は仕事に没頭すると、とかく家族との溝に気づきにくいものだ。それがエスカレートすると、家族の方も男のことが理解できなくなり、互いの理解が阻害されるものだと語る。
 まるで、自分に言い聞かせているかのような貴司の口調に、布美枝は貴司の家庭にも問題があるのではないかと心配し始めた。そのことを聞こうとすると、貴司は話をはぐらかすのだった。

 翌日、約束通り貴司が子供たちを連れてデパートに出かけた。

 胸が苦しいと訴える義母・絹代(竹下景子)のことを心配した布美枝は留守番することになった。自分の世話を焼こうとする布美枝を、絹代は押しとどめる。自分のことは自分たち夫婦で何とかする、布美枝の役目は夫の両親の世話をすることではなく、夫本人を助けることである。そちらに全精力を傾けろというのだ。
 義母のことを案じる布美枝であったが、それには従うほかなかった。

 子供たちは、自分の欲しかったものを買ってもらい、大喜びで帰って来た。藍子(菊池和澄)などは、茂と出かけた時と違って、いろんな売り場をゆっくりと見ることができて大満足だったようだ。

 しかし、貴司は藍子について気になることがあったという。鬼太郎を歌っている子供たちと出くわした時、藍子がとっさに身を隠したと報告した。
 そこで初めて布美枝は、藍子が水木しげるのことでふさぎ込んでいるのではないかと思い至った。自分は水木しげるの家族であることを誇りに思っていたが、藍子はそうではなかったのだ。家族で楽しく高尾山に行ったという捏造作文も、彼女自身の夢を書き綴ったものかもしれない。
 家族の現状に、藍子は傷ついていたのだ。

 布美枝は、「妖怪いそがし」に取り憑かれていたのは茂ではなく、自分の方だったと思った。心の余裕をなくし、家族の事をきちんとわかってやれていなかったと反省するのだった。

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