ほとんど誰からも省みられていないことを知っているが、昨年の12月に「2007年度 alm-ore お薦め本ベスト10」という記事を書いた。
そこで、3位に取り上げている『獄窓記』(山本譲司)が文庫になって販売されているのを本屋の棚を眺めていて知った。
文庫化に当たっての著者のあとがきと、精神医学者のなんとかさんの解説が付いたようだ。
なお、前回の紹介文はこんな感じ。
元衆議院議員の著者は、秘書給与の不正利用によって起訴され実刑判決を受ける。つまり、刑務所に入れられた。
腹黒い政治家なら、自分の罪の弁解するために本を書いたりテレビに出たり、講演会をしたりするかもしれない。しかし、山本氏は自分の罪を潔く認め、しっかり反省の弁を述べている。実際、釈放後も選挙に出るでもなく、政治生命を自ら絶っている。そういう意味で、本書は色眼鏡で見る必要は一切無い。
しかし、本書は単なる懺悔書に終わっているわけではない。彼は刑務所の中で障害者ばかりが収容されている部署の担当を任される。その中で、「シャバではどこにも雇ってもらえない。刑務所でしか生活できない」と訴える人々の存在を知ることになる。この経験を元に、彼は福祉政策のためのボランティアとなっていく。
両方ハードカバーで重たいが、ぜひ続編の「累犯障害者」とセットで読みたい。
ハードカバーなのがネックだったのだが、今回の文庫化で安くなったし、持ち運びもラクチンになったのでますますお勧めです。