NHK『おかえりモネ』第62回

タイミングを逸してしまったけれど、8月7日の蒔田彩珠さんのお誕生日をお祝い申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第62回めの放送を見ましたよ。

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第13週『風を切って進め』

鮫島(菅原小春)の練習場からの帰り道は雨だった。傘を持っていない菅波(坂口健太郎)と共に、百音(清原果耶)は相合い傘で帰路についた。
しかし、ふたりで食事に行ったり、百音のシェアハウスに寄っていくよう誘うなどと行ったことはなく、それぞれはまっすぐ家に帰った。それを聞いた明日美(恒松祐里)はあまりにも奥手である両者にがっかりした。

9月9日(代表選考会16日前)、鮫島が暑さに弱い原因が判明した。彼女は深部体温(体の内部の体温)が上がりすぎる体質であり、そのためにパフォーマンスが落ちていると推定された。競技中の深部体温上昇を抑えることができれば有利にレースを進められるはずである。しかし、その方法はすぐには思いつかなかった。

勤務後、百音はいつものようにコインランドリーにいた。菅波(坂口健太郎)も現れ、ふたりで深部体温抑制の方法について話し合っていた。
そこへ菜津(マイコ)と明日美が顔を出し、アイスクリームがあるから一緒に食べようと誘った。

1週間後の9月16日は百音の誕生日である。明日美は菅波にアクションを起こすよう言外に迫った。その剣幕に慌てた菅波は大急ぎでアイスクリームを頬張った。そのため、激しいアイスクリーム頭痛に襲われてしまった。
しかし、それが怪我の功名となり、鮫島の深部体温抑制のアイディアに結びついた。

車椅子マラソンでは、車椅子にドリンクを搭載し、いつでも水分補給をすることができる。菅波は、通常のドリンクではなく、凍らせたドリンクを細かく砕いたものを補給することを提案した。氷は通常の液体よりも温度が低い上、表面積も大きくなるので効果的に体の熱を取ってくれるという。
通常のドリンクよりも粘度が高くなるので吸い込みにくいという欠点はあるが、鮫島の吸引力であれば問題はなかった。また、鮫島は幸運なことにアイスクリーム頭痛になりにくい体質だった。

氷状のドリンクを使用するようになり、鮫島のパフォーマンスも劇的に向上した。選考会当日の気温は高いと予想されており、前半はペースを控えて深部体温の上昇を抑制し、後半のパフォーマンスを落とさないようにするというレース戦略も決定された。

9月16日の夜、百音の21歳の誕生日パーティーがシェアハウスで行われた。
親しい人々が集まってくれて、百音は楽しい時間を過ごした。
ただし、菅波は参加することができなかった。登米で担当している老婆の容態が悪化し、急遽往診に向かったのだ。

菅波からはメールが届いた。老婆の容態は落ち着いたと事務的な連絡であった。
最後に一文だけ、百音の誕生日を祝う言葉があった。

パーティが終わり自室に戻った百音は、以前に菅波からもらった中学生向けの理科の教科書を手にとった。それは気象の勉強を始めたばかりの頃、百音の19歳の誕生日に菅波から貰ったものだった。

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NHK『おかえりモネ』第61回

僕にとってはテレビがつまらなくて悪夢のような半月だったわけで、この間はチャンネルがほぼBSプレミアムに固定されていて、都合があってチャンネルを変える時に事故で一瞬目にしてしまったことはあったけれど、一切オリンピック中継を見ないと決めて過ごしていたわけで、それも昨日でやっと終わって心底せいせいしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第61回めの放送を見ましたよ。

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第13週『風を切って進め』

9月5日、鮫島(菅原小春)の代表選考会まであと20日となった。
選考会会場の過去20年間の気象データを調べたところ、いずれの年も暑かった。今年も暑くなると容易に予想された。
鮫島は暑さにめっぽう弱い。過去のレース結果を見ても、冬のレースは優勝しているが、夏場のレースは如実に成績が悪かった。

代表選考会に向けて、暑さそのものに対する一般的な対策はもちろんのこと、鮫島自身の体質改善も課題となった。体質改善のためには医師の協力が不可欠である。
朝岡(西島秀俊)は、旧知の仲である中村医師(平山祐介)を会社に招き、協力を仰いだ。中村は大いに興味を示し、協力することを約束してくれた。

翌日、百音(清原果耶)はいつものように鮫島の練習場に詰め、中村医師の到着を待った。しかし、中村は約束の時間になってもなかなか現れない。

代わりにやってきたのは菅波(坂口健太郎)だった。
世間では医療従事者の長時間労働が問題視されている。菅波も超過勤務が続いていおり、勤務している大学病院から指導され、強制的に10日間の夏休みを取得させられたという。その時間を当てて、鮫島に協力することになったと説明した。
しかし、菅波は嫌がる風ではなかった。サメが常に泳いでいないと死んでしまうのと同じように、自分も常に動いていないと気がすまないのでちょうどよいのだと話した。

菅波の指導の下、鮫島は日々の体温や睡眠、食事、主観的ストレスなどを記録することになった。それと並行して、気温や湿度を人為的に変化させ、運動時のデータを詳細に収集した。全ては順調に進んでいった。

ある日、鮫島の練習場から帰るとき、雨が降っていた。
天気予報を見ていなかったという菅波は傘を持っていなかった。ふたりは百音の小さな折りたたみ傘で、照れながら一緒に帰路についた。

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NHK『おかえりモネ』第60回

今日やっと、今田美桜さんは佐藤めぐみさんの若い頃に似ていることに気付いて、それで俺は萌えているんだなと気付いた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第60回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのおかげで』

鮫島(菅原小春)のトレーニングに付き添った百音(清原果耶)は、朝岡(西島秀俊)が学生駅伝の選手だったことを話した。雨の予報を受けて対策したが、予報がはずれて熱中症でリタイアしたのだと教えた。それは鮫島がリオデジャネイロ・パラリンピックの代表選考会で失敗したのと全く同じことだった。朝岡が鮫島に肩入れする理由はそこにあると理解できた。

鮫島は、朝岡が自分だけではなく、チームメイトや大学の伝統まで潰してしまったことを悔いているのだろうと察した。駅伝は一人で行う競技ではないからだ。一方、鮫島が取り組んでいる車いすマラソンは個人競技である。だから、鮫島は他の人のことは気にせず、自分自身のためだけに走っている点が違うと話した。
けれども鮫島は、周囲の人々の協力が不可欠であることも痛感していた。そういった人々への感謝は忘れないし、必ず恩返しをしたいと考えているという。恩返しの方法としては、自分の頑張っている姿を見せることで、どこかの誰かを少しでも元気づけることだと話した。

百音はその考えに同意した。自分のために一生懸命やっていることが誰かのためになることは幸せなことである。
それはここ何日かの百音の悩みとも共通していた。人々を助けるという大義名分で災害予防を訴えている百音であるが、それは自己満足ではないかと神野(今田美桜)に指摘されてしまったのだ。今日の鮫島の言葉で、百音は少し気が楽になった。

鮫島を支援するスポーツ気象チームでは、鮫島の体質に関するデータ分析が不足していることが問題視された。一流アスリートには、専属ドクターによる体調管理が行われるケースが一般的である。しかし鮫島には専属ドクターがおらず、ましてやツテすらなかった。

百音は菅波(坂口健太郎)のことを思い出した。しかし、隔週で登米と東京を行き来している彼の負担のことを思うと簡単には頼めそうになかった。また、彼との関係を明日美(恒松祐里)にからかわれるのも避けたかった。

ずいぶんと逡巡した挙げ句、思い切って菅波にメールと電話で相談した。
しかし、菅波は素っ気なく断った。理由は百音が想像したとおり、登米との往復で時間がとれないというものだった。

そんなある日、仕事を終えた百音がシェアハウスに戻ると、そこには菅波がいた。いつものようにコインランドリーで洗濯していると、すっかり顔なじみになった菜津(マイコ)に留守番を頼まれたのだという。
菅波はあらためて鮫島の専属ドクターを引き受けることはできないと断った。百音もそれ以上は頼まなかった。

代わりに百音は、以前に菅波から言われた「『あなたのおかげで助かりました』という言葉は麻薬である」という言葉の意味を尋ねた。台風対策を事前に知らせたことで祖父・龍己(藤竜也)から感謝され、百音のおかげで助かったと言われたという。すごく嬉しかった反面、菅波の言葉を思い出して引っかかっているのだと説明した。

菅波によれば、その言葉は、自分に価値があると思わせてくれて気持ちのいいものだという。特に、百音のように自分は無力だと思っている人間にとってはこれ以上の快楽は無い。自分自身のためにその快楽を再び欲しくなり、周りが見えなくなるほど突っ走ってしまうのだと説いた。

そしてそれは、菅波自身の経験でもあるという。菅波はその快楽に溺れ、ある人の人生を奪ってしまったという。

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NHK『おかえりモネ』第59回

起床直前に「うでん を食いたい!今すぐ うでん を持ってこい!!」と叫んでいる夢を見たのだけれど、うどん と おでん のどちらを望んでいたのか、それとも両方食べたかったのか全く思い出せないし、起きてみたらそのどちらも食べたいとは思わない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第59回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのおかげで』

朝岡(西島秀俊)は周囲の反対を押し切り、車椅子マラソン選手・鮫島祐希(菅原小春)のサポートを行うと言い出した。それをきっかけに、社内にスポーツ気象班を立ち上げたいのだと言う。行きがかり上、百音(清原果耶)たち報道気象班が協力することになった。

さらに、朝岡はスポーツ気象に本腰を入れ、近いうちにテレビの気象キャスターも辞めるつもりだと打ち明けた。
気象班のメンバーにとっては朝岡の真意を掴みかねた。朝岡は気象キャスターとして人気もあり、会社からも期待されている。キャスターを辞めたら会社に居づらくなるかもしれない。そうなるとスポーツ気象班を立ち上げるという計画も頓挫する。
また、気象情報を広く伝えて人々の生活を守るという朝岡の信念にもそぐわないように思われた。一同は困惑するばかりだった。さらに、しばらくの間、朝岡との関係が気まずくなってしまった。

ただし、神野(今田美桜)だけはまんざらでもなかった。朝岡が気象キャスターを引退したら自分にチャンスが回ってくると思うからだ。テレビ局の高村(高岡早紀)デスクに話を聞くと、以前から朝岡がキャスターを辞めたがっていることは知っていたという。そうなれば神野に任せることになるかもしれないとも話した。神野はますます期待に胸が膨らんだ。

高村はあらためて朝岡と二人で話をした。
朝岡は、今後ますます、細分化された情報が重要になっていくと考えているという。マスメディアのような画一的な情報提供ではなく、生活者ひとりひとりに特化し、具体的に役に立つ情報が必要だと主張した。それは、百音が地元の人々に知らせたようなパーソナルメディアだと話した。
その意義を認めつつも、高村は抽象化した画一的な情報も相変わらず必要だと反論した。たとえば、九州で起きた災害を北海道の人々が知ることで心を痛め、支援しようと動機づけられる。そのような視点や報道も大切だと主張した。
ふたりの間で結論は出なかったが、互いの立場は認めあった。

鮫島への支援も始動した。朝岡らのチームは、9月に行われる代表選考会に向けて、2つの側面からサポートする方針を立てた。
ひとつは、体質面である。気温や湿度による鮫島の体調変化を調査し、弱点を見定めることとした。9月の選考会はまだ暑い時期と考えられるので、しっかり対策をする必要がある。
ふたつめは、選考会当日の会場の気象予測である。気温、湿度、風などを詳細に予測することでレースの戦略に役立てるのである。
百音は、鮫島のトレーニング風景を撮影した。そこで、鮫島の勝利への執念や迫力に圧倒された。

ある日、内田(清水尋也)が23年前の新聞記事を見つけてきた。そこには学生駅伝の選手だった朝岡が取り上げられていた。名門校の主力選手として有名だった朝岡であるが、熱中症でリタイアしたという記事だった。同校が駅伝大会で棄権するのは、50年の出場歴の中で初めての出来事だったという。

朝岡はそれが自分であることを認め、詳しく話し始めた。
現役時代の朝岡は風に強い選手だったという。特に、空気の乾燥した寒い日を得意としていた。1月に行われる駅伝大会は朝岡にとって絶好の時期である。
しかし、当日の天気予報は雨で、気温も高くなると言うものだった。朝岡にとっては不利なコンディションである。監督も懸念を表明したが、朝岡は気合で克服できると信じ出場した。はたして、レース中は雨がふらず気温がぐんぐんと上昇した。その上、風も吹かず、朝岡にとっては最悪の状況となった。その結果、熱中症で痙攣を起こしリタイアしたのだ。
朝岡は自身の体質の弱点を全く考慮していなかったことを反省した。今の自分なら気象と体質の科学的根拠に基づいて、他の選手への交代を望むだろうと話した。

朝岡が鮫島への支援やスポーツ気象に拘るのは、当時のリベンジを果たしたいからだと言う。あくまで個人的な理由だと白状した。

百音は鮫島への支援プランが朝岡の経験に即していることを理解した。そして、鮫島が不本意なリタイアへのリベンジを果たしたいと願っている点との共通点を見出した。

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NHK『おかえりモネ』第58回

今劇場公開されている『東京リベンジャーズ』という映画には全く興味がなかったのだけれど、今田美桜さんが出てると知って、そこだけ見たいなと思うようになった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第58回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのおかげで』

東北地方に台風が上陸するという観測史上初の事態にあたり、百音(清原果耶)は地元の人々に事細かに対策を指示した。そのおかげで大きな被害を避けることができ、百音は大いに感謝された。人の役に立てたと思い、百音は大いに喜んだ。

しかし、その様子を見た神野(今田美桜)が冷水を浴びせるような言葉を発した。百音は常々人の役に立ちたいと言っているが、それは結局自分のための自己満足ではないかというのだ。
ただし、神野に悪気はなく、むしろ彼女自身も同じだと説明した。自分が認められたり、有名になりたいという欲求はシンプルで正直なことだと釈明した。実際、神野もそのような考えで行動している。彼女は報道キャスターになることを目指しており、気象コーナーの担当もそのためのステップだと割り切っている。マリアンナというミドルネームを付けているのも目立つためだと説明した。

神野は百音を責めるつもりは無かったものの、百音は一人で思い悩むようになってしまった。

ある日の午前、いつもなら朝の番組を終え帰宅する時間であったが、番組担当メンバーたちは朝岡(西島秀俊)に頼まれて会社に残った。
そこで鮫島祐希(菅原小春)という車いすマラソンの選手に引き合わされた。

鮫島は国際大会でも優勝経験のあるトップアスリートであるが、リオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を逃してしまったという。代表選考のためのレースで天候を読み間違えたことが原因だという。雨が降ると思ったので防寒防水対策をして出場したが、実際には晴れ続けて熱中症になってしまったのだという。
4年後の東京パラリンピックにはどうしても出場し、優勝たいと思っている。そのために気象面からのサピポートをして欲しいというのだ。

百音や神野らは突然のことに言葉が出なかった。それに加えて、鮫島はきつい関西弁で、礼儀作法もおざなりで、見るからに勝ち気な性格だった。また、朝の番組のために昼夜逆転生活をしている彼女らにとっては日中の仕事が増えることになり、それも嫌がられた。
社長の安西(井上順)も反対だった。パラリンピックへの出場を逃したことで、現在は鮫島のスポンサーは皆無なのだ。そのため対価を支払う目処が立たない。本人は東京パラリンピックへの出場権を獲得すればスポンサーが付くのでその時にまとめて支払うなどと言っている。

全く良いところのない案件だったが、朝岡は大いに乗り気だった。彼はスポーツ気象班を立ち上げたいという野望も抱いているのだ。
鮫島が支払いできない分は朝岡が全て肩代わりするつもりだという。さらには、このプロジェクトを認めてくれないなら会社をやめて独立すると社長を脅した。社長は渋々折れるしかなかった。
神野らにテレビ局以外の仕事が増えることについては、残業手当をきちんと出すということで納得させた。

百音にはスポーツ気象を手掛ける本当の目的を話した。
今後、気候変動によって地球環境は過酷になることは間違いない。実際にそうなる前に、人々に気象の重要性を啓発したいと考えているのだという。そのことをわかりやすく伝えるためにスポーツが利用できるのだと言う。気象情報によって自分を守るばかりか、新たな成功を掴むことができるのだと実証して見せることが近道だと考えているのだ。
それを聞いて百音も協力することになった。

さらに朝岡は、近い将来、気象キャスターを辞めるつもりだと宣言した。

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NHK『おかえりモネ』第57回

最近ちょっとおもしろくなくなってきたなと感じていて、ここが正念場だと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第57回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのおかげで』

8月23日、翌日には東北地方に台風が上陸すると予想された。東北の太平洋側からの上陸は観測史上初のことであり、勢力も非常に強い。現地の人々にとっては経験のしたことのない事態であり、厳重な対策が必要だと考えられた。朝の情報番組『あさキラッ』でもトップで扱うことになった。

いつもは朝岡(西島秀俊)が自ら原稿を書いているが、今回ばかりは百音(清原果耶)も多くの意見を述べ、それが反映された。その結果、事細かに具体的な対策が番組で伝えられることになった。それは被害を未然に防ぎたいという百音の強い希望であった。

番組とは別に、百音は宮城の親しい人々にも連絡をした。山間部の登米には川の増水に特に注意するよう伝えた。

一方、実家には高潮に警戒するよう促した。台風の上陸予想時刻と満潮時刻が重なるため危険だという。地元の漁船を安全なところに避難させる必要があるという。
しかし、すでに風や波が強くなりだしていた。漁船の避難には危険がつきまとうと考えられた。

連絡を受けた耕治(内野聖陽)は、帰りの渡し船が欠航になるのを覚悟の上で気仙沼に渡った。嵐の中で巧みに船を操れるのは及川新次(浅野忠信)しかいないと思い、彼に協力を頼みに行った。
しかし、東日本大震災で漁船と妻(坂井真紀)を失った新次は仮設住宅で自暴自棄な生活を送っている。耕治の頼みも素直に受け入れようとはしなかった。百音が生まれる日も嵐で、耕治の頼みで新次が船を出した。その時のことを引き合いに出し、あざけ笑った。

けれども耕治は、新次も今回の台風を強く心配していることがわかった。部屋の中に新次の描いた天気図が落ちているのに気付いたのだ。
耕治は、新次は海が好きで漁船が無為に失われるのを見ていられないはずだと指摘した。その一言を聞くと、新次はついに決心し、海に向かった。
こうして、漁船は全て安全なところに避難させることができた。

翌日(8月24日)、台風は予想通り東北地方を襲ったが、大きな被害はもたらされなかった。

8月26日、無事に台風は通過し、百音たちにも日常が戻ってきた。台風情報で休止になっていた神野(今田美桜)の屋外中継コーナーも再開された。
しかし、そんな日に限って、神野は屋外で転んでしまって泥だらけになった。百音は神野を自分のシェアハウスに連れてきた。銭湯を改装した建物であり、立派な浴場があるからである。ずっとイライラしていた神野であったが、大きな風呂に入り、ビールを飲むとすっかり機嫌が良くなった。

神野と共に百音が愉快にビールと食事を摂っていると実家から電話がかかってきた。祖父・龍己(藤竜也)は、百音の適時的な助言のおかげで漁業設備に被害がなかったと深く感謝した。百音のおかげでみんなが助かったと言われ、百音は嬉しかった。
その様子を見ていた明日美(恒松祐里)も喜んだ。百音が東日本大震災の時に何もできなかったと悔やんでいたことにうすうす気づいており、やっと百音の念願が叶ったと思ったからだ。

しかし、神野はそんな百音に冷水を浴びせた。
百音は人の役に立ちたいと言っているが、それは結局自分のためであると指摘した。

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NHK『おかえりモネ』第56回

今週のあらすじを読んで、なんかちょっとビミョーな感じがするなと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第56回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのおかげで』

2016年8月20日。
台風が発生し、4日後に東北地方に上陸すると予想されていた。海水温などのデータから、この台風は大きく発達すると予測された。しかも、上陸地点が東北地方となることは観測史上例がなかった。現地の人々は台風に慣れておらず、何もしなければ大きな被害の出ることが心配された。『あさキラッ』の気象コーナーでは強めに注意を促すことにした。

百音(清原果耶)は実家のことが心配になり、放送後に電話をかけた。特に漁業設備への配慮を訴えた。簡易な作りの小屋は強風で倒壊するかもしれないし、漁船も転覆するおそれがある。漁業組合を通じて人々に周知するよう伝えた。これまでに無いことだから、より慎重になるよう重ねて強調した。

百音がテレビ局の仕事を終えてシェアハウスに戻ってくると、大家・菜津(マイコ)たちが大騒ぎしていた。彼女の祖父・肇(沼田爆)が熱中症でぐったりとしていたのだ。

救急車の到着をもどかしく思った百音は、機転を利かせてコインランドリーに駆け込んだ。はたしてそこには、いつものように洗濯をしている菅波(坂口健太郎)がいた。彼をシェアハウスに連れてきて、応急処置をしてもらった。
救急車が到着するまでの間、菅波は祖母・光子(大西多摩恵)にも軽い熱中症の兆しがあることを見抜いた。ふたりを救急車で病院に送り出し、大事には至らなかった。

その日、たまたまシェアハウスにいた明日美(恒松祐里)は、百音と菅波のただならぬ仲を怪しんだ。菅波が去った後、百音に探りを入れたが、百音は特別な仲ではないと大げさに否定した。

菜津の祖父母は、ほどなくして元気になって帰宅した。処置が適切で症状も軽かったので、点滴によってすぐに回復したのだ。

百音は、菅波にお礼の電話をかけた。菅波のおかげで助かったと感謝の言葉を述べた。しかし、菅波の反応がおかしかった。
それで、百音は以前に菅波に言われた言葉を思い出した。百音が遭難した小学生を助けたとき、その子の両親から、百音のおかげで助かったと感謝された。その時に、菅波は「あなたのおかげで助かりました」という言葉には注意するよう言われたのだ。

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NHK『おかえりモネ』第55回

今日はプレミアムフライデーだし、早速『パンケーキを毒味する』を見に行こうかと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第55回めの放送を見ましたよ。

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第11週『相手を知れば怖くない』

周囲のスタッフがたしなめるのも聞かず、百音(清原果耶)は番組で連日にわたって水難事故の危険を伝えていた。ついには視聴者から、子どもが怖がって海水浴に行けなくなってしまったとクレームのメールまで受け取った。
仕事に行き詰まりを感じた百音は親しい誰かと話をしたくなった。しかし、百音の自由時間は平日の昼間である。電話をかけることをためらった。

いつものコインランドリーでふさぎ込んでいると、菅波(坂口健太郎)が姿を表した。近所にある大きな大学病院が彼の勤務先で、夜勤明けによく洗濯に来るのだという。

百音は、隔週で登米に通っている菅波に懐かしい人々の様子を聞き、みなが相変わらずだと聞いて安心した。久しぶりにみんなに連絡して、菅波にばったり会ったことを報告したいと話した。一方の菅波は、会ったことは秘密にしておいて欲しいと頼んだ。百音との仲を登米の人々にしつこくからかわれることが目に見えているからだ。
秘密にする、しないの押し問答をしているうちに百音の表情が少し明るくなった。

それでも百音はどこか元気がない。菅波は悩みを打ち明けるように促した。ただし、洗濯が終わるまでとの条件をつけた。
百音は、海と山と空が水で繋がっていて、互いに恵みをもたらすということに感激し気象の道に進んだ。それにもかかわらず近頃は、水は命を奪う恐ろしいものだと伝えてばかりである。あんなに水に親しみを持っていたのに、どうして正反対になってしまったのか自分でもわからないと話した。

話を聞いた菅波は、2つのことを指摘した。
ひとつめは、何かと距離が離れるとそれのことを忘れてしまうということだった。百音が東京の環境に順応してしまい、大自然の恵みをもたらす水の存在を忘れてしまったのではないかと話した。
ふたつめは、百音がまだ新人だという点であった。念願の仕事に就いて、成果を上げたいと思って空回りしているのではないかと指摘した。百音は故郷の津波被害で何もできなかったことを悔やんでいる。そのことが自分を追い詰めて、無理をしているように見えるというのだ。

百音は半分納得して、半分納得しなかった。
自分が何もしないまま、誰かが危険な目に遭うことを恐ろしく思っていたのは指摘のとおりだと思った。まさに新人の空回りだったと反省した。
一方で、何かと離れたことで気持ちが薄れることはないと反論した。東京に来てからも海や山への気持ちが離れたことはないと主張した。

加えて、菅波との距離が開いたとも思わないと話した。
ずっと会いたいと思っていた、と言ったところで洗濯終了のブザーが鳴り、話は打ち切られた。

それからというもの、百音は目に見えて変化した。番組で扱う内容も、星空観察の楽しみ方など明るいものに変わった。周囲も百音の肩の力が抜けたことを喜び、頼もしく思った。

ある未明、仕事に出かけようとしていた百音は、いつものように宇田川が浴場の掃除をしている音を聞いた。いつもと違うことは、壁に宇田川からの貼り手紙があったことである。洗剤が切れそうだから補充をして欲しいと書かれていた。
彼の字は上手で、百音はしばし立ち止まって見惚れてしまった。すると、その気配が宇田川に伝わったようだった。相手の姿は見えないし、返事も期待しなかったが、百音は字を褒めた。
すると、中から一言だけ「どうも」と聞こえた。

最初は不気味に思っていた宇田川であるが、相手のことがわかれば怖くなくなるのだなと思った。

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NHK『おかえりモネ』第54回

劇中は2016年8月9日だと予測したので、その日自分は何をしていたのかとtwitterのログを調べてみたら、福原愛のことを考えていた事がわかり、5年経っても自分は変わらないなぁと思う一方、この5年の間に彼女は現役引退して結婚して子どもを産んで離婚したんだから目まぐるしいなぁと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第54回めの放送を見ましたよ。

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第11週『相手を知れば怖くない』

2016年8月。
放送直前に、一文字市でアンダーパスが冠水し車が立ち往生したという情報が入った。その地域で大雨が降るという予想はしておらず、気象班の面々にとっては寝耳に水だった。

各方面から情報を集めると、急な雨雲の発達があり、予報が難しかったということがわかった。近年は異常な雨雲の発達が頻発しており、5-10分先の天候の予想が重要だと思い知らされた。
また、事故のあったアンダーパスは1ヶ月前に開通したばかりなのだという。そのため、大雨に対する経験が蓄積されておらず、通行止めにする手配が遅れてしまったとわかった。車の同乗者は心肺停止で蘇生措置中だとも知らされた。

百音(清原果耶)と共に新たに番組に配属された内田(清水尋也)は弱音を吐いた。彼は風の専門家で、これまでは風力発電や花粉飛散に関わってきた。ところが、気象報道に携わると、広い範囲の不特定多数の人々の命に関わる予報を行い、それを的確に伝えていかなくてはならない。
内田には荷が重く感じられた。それは百音も同様だった。

この経験は百音を変えた。
その日以降、神野(今田美桜)の気象コーナーで取り上げる話題として水難事故への注意喚起ばかりを提案するようになった。最初はパペットを使って柔らかく伝えるならよいと受け入れられたが、提案が連日続くようになり、周囲からもたしなめられた。朝の情報番組で暗い話題ばかり続くのはよくないからだ。
しかし、百音は聞く耳を持たなくなっていた。人々の命を救うためには、身近な危険は全て知らせなくてはならないという使命感に囚われてしまっていた。高村デスク(高岡早紀)も百音が行き過ぎていると感じていたが、その週だけは百音に任せることにした。

ある日の放送終了後、百音は朝岡(西島秀俊)に呼び出された。朝岡は視聴者からの1通のメールを百音に見せた。
それは、海の街出身の母親からのものだった。彼女は海を知らない3歳の息子を連れて実家に里帰りしたという。そこで祖父母と一緒に初めて海水浴に行くことを楽しみにしていたという。しかし、水難事故に関する放送を見た息子が怖がってしまい、海水浴に行けなくなってしまったという。海で育った自分は危険性をよく知っていて、対処もできる。一方、海を知らない子供たちに対しては、楽しさを知るきっかけを与えて欲しいと書かれていた。

朝岡は、これまでの行動を肯定しつつも百音を諭した。自然を良く知っている人は危険を避けたり被害を軽減する術を知っている。一方、自然のことをよく知らない人は、初めから自然を恐ろしいものと決めつけ、ますます遠ざかる。そのような人々がたまたま危機に遭遇すると誤った対処をして被害を大きくしてしまう。そのようなことが起きないように、子供たちが自然を知る機会を与えて欲しいと話した。
百音は表面では朝岡に従ったが、内心では納得がいかなかった。

仕事を終えた百音は、いつものように昼間のコインランドリーにいた。
愚痴を聞いてほしくて、未知(蒔田彩珠)や菅波(坂口健太郎)に電話をしようとしたが、彼らは仕事中だろうと思い、留まった。誰かに話を聞いて欲しいと声に出してボヤいた。

その様子は、偶然コインランドリーにやって来た菅波が全て見ていた。
菅波は百音に「納得がいきませんね」と声をかけた。

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