NHK『ブギウギ』第45回

昨日、安野モヨコ『還暦不行届」(Amazonで買う)が届いたから読んだわけだけれど、20年前に描かれた『監督不行届』(Amazonで買う)と同様にエッセイ漫画かと思って買ったのにほとんどが文章エッセイで最初は面食らったのだけれど(いくつか漫画やイラストはもちろんある)、夫・庵野秀明との滑稽な夫婦生活が面白おかしく書かれていて、その点では前作と雰囲気が同じなので読んで楽しかったし、むしろこの20年間に夫婦がそれぞれが辛い時期を過ごし一緒に乗り越えてきた深い愛情が随所に滲み出ていてすごく良かったし、なんならもう1週間早く入手して11月22日のいい夫婦の日に読むべきだったと激しく後悔した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第45回めの放送を見ましたよ。

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第9週『カカシみたいなワテ』

梅丸楽劇団が解散してから数週間が経った。
鈴子(趣里)は何もすることがなく、下宿でぶらぶらしているだけだった。その間、一度も歌わなかった。
ふと、このままじっとしていては歌い方を忘れてしまうのではないかと恐ろしくなった。

鈴子は、楽劇団の元統括・辛島(安井順平)を訪ねた。
彼によれば、梅丸社内では鈴子を大阪の梅丸少女歌劇団(USK)に呼び戻したいという意見もあるという。そちらはまだ劇団が存続しているし、鈴子が梅丸で人気の看板歌手であることに変わりはないからだ。
しかし、鈴子はその提案をやんわりと断った。先に大阪に戻った秋山(伊原六花)からの手紙によれば、USKでも愛国ものの演目が中心となり、以前とは大きく様変わりしてしまっているのだという。鈴子はそのような状況では思う存分歌えないと言って移籍に乗り気ではなかった。

続いて鈴子は羽鳥(草彅剛)の家を訪ねた。劇団は解散したものの、羽鳥は作曲の仕事で多忙を極めているようだった。
鈴子は手短に大阪への移籍について相談した。鈴子は大阪の実家はすでに引き払われたため、特に郷愁もなくなったと説明した。そして何よりも、どちらにせよ愛国精神にのっとった演目では楽しく歌えないと話した。

羽鳥は、場所はどこでもよく、自分が楽しめる場所で歌うべきだと助言した。
その言葉に鈴子は反論した。羽鳥は今も作曲を続けるなど、どんな状況でも音楽を楽しんでいる。しかし、誰もがそうであるわけではなく、鈴子自身も現在のような状況では楽しく歌えないと訴えた。
羽鳥はいつものように飄々と、鈴子は自分と同じタイプだと思うと話した。

帰り際、羽鳥はその日行われる茨田りつ子(菊地凛子)の公演の招待券をくれた。羽鳥は仕事が忙しくなって行けなくなったので代わりに行って欲しいというのだ。

そのまま鈴子は茨田りつ子の公演に向かった。りつ子は「茨田りつ子とその楽団」という名義で、自分で雇った楽器演奏者数名を従えていた。客席数はせいぜい20-30しかなく、梅丸の劇場とは比べ物にならない規模だったが、満席だった。
警察官から検閲されていたが、りつ子は自分らしい公演をやり遂げた。鈴子は強く心を掴まれた。

終演後、鈴子はりつ子の楽屋を訪ねた。自分の感動を正直に精一杯伝えた。
しかし、りつ子はいつものように冷ややかに対応した。りつ子は独立して自分で楽団を抱えており、大きな会社に雇われている鈴子とは覚悟が違うと話した。誰からどんなことを言われようと、必死に自分の歌を歌うしかないのだという。今のような時局では、いつ歌えなくなるとも限らない。だから必死なのだと話した。
鈴子にも自分で好きなように歌えばいいと話した。

帰り道、鈴子は伝蔵(坂田聡)のおでん屋台に寄り道した。酔い潰れているだろう梅吉(柳葉敏郎)を迎えにこうと思った。ついでに、梅吉が起こした喧嘩騒ぎのことを伝造に謝らなくてはならないと思ったからだ。
はたして、梅吉はやはり屋台で酔い潰れて眠っていた。

梅吉は喧嘩の理由を一切話さない。訳はわからないが、鈴子はひとまず伝蔵に騒動を謝った。
すると、伝造が一部始終を教えてくれた。たまたま隣の席で飲んでいた二人連れが梅丸楽劇団の解散について話し始めたのだという。特に、鈴子が棒立ちで歌うようになって全くつまらなくなった、もう歌手として終わりだなどと悪口を言ったのだ。それを聞いた梅吉は激昂し、殴りかかったのだと言う。

温和で暴力を振るうような人間ではない父が、自分のために人を殴ったと聞いて鈴子は嬉しくなった。
目を覚ました梅吉は酒を所望した。ずっと酒浸りの父を腹立たしく思っていた鈴子だが、この時ばかりは酒を飲むことを許した。
そして、ふたりで亡きツヤ(水川あさみ)の思い出話をした。彼女がどれだけ鈴子の歌が好きだったかと語り合った。
ふたりは仲直りし、鈴子はツヤのためにも歌い続けることを決意した。

ある日、鈴子は梅丸楽劇団のトランペット奏者兼バンドマスターだった一井(陰山泰)を訪ねた。彼にまだ新しい所属先が決まっていないことを確認すると、鈴子は彼に新しい仕事を提案した。鈴子は「福来スズ子とその楽団」を立ち上げることにしたと説明し、そこに参加してほしいと頼んだ。
一井は二つ返事で応じた。

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NHK『ブギウギ』第44回

堀内孝雄の『君のひとみは10000ボルト』に遅れること45年、元KISSAce Frehley が “10,000 Volts” という曲を出したことを知った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第44回めの放送を見ましたよ。

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第9週『カカシみたいなワテ』

梅丸楽劇団の団員たちに次々と召集令状が届いていた。音楽監督の羽鳥(草彅剛)は楽器が減った分を編曲で補う作業に追われ、夜も眠れないほどだった。それでも羽鳥は苦労だとは感じず、どこか楽しんでいる風でもあった。何があっても音を鳴らし続けるのが自分自身や楽団の使命だと捉えていた。

そんな羽鳥に対して、鈴子(趣里)はもどかしさを感じていた。自分には編曲作業を手伝うことができない。そればかりか、ステージで大胆なステップを踏むことが禁じられ客足が遠のいているのに、何も打開策を打てないでいるからだ。

羽鳥の新曲レコード『湖畔の宿』は、当局から貧弱で女々しい曲であり時局にそぐわないと評された。当局からあまり目をつけられたくないレコード会社は、この曲の宣伝を自粛するなどしていた。
一方、同じく羽鳥の作った『蘇州夜曲』は大ヒットしていた。

そこで鈴子は、羽鳥に『蘇州夜曲』を歌いたいと直談判した。この曲調ならばステップを踏んで歌う必要がないし、客ウケもよいと考えたのだ。
しかし羽鳥は許可しなかった。今まで通りの曲目や演出で続けるべきだと言うのだ。各楽器の担当者が減った分は、羽鳥が編曲の工夫で補うと言う。どんな状況になろうとも音を出し続けることが楽団の使命だと言うばかりだった。

鈴子はこのままでは梅丸楽劇団の存亡も危ういと思い、ますます不安になった。
すると羽鳥は、『ラッパと娘』の伴奏を弾き始めた。鈴子が大胆にステップを踏んで、人気を博した曲である。不安に押しつぶされそうになっている鈴子に対して、羽鳥はこの場で歌うように促した。
鈴子は、ふたりきりの練習室で思う存分歌い踊った。鈴子は久しぶりに体を大きく動かし、音楽の楽しさを再認識した。

しかし、梅丸楽劇団は客入りを取り戻すことはできず、解散することになった。
羽鳥はいつものように飄々とした態度で、またいつか再集合して演奏しようと呼びかけた。けれども、楽団員たちはそんな羽鳥を冷ややかに見ていた。羽鳥ほどの作曲家ならば今後も仕事があるだろうが、単なる劇団員たちには次の仕事のあてがなかったからだ。他の楽団も状況は似たような者で、バンドマスター兼トランペット奏者の一井(陰山泰)ですら廃業を考えざるを得ないほどなのだ。
こうして劇団は2年に渡る歴史に幕を閉じた。

その頃、鈴子は梅吉(柳葉敏郎)と仲違いしていた。梅吉の自堕落な生活に鈴子は我慢できなくなったのだ。ふたりは全く口を聞かなくなった。寝室も別々となり、梅吉は下宿屋の居間で寝るようになった。大家のチズ(ふせえり)は迷惑だから早く仲直りしろと促すが、双方とも譲歩しようとはしなかった。

梅丸楽劇団が解散した日、鈴子が下宿に帰ってくると、梅吉が酔って喧嘩をして警察に捕まったとチズから聞かされた。
慌てて警察署に行ってみると、梅吉はすぐに釈放されたものの、喧嘩の原因については一切話そうとしなかった。ふたりの関係はますます悪化した。

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NHK『ブギウギ』第43回

富田望生の出演作といえば、清原果耶演じる主人公と人格が入れ替わる『宇宙を駆けるよだか』を真っ先に思い出す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第43回めの放送を見ましたよ。

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第9週『カカシみたいなワテ』

小林小夜(富田望生)と名乗る田舎娘が押しかけてきた。鈴子(趣里)の歌に憧れており、弟子にしてほしいという。
鈴子は弟子をとるつもりはなかったが、小夜には行くあてがないと聞いて、仕方なく次の行き先が見つかるまで自分の下宿に居候させてやることにした。期間は1週間程度だろうと思い、大家のチズ(ふせえり)の了承も得た。

鈴子は、自分が仕事に行っている間、小夜に家事と梅吉(柳葉敏郎)の世話を任せることにした。
仕事に出かける直前、小夜に食費として現金を渡した。ただし、梅吉には絶対に酒を飲ませるなときつく言いつけた。

小夜と梅吉は赤の他人であったが、初対面からとても仲良くなった。
小夜は12歳の時に親に捨てられ奉公に出された。奉公先の主人は、梅吉とは比べ物にならないほどの粗暴な人間だったという。それに比べれば、梅吉はずっと紳士的な人物に思えた。
梅吉も、小夜の明るい性格を気に入った。冗談を言えば、小夜は当意即妙に答えてくれる。
梅吉は、小夜のことを本当の娘のように思い、自分のことを「お父ちゃん」と呼ぶことを許した。小夜も素直にそれを受け入れた。梅吉は、六郎(黒崎煌代)が戦争から帰ってきたら小夜と結婚させることを決めた。小夜はそれもまた喜んで承諾した。

その日、団員のひとりが梅丸楽劇団を辞めることになった。召集令状が届いたのだ。
警察の指導により地味な演出しかできなくなり、近頃では客足も目に見えて減っていた。

このままでは経営が成り立たず、劇団は解散の危機にある。
鈴子は劇団統括・辛島(安井順平)に、警察の指導に従っていては取り返しがつかなくなると訴えた。警官に賄賂を渡してでも元通りにする必要があるというのが鈴子の意見だった。
しかし、辛島によれば劇団の演出に眼をつけているのは警察だけではないという。市井の人々からの投書がおびただしい数になっていると言って、その山を見せた。旗揚げの頃から派手な演出に対する苦情の声は少々あったが、最近では数えきれないほどになったのだ。
梅丸楽劇団に目をつけているのは警察だけでなく、一般の人々も同様なのだ。辛島自身もどうすればいいかわからないという。

鈴子は重苦しい気分で下宿に帰ってきた。
すると、表に聞こえるほどの大声で小夜の歌う民謡が聞こえてきた。小夜の居候を認めた大家・チズも迷惑していた。昼間からずっと騒ぎっぱなしなのだという。

鈴子が慌てて部屋に入ると、梅吉は酒を飲んで酔っ払っていた。出がけに、梅吉には絶対に酒を飲ませるなと命じたはずなのに、それが守られていなかった。
梅吉は、自分が頼んだのだから小夜の責任ではないと弁護した。さらに、六郎と小夜を結婚させることも決まったと話した。
小夜も梅吉の調子に合わせて上機嫌だった。六郎の妻になるのが楽しみだと話した。

鈴子は静かに怒りながら、小夜に出ていくよう命じた。
小夜はつい昨日までは歌手になりたいと言っていたのに、今は人妻になることを楽しみにしている。梅吉に酒を飲ませないという約束も守れない。そのような人間は信用できないからだ。
小夜はそれ以上は弁明せず、頭を下げると下宿を出て行った。

梅吉は、鈴子を冷たい鬼だとなじった。小夜に身寄りがないことを知っていながら放り出したからだ。
鈴子は反論した。このような結末になったのも、梅吉がだらしないからである。酒を飲んでは寝るばかりの毎日だからである。もっとしっかりしてほしいと叱った。
亡くなったツヤ(水川あさみ)ならば梅吉のことだけを考えて暮らすこともできただろうが、鈴子には歌手として人前に出るという仕事がある。梅吉の世話だけをしているわけにはいかないのだと告げた。

鈴子は、ツヤを失ったことを言い訳に梅吉が自堕落な生活をしていることが許せなかった。鈴子も梅吉を同じくらいにツヤの喪失に心を痛めているのに、自分は立ち直ったふりをして、梅吉だけが特権のように悲しんでいることをずるいと思うのだった。

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NHK『ブギウギ』第42回

昨夜は『ミワさんなりすます』の25話Reiちゃんさんを見たし、今日はReiちゃんさんのニューアルバム『VOICE』がAmazonから届く予定だし、明日はBillboard Live OSAKAでReiちゃんさんのライブ『JAM! JAM! JAM! 2023』を聞きに行く予定の当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第42回めの放送を見ましたよ。

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第9週『カカシみたいなワテ』

警察から、舞台の3尺四方の枠内で歌うように指導されたにもかかわらず、客を楽しませるために鈴子(趣里)はその決まりを破って歌った。そのせいで公演は途中で中止され、鈴子は警察署で取り調べを受けた。反省する態度を示したため、鈴子はすぐに釈放された。

鈴子と入れ替わりに、茨田りつ子(菊地凛子)も警察に呼ばれていた。彼女が警察に呼ばれるのは5回目で、全く反省せず、反抗的な態度を改めないという。どんなに指導されても演出を変えようとしないばかりか、普段着も華美な服装のままだった。
警察に鈴子を迎えにきた羽鳥(草彅剛)は、茨田りつ子のことを面白がっていた。彼は鈴子の無事を確認できたので、りつ子の取り調べが終わるのを待つと言う。

鈴子は、同じく迎えにきた劇団統括・辛島(安井順平)と一緒に帰った。
辛島は、警察の指導に従うよう改めて釘を刺した。茨田りつ子はどの劇団にも所属せず、楽団も自分で雇うなど独立してやっている。だから、最終的にはりつ子本人の責任で片付く。一方の鈴子は、梅丸楽劇団に所属しており、鈴子が問題を起こすと劇団全体の存亡に関わる。ゆえに、りつ子のようなわがままは控えるようにと注意した。鈴子も納得せざるを得なかった。

次の公演では、鈴子は命じられた通り、決められた枠内から一歩もはみ出さずに歌った。鈴子のトレードマークであるつけまつ毛も半分以下の長さにした。

公演を終えると、控え室に茨田りつ子が現れた。羽鳥に招待されたのだという。りつ子はいつも通りに派手な私服に身を包んでいた。劇場の途中で婦人会に注意されたが、逆にこれは自分の戦闘服だと言い返した。

りつ子は鈴子に向かってつまらない公演だったと無遠慮に述べた。鈴子は突っ立ったままで、まるでカカシのようだったと言うのだ。警察の言いなりになるばかりで、つまらない歌を聞かされる客が気の毒だと愚弄した。いやいや歌うのならやめてしまえとまで言い放った。
鈴子は、もっと自由に楽しく歌いたいのだが仕方ないことだと言い訳するが、りつ子は冷ややかな目で見て帰って行った。

それと入れ替わりに、小林小夜(富田望生)と名乗る田舎娘が、係員の静止を振り切って控え室に飛び込んできた。鈴子の弟子にして欲しいと言うのだ。小夜によれば、鈴子の歌を聴くと辛い気持ちが楽になり、楽しいはずなのに涙が出るという。これまで歌の勉強をしたことはないが、自分も鈴子のような歌手になりたいと訴えた。

鈴子は、弟子を取るつもりはないので諦めろと告げた。
しかし、小夜は身一つで上京し、行くあても金もないと聞いて情にほだされた。弟子にはしないが、自分のところに居候させることにした。

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NHK『ブギウギ』第41回

今朝も寒くてなかなか布団から出られず、朝ドラ見れない危機に遭遇したんだけれど、なんとか乗り切った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第41回めの放送を見ましたよ。

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第9週『カカシみたいなワテ』

1940年(昭和15年)、ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、鈴子(趣里)がが父・梅吉(柳葉敏郎)と東京の下宿で暮らし始めて1年が経った。
初めの頃こそ梅吉は映画の脚本で一旗上げるのだと張り切っていたが、今ではそれも放り投げ、酒浸りの日々になってしまった。日が暮れるのを待ち構えるように伝蔵(坂田聡)のおでん屋台に出かけて行き、しこたま飲んで酔っ払って帰ってくる。部屋に戻ることができず、玄関前の路上で夜を明かすこともしばしばだった。朝、鈴子が劇場に出かける時に見つかるといった始末である。鈴子は心配はするものの、すぐにどうすることもできなかった。

梅丸楽劇団にも大きな変化が訪れていた。
戦争が激しくなるにつれ国内は軍事優先となり、贅沢が禁じられる法律も布告された。梅丸楽劇団は公演を続けていたものの、より大きな制限を受けるようになった。
警察が舞台演出の監督をするようになり、より愛国精神に則った公演をするよう指導された。派手な演出や演奏は全て取りやめる他、楽器の名称など専門用語にも外来語を使うことが禁じられた。団員たちは反発したが、警察官に一喝されると大人しくなった。

鈴子は派手な動きを禁じられた。舞台の上に3尺(約90cm)四方の目印が付けられ、その中から出ずに歌うことを命じられた。鈴子は全身を大きく動かし、動き回ることで拍子をとる癖がついていた。それが禁じられたので難儀した。

鈴子のダイナミックな歌と踊りを楽しみにしていた客たちも、ほとんど動かない鈴子を見てガッカリした。その様子を舞台で感じ取った鈴子は、目印を超えていつも通りに歌い出した。客は一気に盛り上がった。
しかし、監視していた警察官がすぐさま警笛を吹き、即座に公演が中止させられた。客は中途半端に終わった不満を口にしながら帰って行った。

鈴子は警察署に連れて行かれ、取り調べと説教を受けた。
鈴子は大きな動きが自分の持ち味だと弁明したが、一切受け入れられなかった。それどころか、3cmあるつけまつ毛の使用も禁じられた。改めなければ、今後の公演も差し止めると脅された。鈴子は渋々受け入れ、やっと帰宅する許可が出た。

警察署内を歩いていると、茨田りつ子(菊地凛子)が警察官に連れられて歩いてきた。彼女は何度指導されても派手な化粧や衣装を改めないという。そればかりか、自分は客に夢を与える歌手だから帰るつもりはないと口答えばかりしているという。鈴子は、警察官からあのようにはなるなと釘を刺された。

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NHK『ブギウギ』第40回

先日、ある人が飛び石連休のことを「飛び級連休」と言い間違っていたんだけれど、周りの誰も突っ込まなかったし、僕もスルーしたんだけれど、どうにも気になったので本人にはきっと見つからないここに記しておく当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第40回めの放送を見ましたよ。

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第8週『ワテのお母ちゃん』

ツヤ(水川あさみ)の葬儀が終わった。梅吉(柳葉敏郎)は、ツヤはしみったれたのが嫌いだったと言って、賑やかに騒いだ。

葬儀が落ち着くと、次は経営するはな湯のことを考えなければならなくなった。実は赤字続きで、このままでは経営が成り立たないのだ。ツヤの治療費にも出費がかさんだという事情もある。鈴子(趣里)は、銭湯は少なくとも閉店、もしくは売ってしまうしかないと考えていた。梅吉のことは、自分が東京に連れて行って面倒をみると言う。
しかし、梅吉は承知しなかった。はな湯を亡き妻・ツヤの象徴のように考えていたからだ。

鈴子と梅吉が相談していると、使用人・ゴンベエ(宇野祥平)が貯金箱を持ってやってきた。彼には食事が賄われていたので、もらった給料を使うあてがなかったという。だから、一銭も使わずに全て貯めてあった。その金を銭湯立て直しに使って欲しいと願い出た。
ゴンベエの貯金は200円だった。しかし、鈴子の試算によれば、その倍の400円が必要だった(この金額、覚えておいてください)。鈴子はゴンベエに感謝しつつも、申し出を断った。

いよいよ閉店が決まり、鈴子は常連客たちに説明をした。
そこへ、三沢光子(本上まなみ)と名乗る見知らぬ女がゴンベエを訪ねてきた。
光子によれば、ゴンベエの本名は伊福部玉五郎といい、舟場の大きな呉服屋の若旦那だったのだという。親を早くに亡くし跡をついだものの、悪い取り巻きに食い物にされ大きな借金を作った。それを苦にして川に飛び込んだという噂を最後に消息がわからなくなったと話した。
ゴンベエがはな湯に来た時にはすでに記憶喪失で、彼の過去については一切わからなかった。しかし、ゴンベエは道頓堀で溺れているのを梅吉が助けた経緯があり、光子の話はそれと一致していた。

光子は、前日から神戸の旅館で働き出した。そこに尋ね人の貼り紙があり、その似顔絵が自分の知る玉五郎にそっくりだったので訪ねてきたのだいう。その張り紙は、ずいぶん前にツヤが作成してあちこちに配ったものだ。鈴子と梅吉は不思議な縁を感じた。

光子は以前からずっと玉五郎に心を寄せており、再会できたら結婚しようと願っていたという。そのための資金として、200円の貯金も作ったとはなした。一緒に人生をやり直して欲しいと願った。
ゴンベエは、昔の記憶は無くなってしまったが、こんな自分でよければ結婚して欲しいと応じた。さらに、自分と光子の貯金を合わせれば400円になる。それで一緒にはな湯を引き継ぎたいと話した。
光子は、玉五郎の願いなら喜んで承知すると答えた。こうして、ゴンベエと光子がはな湯を引き継ぐことになった。

鈴子と梅吉は、ツヤの貼り紙が奇跡を起こしたことに感激した。
一方で、梅吉は鈴子と一緒に東京へ行くことを承諾した。確かにツヤの思い出のたくさんあるはな湯は離れ難いが、ツヤのいないはな湯に自分だけがいても仕方ないと言うのだ。

こうして、梅吉は鈴子とともに東京へ向かった。

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NHK『ブギウギ』第39回

今まで『王様のレストラン』を見たことがなくてTVerで少しずつ公開されているのを見ながら、「山口智子、やっぱいいねぇ。好き」と再認識しているわけだけれど、山口智子がYouTuberになってるのを知ってびっくりしたし、そこで公開されている動画を見て「信じたくなかったけれど、山口智子の夫はやっぱり唐沢寿明なんだな」と思い知らされた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第39回めの放送を見ましたよ。

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第8週『ワテのお母ちゃん』

鈴子(趣里)が大阪の実家に帰ってきた。
ツヤ(水川あさみ)は末期の癌で、ほとんど体の自由が効かなかった。寝床は2階だったはずだが、トイレに行くのもままならないということで1階に寝かされていた。鈴子が帰ってきて喜んだものの、布団から体を起こすこともできないほどで、声を出すのも苦しそうだった。

鈴子は梅吉(柳葉敏郎)に食ってかかった。良い病院で一流の医者に診せれば治るはずなのに、なぜそうしないのかと詰め寄った。しかし、梅吉は専門医(多々納斉)の往診を受けたが手の施しようがなかったのだと弁解した。

ツヤは、鈴子を残して早死にすることを謝った。鈴子の方も、危篤の知らせを受けてもすぐに帰ってこなかったことを謝った。ツヤよりも、客前で歌うことを優先したことを悔やんだ。自分はもっと偉大な歌手になりたかったのだと、選択を誤ったと言うのだ。
ツヤはこれからの鈴子の歌を聴けなくなることを残念がった。

鈴子は、歌を聴きたいなら長生きしろと迫った。死んだら二度と歌ってやらないと言うのだ。
そんなやりとりを廊下で泣きながら盗み聞きしていた梅吉は、涙を拭いて部屋に入ってきた。鈴子は意地悪な娘だと叱り、歌ってやれと命じた。しかし、鈴子は素直に聞き入れなかった。梅吉から頭ごなしに命じられたことに腹を立て、父に対して口汚く罵った。
鈴子と梅吉の口喧嘩はまるで漫才のようだった。ツヤはふたりのやりとりを見て笑った。

ツヤの笑いに触発されて、鈴子はその場で歌ってやることにした。
幼い頃から家でよく歌っていた十八番『恋はやさし野辺の花よ』(参考動画: 子役時代の歌唱シーン)を涙を流しながら歌った。

その日、ツヤは亡くなった。

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NHK『ブギウギ』第38回

今日も寒くてテンションのあがらない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第38回めの放送を見ましたよ。

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第8週『ワテのお母ちゃん』

六郎(黒崎煌代)が上京し、鈴子(趣里)の下宿を訪ねてきた。いつ帰ってこれるかわからないので、軍に入隊する前にどうしても鈴子に会いたかったという。
ふたりは布団を並べて語り合った。

鈴子は母・ツヤ(水川あさみ)の病気にことを心配していたが、六郎も詳しいことは知らされていないという。しかし、父・梅吉(柳葉敏郎)の様子がおかしいことから、そう長くはないことが察せられると話した。けれども六郎は、自分が戦争で敵をたくさんやっつければ母の病気も治るだろうと信じている風だった。

初めはいつも通りに明るく朗らかに話していた六郎だが、徐々に口調や話題が暗くなっていった。自分が一人前として認められて招集されたのは嬉しいが、軍隊に入ったら鈍臭いとバカにされるのではないかと不安だと言う。
そればかりか、最近は布団に入ると自分が死ぬ時のことを考えてしまうのだと打ち明けた。死ぬ時はきっとすごく痛い思いをしたり、恐怖を感じるのだろうと想像される。一人で死ぬのは恐ろしく、頭がおかしくなりそうだという。鈴子は六郎が死ぬことはないだろうと励ましたが、六郎の気はまったく晴れなかった。

六郎は、鈴子の布団に入り、鈴子に抱きついて泣いた。死にたくないと何度も呟いた。鈴子はそれ以上声はかけられず、ただ六郎の頭をなでてやった。

翌朝、六郎は何事もなかったかのようにいつもの様子に戻り、鈴子に見送られて出発して行った。

その頃、ツヤも梅吉に正直な気持ちを話していた。
自分が早死にするのは、自身の悪事の罰だと考えていた。その悪事とは、物心のついた後の鈴子を生みの母・キヌ(中越典子)に会わせないようにしていたことだ。さらにツヤは、自分の死後も鈴子をキヌに会わせないでほしいと梅吉に遺言した。自分には知りようのない将来の鈴子をキヌが知ることに耐えられないのだという。自分が醜い性格であることは理解するが、どうしても我慢ならないのだと話した。
梅吉は、ツヤは醜くないと慰めた。母親とはそういうものであり、ツヤこそ最高の母親だと言って落ち着かせた。

ある朝、鈴子が劇場に出かけようとすると大阪から電報が届いた。そこには「ハハキトク」と書かれていた。鈴子は大きなショックを受けた、その場に座り込んでしまった。
下宿の大家・チズ(ふせえり)はすぐに大阪に帰ることを勧めた。しかし、鈴子は舞台の本番があるので帰れないと言う。ひとまず劇場に向かった。

劇場で事情を話したが、演出家・竹田(野田晋市)は舞台を優先するよう告げた。客にとって鈴子の代役はいない。舞台を生業にしている者は親の死に目に会えなくて当然だと言うのだ。
羽鳥(草彅剛)は、鈴子は大阪に帰るべきだと主張した。しかし、それは鈴子やツヤのことを思ってのことではなかった。鈴子は今、母の危篤や弟の出生で正気ではいられない。その苦しい心境を歌に活かして、いつもより良いショーができて当然である。心労でそれができないと言うなら、ステージにあがる資格はないのだから大阪に帰ればよいというのだ。

鈴子は、以前にツヤから言われた言葉を思い出した。梅丸に入ることが決まった時、これからはツヤだけじゃなく、大勢の客に福を届けろと言われた。自分の芸名である福来スズ子もそれにちなんでいる。
鈴子は東京に残って、客前で歌うことこそが母の願いに叶うことだと思った。

その日、鈴子は見事にショーをやり遂げた。
鈴子は、自分は歌手としてもっと大きくなりたいと願った。

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NHK『ブギウギ』第37回

今朝はなんかしんどくて起きれなかったせいで夜になってしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第37回めの放送を見ましたよ。

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第8週『ワテのお母ちゃん』

ツヤ(水川あさみ)の体調は一向によくならない。金の心配をして大きな病院にかかろうともしない。銭湯の常連の医師・熱々先生(妹尾和夫)は、友人の医者(多々納斉)を連れてきてツヤの様子を診させた。
その医者の見立てでは、もう手の施しようがなく、ツヤの命はそう長くないというものだった。夫・梅吉(柳葉敏郎)は取り乱したが、ツヤはとっくに寿命を自覚しており落ち着き払っていた。
ツヤは梅吉に口止めし、子どもたちには黙っているよう命じた。鈴子(趣里)は東京で頑張っているし、翌日には六郎が出征する。彼らに余計な心配はさせたくないと言うのだ。梅吉はしぶしぶ従った。

出征を控えた六郎は丸刈りにし、軍隊で活躍することを夢見ていた。これまで周りからは鈍臭いなどとバカにされていたが、それを見返すつもりなのだ。銭湯の常連たちに向かって、たとえ敵に撃たれても最期まで銃を手放さず打ち返し続けるなどと豪語した。
その夜、六郎は病床の母にくっついて甘えた。甘えつつも、言葉だけは勇ましかった。
ツヤは今生の別れとなることを予感しつつも、六郎が帰ってくることを待っていると言って励ました。
翌朝、六郎は銭湯の常連たちに見送られて出発した。表に出ることもままならないツヤは、床から人々の万歳の掛け声を聞いていた。

その頃、梅丸楽劇団は今後の演出方針について激論が交わされていた。
演出家・竹田(野田晋市)は従来の舞台演出を大きく方向転換するという。戦地の兵隊や銃後の国民に寄り添い、劇団も彼ら同様に耐え忍んでいることをアピールしたいと主張した。当然、これまでの華やかで楽しいだけのものではなくなる。
その方針に鈴子は猛反発した。このような時代だからこそ、人々には日常を忘れて楽しめる従来型の演目をするべきだと主張した。
しかし、あくまで鈴子は演者の人であって、演出家の竹田の方に分があった。

鈴子は竹田方針に対してイライラしながら下宿に帰ってきた。
すると、下宿の前に六郎が立っていた。鈴子に会いにきたのだと言う。

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NHK『ブギウギ』第36回

我が家のリビングには山瀬まみの写真やグッズはひとつも置かれていないのに、札幌出身で活動休止中のバンドDrop’sのポスターは貼られているわけだけれど、今朝の朝ドラ放送5分前に東京のTC楽器でDrop’sでベース担当だった小田満美子さんが働いているってことを知って、「先週の東京出張の前にこの情報を知っていれば・・・。ギターの荒谷さんが一番好きだけど、小田さんは山瀬と名前が似てるってだけでいい人なのに。。。」と悔やんでドラマに集中できなくなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第36回めの放送を見ましたよ。

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第8週『ワテのお母ちゃん』

1939年(昭和14年)9月、ナチス・ドイツのポーランド侵攻に端を発し、第二次世界大戦が始まろうとしていた。日中戦争も続いており、世間では戦争に協力しようという機運が高まっていた。

梅丸楽劇団には松永(新納慎也)に代わる演出家として竹田(野田晋市)が就任した。
竹田は劇団の方針転換を打ち出した。これまでの明るく楽しいだけの舞台ではなく、時局に合わせたものにするという。鈴子(趣里)のメイクは派手すぎると指摘し、より地味なものにするよう命じた。

鈴子はいつものように羽鳥(草彅剛)の家の夕食に招待された。
その日、羽鳥は珍しく酔っ払った。彼の敬愛する音楽教師・メッテルが国外退去処分になったからだ。メッテルはウクライナのキエフから来日し、音楽の楽しさを伝えることを信条としていた。羽鳥はそんな彼に薫陶を受けた。ところが、メッテルは近頃の日本国内の様子を見て「ニッポン人はおバカさんだ」と発言した。それによって日本から追い出されたのだ。
羽鳥はそれだけの理由で国外退去処分になったことに憤っていた。しこたま酔った羽鳥は、ふて寝すると言って寝室に引っ込んでしまった。

羽鳥の妻・麻里(市川実和子)によれば、羽からのプロポーズにもメッテルが関与していると言う。
結婚前、麻里は劇場側の喫茶店・バルボラで働いていた。羽鳥は毎日決まってアイスコーヒーを注文したという。ある日、羽鳥は「ナイスコーヒー」と注文した。その駄洒落に麻理は吹き出した。吹き出した直後、羽鳥はその場で交際を申し込んできた。交際に応じると、今度は1週間後にプロポーズされた。そしてそのまま結婚したのだと言う。
羽鳥は初めから、30日間連続でアイスコーヒーを注文する計画を立てていたという。そして、31日目に冗談を言って、笑ってくれたら告白することを決めていた。その通りになったのだ。
そして、羽鳥が結婚を急いだ理由はメッテルの教えだったという。メッテルはいい音楽のためには早く身を固める方がよいと教えられた。当時の羽鳥は劇場でジャズを演奏することを夢見ていて、それを叶えるために結婚したいのだと説明したという。
鈴子は、羽鳥の結婚の理由はきわめて自己中心的なものだと思った。しかし、麻里は彼のばかみたいな素直さに惚れて結婚を決めたと話した。

自身の恋愛事情を聞かれた鈴子は、失恋したばかりだと話した。
麻里はその失恋を芸の肥やしにすべきだと話した。生きていること全てが芸の肥やしなのだという。鈴子はその言葉に感銘を受けた。

その頃、鈴子の実家ではツヤ(水川あさみ)が相変わらず床に伏せていた。病気の原因はわからないままだが、どんなに専門医に診てもらうことを勧めても断り続けていた。金のことが心配だったからだ。国内が戦時体制に向かっており、銭湯の客足も減っているのだ。夫・梅吉(柳葉敏郎)もツヤのことをひどく心配していたが、金のことを思うと自宅療養以外に手はなかった。

そんなある日、弟・六郎(黒崎煌代)が召集令状を受け取った。それまでトロい子だと馬鹿にされていた六郎は、自分が一人前の男だと国から認められたと思って大喜びした。両親は六郎が兵隊になることを心配したが、本人の喜びように水を差すわけにはいかないと思った。一緒になって喜んでやった。

六郎が招集されたことは、すぐさま電報で鈴子に知らされた。

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