「○○クンって,優しいのね」
「誰にでも優しいわけじゃないんだよ」
今朝,いつものごとく,くだらない事をツラツラと考えているときに,そんなフレーズを思い出した.
当方,よく女の子に「いい人」だとか「親切」だとか「優しい」だとか思っていただいたり,言っていただいたりすることがある.たいていは,そっけなく「ありがとう」と言ったり,オチャラケで「いや,死んだ爺ちゃんの遺言が『女性に優しく』だったから」と煙に巻いたりしている.今度同じようなことを言われたら,もうちょっと気の利いたことを言おうと,今朝思った.それで思い出したのが,冒頭のセリフ.
それで,このセリフの出典はなんだっけと考えて,思い当たったのが高校1年の春に読んだ村上春樹のノルウェイの森.ただし,本当にそうかどうかは自信がなかった.ちょっと読書好きの女の子なら「ふふ.それって,△△のセリフのパクリじゃないの?」って言いそうだし,その時に話をあわせたり,僕が考え違いをしていて恥を書かないように,きちんと出典にあたって理論武装しておく必要があると思った.そんなわけで,書店を3軒回り,ノルウェイの森を入手し,問題のページに貼る付箋まで用意して一気に読み込む(いつもの事ながら,このエネルギーを・・・).
以下,長くなる前に,同じ手を使おうとしているご同輩のために結論だけ述べておくと,このセリフはノルウェイの森には載っていない.誤用して赤っ恥をかかないように気をつけたまえ.
さて,以下はグダグダ文である.
ノルウェイの森を初めて読んだのは,上にも書いたとおり高校1年生の春.割と具体的に時期を覚えているのは,その頃お付き合いしていた女の子から借りて読んだから(つーか,彼女も友達から借りていたものを僕に又貸ししたんだけれど).当時,ノルウェイの森はベストセラー作品でありミーハーな興味があったことと,僕が The Beatles にかぶれており彼らの曲名を冠した小説に非常に興味があったこと,そして何よりも,彼女との共通の話題のためっつーのが読み始めた理由だった.
特に,The Beatles の “Norwegian wood” はギターとシタールの旋律がとてもきれいで,僕の大好きな曲の一つだった(Norwegian wood が収録されているRubber Soulは,ほかにも Michelle とか Girl とか In my life とかメロディアスなアコースティックナンバーが目白押しで,大好きなアルバムだな).”Norwegian wood” は John Lennon が不倫相手との情事を隠喩的に歌った曲なんだけれど(ヨーコの前の奥さんの時代),とにかくきれいなメロディーで「いかにも恋の歌」って感じだった.小説ノルウェイの森も,当時は「珠玉の恋愛小説」みたいな紹介のされ方であり,僕は勝手に「きっと,ビートルズの曲のようにロマンチックな小説なんだろうなぁ」と勝手な予想の下に読み始めた.
しかし,当時の僕は「こんなもん,読むんじゃなかった」と激しく後悔したのを覚えている.
(今でも本質はあまり変わっていないと,本人は思い込んでいるのだが)当時の僕は,恋愛に関して非常に保守的で,古風で,プラトニック志向で一途なもので,いやカッコつけて言うとその通りなんだけれど,要するに「お子ちゃま」だったわけです.ギリギリ,その時付き合っていた女の子と,生まれて初めてキスをしたかしなかったかの時期だったと思う.
そんなわけで,主人公ワタナベがとっかえひっかえ行きずりのセックスをしたりする姿にすごく幻滅したり,「なんて不潔な小説なんだ」と憤慨したりしていた.
#そう,まるで,登場人物の緑ちゃんの元カレみたいなタイプやったわけ.
15年経った今,とにかく面白い作品だった.
何が面白かったかと言うことについて,たくさん書きたいことがある.小説を読みながら「後でblogにあんなことを書こう.こんなことを書こう」とたくさん考えながら読んだ.
しかし,いまキーボードに向かうと,なんだか胸がいっぱいになって何も書けなくなった.
あんなにつまらない小説だと思っていたのに,15年の年月が僕を全然違う人間に変えてしまったようだ.
以上,終わり.
思わせぶりなところで終わって,申し訳ないです.勘弁.
どうしても聞きたい人は,どっかの飲み屋でウィスキーを3杯くらいおごってくれたらお話します.
一つ書いておくと,僕は緑が好きだな.
も一つおまけ.この小説のラストシーンは,The Beatles の “Nowhere man” がモチーフなのかも.