連続テレビ小説「だんだん」 第12回

見ていて面白いドラマというのは、主人公が自分で運命を切り開いていくタイプのドラマだ。その観点から見ると、主人公がふたりもいるのに、その両方が自分の進路の決定を家族に任せっきりにしていたり、出生の秘密も自分からは積極的に行動することなく受動的に知ってしまったりと、盛り上がるべきポイントに全て肩透かしを食らっていてガッカリしている当方が「だんだん」の12回目の放送を見ましたよ。

祇園ののぞみ(三倉佳奈)のところへ、音楽事務所のスカウトマン(山口翔悟)が姿を現す。松江でのデュエットを聞いて目をつけたのが理由だ。彼はのぞみに対して、役所で戸籍を調べれば事実がわかると入れ知恵する。舞の披露会の準備で身動きが取れないのぞみは、松江のめぐみ(三倉茉奈)が役所に行くよう指示する。躊躇するめぐみであったが、「今の家族が本当の家族。自分は双子ではない」という確信を得ることを目的に役所へ向かう。そこで目にした戸籍謄本には、松江の母とは違う人物の名前が記載されていた。


今日はまず、スカウトマンの長強力な洞察力に「ほんまかいや」と突っ込みを入れざるを得なかった。のぞみは祇園の家族に対して、自分が松江でめぐみと出会ったことを隠し通している。その状況をスカウトマンの彼は、関係者の顔色をほんの一瞬見ただけで理解してしまう。そして、とっさに自分とのぞみとの出会いについてウソの説明をする。そういうのってアリかよ?
その上、のぞみが一生祇園で生きていきたいと述べたところ、「それは自分で決めたことなのか?」と達観した一言を発する。僕たち視聴者の立場からは、主人公ふたりの生き様を俯瞰的に見ることができるので、彼女らが自分の行き方を周囲の人々に任せっきりにしているということがわかる。しかし、ドラマの世界に生きており、主人公らともほとんど時間を一緒にすごしたことのない彼が、どうしてそこまでの事情を察することができるのか。まぁ、フィクションの世界なので、超人的な能力を持った人物が登場してもいいわけだが、そういうのは緻密な脚本のうえでこそ映えてくるものだ。脚本の欠点を埋めるために、都合の良い展開やら人物やらを登場させるのは、あまりいい印象をもてない。

めぐみが役所へ向かうことを決めた心変わりも、かなり強引っぽかった。特に大きな波乱もなく(あったのは、「赤いスイートピー」を口ずさんだことと、家族のスナップ写真で母に焦点が当たることくらい)、役所へ足を向けた。一応、彼女の心境としては「今の家族が真の家族」ということを証明したかったという説明がなされてはいたが、視聴者の視点からすれば、そんなことが証明されないことはわかりきっているわけで。
「出生の秘密は、もう2週間も引っ張ったし、そろそりケリを付けたい事情があります。ここいらでひとつ、主人公が事実を知る必要があります」
と、脚本が展開の都合を無言で語っているような雰囲気がプンプンしました。

ただし、僕が注目していることの一つに、「秘密解明の主導権の交換」というドラマの構造があります。これに関しては、昨日までのぞみが握っていた主導権が、戸籍を見たということでめぐみに渡された形になります。次に、彼女がどのように物語を引っ張っていくのか、来週の放送を楽しみにします。

来週月曜の放送では、のぞみからめぐみに電話がかかってくると思う。その時、一度はめぐみはウソをつくんじゃないかと予想しておく。「まだ、役所には行ってないからわからない。それに、知りたくもないし!」とかなんとか言って、一筋縄ではいかないようなドラマ展開にするんじゃないかなぁ。
一方で、のぞみの方は京都の産婦人科医あたりから話を漏れ聞いて、確固たる真実を知るとか、そういう展開にするんじゃないかなぁ。

なんといっても、「主人公が能動的に話を引っ張る」ということが非常に少ないドラマですし。

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