連ドラ「だんだん」 第24回 (10/25)

鯉や!
「ちりとてちん」の第4週「小さな鯉のメロディ」といえば、喜代美が三味線演奏で草々の落語会を手伝い、彼の不器用な優しさを知り、恋が芽生えるという話だった。自分の気持ちに気づいていない喜代美が、居酒屋大将の「鯉や!(料理の材料)」と叫ぶ声を聞いてハッと恋を自覚するというトボけた展開が最高だったなぁ・・・、よく練られたシナリオに毎回感服したなぁ・・・と遠い目をしてしまう当方が、「だんだん」の24回目(第4週ラスト)の放送をみましたよ。

京都の福祉大学へ進学したいと、家族に打ち明けるめぐみ(三倉茉奈)。しかし、父・忠(吉田栄作)は頑なに反対する。めぐみからすでに相談を受けていた真喜子(石田ひかり)は、島根で忠に面会し、めぐみを預かりたい旨を申し出る。めぐみは再度、家族を集めて京都行きを力説する。歌には人々の心を和らげる力があると信じているめぐみだが、歌を捨てでも福祉師の勉強に打ち込むと約束する。最後の1曲を家族の前で披露し、それが忠の心を動かした。ついに、めぐみの京都行き、そして真喜子、のぞみ(三倉佳奈)と共に暮らすことが許されたのだ。

歌で済んだら警察いらんよなぁ。
めぐみの周囲の人間のそれぞれが微妙に異なる思惑を抱いているかのように描かれてきたので、それらがどのように収束し、昇華していくのかと楽しみに見ていたのだが、結局、「歌に感動した!よし、がんばって行ってこい!」という結びですかいや。
申し訳程度に、真喜子や嘉子(鈴木砂羽)の後押しするかのようなセリフもあったような気がするけれど、冷静に見ると、忠にも視聴者にもまったく説得力のない言動だった。

「ちりとてちん」の歌のシーンでは、涙がボロボロと止まらなかった当方なので、ますます「だんだん」の歌のシーンでシラケまくってしまうのだ。
「ちりとてちん」97回目の放送は、主人公・若狭(貫地谷しほり)が実家で落語会を開催し、夫婦喧嘩で別居状態の両親を呼び寄せて仲直りさせるという話。へそを曲げている母(和久井映見)は娘の落語程度では興味を示さない。そこで、彼女が大好きな五木ひろしを特別ゲストとすることで、なんとか家まで来てもらう。しかし、渋滞に巻き込まれてしまって、五木ひろしは来れなくなってしまった。
特別ゲストが来ないことで立場をなくした若狭の窮地を救うため、父・正典(松重豊)が客席から五木ひろしの「ふるさと」を歌う。

「ふるさと」を歌う正典

五木ひろしの歌の中でも、特に「ふるさと」が好きな母は、深く頭を下げる。
「お前のためやない。喜代美のためや。」
と、照れ隠しとも、本心ともわからない返事をする父。
「わかっとる。ほやさけ、余計に嬉しいんや」
と、こちらも照れ隠しのようにも、本心のようにも取れる母の言葉。

この「ふるさと」は、1973年の紅白歌合戦で、五木ひろしが実際に歌っていた曲(wikipedia に記録がある)。テレビの前で放送を見ていた母であったが、歌が始まるや陣痛が激しくなり分娩室に運ばれていく。五木ひろしの歌に未練を残す妻のために、夫が分娩室の前で大声を張り上げて歌ったという逸話のある歌。夫婦と親子の絆が、この歌にうまく収斂されていて、ドラマ全体を結ぶ大きな柱の一つになっていた。

さて、「だんだん」に話を戻しましょうか。
今日、めぐみが家族を説得するために歌った曲は、松任谷由実の「守ってあげたい」だった。
この歌にこめられた思いってなんなんだろう?その曲に重要性がまったくわからなかった。
すくなくとも、主人公らにとっての運命の曲は「赤いスイートピー」なのだから、それでグイグイと押すのがスジじゃないか(まぁ、いい加減、「赤いスイートピー」にも飽きてきたが)。「赤いスイートピー」なら、”ああ、京都で別れて暮らしている家族への思いもあるんだなぁ” とか、”真喜子が好きな歌だから、忠も彼女のことを考えて、態度を軟化させたんだなぁ”とか、登場人物たちの心情を補完しながら見ることもできたんだが。
ユーミンの「守ってあげたい」から、何をどう感じればいいのか。

いっそのこと、義理の母・嘉子の愛唱歌「北酒場」にした方がよかったんじゃね? “義母のあなたから離れていってしまいますが、あなたのことを思うので、この曲を歌います” という気持ちの表れだと考えることができて、俺だったらめぐみの優しさに2デシリットルくらいの涙を流したかもしれない。

ああ、「守ってあげたい」。なんだろうか、この、脚本の五里霧中感は。
このドラマの性格上、生き別れの双子がセットにならないと、大胆に話を展開できないという大人の事情は分かるような気がする。来週からはついに、京都での共同生活が始まるわけで、そこに一縷の望みを託す。面白い展開にまれますように。

コメント (1)

  1. alm-ore

    三倉茉奈の「守ってあげたい」: NHK「だんだん」より

    10月25日の「だんだん」の放送では、自分の進路希望を説得するために、主人公・めぐみが家族の前で松任谷由実の「守ってあげたい」を歌うシーンがあった。 すで…

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