美味しい料理はたいてい「秘伝」だ。
ていうか、あまり美味しくない料理でも「これは秘伝の調理法に基づいて作られました」と言われたら、それだけでなんとなく美味しく感じる。美味しく感じないのは自分の味覚がオカシイのであって、秘伝の味を理解できない自分の舌を恥ずかしく思い、「うん、まぁ、そうだね。うんうん、よく味わえば美味しい気もしてきた・・・」とかなんとか、適当に話を合わせたりするのが人情だ。
僕は料理のセンスが全く無い人間なので、チャーシューをどうやって作るのか知らない。
ていうか、料理店でチャーシューを食べるたびに「美味しいなぁ。きっとこの店秘伝のレシピで作ってんだろうな。俺が作るなんて百年早いな」なんて謙虚に考えていたりする。
ところが、世界で一番美味しいチャーシューを、豚肉と醤油だけで作る秘伝の技があるらしい。
いや、秘伝じゃない。とても有名らしい。
「東海林さだお チャーシュー」で検索するとたくさん出てくる。
そう、東海林さだおが『ブタの丸かじり』という本の中で「簡単チャーシューの作り方」として紹介している。
そして、それを真似してあちこちで「美味い!」の声が上がっている。
もう、秘密でも秘伝でもない。
秘伝の反意語がなんであるのか、僕は知らない。
国語の成績は昔から良くないからだ。先日もマジスパで「矜持」という漢字が分からず(ケータイの日本語変換でも候補が出てこなかった)、そばに居たよく会う馴染みの女の子に「”きょうじ”ってどういう感じだっけ?」と聞いて、やっとtwitterに投稿できたくらいだ。
だから、秘伝の反対が「公伝」でいいのかどうかわからないが、東海林さだおのチャーシューレシピを僕も公伝する。