マンガ『酒場ミモザ』3巻に、主人公らが阪神淡路大震災の傷跡が残ったままの神戸を訪れる話が描かれている。画家の卵である主人公が、瓦礫の中に散らばった画家道具を見つけて、思わずしんみりするシーンがある(p.65)。
左上のコマには、描きかけと思しき作品が顔をのぞかせている。
目を凝らすと、キャンバスにはいいかげんに描かれた人の顔が見える。一瞬、作者の手抜きかと思われるワンカットだ。
しかし、僕は知っている。
これは、漫画家トニーたけざきの自画像だ。
キャンパスに描かれた署名をよく見れば、ちゃんと “Tony” と記してあるようにも見える。