明日(20日)午後5時よりNHK総合で、布美枝の少女時代から結婚までの総集編が放送されることを知り、一応押さえておいた方がいいよと宣伝するた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第72回めの放送を見ましたよ。
布美枝(松下奈緒)が風邪で寝込んだ。茂(向井理)は仕事をそっちのけで世話を焼く。現金が払底してしまったため、鼻紙すら買えない。描き損じの漫画原稿をしごいて鼻をかむありさまだった。ろくな食料もない中、先日はるこ(南明奈)が持ってきてくれた みかんの缶詰を開けて、それだけで夕食を済ませる。
みかんを食べながら、漫画をやめると言い出す茂。40歳を過ぎても芽が出ないのだから将来はない、映画の看板描きに転職するとボヤいた。茂の弱音を聞くのは初めてのことで、布美枝はショックを受けた。何か声をかけるべきなのだろうが、布美枝は言葉を発することができなかった。
居間で寝ていた布美枝は、夜中に仕事部屋から聞こえてくる物音で目を覚ました。茂がまたしてもプラモデルを作っていたのだ。体調が少し良くなった布美枝は、茂の作業を手伝った。
ふたりはプラモデル作りに没頭した。布美枝は、模型作りの楽しみもわかってきたが、茂と一緒に作業するのが何より楽しいのだと話す。結婚前の茂には腕が1本しかなかったが今は合わせて3本もある。自分は何があっても茂についていくつもりだ。だから、これからも漫画を続けて欲しいと訴えた。それを聞いて、茂も元気を取り戻すのだった。
翌日、戌井(梶原善)が原稿料を届けに来てくれた。戌井も相変わらず苦しく、全額というわけではなかった。しかし、茂も布美枝も急場を凌ぐには十分であると笑顔で受け取る。ふたりの明るさに戌井も元気づけられて、意気揚々と帰っていくのだった。
数日後、いよいよ年の暮れを迎え、布美枝は家中の掃除に余念がない。
そんな中、呑気な茂は大海原に白波が立つ絵を描いていた。その上に戦艦のプラモデルを据え置くと、波を切って進む艦隊のジオラマになるのだ。忙しいのにと文句を言っていた布美枝であるが、ちゃぶ台の上に展開する勇壮な情景に見とれ、愉快な気分になってきた。
さらに、藍子が本人初となる二足直立歩行に成功した。歓喜する茂と布美枝。一家は、貧しさに負けることのない、明るさと前向きさとを完全に取り戻したのだった。
オープニングのテロップを見た時は、登場する役者が3人だけだったので、どんなショボイ週末になるのかとガッカリしたのだが、本篇は密度が濃く、きれいに1週間を締めくくった。
前半では、ついに茂が貧乏暮らしに挫けてしまうという、物語の根幹を揺るがす大事件(とはいえ、水木しげるがこの後売れっ子になることはわかっているので、全然心配にならないのだが)。
それを受け、後半では布美枝が無条件の愛情で茂を支えると宣言。茂も元気を取り戻すことができた。さらには、夫婦の前向きさが戌井までも感化し、明るさが周囲に伝播していく。
見てるこっちもいい気分になりました。
沢木耕太郎の『深夜特急』を読んでいて、「航跡」という言葉に出会った。今朝、本文を書いているときにこの言葉を知っていればなあ。