オトナのための性教育ビデオですかね、これは。
小学5年生の女の子(甘利はるな)が、妊娠・出産するというお話。
父親は、幼なじみで同級生の男の子(川村悠椰)。性に関する知識を全く持っていなかったふたりが、わけもわからず遊びの延長上で性交して妊娠するという流れ。あまりにあまりな設定だが、小学5年生ならば初潮・精通も終わっていて不思議ではない年頃なので、生物学的にはアリなお話だろう。
妊娠の事実はクラスメイトたちには知られることとなったが、大人達には一切秘密にされた。それでも胎児は時間と共に成長していき、主人公は破水してしまう。大人達の助けなしに小学生たちだけで出産に挑む。それもどうかというストーリーだが、駅のトイレで一人で出産してそのまま乳児を遺棄するというニュースもたまに聞こえてきたりするので(あんまりいいたとええじゃないけど)、まぁアリっちゃアリなお話しなのかもしれない。
小学校の担任役が麻生久美子(当方は、「麻生久美子の出演作を全部見るぞチャレンジ」を行なっており、その一環でこの映画を見た)。児童たちからは信頼されず、親たちからも力不足と見なされ、孤立無援になるという役どころ。
子供たちに命の尊さを教えようと思い、周囲の制止を振りきって独断で性教育を行う。それは子供だましのものではなく、性の全てを赤裸々に伝えるものだった。その事によって、ますます周囲から孤立することになる。
なお、主人公が妊娠することとなった性行為はこの授業とは無関連であり、授業よりも前に行われていた。それにもかかわらず、担任教師が責め立てられることになる。
オトナたちの言い分は、必ずしも正しい性教育をコドモに行う必要はないというもの。下手に刺激することによって、むしろ面白半分に性を捉え、取り返しの付かない問題を引き起こすに違いないというもの。
コドモへ「性の真実」を知らしめるのはやめたほうがいいという意見と、隠し立てせずに全て教えたほうがいいという意見は、どうも昔から根強い対立があるようだ。
僕は自分の生涯を振り返ってみると、前者の考えをもつオトナたちのもとで育ってきたように思う(男子と女子でオトナの対応が違うという側面もあろうが)。今、自分がどちらの立場かと聞かれれば、後者に立つつもりだ。ただそれは、自分が子供を持たず、責任ある立場にないから、そう気軽に言えるに過ぎないのかもしれないが。
そういった難しい問題を考えさせるという意味で、オトナの性教育ビデオだと思った次第。