NHK『カーネーション』第18回

女の子から初めて手芸品をもらったのは中学2年生の時で、それは少々ヤヤコシイ状況であったわけで、僕と仲の良かった女子クラスメイト(互いにタイプではなく、恋仲でもなかった)が「AちゃんはTくんの事が好きで、彼の誕生日に手編みの手袋をあげるつもりなの。だけど、編み物は初めてで、うまくいくかどうか心配してるの。そこで木公を練習台として、まずはアンタの手袋を編むことにしたの。手形採らせて。」と言うもんだから、しかたねぇなぁとノートに手を広げてシャープペンシルできちんと輪郭をなぞったまではいいが、数週間してできあがった白いミント型手袋は編目がギチギチに詰まっていて、どんなに伸ばして履いても掌が三分の一ほどはみ出してしまい、冬の北海道で着用するにはどうしようもない代物だったわけだが、Aちゃんが傷ついたり自信をなくしたりするのもかわいそうだと思い何日かそれを履いて登校したのだが、やっぱり手首にたっぷりと雪が吹き込んで大変な思いをしたけれど、それはまだ序の口で、編んだ本人のAちゃんがスヌーピーだと言い張る手の甲に施された模様はどう見ても潰れた豆餅のような物体であり、女子からの視線が気になるお年ごろでもあったわけで、ただでさえダサい自分がもっとダサく見えることに恐怖し、家に放置したわけだけれども、気づいたら次シーズンには、なんとうちの母親がそれを履いて自宅前の雪かきをしており、どうやら彼女の手のサイズにはピッタリと収まったようであるし、ああ良かったなぁ、これで豆餅スヌーピーも報われるだろうと感慨にふけり、未だに実家に帰ると物置部屋の片隅にそれが落ちているのを見かけては「結局、AちゃんはTくんにフラれたんだよな。その後Aちゃんは幸せにしているんだろうか。器量も気立ても編み物も、どれ一つとっても俺のタイプではなかったけれど。」などと過ぎ去りし日々を回想したりする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第18回目の放送を見ましたよ。
* * *
第3週「熱い思い」
善作(小林薫)に自分の作った洋服を着させて認めてもらおう。そう決意した糸子(尾野真千子)であったが、肝心な洋服の縫い方が分からない。パッチ店の大将・桝谷(トミーズ雅)のワイシャツをじっくり観察したり、ミシンを操作しながら様々に考えをめぐらしたり(そして、縫製を失敗する)していたが、どうにもうまくできそうに思えない。

パッチ店のみんなに事情を説明し、相談にのってもらった。すると、田中(湯浅崇)がアッパッパを作ることを勧めてくれた。本来は女物であるが、着やすくて涼しいので今の季節には最適であり、自分も家でくつろぐ時に着ているという。浴衣の生地を流用できるし、一般的な洋服に比べて縫うのも簡単なので、糸子ならうまくやれるだろうと言うのだ。
パッチ店の女将(一木美貴子)は浴衣用の上等な生地を見つけてきてくれた。みんなに応援されていることに勇気づけられた糸子は、ついにアッパッパを作り始めた。

善作用のアッパッパには、独自の工夫を盛り込んだ。足が出過ぎないように丈を長めにしたり、襟を着物のように仕上げたりと、善作が抵抗なく着れるようにした。生地の糊付けや裁断は、祖母(正司照枝)の協力を得て、自宅で善作の目を盗んでこっそりと行った。呉服屋なので、浴衣の生地を扱うのに適した道具がたくさんあったのだ。

縫製はパッチ店のミシンを借りて行った。そしてついに、アッパッパは完成した。それは糸子の自信作であったし、店のみんなも出来栄えをたいそう褒めて、感心してくれた。
いよいよ、善作に手渡す段となった。

その頃、善作はとても機嫌が悪かった。
善作と一緒に「日本の伝統を守る、洋風なものに徹底して対抗する」などと気勢を上げていた、隣の履物屋・木岡(上杉祥三)が約束を破って洋靴を売っていることを知ったのだ。木岡は、商売は時流には逆らえない、実際によく売れているなどと抗弁するが、善作の血圧は上がる一方だった。

家で待っていた糸子は、善作に声をかけたが無視された。少し様子がおかしいとは思ったが、まさか善作が激怒しているとは思いもしなかった。
夕食の前にあらためて自作のアッパッパを差し出した。それを一瞥した善作は、汚いものでも触るかのようにつまみ上げ、妻・千代(麻生祐未)に捨てるように命じた。それ以上、アッパッパについても糸子の行為に関しても、何も言わなかった。

しかし、そんなことでめげる糸子ではなかった。こっそりとアッパッパを取り戻して、自宅の呉服店の商品棚に忍び込ませておいた。

客がやって来た。善作は浴衣を買わせようと勧めるが、その客は懐紙だけを買いに来たと言って聞く耳を持たない。ところが、棚を眺めているうちに、糸子のアッパッパを発見した。客はちょうどそういう物が欲しかった、他所で探しても見つからなくて困っていたという。
売り物ではないと説明する善作であったが、客の剣幕に負けて、つい値段を付けて売ってしまった。

それから、善作の態度は豹変した。店で堂々とアッパッパを販売し始めた。作製は当然糸子の役目であった。彼女は、2日に1着のペースで作り続けなければならなくなった。そして、善作は涼しくて動きやすいといって、自分もアッパッパを来て街中を歩くようになった。
糸子は遊びに行くのもままならず、毎日遅くまでパッチ店に残ってミシンを動かした。

ある夕、大忙しでアッパッパを縫っている糸子に、パッチ店の大将が真剣な様子で声をかけた。店を辞めて欲しいというのだ。
* * *

トントン拍子でアッパッパが完成し、軽い抵抗の後、都合よくアッパッパが客に気に入られ、善作が回心するという内容。ストーリーだけ文字に起こすと、すげぇつまらねぇ。できすぎだろ、つまらねぇ。

しかし、しかしなのだ。
芸達者な役者たちとテンポの良い展開、凝った演出などが相まって、実際にドラマを見るとすごく面白い。尾野真千子や小林薫が好きだという筆者の贔屓目を差し引いても、面白い。

善作の留守中に、裏庭でこっそりかつ白昼堂々と生地に糊付けする糸子。どういう作業かというと、身の丈以上の板に生地を貼りつけ、その上からハケで糊を塗っていく。それを天日干しにするのだ。
その時、十分に広い庭ではないので、板の上の方にはよく陽が当たるが、下の方は家の陰になってしまっている。そのため、時間が経過した後、上の方はパリパリに乾いたのだが、下の方が濡れたままだという細かいシーンがあったのだ。感動した。しゃがみ込んで、無駄だと知りつつも、着物の裾でパタパタと風を送って乾かそうとする糸子が可愛かった。家のマスコットとして欲しいと思った。

さて、ラストでは糸子に解雇宣告がなされました。あんなに店にうまく馴染んでいた糸子に何があったのか、とても気になる所で来週に持ち越しです。

なお、今朝は寝坊してしまし、8:40に起きたら放送時間を過ぎていました。
しかし、そんなこともあろうかと、毎日タイマー録画をセットしていて事なきを得ました。
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