NHK『額縁をくぐって物語の中へ』を見ていて、江戸時代の絵師・歌川国芳の作品に「其のまま地口 猫飼好五十三疋」という猫のとんち絵で東海道五十三次を描いたものがあることを知り(Wikipediaで調べる)、また東海道を走りたくなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第35回目の放送を見ましたよ。
踊り子・サエ(黒谷友香)のイブニングドレスを受注した糸子(尾野真千子)であったが、どうも気が進まなかった。サエの傲慢な態度が気に入らないのだ。
同僚の川本(駿河太郎)は、そんな糸子を励ましてくれた。立派なイブニングドレスを仕立てればダンスホールで評判になり、多くの踊り子が糸子の元へ殺到するに違いないと言うのだ。それを聞いて糸子はその気になり、迷いも吹っ切れた。
ロイヤル紳士服店での仕事を早めに終えると、自宅でイブニングドレス作りに没頭した。神戸の祖母(十朱幸代)から借りてきたドレスを勝手に分解して研究した。徹夜して、その日のうちに安い布を使用した試作品を完成させた。
そのまま眠り込んだ糸子が再び目を覚ますと、母・千代(麻生祐未)が勝手にドレスを着て踊っていた。若い頃、何度もイブニングドレスを着て舞踏会に行ったことがあるのだという。意外なところに参考人がいることに糸子は驚いた。
千代によれば、糸子の試作品は踊りやすさが全く考慮されていないという。ダンスのポーズを取ると布が引き連れて違和感があるという。そのため、ドレスと踊り手の見た目も悪くなってしまうと指摘した。
しかし、どこか間の抜けている千代は、ドレスを仕立てる時の具体的な手順はすっかり忘れてしまっていた。糸子の詳しい質問には一切答えられなかった。そこで糸子は、神戸の祖母に電話で話を聞いてみた。祖母によれば、仮縫いと試着を繰り返し、本人の体型にぴったり合うまで何度も修正を加えるのだと教えてくれた。
サエの人となりを好きになれない糸子は、彼女に何度も会う羽目になるのが気に入らなかったが、教えてもらったとおりにすることにした。
ロイヤル紳士服店で試作品を試着したサエは大喜びした。もう何も作りなおす必要はないから、これをそのまま引き渡せと騒ぎ出した。
しかし糸子は、これはあくまで見本であり、粗末な生地で作ってあるので売るわけにはいかないと断った。自分は客に最高のものを着せるという矜持がある、だからこんなものを着せるわけにはいかないのだ。
糸子とサエは激しい口論になった。
糸子は、洋裁とダンスという専門分野の違いはあるが、その道の玄人として最高のものを客に提供したいという気持ちがわかるはずだと主張した。ところがサエは、自分はそんなに立派なものではないと反論した。自分の仕事は、男に合わせて適当に踊るだけであり、専門性も矜持も持ち合わせていないと言い切った。
糸子はそのように下品な女のドレスを作るつもりはないと啖呵を切り、部屋を出ていってしまった。
残されたサエはじっと考えこんでしまった。
昨日、酷い風邪で寝込んでいて、いよいよヤバイか?と心配させた神戸の祖母でしたが、今日はすっかり快復していました。特に後もひいていないようで、ピンピンしていました。なんじゃそりゃ。
岸和田の祖母(正司照枝)と糸子のプチバトルというのもありました。夜なべしてミシンを使う糸子なのですが、祖母はそのすぐ隣りの部屋で寝ている。糸子の体調が心配なのと、うるさくて眠れないことがあって、祖母は糸子にミシンをやめるよう注意する。いったんは言うことを聞く糸子なのだが、隙を狙って再開する。コント仕立てでそういうやり取りがしばらく続きます。
ところが、どうもピンと来ないシーンでした。
なにやら、今週はちょっと質が落ちているように思えます。
とはいえ、朝ドラの平均的な出来を大きく上回っていることに違いはないですが。
ロイヤル紳士服店の試着室のシーン。僕の見間違いでなければ、部屋の電球から壁に向かって、1本の蜘蛛の糸が伸びているのが光って見えました。わざわざ蜘蛛の糸を張るという、大道具さんの細かい芸に感心しました。しかもそれは、試着室があまり使用されていない → 使わないから掃除の手を抜く → 外面が良く、自分の身だしなみにはこだわるが、見えない所は気にしないという店主の性格 → 威張っている割には店はそれほど繁盛しているわけでもない ということをたった1本の蜘蛛の糸で表現したのではないかと思われます。
素敵です。