NHK『カーネーション』第38回

ドラマ『坂の上の雲』の記者会見で高橋英樹が「3年がかりの大作なので途中で予算が切れ、最後はナレーションだけで済ますのではないかと心配した」などと言っているのを聞いて(ここに出ている会見の発言だが、件の発言はカットされているようだ)、話が完結する前に打ち切りになり最終回は文字説明ばっかりだった漫画界の迷作『日露戦争物語』(江川達也)を思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第38回目の放送を見ましたよ。

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第7週「移りゆく日々」

糸子(尾野真千子)のイブニングドレスはダンスホールの踊り子たちの間で大評判となり、ロイヤル紳士服店は大繁盛だった。2ヶ月先まで埋まっていた注文も、やっと折り返し地点まで来た。すると今度は、最初の頃にドレスを作った客が普段使いのワンピースも欲しいと言ってくるほどだった。婦人服をバカにしている店主(団時朗)であるが、金儲けのクチになるのでたいそう機嫌が良かった。

踊り子のサエ(黒谷友香)と糸子はすっかり打ち解けていた。最近のサエはロイヤル紳士服店には顔を出さず、糸子が居る時を狙って家に遊びに来るようになった。サエはロイヤル店主の意地汚い性格を知っており、彼と顔を合わせたくないのだ。彼に金が流れるのも気に入らない。
家にはミシンもあるし、糸子の評判は高まっていることを理由に、サエは糸子に独立することを勧めた。糸子もその気になり始めた。

早速、糸子は善作(小林薫)に店を辞めて独立したいと相談した。
ところが、酒を飲んですでに酔っ払っている善作はめちゃくちゃなことを言い出した。まず、糸子が「小原洋裁店」と言ったのが気に入らなかった。ここは呉服店だと言ってへそを曲げた。
次に、ロイヤル紳士服店に修行に出た糸子が身に付けたのは職人の腕前だけであり、そもそもの目的である商売人としての腕は挙げていないと難癖を付け始めた。イブニングドレスで繁盛したことは認めるが、それだけで商売人として成功しているとは言えない。

そこで善作は、もう1軒別の店を繁盛させることができたら独立させてやってもいいと、酔いに任せて適当な約束をした。
糸子は腹を立てたが、それに従うほかなかった。ロイヤルの店主に、ドレスを全て仕上げたら店を辞めることを申し出た。金のなる木を失うわけにはいかない店主は、困った顔を見せたり、怒ったりして引きとめようとするが、当然糸子の意思は固かった。父との約束のことを打ち明けると、店主は呆れてしまいそれ以上何も言えなくなった。

その頃、奈津(栗山千明)が玉枝(濱田マリ)の店に髪を結いにきた。翌日が入籍だという。ただし、父(鍋島浩)の喪中で式は挙げられない。父が買ってくれた高価な花嫁衣裳なのに、父が自分で無駄にしてしまったなどと、奈津は皮肉な冗談を言っていた。

ところが次第に顔を曇らせ、玉枝に打ち明け話を始めた。自分は小さい頃からずっと、玉枝の息子である泰蔵(須賀貴匡)のことが好きだったのだと。自分のことなど知られていないと思っていたのに、名前を知ってくれていて嬉しかったなどと話した。そのあたりまで話すと、しくしくと泣き出すのだった。
玉枝は人払いをし、奈津の気が済むまで店で泣かせてやるのだった。

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伝統的に、女性にはマリッジブルーというやつがあるということは知っている。僕は男だし、結婚経験も無いのでその気持ちを正確にわかるわけではないのだが、いわゆる一般常識としてそういう心境になる女性が多いらしいということを知っている。身近で「私、マリッジブルーになっちゃった。えへ」なんて話している女性に会ったことがないので、もしかしたらマリッジブルーというのは虚構なのかもしれないが、とにかく小説やドラマの中によく出てくることは知っている。

そういうわけで、いつもツンケンしている奈津もマリッジブルーかぁ、とドラマ界のお約束を素直に受け入れながら見た。

でも、そういう時って、自分の好きだった男の母親にわざわざ打ち明けたりするもんなんですかね?そこらへんの女心は、僕はよーわかりません。普通は「そんなん言われた母親も困るやろ。どーしようもないし」と思って控えたりしないんですかね?よーわかりません。

とはいえ、そこは、このドラマの中の奈津の立場を描いてるのかもしれませんが。いつも堂々として、化粧や髪もバッチリと決め、気丈な外面を作っている奈津。他に自分の弱みを見せられる人がいないということなのでしょう。特に、幼なじみの糸子のことを誰よりもライバル視していますし。
そして、髪結いの前では、髪を整える前の素の自分をさらけ出すことになる。
化粧前の姿をさらけ出すことと、自分の本心をさらけ出すということを、髪結い相手という点で結びつけたという演出なのでしょうか。
玉枝が髪結いだという設定がとても良く活かされていると思いました。

そして、それを受け入れる玉枝も優しい。
途中で、奈津の初恋相手・泰蔵の妻・八重子(田丸麻紀)が外出から帰ってくる。その気配を察した玉枝は、慌てて外に出ていき、八重子を追い払ってしまう。奈津の泣き顔を第三者に見せないようにしつつ、恋のライバルに会わせないとするとっさの機転が素晴らしい。
単に奈津を泣かせるだけじゃなくて、そういう展開を1枚噛ませたところにうなった。

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