『動物のお医者さん』(佐々木倫子)のワンシーンを引き合いに、「北海道の人って、本当に自分が歩くところしか掃除しないんですね」とバカにされたことのある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第48回目の放送を見ましたよ。
昭和10年(1935年)1月。
糸子(尾野真千子)が勝(駿河太郎)と結婚してから2ヶ月が経過した。祖母・ハル(正司照枝)を加えた3人暮らしにも慣れてきた。勝が紳士服を担当してくれるおかげで男性客も増え、店は繁盛していた。家内安全と商売繁盛に恵まれ、糸子は結婚して良かったと喜んでいた。
しかし、糸子は祖母から怒られてしまった。というのも、これまで1日たりとも夫婦は同じ部屋で寝たことがなかったのだ。ふたりで仕事以外の話をしたこともなく、まるで勝が雇われ職人のようだというのだ。今夜こそ一緒に寝て、夫婦として向きあえときつく言いつけられた。
祖母に従って、糸子は初めて勝と布団を並べた。しかし、どんな話をすれば良いのかわからずに戸惑った。
糸子は思っていることを正直に話そうと思い、自分は仕事が最優先であると打ち明けた。自分は世間一般の妻のようにはなれない、何が起きようと死ぬまで仕事を続けるであろうと言い、謝った。そして、勝がどうして自分のような女と結婚する気になったのかさっぱり分からないと言った。
勝の返答は、糸子の働いている姿に惚れたというものだった。ロイヤル紳士服点で一緒に働いていた時、糸子は先輩たちにいびられてもめげず、愚痴も言わず、いっさい手を抜かなかった。その仕事ぶりに惚れたのだ。だから、好きなだけ仕事をすればいいと告げた。家のことは全てハルに任せよう、彼女が良いものを食べて長生きできるように、ふたりで一生懸命稼ごうと誓い合うのだった。
それをきっかけに、ふたりはいろいろな話をした。将来のこと、子供のこと、店のこと。話をしながら、糸子はこの結婚をして本当に良かったと心から思った。
2年が経過し、昭和12年(1937年)1月になった。
糸子の店は順調に成長していた。店名を当世風に「オハラ洋裁店」と改め、看板や店構えも立派になっていた。妹の静子(柳生みゆ)を含め、縫い子を4人ほど雇うほど事業が大きくなった。善作(小林薫)は、焦って店を大きくすると必ず失敗するなどと小言を言うが、糸子には釈迦に説法という感じであった。
そして、もう一つ、糸子に大きな変化があった。妊娠し、臨月を迎えていた。
大きな腹を抱えながらも、店の一番前で仕事を続けていた。むしろ、仕事に支障を来すので妊娠とは厄介で面倒なものだと思うほどだった。子供を産み終わったら、すぐにでも仕事に復帰するつもりでいた。
しかし、出産はそれほど生やさしいものではなかった。なんとか無事に元気な女の子を産むことができたが、疲労困憊した。仕事のこともどうでもよくなり、3日ほどは何もせずに寝るつもりだった。けれども、娘は夜中でも関係なく泣き始め、ゆっくりと休ませてはくれない。糸子のあてが完全に外れてしまった。
それでも、赤ん坊が可愛くて仕方なくなった。自分でも、赤ん坊のことがこんなにかわいく思えるとは事前に予想できないことだった。
そして、もっと予想外だったことは、善作がデレデレと孫をかわいがることだった。糸子から孫を強引に取り上げ、昼は自分が専門に子守をするなどと勝手に決めてしまうほどだった。
長女は優子と命名された。
昭和12年(1937年)9月。
糸子は当然仕事に復帰していた。仕事中は隣町に住む善作に子を預け、夕方に迎えに行くという生活になっていた。
糸子は、優子を背負って家に帰る時間を愛していた。同時に、不思議なことに自分の心境に変化が現れていることにも気づいていた。いつも強気でどんなことも前向きに考えるはずの自分が、優子のことを考えると弱気になっていることを自覚したのだ。優子が平穏無事に成長できるかどうか、不安に思わずにいられなくなるのだった。
歩いていると、幼なじみの勘助(尾上寛之)に出くわした。浮かない顔をして、召集令状を受け取ったと糸子に告げるのだった。
いやぁ、めまぐるしくいろんなことが盛り込まれているのに、ちゃんと15分で収まっているからびっくりするね。
夫婦の違和感→夫婦和合→妊娠・出産→初めて仕事以外に目が向く(娘)→戦争の影
ついに戦争に突入ですか。これからは「贅沢は敵だ」という風潮になっていくので、商売もしんどくなっていくんでしょうね。勘助同様、当然、勝にも招集の危機なんかがあって、いろいろヤヤコシクなっていくわけですね。