NHK『おかえりモネ』第69回

全裸監督』は公開されてすぐに見たけれど、『きのう何食べた?』の実写版は1秒たりとも見たことがないので、西島秀俊×内野聖陽の絵面を見ても特になんとも思わない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第69回めの放送を見ましたよ。

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第14週『離れられないもの』

上京した耕治(内野聖陽)は、百音(清原果耶)の勤め先であるウェザーエキスパーツを訪れた。百音に嫌がられることは明らかなので、ちょっとだけ見たらすぐに帰るつもりだった。

エンタランスロビーの来場者見学コーナーでは、朝岡(西島秀俊)が壊れた気象学習用装置をバックヤードに運び込もうとしていた。毎朝テレビで見る朝岡がいたことに興奮しながら耕治は声をかけ、百音の父であると自己紹介した。遠慮する朝岡を押し切り、耕治は機械の運搬を手伝うとともにバックヤードで修理を手伝った。朝岡は機械修理はからきしであったが、耕治は少々覚えがあったのだ。小さい時から龍己(藤竜也)の手伝いなどをしていたからだ。

修理をしながら二人は話をした。たまたま通りがかった百音と安西社長(井上順)は物陰から彼らの様子を伺った。

龍己は根っからの漁師であり海から離れられないという話の流れから、朝岡は自分が抱いている疑問を耕治にぶつけた。人が慣れ親しんだ土地から離れがたいのはなぜかという疑問である。朝岡は親が転勤族であり、自分の故郷と呼べる場所がない。そのため土地に愛着のある人の気持を測りかねるのだ。
特に、先日の石明町の土砂災害によってその疑問が強くなった。そこは8年前にも大きな被害があり、今年もまた被害にあった。朝岡にしてみれば、危険な土地を捨てて移住するのが合理的であるはずなのに、そうしない理由がわからないのだ。もちろん、土地への愛着のようなものがあることは想像できるが、朝岡には今ひとつ納得ができないのだ。

耕治も、住みにくい土地を離れるべきだと頭では理解しているという。実際に耕治は仙台で就職し、故郷には戻らないつもりだった。しかし、気がつけば実家に戻って暮らしている。
耕治の考えは、土地に対する愛着だけで住んでいるわけではないということだった。家族や親しい知人はもちろん、何十年何百年もの間そこで暮らしてきた顔も知らない人々の思いや情のようなものに報いなくてはならないという義務感のようなものがあるのではないかと話した。

さらに耕治は、次の世代への思いも述べた。自分のふたりの娘が自由で楽しく暮らしていくことを願うのと同じくらい、全ての子供たちにもそうあって欲しいと思っている。彼らの未来は明るいのだと示し続けていきたいのだと話した。

朝岡は、耕治の意見に納得した。土地そのものではなく、そこで次々に受け渡されていく人の思いこそが住み続ける原動力なのだと理解した。

そうして、学習用機械の修理を終えた。無事に動き出したかに見えたが、間もなく機械は動作を止めた。修理を買って出た耕治であったが、失敗に終わった。
それがなんだかおかしくて、耕治と朝岡は二人で笑いあった。

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