今日はプレミアムフライデーだし、早速『パンケーキを毒味する』を見に行こうかと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第55回めの放送を見ましたよ。
周囲のスタッフがたしなめるのも聞かず、百音(清原果耶)は番組で連日にわたって水難事故の危険を伝えていた。ついには視聴者から、子どもが怖がって海水浴に行けなくなってしまったとクレームのメールまで受け取った。
仕事に行き詰まりを感じた百音は親しい誰かと話をしたくなった。しかし、百音の自由時間は平日の昼間である。電話をかけることをためらった。
いつものコインランドリーでふさぎ込んでいると、菅波(坂口健太郎)が姿を表した。近所にある大きな大学病院が彼の勤務先で、夜勤明けによく洗濯に来るのだという。
百音は、隔週で登米に通っている菅波に懐かしい人々の様子を聞き、みなが相変わらずだと聞いて安心した。久しぶりにみんなに連絡して、菅波にばったり会ったことを報告したいと話した。一方の菅波は、会ったことは秘密にしておいて欲しいと頼んだ。百音との仲を登米の人々にしつこくからかわれることが目に見えているからだ。
秘密にする、しないの押し問答をしているうちに百音の表情が少し明るくなった。
それでも百音はどこか元気がない。菅波は悩みを打ち明けるように促した。ただし、洗濯が終わるまでとの条件をつけた。
百音は、海と山と空が水で繋がっていて、互いに恵みをもたらすということに感激し気象の道に進んだ。それにもかかわらず近頃は、水は命を奪う恐ろしいものだと伝えてばかりである。あんなに水に親しみを持っていたのに、どうして正反対になってしまったのか自分でもわからないと話した。
話を聞いた菅波は、2つのことを指摘した。
ひとつめは、何かと距離が離れるとそれのことを忘れてしまうということだった。百音が東京の環境に順応してしまい、大自然の恵みをもたらす水の存在を忘れてしまったのではないかと話した。
ふたつめは、百音がまだ新人だという点であった。念願の仕事に就いて、成果を上げたいと思って空回りしているのではないかと指摘した。百音は故郷の津波被害で何もできなかったことを悔やんでいる。そのことが自分を追い詰めて、無理をしているように見えるというのだ。
百音は半分納得して、半分納得しなかった。
自分が何もしないまま、誰かが危険な目に遭うことを恐ろしく思っていたのは指摘のとおりだと思った。まさに新人の空回りだったと反省した。
一方で、何かと離れたことで気持ちが薄れることはないと反論した。東京に来てからも海や山への気持ちが離れたことはないと主張した。
加えて、菅波との距離が開いたとも思わないと話した。
ずっと会いたいと思っていた、と言ったところで洗濯終了のブザーが鳴り、話は打ち切られた。
それからというもの、百音は目に見えて変化した。番組で扱う内容も、星空観察の楽しみ方など明るいものに変わった。周囲も百音の肩の力が抜けたことを喜び、頼もしく思った。
ある未明、仕事に出かけようとしていた百音は、いつものように宇田川が浴場の掃除をしている音を聞いた。いつもと違うことは、壁に宇田川からの貼り手紙があったことである。洗剤が切れそうだから補充をして欲しいと書かれていた。
彼の字は上手で、百音はしばし立ち止まって見惚れてしまった。すると、その気配が宇田川に伝わったようだった。相手の姿は見えないし、返事も期待しなかったが、百音は字を褒めた。
すると、中から一言だけ「どうも」と聞こえた。
最初は不気味に思っていた宇田川であるが、相手のことがわかれば怖くなくなるのだなと思った。