NHK『おかえりモネ』第33回

姓が「おか」で名が「えり」の人ってどれくらいいるんだろうと思い、とりあえずFacebookで”Oka Eri”を検索してみたら想像以上にたくさん出てきたし、「にしおかえり」や「おかえりか」などのように似てる名前を除外しつつ目で数えるのが面倒になって33人でやめた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第33回めの放送を見ましたよ。

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第7週『サヤカさんの木』

朝岡(西島秀俊)が登米に来ていると知り、中村医師(平山祐介)が通常よりも早くやって来た。

朝岡と中村、そしてサヤカ(夏木マリ)は東日本大震災の時から知り合いだったという。中村は災害派遣の医師、朝岡は救援ヘリコプターの支援のために沿岸部に気象観測機を設置、サヤカは復興支援の人々のために建物を提供していたという。互いに分野は違えど、登米を拠点に彼らは協力し合ったという、
3人は当時のことを懐かしがる一方で、まだ復興は終わっていないと言いあった。

朝岡は、急遽東京に帰ることになった。2つの台風が同時に発生し日本に接近しているため、対応する必要が生じたのだ。百音が彼を駅まで送ることになり、話をする機会を得た。
朝岡は、気象予報によって危険を予想し回避する時間的猶予が得られると話した。通常、人間は未来の出来事を知ることはできないが、気象は必ずしもそうではないというのだ。日本の南の海や北の大陸における気象データを分析すれば、その後に日本で起きる気象状況を予測できるからだ。

そして最後に、朝岡は百音が以前に言っていたことに言及した。
百音は東日本大震災の時に自分は何もできなかったと悔やんでいた。しかし、そのような後悔をしているのは百音だけではないと話した。朝岡本人やサヤカも同じように悔やんでいる。しかし、何もできなかったと悔やんでいる人は、将来こそは何かができるようになりたいと願う。それが人を動かす原動力なのだと述べた。
百音は感じ入った。

それから数日後、台風の影響で日本に記録的な大雨がもたらされた。百音たちの住む登米も例外ではなかった。
夜を迎えるにあたり、百音は入念な備えを行った。飲料水や防災袋を準備し、気象情報の収集を怠らなかった。また、サヤカと百音の寝室は別であるが、サヤカの寝室は山に面している。土砂崩れの恐れがあるので、百音の発案でふたりは百音の部屋で寝ることにした。

サヤカは娘時代の修学旅行に戻ったようだとはしゃいだ。
サヤカは自分は大きな台風が登米を襲った日に生まれたと話し始めた。それは年は違えど百音が生まれた時と同じであり、奇しくも誕生日も同じ9月17日だった。

サヤカは、水害によって多くの集落が壊滅状態になる混乱の中で生まれた。そのため、生みの親はサヤカのことを育てられなくなり、山主に引き取られて育った。その山主は昔から伊達家の命により植樹してきた家系であり、サヤカ自身もその教えを自分のこととして生きてきた。樹木は建築資材や燃料として利用できる。災害があっても樹木を使えば復興することができる。つまり、木は人々の暮らしを守る最後の砦であり、そういった樹木がふんだんにあるこの土地を守ることが自分の使命だとサヤカは話した。

ふたりは無事に翌朝を迎えた。サヤカは電話で各所と連絡をとったが目立った被害はなさそうだった。
百音は安心するとともに、サヤカや朝岡の言葉を反芻した。

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NHK『おかえりモネ』第32回

幼なじみの野村明日美役の恒松祐里と気象予報会社の社員・野坂碧役の森田望智は、『全裸監督(シーズン2)』で乃木真梨子と黒木香という村西とおるをめぐる因縁あるふたりを演じていてなんだかグッと来たし、本作でも共演することがあれば楽しみだなぁと思った(朝ドラなのでヌードは期待していません)当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第32回めの放送を見ましたよ。

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第7週『サヤカさんの木』

2015年8月になった。
末期がんのため夏までもたないと本人も思っていた田中(塚本晋也)は、車椅子生活になったとはいえ、野外撮影に出かけることができるほどに体調を維持していた。無理だと諦めていた蓮の撮影へ行くことになった。田中は百音(清原果耶)を誘ったが、あいにくその日は気象予報士試験の日だった。天気予報によれば、その日が絶好の撮影日和であり他の日にずらすことは難しかった。ふたりは翌年こそは一緒に出かけることを約束した。

しかし、百音の試験はひどい有様だった。
今年度に入ってから森林組合で大事な仕事を任されることも増えて忙しくなり、気象の勉強が疎かになってしまったのだ。実際、運転免許証を取得したことで業務の範囲も広がり、仕事が楽しく充実していた。気象予報士試験への情熱が薄れてしまったと言っても過言ではなかった。
菅波(坂口健太郎)は、百音が気象予報士の資格取得の後にそれをどう活かすのか考えていないことがモチベーション低下の原因だと指摘した。半年後の再試験に向けて一から勉強し直すかどうか百音に決断を迫った。
しかし、百音は即答できなかった。しばらく考えるとだけ力なく返事をした。

そんな頃、気象予報士の朝岡覚(西島秀俊)が森林組合に尋ねてきた。
彼は年輪気候学が専門の大学教授・中本(若尾義昭)をサヤカ(夏木マリ)に紹介した。彼は樹木の年輪から過去の気象状況を推定するしている。サヤカが樹齢300年のヒバを伐採すると聞きつけ、年輪サンプルが欲しいのだという。気象には周期変動があると言われており、樹齢300年の木を調べれば同様に300年後の気象を予測することが可能であると説明した。その壮大な研究にサヤカは感激し、喜んでサンプル提供を約束した。

さらに朝岡は、自身の所属する気象予報会社の2人の社員、内田衛(清水尋也)と野坂碧(森田望智)を連れていた。彼らは登米の山でフィールドワークを行うのだという。ふたりとも気象予報士資格を持っており、内田などは一度の試験で合格するほど優秀な人材なのだという。
百音がふたりを山に案内した。

内田は花粉観測機を山に設置した。彼は花粉の飛散データを研究し、花粉警報アプリを作りたいのだという。本人もひどい花粉症であることがモチベーションなのだという。実際、この季節のブタクサなどの花粉に苦しんでいる。

野坂はレーザースキャナーで周囲の形状の計測を行った。この装置では樹木の本数や表面積、さらには周辺の地形も計測できる。それらのデータから、山が保持できる水分量を推定するのだという。彼女は防災に関心があり、今は洪水の防止に取り組んでいるのだという。山が雨水を溜め込むのは土の働きだけではなく、木の中にも大量に保水されている。中でも針葉樹は保水力が高いということを証明したいのだという。それには、杉が大量に生えている登米の山が適していた。
彼女の話を聞き、百音はサヤカの言葉を思い出した。サヤカは山は自然のダムであり、大量の水を蓄えると言っていた。サヤカと野坂が異口同音だったことに驚いた。

ふたりは初日のデータと解析結果を朝岡に報告した。しかし、朝岡は成果に満足はしなかった。
気象ビジネスは、正確な数値と時間が勝負なのだと言う。防災でも花粉予報でも、いつどのくらいの被害があるか予測することが重要なのだ。財産や健康に影響が懸念される場合、人々がそれに対する準備を整える体制づくりを支援することが必要である。そのための数値は正確でなければならず、必要な時間も状況によって変わるのだ。
山の保水力を調べている野坂は、調査した範囲が狭すぎて正確な保水量がわからない。花粉飛散予報を目指す内田はデータ解析に時間がかかりすぎる。いずれもさらなる努力が必要だと指摘した。

その話を傍聴していた百音は、彼らの仕事に興味を持った。こっそりと彼らの会社のウェブサイトを閲覧すると「気象であなたの暮らしとビジネスを守ります」という文句が掲げられていた。

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NHK『おかえりモネ』第31回

週末に清原果耶が腹黒い女子高生を演じる『宇宙を駆けるよだか』を見てしまったせいで、百音との落差に混乱しつつある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第31回めの放送を見ましたよ。

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第7週『サヤカさんの木』

2015年3月。
百音(清原果耶)が受験した気象予報士試験の合否通知が届いた。結果は不合格だった。

それでも百音はさっぱりした気持ちでいた。初回の試験は練習のつもりであり、合格しないことは織り込み済みだったからだ。
そのことよりも、自身が発案した学童机の製作が完了したことで百音は清々しい心持ちであった。一時は完了が危ぶまれたプロジェクトであったが、人々の協力を得て一生懸命打ち込んだ成果であった。
春が訪れ、百音が登米に来てもうすぐ1年になる。百音はあらためて前向きな気持ちになった。

学童机の製作が終わったら、今度は納品作業が待っていた。百音たちは各地の小学校に大量の机を運び込むことに忙殺された。疲れ切ってしまい、夜の気象勉強会でも居眠りをしてしまうほどだった。
疲れ切った百音を見て、菅波(坂口健太郎)がたしなめた。百音の本業は森林組合の職員であり、夜遅くまで気象の勉強をしたせいで仕事が疎かになっては本末転倒である。
菅波は、「今できること、やるべきこと」を考えて実行しろと命じ、その日の勉強会はお開きになった。

その頃、サヤカ(夏木マリ)は4年ぶりに植樹祭を開催しようと考えていた。自分の歳を考えてもうやらないつもりであったが、今年は実施しようと思ったのだ。
理由はいくつかあった。ひとつは、サヤカが先祖から受け継いだ樹齢300年のヒバ(アスナロ)を今度の冬に伐採するからである。それに伴って、次世代の樹木を育成する必要があると考えた。また、地域の子供たちに山と森林の役割を教える必要があるとも考えていた。山と木が水を蓄え、自然のダムになっていることを知らせなければならない。
そして、森林だけではなく、自分自身の世代交代も考えていた。百音に跡を継いでもらえるよう、植樹祭の様子を百音に見せておきたいと思ったのだ。

ある夜、勉強会を再開しようと、百音はカフェで菅波を待っていた。その日、菅波は往診に出かけており、少し遅れていた。雷雨になったが菅波はなかなか帰ってこなかった。
やっと菅波が到着すると、サヤカ(夏木マリ)を背負っていた。ドブにハマって動けなくなっていたところを偶然見つけ、治療のために連れてきたのだ。サヤカは、薪を運びながら植樹祭のことを考えてぼんやりしていたら落ちてしまったのだという。

サヤカは右足を骨折した。菅波に処置され、家まで帰ってこられた。
菅波は、百音がサヤカの面倒を看ることを言いつけて帰っていった。去り際「一人だと不安だ、あなたがいてよかった」と述べた。

その夜、百音はサヤカに家族のことを聞いてみた。サヤカは過去に4度結婚し、いずれも半年以内に別れてしまったという。子どもはいないと話した。
そして、自分の怪我のせいで植樹祭は取りやめだと寂しそうにつぶやいた。

それから百音は、甲斐甲斐しくサヤカの世話をした。
そして、気象予報士の勉強をしばらくやめることにした。菅波から言われた「今できること、やるべきことはなにか」「一人だと不安だ、あなたがいてよかった」という言葉から、今の自分に必要なことを考えたのだ。
その結果、自動車の運転免許証を取得することにした。車がなくては不便な地域であるにもかかわらず、サヤカは足の怪我で運転ができなくなってしまった。だから自分が運転できるようになって、サヤカの喜ぶ顔が見たいのだ。
そのことを菅波に報告すると、彼も賛成した。

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NHK『おかえりモネ』第30回

Netflix Japan が複数の作品から清原果耶の笑顔を集めたビデオクリップを公開しており、これはみんなに報せておかなければならないと思ったし、特に2:10からのやつがいいよと言っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第30回めの放送を見ましたよ。

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第6週『大人たちの青春』

田中(塚本晋也)は、百音(清原果耶)に両親のなれそめの続きを話してくれた。

耕治(内野聖陽)は地元に忘れられない女性がいると言って亜哉子(鈴木京香)のことを振った。
それと同じ頃、耕治は音楽をやめ、大学卒業後は銀行員になることを決めた。耕治は自分のトランペットの音が明るすぎると悩んでいた。演奏家は陰や不幸を背負っていなければならず、そういうものが奏でる音楽の色気となる信じていた。耕治はその様な陰を持たず、色気のない明るい音しか出せない自分は向いていないと思ったのだ。周囲も耕治をそう評価していた。

しかし哉子は、耕治の人柄とトランペットの音が明るい点を最高に気に入っていると話した。ついには、普段の清楚な様子とは正反対の汚い言葉で啖呵を切った。曰く、正しくて明るくてポジティブで前向きであることが魅力にならない世界はクソだと断言した。陰のあることや明るい音を良しとする風潮は安っぽい価値観であり、そんなことで耕治をけなすべきではないと言うのだ。

その亜哉子の言葉が決め手となり、以後ふたりはとても仲のいいカップルとなった。

1週間後、菅波(坂口健太郎)が登米に戻ってきた。田中への接し方で喧嘩別れしたふたりだったが、互いに自分の非を認め素直に謝りあった。

田中への訪問診療を引き受けることになった菅波であるが、それは本意ではないと話した。自分の治療方針は患者の病気を根本的に治すことであり、患者の生活や希望に対しては関心がないと話した。つまり、自分本位の医者であり、患者のことは考えていない医者なのだと卑下した。
百音は、気象予報士試験の朝に菅波から届いたメールを見せた。そこには、長々と正論ばかりが書かれていた。百音自身が自覚していて、けれどもできなくて悩んでいることばかりだった。正直に言えば、百音は腹を立てたという。
しかし、菅波が百音のことを懸命に考えて助言してくれたことはわかったという。つまり、菅波は不器用ではあるものの、相手のことを思いやることができる人間であると述べた。それは患者に対する態度でも同じだと話した。

田中から受注していたダイニングテーブルセットの完成が間近となったある日、彼から百音に相談があった。田中は人づてに別れた妻のメールアドレスを教えてもらい、連絡をしたのだと言う。テーブルの納品日に家に招待したと言う。送ってしまったものの、自分ひとりでは不安なので百音にも立ち会って欲しいという願いであった。百音は断りきれず、それに応じた。

テーブルが無事に納品され、満足のいく出来に田中は大喜びした。一方で、妻からのメールの返事は来なかったという。約束の時間まではもうしばらくある。返事無しで現れるかもしれないと思い、ふたりは不安と期待を膨らませながら待つことにした。
はたして、約束の時間から1時間後、やっと別れた妻からの返事が来た。ずっと迷っていたが、田中に会うのはやめるという連絡だった。田中は落ち込んでしまった。

その直後、耕治と亜哉子が前触れもなく現れた。耕治は、元気のない田中の姿を見て笑い飛ばした。亜哉子は上品にかつきっぱりと口の悪い耕治をたしなめた。
田中は、耕治と亜哉子、そして百音とテーブルに着いた。妻には会えなかったが、懐かしいふたりに会えて田中は嬉しかった。彼らの明るさが田中に笑顔を取り戻させた。

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NHK『おかえりモネ』第29回

ちょうど10年前の今日、東海道五十三クリング企画を発表した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第29回めの放送を見ましたよ。

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第6週『大人たちの青春』

百音(清原果耶)は再び田中(塚本晋也)の家を訪れた。突然キャンセルしたダイニングテーブルセットのことをもう一度考え直して欲しいと頼みに来たのだ。
大きなダイニングテーブルは誰かと一緒に食事をするために準備するものである。田中は誰かに会いたいのではないかと百音は想像したのだ。

田中は別れた家族のことを話した。
田中の度重なる浮気が原因で妻に愛想をつかされ、ほとんどの財産と一人娘を手放すことになったという。それ以来、妻子と会うことはおろか、一度も連絡をとっていない。唯一、もうすぐ娘が結婚して子どもが生まれるということを人づてに知った。
田中は、別れた妻子ともう一度食卓を囲みたいと思ったこともあると正直に打ち明けた。孫が生まれる夏までは頑張って生きて、その子に会ってみたいと思うこともある。一方で、酷い別れ方をした家族だから再会する余地もなく、自暴自棄になることもあると言うのだった。

その夜、百音は菅波(坂口健太郎)に相談した。積極的な治療を拒否している田中であるが、家族に会うことを望みに、もしかしたら本音では延命を希望しているかもしれないと話した。
しかし、菅波はいつものように冷淡だった。自分の技術や知識は不足しているし、田中のこれまでの治療方針にも賛同できない。もうひとりの診療所医師である中村(平山祐介)に相談しろと突き放した。

それでも百音は食らいついた。菅波が「資格とは、人の財産や命を守るためのもの」と言っていたことを引き合いに、医師資格を持っている菅波ならば彼の命を守るべきだと主張した。
ついに菅波は声を荒げた。現在の医療技術では田中を救うことはできない。そのことは田中本人も理解している。ありもしない希望を無理やり植え付けることがどういう影響をもたらすかわかっているのかと叱咤した。その様子は、菅波自身が何か暗い過去の経験があるようでもあった。

その日は、菅波が東京に戻る直前の夜だった。勉強会も開かれず、菅波は帰っていった。ふたりにとって気まずい1週間の別れとなった。

直後の日曜日、百音は田中の家を再度訪れた。日常生活にも難儀している田中の家の手伝いをするためである。しばらくすると、外から菅波の声が聞こえた。田中が応対するすきに、百音は慌てて身を潜めた。
菅波によれば、東京行きのバスが事故渋滞で遅れているという。そのため、しばらくここで待たせてほしいという。田中は受け入れた。

田中は、週毎に東京と登米を行き来する菅波のことをねぎらった。すると、菅波は複雑な心境だと打ち明けた。登米に来ることが億劫でうんざりすることはしばしばであると言う。しかし、東京にいると無性に登米に来たくなることもある。菅波は、自分の本心がよくわからないと話した。そして、人の本心など、実は無いようなものではないかと自説を述べた。人の気持ちなどはあやふやなものなので、毎日言っていることが変わっても仕方ないと話した。
それは、菅波本人の心境を隠れ蓑に、田中への説得を試みる言葉だった。田中もそのことを理解した。

菅波は続けた。
人は、一日でも長く生きたいと思う日もあれば、今日にでも終わりにしてしまいたいと思うこともあって当然である。しかし、そのように毎日考えが変わるとするなら、いつでも方向転換できるように結論を先延ばしにすることが重要だろうと話した。迷う時間や考えが変わる時を稼ぐために、田中も積極治療を行うべきだと助言した。
田中もその言葉に納得した。そうして、菅波は帰っていった。

一部始終を聞いていた百音であったが、田中は怒らなかった。
田中は、菅波のことを面白い医者だと褒めた。そして、諦めたくないという本心を話した。ダイニングテーブルを改めて作って欲しいと百音に頼んだ。

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NHK『おかえりモネ』第28回

太ももの手術跡のせいでもう10日以上もガシガシとシャワーできなくて、太ももが痒くてたまらない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第28回めの放送を見ましたよ。

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第6週『大人たちの青春』

2015年1月。
里帰りしていた百音(清原果耶)だったが、のんびりしていることはできなかった。すぐに仕事初めとなったので、とんぼ返りのように登米へ戻った。

そして、今月は気象予報士試験もある。菅波(坂口健太郎)のプランでは、今回の試験は練習のようなもので、次回8月に実施される試験で学科合格を目指している。それでも手を抜かずに勉強に打ち込んだ。

いよいよ気象予報士試験の日になった。試験会場は仙台で9:45から16:00まで、一般知識、専門知識、実技試験(2回)が行われる。
朝の出発時、慌ただしくしている百音に菅波からメールが届いた。ただしそれは温かく励ますような内容ではなく、効率的な解法方略を事細かに長々と指示するものだった。さすがの百音も鬱陶しくなった。

メールの文面では平静だった菅波だが、自分のことのように緊張して落ち着かなかった。約束したわけではなかったが、いつも勉強会を行っているカフェで百音の帰りを夜まで待っていた。百音も、約束がなかったにもかかわらず、カフェに顔を出した。その途端、菅波は何でもない風を装った。試験を終えた開放感で高揚しもしかしたら学科試験に合格する出来だったかもしれないと報告する百音に対して、菅波はいつものように冷たく、きっと無理だろうと答えるのだった。
試験の結果は3月に通知されることになっており、それまでは待つより仕方なかった。

ある日、森林組合に田中(塚本晋也)から連絡が入った。注文していたダイニングテーブルセットを一方的にキャンセルするという内容だった。すでに田中からデザイン案の了承を受け、木材の加工も始まっている。あまりのことに、職員たちは驚いた。
事情を聞こうと連絡をしても田中は一切電話に出なかった。また、最近は診療所にも通っていない様子だった。

気になった百音は、診療所で田中の様子を聞いてみた。その日、菅波は東京に帰っており、彼の指導医でもある中村医師(平山祐介)が当番だった。
しかし、中村は職務上、患者の病状については他言できないとして詳しいことは教えてくれなかった。ただし、中村がしっかりと訪問診療を行っていると説明した。また、菅波は訪問診療に対して協力的ではないということも聞いた。

埒が明かないと思った百音は、直接田中の家へ向かった。自宅併設の喫茶店は明かりが消え、営業していないようだった。ヤカンで湯を沸かしている様子はあるが、田中本人の姿は見えない。気になった百音が奥に進むと、呼吸器を着けた田中がベッドで苦しそうに寝ていた。ヤカンの湯で飲み物を飲ませると、田中は落ち着き、少し話ができるようになった。それでも、体を動かすのが辛く、ほとんど何もできないのだという。

田中のベッドの視線の先には蓮の花の写真があった。田中は、蓮は極楽浄土に咲く花であり、そんな所に行けるならもう思い残すことはないなどと話した。そして、このままでは次の夏の蓮のシーズンに撮影に行くこともできないと語った。もう動けないのだから、テーブルや椅子はいらなくなったと言って謝った。

次の勉強会の夜、百音は菅波に田中のことを尋ねた。満足に歩くことすらできない田中であり、中村医師は訪問診療を行っている。それに対して、菅波は訪問診療をしていない。それはなぜなのかと聞いたのだ。
菅波は、根本的な治療をすることが大事だと考えている。そのためには、医者だけではなく病院や治療設備、看護師などのスタッフがすべて揃っている必要がある。田中の病状では入院する他に方法はなく、本人がそれを拒否するなら、菅波には何もできることはないと答えるのだった。

家に帰ってからも、百音はどうにも納得ができなかった。
サヤカ(夏木マリ)の家にも大きなダイニングテーブルがある。サヤカが多くの客人をもてなし、一緒に食事ができるようにと揃えたものである。
百音は、人が大きなテーブルを買う理由はそれ以外に考えられないと思った。もちろん、田中も。

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NHK『おかえりモネ』第27回

未知(蒔田彩珠)は小さい頃から何度も「♪みーちゃん みちみち うんこして 紙がないから手で拭いて もったいないから食べちゃった」とからかわれたに違いないと想像している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第27回めの放送を見ましたよ。

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第6週『大人たちの青春』

12月になった。
百音(清原果耶)が発案した学童机プロジェクトは順調に進行していた。森林組合の作業所で作業を行っていた。

そこへ、自称プロカメラマンの田中(塚本晋也)が顔を出した。秋頃から森林組合の診療所やカフェに通うようになり、いろいろなものを撮影していた。特に、百音のことを付け狙うかのように撮影していた。百音も迷惑していたが、強く言える性格ではなかった。

百音たちが学童机を作っている姿を見て、田中はダイニングテーブルを注文したいと言い出した。聞けば、自分の経営している喫茶店に設置したいのだという。早速、百音は課長・佐々木(浜野謙太)と共に田中の喫茶店の下見に向かった。

初めて田中の喫茶店に来た百音は驚いた。壁中に世界的有名ジャズプレイヤーの写真が飾ってあるのだ。百音は、田中が有名人を撮る機会を得たことや腕前に感心した。

多くの写真の中に、無名の日本人奏者を見つけた。百音はどこかで見た顔であると思いながら、名前を思い出せなかった。
田中によれば、それは百音の父・耕治(内野聖陽)の若い頃の写真だと言う。実は、田中は百音の家族のことを知っていたのである。

田中は、百音の両親の若い頃のことをよく知っているという。当時の話を聞かせてくれた。

1986年、父・耕治と母・亜哉子(鈴木京香)は仙台に住んでいた。
当時、耕治は毎日のようにライブハウスで演奏していた。トランペットが上手で、佇まいもかっこよかったという。
そんな耕治に一方的に惚れたのが亜哉子だったという。田中から見ると、教育学部の大学生であり真面目なお嬢様風だった亜哉子にはジャズが全くわかっていないようだった。それでも、耕治を目当てに毎日通ってきたという。

亜哉子は客席から耕治を見るだけではなく、終演後の出待ちもしていた。毎回なんとかデート(デート?デートなのか!?)に誘おうとするが、耕治は全くつれなかったという。埒が明かないと思った亜哉子は、ついに交際してほしいとストレートに伝えた。
すると、耕治は地元の島に忘れられない人がいると言って冷たく断ったという。

田中はもったいぶるようにそこで話を終えた。続きは別の機会に話すという。

そして、2014年12月も月末となった。
クリスマスシーズンに菅波(坂口健太郎)がいつもどおり東京に帰ることとなった。百音だけが菅波の見送りに来た。雪がちらつき、とてもロマンチックな夕だった。
しかし、菅波が百音にかけた言葉は翌月の気象予報士試験のことだった。年末年始休で油断しないように注意した。百音も身を入れることを約束した。そうして菅波は去っていった。
その様子は、森林組合の職員たち全員が物陰から盗み見していた。ふたりの関係の進展を期待している一同は、ロマンチックなシチュエーションなのに無粋なふたりにがっかりした。

そして、百音は実家に帰省し、年が明けて2015年となった。
百音は登米で田中に会ったことを家族に話した。すると両親は急に落ち着きがなくなり、露骨に話題を変えたり、急に用事ができていなくなったりした。

百音は、妹・未知(蒔田彩珠)に両親の馴れ初めについて話して聞かせた。未知は、父が母に一方的に惚れたと思っていたので、意外な真実に驚いた。
耕治が一度振ったというくだりに差し掛かり、早く続きを聞きたがったが、残念ながら百音もその続きを知らないのであった。

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NHK『おかえりモネ』第26回

今週も毎日、粉瘤摘出の手術跡の消毒のために病院に行かなきゃならんと思うと気の重い当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第26回めの放送を見ましたよ。

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第6週『大人たちの青春』

百音(清原果耶)が発案した学童机プロジェクトの材料とするナラ材の伐採が始まった。
百音は伐採スケジュールを作成し、棟梁の熊谷(山本亨)に相談した。その計画は、熊谷らの通常の作業計画に比べてずいぶんと余裕のあるものだった。怪訝に思う熊谷に対して、百音は天候が崩れて入山できなくなる可能性を考慮して余裕をもたせてあるのだと説明した。熊谷はしぶしぶそれを受け入れた。

ある日、空模様と各地の気象データを調べていた百音は、直後に雷雨に見舞われると予想した。すぐさま山にいる熊谷に電話をかけ、作業を中止して下山するよう助言した。しかし熊谷は、自分の経験と現場の状況判断の方が当てになると言って百音の助言を聞き入れなかった。

はたして、百音の予想通り激しい雷雨となった。作業員たちはびしょ濡れになり、ほうほうの体で事務所に帰ってきた。
百音は、仕事よりも安全を優先してほしいと抗議した。一方の熊谷は、この地区の山の天気を一番良く知っているのは自分であり、ほんの少し天気の勉強をした程度の小娘が口出しをするなと怒ってしまった。

やりとりを見ていた課長・佐々木(浜野謙太)は、林業は労働災害が多い業種であり、仕事中の怪我や死亡事故が多いと説明した。熊谷もそのことを理解しており、誰に言われるでもなく、いつでも作業員の命のことを最優先に考えていると話した。
それを聞いて、百音は自分が言い過ぎたことを反省し、熊谷に素直に謝った。当の熊谷は口数の少ない男だが、百音との和解の意思を示した。彼は何も言わずに飴玉を差し出した。それは、彼が誰かを励ます常套手段なのだという。

それを合図に、百音は伐採作業員たちの輪に入っておしゃべりに花を咲かせた。百音が気象予報士の勉強をしていると聞いた作業員たちは、自分たちの保有している資格の自慢を始めた。伐木作業者資格をはじめ、フォークリフトなどの建設機械作業者資格など、男たちは次々と免許証を出してきた。百音は素直に驚き、男たちはより良く自分を見せようと競い合うのだった。

最近、プロのカメラマンだと称する田中(塚本晋也)という男が森林組合付近に顔を出すようになった。喘息のため菅波(坂口健太郎)の診療所に通っているようだが、診察後は併設のカフェに立ち寄り、居合わせた人たちとおしゃべりに興じている。
ただし、一つ困ったことがあった。彼は誰彼かまわずカメラを向けて勝手に写真を撮る。特に、百音のことを執拗に撮影するのだ。百音は困ったが、あまり強く言えるような性格ではなかった。菅波もたしなめるが、田中は聞こうとしなかった。

田中の喘息は酷いようだった。伐採作業員たちが帰っていった直後、田中は苦しがってカフェの床に倒れてしまった。すぐさま菅波が駆けつけてきて、呼吸器を装着して難なきを得た。

そんな騒ぎのあった日の夜も、百音と菅波の勉強会はいつもどおりに実施された。
百音は、伐採作業員たちの保有資格や菅波の医師免許など、さまざまな資格に興味を持ち始めていた。菅波は、医師も気象予報士も国家資格だと説明した。そして、資格を必要とする仕事の多くは、他人の財産や生命に関わるものだと話した。ミスをすれば人の命を奪うかもしれない。それだけ重い責任を追う資格を問うものだと話した。
百音は、気象予報士のテキストにあった「気象予報士は、命を守る仕事です」という一文を思い出した。

翌朝、百音は菅波に対して気象予報士の試験を受けたいと打ち明けた。純粋に好奇心を満たすだけでも楽しいが、菅波や伐採作業員たちと同じように、実際に人や財産を守る知識を身に着けたいのだという。

それを聞いた菅波は、明確に反対も賛成もせず、冷静に今後の計画だけを立てた。
気象予報士の試験は年に2回行われており、学科試験と実技試験がある。学科試験は一度合格すれば、1年間有効となる。今の百音の実力からすれば、まずは学科試験に集中して合格し、その次の試験に向けて実技のみを習得すれば良いと計画を立てた。試験は1月と8月に実施される。今は10月なので、1月の試験での学科合格は難しい。そこで、来年の8月に学科に受かり、再来年の1月に実技にも受かって資格を得るという計画にした。

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NHK『おかえりモネ』第25回

太ももの粉瘤が腫れて痛み始めてから10日、痛みはほとんどなくなったけれど手術跡に差し込まれているガーゼの違和感だけはなくならず、相変わらず萎えている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第25回めの放送を見ましたよ。

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第5週『勉強はじめました』

百音(清原果耶)が発案した学童机プロジェクトは、材料である木材の乾燥や加工に時間がかかりすぎるため納期に間に合う見込みがなく、頓挫した。
しかし、諦めきれない百音は、太陽エネルギーの活用や、引退した職人たちの力を借りれば実現可能なのではないかと思いついた。サヤカ(夏木マリ)に話したところ、みんなのためになることを考えろ、そうすればみんなが動くと助言した。

早速、百音は念密な計画を立て、森林組合で相談した。

この地域には利用されていないビニールハウスがたくさんある。それらを借りて、太陽エネルギーで木材の乾燥をすることを提案した。従来のように乾燥機を使用した木材乾燥では2週間の時間がかかる上、燃料費も高くつく。しかし、先にビニールハウスである程度乾かしてから乾燥機を使用すれば、燃料費を節約できる上、期間も5日程度に短縮できると見積もった。
組合の職員たちは、過去に同様のことを検討したことがあるという。結局、あちこちに点在するビニールハウスまで木材を運ぶ費用がかかるため利益が出なかったという。ただし、今回のケースでは4200脚の机を作るのだから、ギリギリで採算は合うと試算された。

もう一つ問題があった。広葉樹は乾燥による狂いが大きいので、手作業による調整が避けられない。その手間や人員の確保が難しいというのだ。
それについて、百音は解決案を準備していた。地域には21人の職人がいるので、彼らに協力を仰げば可能だと見積もっていた。彼らは林業を愛しているから、きっと協力してくれるはずだと主張した。
実際、組合の重鎮・川久保(でんでん)が隠居した職人たち大勢に声をかけたところ、みな応じてくれた。彼らは歳をとって引退していたが、今でも腕前は昔通りだった。

こうして、10脚程度の試作品がすぐに完成した。
子どもたちに披露すると好評だった。子どもたちは天然木の手触りや香りを気に入った。

学習机プロジェクトの傍ら、百音と菅波(坂口健太郎)の勉強会も続いていた。最近ではより早い時間からカフェで勉強会を行っており、ふたりのことはみんなにも知れ渡ることになった。ついには、ふたりは男女交際に発展するのではないかという噂まで立ち始めた。

今日の勉強会のテーマは、太陽によって空気が温まることであった。
百音には、地表近くの空気が先に温まるということが理解できなかった。太陽は上にあるのだから、より太陽に近い上空の空気の方が先に温まるはずだと思いこんでいた。
菅波の説明は、空気は透明だから太陽の光を通り抜けるというものだった。だから空気は太陽によって直接温められることはない。一方、地面は不透明なので光がぶつかって吸収される。その結果、最初に地面が温まる。その後、地面に接した空気が熱伝導によって温められる。ゆえに、地面に近い空気から先に温まるというのだ。

その説明に一度は納得しかけた百音であったが、「接しているもの同士で熱が伝導する」ということがどうにもピンと来なかった。
それを遠くから聞いていたサヤカ(夏木マリ)が現れ、ふたりをソファに並んで座らせた。そうして、ふたりの体が接しているところから互いの熱を感じることを実感させた。それが熱伝導だと説明した。そして、それ以上は何も言わず去っていった。

あっけにとられるふたりであったが、ふと互いが密接であることに気付いて、照れながら慌てて離れた。

ある日、登米でジャズバーを経営する田中(塚本晋也)が菅波の診療を受けていた。大学病院からの紹介状にはステージ4のガンだと記されていた。田中は入院治療ではなく、通院による薬物治療を希望していた。それで菅波のもとを訪れたのだ。菅波も本人の希望を受け入れた。

治療方針が決まったところで、田中は突然関係のない質問をした。
隣の森林組合に永浦(百音の名字)という女性が働いていないかと尋ねるのだった。

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NHK『おかえりモネ』第24回

木材加工と言えば、ちょっと前に知った「大工の正やん」というユーチューバーを気に入ってよく見ている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第24回めの放送を見ましたよ。

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第5週『勉強はじめました』

百音(清原果耶)の発案で、活用されていない地元の広葉樹を利用した学校向けの学習机のプロジェクトが始まった。
まずは材料となる木の伐採と乾燥作業が行われた。木材は乾燥機で10日から2週間かけて乾燥される。木材に余分な水分が残っていると割れてしまうので、ここは重要な工程である。乾燥機を使用すれば時間を大幅に短縮できるが、燃料費などのコストがかかるというトレードオフがある。しかし、来年度の納品に向けては仕方のないことだった。

百音は、このように昼は森林組合で働きながら、夜は菅波(坂口健太郎)に協力してもらって気象の勉強を続けていた。
その日は、水分の蒸発について教えてもらった。百音は蒸発と沸騰の違いをわかっていなかったが、菅波は丁寧に説明してくれた。水分は、100度で沸騰しなくても気化するものであり、それは低音でも起きるという。それは洗濯物が100度に達しなくても乾くのと同じである。ただし、気温が高い、空気を循環させる、乾いた空気に晒すなどで蒸発を促進させることができると習った。
百音は、木材の感想も同じ理屈だとわかった。

しかし、百音の気象の勉強は著しい進捗があるわけではなかった。百音はすぐに話しが脱線してしまう。
たとえば、自分は大きな台風と満月の日に生まれた、気象と出産は関係あるのだろうか、などと話すのだ。菅波は百音の脱線を留めるのに苦労した。

いよいよ学習机の試作品が完成した。
当初は全ての部品を木製にした。しかしそれだと重すぎて、百音ですら一人では動かせないほどだった。そこで、天板にのみ天然木を使用し、他の部品はスチール製とした。そうすることで軽いのみならず、価格も安く抑えることができる。手に触れる部分に天然木のぬくもりがあり、誰もが満足する出来だった。

百音は、課長・佐々木(浜野謙太)らと共に、試作品を持って教育委員会に相談に出向いた。教育委員会の職員たちも試作品の出来に舌を巻いた。
しかし、話が入札と納品の段になると、試作品の不利な点が次々に明るみになった。今は9月だが、来年の3月までに4200セットを納品しなければならないという。全ての学校へ一括して導入するため、必ずそれだけの数が必要なのである。しかし、百音たちの机は天板を手作業で仕上げるため、一月に30脚程度しか生産できない。どう考えても、必要な数の2割程度しか生産できない。
その上、東京の大手メーカーも入札予定だという。そちらは価格も申し分なく、年内に納品が完了しそうな様子なのだという。

登米の森林組合では到底太刀打ちできないと話し合い、今回のプロジェクトは頓挫した。百音は落ち込んだ。

そのような事件があっても、百音は菅波との勉強会を休むことはなかった。
その日、菅波は中学生向けの理科の参考書を買ってきてくれた。百音は簡単すぎる絵本と難しすぎる気象予報士試験テキストの2冊しか持っておらず、極端すぎて百音の知識に見合わないというのだ。それで、その中間に当たる本で基礎から勉強すべきであるというのが菅波の見立てだった。

恐縮した百音は代金を支払おうとするが、菅波は誕生日プレゼントだと言って受け取らなかった。菅波はこの日の3日前が百音の誕生日だったはずだと述べた。
百音は自分の誕生日を教えたはずがないのに、菅波が知っていることに驚いた。しかし、それを推測することは菅波には簡単なことだった。百音の年齢、および彼女が勉強会で脱線して大きな台風と満月の日に生まれたという話していたことから、過去の気象データを調べてわかったのだ。
菅波は、知識が武器と同じだと話した。持っているだけではなんの意味もないし、使い方も難しい。しかし、持っているとなにかの役に立つと話した。

ある朝、百音は庭で洗濯物を干していた。
菅波と勉強した、乾燥のメカニズムを思い出していた。温度や湿度、空気の循環などが大きく関わる。
そして、蒸発の主なエネルギー源は太陽であることを思い出していた。

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