NHK『ブギウギ』第19回

昔々、とある姐さんから「木公くんはさぁ、小さくてか弱そうで幼い感じの妹みたいな女の子が好きよねぇ。だけどね、君には年上の女が合うと思う。しかも、弟のいるしっかり者の女」と言われたことのある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第19回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

鈴子(趣里)の弟・六郎(黒崎煌代)は幼い頃から間抜けな言動や行動が目立つ。飼っているカメを溺愛し、そのカメを模った帽子をいつも被ってる。さらに、木彫りのカッパの人形を常に携えている。

そんな六郎には、最近気になっていることがあった。自分の顔が父・梅吉(柳葉敏郎)と似ていないと思われるのだ。小さい頃、アホのおっちゃん(岡部たかし)から、六郎はカッパの子で、鈴子はクジラの子だとからかわれたことも半ば本気で信じていた。言われてみれば、自分と鈴子は似ていないようにも思える。

六郎からそのことを打ち明けられた鈴子は一笑に付し、自分たちは姉弟に違いないと説明してやった。六郎はまったくもってアホな子である。普通なら、これだけアホな子は嫌われるはずである。しかし、自分は六郎のことが大好きだ。これだけ好きなのだから姉弟に違いないと言って聞かせた。

しかし、後にひとりになって考えてみると、鈴子にも思い当たるところがあった。
過去に鈴子が高熱で倒れた時(第9回)、六郎が枕元で同じ「カッパの子、クジラの子」話をしていた。それに加えて、父と母(水川あさみ)が部屋の外でコソコソ話をしているのが聞こえたのだ。ふたりは、何があっても鈴子だけは死なせるわけにはいかないと言っていた。
鈴子は、その時のことは熱にうなされた悪夢だと思っていた。しかし、六郎の話した内容が過去と現在で合致していることから、あれは現実だったのだ。
そして鈴子は、あり得るとするなら、六郎の方こそ貰われてきた子だと思った。なぜなら、両親は鈴子だけは死なせるわけにはいかないと言っていたからだ。しかし、鈴子はそのことは自分の胸にしまっておくことにした。

この頃(1934年; 昭和9年)には、USKのストライキ騒動から1年が経っていた。勝ち取った待遇改善は実現し、劇団員たちは1週間の休暇が与えられた。他の団員たちはそれぞれに旅行の計画などを立てていたが、鈴子だけはどこにも出かける予定はなかった。むしろ、家の銭湯の手伝いをすることを楽しみにしていた。

そんなある日、母・ツヤの元へ郷里の香川の妹から手紙が届いた。それは、「白壁の家」と呼ばれる地元の名士の家の法事へ鈴子を連れて来て欲しいというものであった。ツヤの実家は手袋工場を営んでおり、「白壁の家」の主人には客を大勢紹介してもらうなど並々ならぬ世話になっていた。ツヤの実家にとっては断ることはかなり難しいことであった。
一方でツヤにとっても、郷里には帰りにくい事情があった。キヌ(中越典子)という女性に顔を合わせられない事情があったのだ。そのことを理解している父・梅吉と相談し、鈴子と六郎だけで行かせることにした。

ツヤは、「白壁の家」の法事に行って欲しいと鈴子と六郎に話した。そこの息子は早くに亡くなったが、主人はまだ生きている。その主人が梅丸少女歌劇団のファンであり、鈴子の活躍を聞きつけて会いたいと言っていると説明した。鈴子は悪い気がしなかった。
そして、父と母は銭湯の切り盛りで手が離せないので、鈴子と六郎のふたりだけで行って欲しいと話した。六郎は自分たちだけで出かける旅行に興奮した。
こうして、姉弟だけの香川行きが決まった。

六郎が香川行きを喜んで受け入れたのにはもう一つ理由があった。母の実家に行けば、自分たちの出生の秘密が明らかになると期待しているのだ。
その話を聞いた鈴子は呆れつつも、やはり六郎の方こそが貰われた子のはずであり、本人がそれを知るとどう思うかと心配になるのだった。

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トップスターのふたり((蒼井優翼和希)が昨日で退場してしまい、この後も面白く見れるのだろうかとちょっと心配していたのですが、完全に杞憂に終わりました。すごい、ちゃんと面白かった。

いよいよ鈴子(趣里)の出生の秘密が語られ始めるのですが、アホの六郎(黒崎煌代)を狂言回しに話が進むわけです。正直にいうと、僕はあのキャラクターに全然馴染めなくて、まとめ記事でも彼のことはほとんど無視していたんだけれど、ここに来てこう活かされるとは。参りました。
アホのおっちゃん(岡部たかし)の「カッパの子、クジラの子」も単なる賑やかしかと思っていたら、今日の話のキーになってたし。ますます参った。

鈴子が貰われて来た子だというのは視聴者には完全にバレてるんだけれど、劇中の鈴子は六郎の方こそが貰われ子だと信じて疑わないという流れもうまいなぁと思いました。

鈴子と六郎の姉弟関係もいい感じに描かれてます。
劇団にいる時の鈴子は、どこか頼りない感じであり、幼い外見も相まって「みんなの妹分」という感じなのですが、六郎に対する時は「しっかり者の姉」なんです。そのギャップがすごくいい。
六郎よりも背も小さくてか弱そうに見えるのに、はっきりきっぱり堂々と話して聞かせます。旅行に出かける時も、より大きくて重そうなトランクを鈴子が持っているのも見逃しませんでした。

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