某美人人妻からもらったカーネーション手ぬぐいは、大事にしまっておくつもりだったのに、彼女から「え~、え~?せっかくだから、じゃんじゃん使ってくださいよ~!ねぇ~、ねぇ~。」と甘く詰め寄られ(セリフ等はイメージです)、美人にそこまで言われたら無下にするもの野暮だなぁと思いつつ、かといって汗拭きなどに使って汚すのもモッタイナイなぁと思い、考えた挙句「そうだ、小洒落たブックカバーとして使おう!」(折り方: 参考1「永楽屋」、参考2「伊兵衛日記」、参考3「D&DEPARTMENT」)ということを決めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第103回目の放送を見ましたよ。
東京の洋裁学校で優子(新山千春)を指導している原口(塚本晋也)が訪ねてきた。偶然そばまで来たので立ち寄ったという。
原口は、オハラ洋裁店に入るやいなや、店を褒めちぎった。その態度に糸子(尾野真千子)も気を良くして、一家全員で原口を歓迎した。
原口は気さくな人柄で、話題が豊富で面白かった。優子が原口に憧れる気持ちがよくわかったし、糸子たちも同じ気分になった。けれども、原口は一度話し始めると時間を忘れる癖があった。気づくと深夜2時になっており、そのまま小原家に泊まっていくことになった。
娘たちの寝室を借りて寝ることになった原口であるが、部屋に入った途端、またしても大声で騒ぎ始めた。部屋に置いてある絵画を見て、その出来の良さに興奮してしまったのだ。
その絵は直子(川崎亜沙美)の作品で、新聞社のコンクールで大賞を獲得したものだ。原口に請われ、直子は自分の絵を次々と原口に披露した。そしてふたりは、夜通し絵について熱心に語り合った。
一家全員と親しくなった原口だが、千代(麻生祐未)だけは警戒心を解かなかった。彼女は、原口が優子との結婚の申し込みに来たと勘違いしていたのだ。中年の原口では優子と年齢が吊り合わないと考えている。
朝になって、原口は台所の壁にヒビが入っているのを見つけた。千代によれば小さな傷なのでわざわざ職人を呼ぶのも気げ引けて、そのままにしてあるという。原口はすぐに直子から美術道具を借りて、手早く修繕を始めた。その気軽な親切さに触れ、千代も原口のことが気に入った。
壁の修理をしながら直子とふたりっきりになった原口は、彼女の将来の希望について聞いてみた。
直子は美術大学に進学し、画家になる予定だと答えた。家業は優子が継ぐことで本人も周囲も納得しているから、自分は違う道に進むのだと告げるのだった。
しかし、原口は何かを見抜いていた。
本当に服よりも絵が好きなのかと聞くと、どうも直子の態度は煮え切らない。原口は壁に向かって作業の手を休めることはないが、真剣な口調で言った。優子が家を継ぐのであれば、直子は独立して店を持てばいい。それは格好のいいものだ、と。
直子は揺れた。自分が上京したら、原口は面倒を見てくれるかと尋ねた。原口は受け入れると即答した。
そこで話は終わって、原口は東京へ帰って行った。
その夜、直子があらたまった様子で糸子の前に現れた。
直子は、高校を卒業したら優子と同じ服飾専門学校に入学し、原口に師事したいと言い出した。床に頭を下げ、一心不乱に頼み込んだ。突然のことに驚く糸子は気圧されてしまい、深く考えずに思わず許可してしまった。
後日、直子から話を聞いた北村(ほっしゃん。)はひどく驚いた。以前は優子も直子も服飾の道に進むことをあれほど嫌がっていたのに、ふたりとも正反対の決断をしてしまったからだ。
そして北村は、決して楽な道ではないと助言した。同じ仕事をするということは、身内が身内ではなくなり、商売敵となる。それでもやっていく自信はあるか問いただした。もちろん直子はそのことを理解していた。むしろ、糸子や直子がライバルとなる方が面白いとまで言い出す始末だった。
一方、同席した聡子(村崎真彩)は甘い物を食べるのに一生懸命で、家族の分裂も自分の進路も何も興味がなさそうだった。
翌1958年(昭和33年)元日。
優子が里帰りした。直子が上京すること、さらには家賃節約のためにふたりで一緒に住むよう言われたことで優子は逆上した。浮かれて東京弁ばかり使っていた優子であったが、感情が爆発し、思わず岸和田弁で怒鳴った。
優子は直子の上京を猛反対した。画家になると言っていたのに、今さら洋裁を始めることは許せないと言うのだ。洋裁の道は自分だけのものであり、直子が闖入することを見逃すことはできないと、目に涙を浮かべて訴えた。洋裁は誰が始めても良いものだと言って糸子がなだめても、一切聞こうとしなかった。
優子が興奮すればするほど、直子は冷静になっていった。
そして、直子は悪魔の一言を述べた。優子は直子の才能を恐れているのだと、皆の前で言った。直子が洋裁を始めると、優子の居場所がなくなることを心配しているのだと悪意を込めて言った。図星をつかれた優子は泣いて飛び出した。
今の糸子には、常に反発しあう姉妹をどうすることもできなかった。
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