NHK『おかえりモネ』第6回

今夜は当然『イチケイのカラス』を見る当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第6回めの放送を見ましたよ。

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第2週『いのちを守る仕事です』

百音(清原果耶)の森林組合での試用期間が終わった。最終試験として林業や地域の知識に関する基礎知識が試されてが、それらに全て正解することができた。職員たちは百音の正式採用を歓迎し、大いに賑わった。

その騒ぎの最中、百音の父・耕治(内野聖陽)がなんの前触れもなく現れた。事前に知らせると百音に避けられると思ったのだ。
耕治は、百音を正式採用されると困ると述べた。彼女を実家に連れ戻したいというのだ。

職場での話し合いも差し障りがあるので、百音と耕治、およびサヤカ(夏木マリ)の3人は家に戻った。
耕治は、百音は本心では地元に残りたがっているものと思い込んでいた。自分からは言い出せない気持ちを汲んで、しっかりと引き止めてやるべきだったと謝った。
しかし百音もサヤカも、耕治が大きな勘違いをしていると指摘した。

サヤカがはずすと、父娘はポツリポツリと話をはじめた。百音は、耕治が仙台の大学に進学し、家業の漁師を継がなかった理由を尋ねた。
耕治によれば、彼が就職した頃はバブル経済の末期ではあったが、日本中の景気が活況でだった時代である。どんな仕事についても明るい未来が約束されているように思えた。ただし、水産業は衰退していた。それで銀行員になったという。

漁師は自然を相手にしたキツい仕事であり、便利で都会的な生活とは程遠い。、死とも隣合わせである。実際、地元の友人の父が漁に出て死んだ例も知っている。仕事で命を落とすことは納得し難い。
耕治は漁業を嫌っているわけではないが、自分には別に向いている道があると思ったのだという。経済で世の中全体を良くしたいと志し、銀行員になったのだという。あくまで、より自分に向いている道を選んだ結果だと説明した。

次に質問をしたのは耕治だった。
百音は中学生の頃はサックスに打ち込んでいた。しかし、高校に進学してからは一度も触れていない。そのことについて尋ねた。
百音は、高校の音楽コースの受験に失敗して目が覚めたのだと答えた。それで他のことをやってみたくなったのだという。ただし、音楽のことは今でも好きだと付け足した。
耕治も音楽が好きなことを知っている。しかし、耕治にとって音楽は趣味であり、仕事は銀行員である。それと同じように、自分にとって音楽は趣味であって、生涯の仕事ではないと説明した。

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NHK『おかえりモネ』第5回

無事に初週を乗り切る根性があって安心している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第5回めの放送を見ましたよ。

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第1週『天気予報って未来がわかる?』

無事に雨も上がり、登米能は成功裏に終わった。

舞台で笛を担当したサヤカ(夏木マリ)も感無量だった。
そして終演後、サヤカは山で最も古いアスナロの大木を切ることを決意した。自分の命はもう短いが、あの世から登米の将来を見守るつもりである。それと同じように、あのアスナロも枯れて使い物にならなくなる前に能舞台の床材にして、末永く登米の将来を見守らせようというのだ。

能の打ち上げが行われた。
観客だった天気キャスター・朝岡(西島秀俊)や百音(清原果耶)も参加し、輪の中心として盛り上がった。特に、それまでどちらかというと物静かでおとなしかった百音も大声を出しておおいに騒いだ。

打ち上げ会場の隅では、サヤカが百音の祖父・龍己(藤竜也)と電話で話していた。
電話の向こうの祖父にも百音の楽しそうな笑い声が聞こえた。彼によれば、昔から百音はどちらかと言えば物静かなタイプだが、素直で良い子であったという。それが、高校進学の頃からふさぎ込みがちで扱いにくくなったという。思春期特有の問題かと思っていたし、島から離れたいと突然言い出したのも本人からであるなどと話すのだった。

翌日、朝岡は東京に帰ることになっていた。しかし、朝早くどうしても見たいものがあると言って、百音やサヤカたちと北上川に出かけた。
そこでは、移流霧という気象現象を観察することができる。夜明け前にあたり一面が霧に包まれ、そこから太陽が登る様子はとても幻想的な風景だった。

百音は、ぽつりと話しはじめた。
これと似たような気仙沼でも見たことがあるという。気嵐と言って、港一面に霧が立ち込めるのだという。百音は小さい頃からその風景が気に入っていて、特に海から太陽の昇る様子がとりわけ好きだったという。

しかし、百音の心は乱れていた。
気仙沼の港を思い出すと、そこから「あの日」のことが連想されてしまうのだ。「あの日」に何もできず、ただ呆然と見ているだけだった自分のことを思い出す。百音の顔はみるみる暗くなっていった。
何かを感じ取った朝岡は、「霧はいつか晴れる」と声をかけることしかできなかった。

いよいよ、朝岡が東京へ向けて帰る時刻となった。
最後に百音は、先日スマホで撮影した彩雲の写真を朝岡に見せた。そして、この雲を見ると良いことがあるというのは本当かと尋ねた。
しかし、朝岡はあっさりと迷信であると切り捨てた。ただし、雲をきれいだと思えたということは気持ちが前向きになっているということであり、それは良いことが起きる前兆に違いないと励ました。

去り際、朝岡は10分後に風車の方向を見ろと告げた。もし何もなかったら謝るから電話しろと言って、名刺を渡した。

10分後、言われたとおりに空を見上げると、そこには彩雲が浮かんでいた。百音は朝岡の言ったとおりになったことに感激し、まるで魔法のようだと驚いた。
そして、登米での生活には何か良いことがあると前向きになれた。

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NHK『おかえりモネ』第4回

僕の観測範囲だけかもしれないが、一昨日は田村正和の訃報で暗い世相だったのに、昨日の新垣結衣星野源の結婚発表で一気に世間が明るくなったようで、なんかスゲェなって思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第4回めの放送を見ましたよ。

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第1週『天気予報って未来がわかる?』

百音(清原果耶)は森林組合課長の佐々木(浜野謙太)と共に、天気キャスター・朝岡(西島秀俊)を森に案内した。森林浴をしながら大きな声を出したり笑ったりするとストレスが解消されるとされている。
初めは躊躇していた朝岡であったが、ふたりに促されて仕事の愚痴を叫んだ。テレビの気象コーナーは2分30秒しかなくて短すぎるという恨み言だ。確かに、少し気分がよくなった。

その時、百音は森林組合併設のカフェの客たちの笑い声が聞こえた。こちらの声が向こうに聞こえたらしく、それを笑う人々の声だった。課長・佐々木には聞こえず、若くて耳がいいのだろうと笑い飛ばした。500mほど離れているので普通は聞こえるはずがないと言うのだ。
しかし、朝岡によれば、気象条件に酔ってはあり得ると説明した。音は、温度の高い方から低い方へ曲がる性質がある。現在、低気圧が接近しており、上空に暖かい空気、地表に冷たい空気がある。そのため、音が地表付近に留まり、音が聞こえやすくなっているというのだ。

そして朝岡は、この気象条件では雨が振りやすいと付け加えた。空の様子を観察し、おそらく10分後には雨が降り出すと予想した。3人が急いで森林組合の事務所に戻ると、予言通り雨が降り出した。

百音は朝岡の能力にいたく感心した。しかし、朝岡は科学に基づけばわかることだから、特別すごいことではないと冷静に説明した。そして、気象と人体の関わりについても話した。低気圧が近づくと喘息が悪化したり偏頭痛が起きる例、露になると関節が痛みだす例などを紹介した。それらは、気温差や気圧の変化による血管の収縮によって引き起こされるのだという。

さらに朝岡は、佐々木が咳き込んでいることが気になっていた。それは花粉症ではないかと言うのだ。佐々木本人はそれを否定した。くしゃみや鼻水は出ないし、ましてや森で仕事をしている人間が花粉症だとは信じたくないのだ。これまで検査を受けたこともない。
しかし、併設の診療所で医師・菅波(坂口健太郎)に診察してもらったところ、実際に花粉症であった。

その日の夜は、森の中の屋外舞台で能が披露されることになっていた。しかし、この雨では中止せざるを得ないと思われた。人々は能を楽しみにしていたので、重苦しい雰囲気になった。

百音は、朝岡にこの雨がいつまで降るか聞くことにした。夜までにあがれば、能は実行できるのだ。朝岡は、電話やネットで詳細な気象情報を集めた。その結果、午後4時には雨がやむだろうと予想した。その時刻になると、実際に雨がやんだ。百音はますます天気予報の凄さを知った。
さらに朝岡は、室内から予言を行った。外に出て山の方角を見ろというのだ。百音が言われたとおりにすると、そこには大きな虹が出ていた。

こうして、その夜、能が上演された。

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NHK『おかえりモネ』第3回

開始3日目にしてちょっとテンションが下がってギリギリまで起きれなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週『天気予報って未来がわかる?』

天気キャスターの朝岡覚(西島秀俊)が登米にやって来た。ここに興味があるのだという。有名人の来訪に、人々は大いに盛り上がった。
そして、朝岡とサヤカ(夏木マリ)は古くからの知り合いだったという。しかし、ふたりとも話をはぐらかして、詳細については話そうとしなかった。

人々は、朝岡はサヤカの隠し子ではないかと、本人たちの前で噂し合った。噂話は百音(清原果耶)にも飛び火した。登米に突然やって来てサヤカと一緒に暮らし始めた事実から、サヤカの孫ではないかと思われているという。サヤカは地元で多くの山を持つ資産家であり、百音がそれを引き継ぐと目されていた。
百音は最初の挨拶で、サヤカが祖父・龍己(藤竜也)と古い知り合いで、それを頼りに来たのだと説明していた。しかも、サヤカの資産を引き継ぐことなど全く考えていない。サヤカも生涯独身で肉親はおらず、百音を跡継ぎにすることなどこれっぽっちも考えていない。
しかし、人々はそれを聞き流したり、疑っていたのだ。

その日、朝岡はサヤカの家に泊まった。客室に落ち着いた朝岡であったが、居間から百音とサヤカの話す声が聞こえてきた。
百音は、自分のやりたいことが見つからないと打ち明けた。もちろん、今の森林組合の仕事は一生懸命取り組むつもりであるが、生涯をかけるような熱い気持ちになれるものがないと言うのだ。たとえば、妹・未知(蒔田彩珠)は水産加工の研究者になって人の役に立ちたいと言っている。山に生えている大木は何百年も生き続け、切られた後も木材として人々の役に立つ。
自分も誰かの役に立ちたいのだが、それができていないと苦しい胸の内を打ち明けた。

それを聞いたサヤカは、人は必ずしも誰かの役に立たなくても良いと話して聞かせた。ましてや、まだ18歳の人間が悩むには早いことだと諭した。朝岡はそれをじっと聞いていた。

翌日、朝岡は森林組合主催の森林セラピーへの参加を希望した。組合課長の佐々木(浜野謙太)とともに、百音が案内することになった。

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NHK『おかえりモネ』第2回

自分で言うのもなんだけど当ブログの朝ドラ記事の見どころの一つはいつまで続くかという根性だめしの側面であり、自分で言うものなんだけど妹役の蒔田彩珠さんは好物だからわりと続きそうだなとみんなは思うかもしれないけれど、自分で言うのもなんだけれど大好物の黒木華さんが出演する『純と愛』や『花子とアン』ですら途中で脱落しているから、自分で言うのもなんだけれどそうそう続くと思うなよと言っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『天気予報って未来がわかる?』

百音(清原果耶)は、山と森林に詳しいサヤカ(夏木マリ)に連れられ、雨上がりの山中に入った。

急に実家を出ることにしてから1ヶ月、百音は登米での暮らしに馴染んでいたが、心はどこか満たされていなかった。自分の選んだ道が正しかったのか、これからどこに向かえばいいのか迷ったままであった。

そのことに感づいているサヤカは、素知らぬ顔で百音に助言をする。
サヤカは樹齢300年のアスナロを見せた。日本で最も重宝される木材はヒノキであるが北限は福島県であり、宮城県にヒノキは自生しない。ヒノキに準じる樹木としてアスナロが育てられている。
しかし、アスナロはヒノキに劣らない樹木だと説明した。厳しい風雨雪に耐え、ゆっくりと成長する。そのおかげで木目が引き締まっていて木材にした時に狂いにくい上、虫にも強いのだ。

サヤカは、ゆっくりと成長するアスナロになぞらえ、百音も焦る必要はないと伝えた。

その後、百音は勤め先の森林組合の課長・佐々木(浜野謙太)に連れられ、森に建つ能舞台の見学に行った。そこでは週末にイベントが開催される予定なのだ。

そこには、予期せずサヤカがいた。彼女が、森林組合の古参・川久保(でんでん)らと話し合っている声が聞こえた。川久保らは、例のアスナロの木を伐採し、能舞台の修繕に使いたいと言っている。しかし、サヤカは反対している様子だった。
あのアスナロはそろそろ寿命を迎えるはずであり、枯れてしまっては木材として使い物にならない。そこで、川久保は使えるうちに活用すべきであり、そうすれば今後数十年は人々の役に立つと説得を試みた。
しかし、サヤカの意思は固く、応じようとしなかった。

百音は、「人の役に立つ」ことの重要性には納得した。しかし、サヤカに対して何も言えなかった。

夜、サヤカの家に下宿している百音は、ふたりで食事をとっていた。
すると、テレビに妹・未知(蒔田彩珠)が映った。彼女の通う水産高校が取材をされ、未知が代表してインタビューに答えていた。
未知は将来の夢を堂々と語った。研究者になって、水産加工業を発展させ、人の役に立ちたいと述べるのだった・

百音は、ますます自分に将来のビジョンのないことや、誰の役にも立っていないのではないかと悩み始めた。

百音が働く森林組合の建物には、カフェや診療所が併設されている。地元の人々の集いの場になることを目的に設計されたのだ。
診療所には、医師・菅波(坂口健太郎)がいる。彼の昼食をカフェから診療所まで運ぶのも百音の日課の一つだった。しかし、百音は、いつも不機嫌そうでぶっきらぼうな菅波のことが苦手で、いつも食事を運ぶと逃げるように立ち去っていた。

しかし、この日の百音は、思い切って菅波に話しかけてみた。彼が医者を目指した理由を聞いてみたくなったのだ。
菅波は、ほとんど会話をしたことのない相手に聞く質問ではないと皮肉を言いつつも、理由を述べた。彼は、人の命を救いたいという「普通」な理由で医者になったと自嘲気味に答えた。

百音がなんと返そうか迷っていると、広場の方で騒ぎが起きた。
見てみると、天気キャスター・朝岡覚(西島秀俊)が取材に来ていたのだ。

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NHK『おかえりモネ』第1回

蒔田彩珠資生堂「マキアージュ」は似てるなと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『天気予報って未来がわかる?』

1995年(平成7年)9月、日本列島に大型の台風12号が接近していた。この台風は東北地方にも暴風雨をもたらした。
宮城県気仙沼の離島・亀島では、永浦亜哉子(鈴木京香)が産気づいていた。しかし、島には産院がなく、船で本土に渡らなければならない。
地元の漁師・及川新次(浅野忠信)は危険を顧みず、大しけの海へ船を出して亜哉子を本土へ送り届けた。
こうして生まれたのが永浦百音(清原果耶)である。

2014年(平成26年)、高校卒業を控えた百音は、島を離れて就職したいと言い出した。急なことで困惑する家族であったが、祖父・龍己(藤竜也)のツテを使って、百音は宮城県内陸部の登米の森林組合に就職した。登米は気仙沼の東約60kmに位置し、農業や畜産、そして林業が盛んな地域である。

百音は、祖父・龍己の古い知り合い、新田サヤカ(夏木マリ)の家に下宿している。サヤカは一人暮らしであるが、地域で一番の山主であり、森林組合の実力者でもある。また、伊達家家臣の末裔を自称しており、百音に対しては厳しいながらも優しく接している。

海のそばで育った百音が山の中で暮らすことになったのだが、1ヶ月ですっかり登米での生活に馴染んだ。実家の家族たちも、父・耕治(内野聖陽)を除いて、百音の新生活を応援している。父・耕治だけは、娘のことが心配で、事あるごとに実家に帰ってくるよう本人はもちろん、周囲の人々にも愚痴っている。

5月のある日、百音はよく晴れた気持ちのいい朝を迎えた。洗濯物を屋外に干し、空を見上げると、虹色に光る不思議な雲を見つけた。ますます気分がよくなった。
しかし、天気予報ではキャスター(西島秀俊)が、午後から天気が崩れ雨が降ると言っている。百音はせっかくの気分が台無しにされた気分になった。

午後になって、予報の通り雨が降り出した。
そんな天気の中、サヤカが百音を山に連れ出した。木のことを教えるというのだ。

山に入る頃には雨も上がっていた。それでも、ぬかるんだ山道に足を取られるなどして、百音は面白くない思いをした。つい、家を出ると宣言した陰鬱な家族会議のことを思い出してしまった。

しかし、ふと空を見上げると、今朝見たのと同じような虹色の雲を見つけた。
サヤカによれば、それは彩雲という現象で、見るといいことがあると教えてもらった。

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NHK『おちょやん』第15回

昨日はマクラを書き忘れた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第15回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

待ち合わせ場所に佇むシズ(篠原涼子)の所へやっと延四郎(片岡松十郎)が現れた。延四郎はシズが来ないものと思っており、彼にとっては嬉しい驚きだった。

シズは、20年前に自分が待ち合わせ場所に行かなかったことを恨んでいるか尋ねた。延四郎は全く恨んでおらず、むしろホッとしたと答えた。当時、延四郎は別れ話をするつもりでいたので、むしろ助かったと言うのだ。シズにはそれが延四郎の優しい嘘だとすぐに指摘した。昔から、延四郎は舞台以外では芝居が下手だと言ってからかった。
シズは、延四郎と別れて女将となったことを少しも後悔していないし、今の自分があるのも修行時代に延四郎の支えがあったからだと述べて感謝した。

こうしてシズと延四郎は禍根を残すことなく別れた。

その日、岡安は大きな団体客の応対をせねばならなかったが、シズ不在のままでうまくやり遂げた。
その最中、女優・高城百合子(井川遥)が岡安を尋ねた。彼女は映画女優に転向するため、奇しくも同じ日に道頓堀を去る。転向が嫌で逃げた時、岡安と千代(杉咲花)に匿ってもらった礼を言いに現れたのだ。皆は忙しくたち振る舞っており、千代に会うことは叶わなかった。百合子は、先代女将・ハナ(宮田圭子)にだけ挨拶をして街を去った。

シズが帰宅すると、千代に礼を述べた。千代がシズの背中を押してくれたから悔いを残さずに延四郎と別れることができると感謝した。

それから1ヶ月後の12月28日、延四郎が亡くなったとの報せがあった。彼は重い病であることを隠して舞台に立ち続け、それが引退の理由であったのだ。
舞台以外では芝居が下手な延四郎にすっかり騙されたと言って、シズは一人密かに泣くのだった。

そして年が明けて大正14年(1925年)になった。
千代の奉公の年季が明けた。千代は、自ら願い出て岡安で働き続けることになった。

朝、まだ岡安が動き出す前、激しく戸を叩く者がいた。
千代が出てみると、それは父・テルヲ(トータス松本)だった。

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NHK『おちょやん』第14回

当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第14回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

千代(杉咲花)は歌舞伎役者・早川延四郎(片岡松十郎)から、女将・シズ(篠原涼子)へ手紙を届けるよう頼まれた。ふたりの仲が道頓堀で悪い噂になり、岡安の商売に影響が出ている。当初、千代はきっぱりと断った。延四郎も諦めざるを得なかった。
しかし、延四郎としばらく話しているうちに情が移ってしまった千代は考えを改め、自ら手紙を引き受けた。

千代は手紙を差し出したが、シズは頑として受け取ろうとしなかった。押し問答の末、シズは手紙を受け取らない理由を説明した。
若い頃のシズは女将修行がうまくいかず、跡継ぎを諦めようとしていた。そんな時、延四郎に「どんくさい子が一生懸命努力し、一人前になっていく姿を見ていると自分の励みにもなる」と言って応援されたという。彼の励ましがなければ、今の自分はなかったと思うほどの恩人である。そのような人物の手紙を読めば会いたくなるに違いない。会いに行けば、岡安も家族も破綻してしまう。だから会いに行かないし、手紙も読まないと述べた。

シズは話を切り上げるため、千代の年季明けの身の振り方に水を向けた。自分の将来すら考えていない千代が、他人の心配などする筋合いはないと叱った。
ぐうの音も出なくなった千代は、ヤケになって手紙をシズの机に置いて立ち去った。物陰から盗み見すると、シズは即座にその手紙を破り捨ててしまった。

いよいよ、延四郎の引退公演の千秋楽の日を迎えた。
その日は別の理由で岡安も大忙しだった。翌日に重要な団体客を迎え入れる準備があったのだ。いつもはのんびりしている夫・宗助(名倉潤)ですら仕事に集中しなければならなかった。娘・みつえ(東野絢香)の舞の稽古にはいつも宗助が付き添っていたが、それもできず、千代が付き添うことになった。

みつえは母の跡を継ぐことを心に決めている。加えて、父から甘やかされたお嬢様育ちであるため勝ち気である。同い年の千代にもきつく当たる。
みつえの気性の激しさは、外の人間にも同様である。ライバル茶屋・福富の一人息子であり幼馴染でもある福助(井上拓哉)の姿を見つけるや否や、シズの悪評を流したことで食ってかかった。また、彼が跡継ぎ修行をせずに下手くそなトランペットで生計を立てようとしていることをバカにした。

福助は、家業の跡継ぎをしたくないのには理由があると話しはじめた。道頓堀での芝居興行は減少傾向にあるという。以前は一日中芝居が行われていたが、今では昼と夜の2回しかない。客の性質も変わり、芝居だけを見て、茶屋に寄らずにサッと帰る人が増えているという。実際、この10年間で多くの芝居茶屋が廃業した。福助から見れば、芝居茶屋に将来性はないのだ。
一方のみつえは、岡安を引き継いでもり立てることを夢見ており、福助の話は気に入らなかった。怒って、福助のトランペットを川に投げ捨てた。
千代にとっては、初めて聞く話で少なからず驚いた。

みつえの稽古の送迎を終えて戻ると、団体客対応の大詰めで岡安はさらに騒がしかった。店の要であるシズはてんてこ舞いである。

そんな中、千代はシズに向かって、団体客のことは自分たちに任せて延四郎に会いに行ってほしいと言い出した。それは、団体客の対応を全て放棄するのと同じことだった。
千代は自分の身の振り方に関してシズから言われた言葉を引用した。曰く、自分がどうしたいかよく考え、それに従って行動しなければ後悔するというものである。千代は、その言葉は千代に向けたのと同時に、シズが自分自身に向けた言葉ではないかと指摘した。会いに行かないことで、シズに後悔してほしくないと言うのである。

千代は、芝居茶屋の将来が暗いという話を聞いて考えたと話した。確かに自分は芝居が好きだし、岡安のことも好きである。だからここにいたい。
しかし、それよりも自分がもっとも優先したいことは、シズに恩返しすることだと述べた。実家が夜逃げして、自分には行き先がなくなった。そんな時に助けてくれたのはシズである。シズがいなければ、今の自分はいなかったに違いない。
自分にとってシズが恩人であることを思えば、シズにとっての恩人である延四郎のことをどう思うかは容易に想像できる。会いに行かなければどれほどの後悔をするかわかると述べた。

話を聞いていた女中連中も千代に同意した。先代女将・ハナ(宮田圭子)も承諾した。夫・宗助は、妻が昔の男に会いに行くなど承知し難かったが、それでは格好がつかないので平静を装って承諾した。

こうして翌朝、シズは延四郎との待ち合わせ場所へ向かった。

その頃、延四郎は興行主の大山鶴蔵(中村雁治郎)と別れの挨拶をしていた。延四郎が妙に早く出発するので訝しく思う大山であったが、気持ちよく送り出そうとした。

その矢先、延四郎が突然倒れた。

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NHK『おちょやん』第13回

2021年2月から放送の始まるNHK大河ドラマ『青天を衝け』に橋本愛さんが主人公・渋沢栄一の妻役で出演するわけだけれど、その役名も千代だと知ったし、みんなの予想に反して杉咲花よりも橋本愛さんの方が好きな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第13回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

夜店見物の途中、シズ(篠原涼子)は歌舞伎俳優・早川延四郎(片岡松十郎)に偶然出くわした。今回の公演を最後に廃業しようとしている延四郎は、千秋楽の翌朝にもう一度会いたいと願うのだった。
直後、シズの夫・宗助(名倉潤)と娘・みつえ(東野絢香)が迎えに来た。シズは何も答えず立ち去った。

その一部始終は、ライバル芝居茶屋・福富の女中たち(丹下真寿美沢暉蓮藤本くるみ)が盗み見していた。彼女らは尾ひれをつけて、シズが延四郎と逢い引きしていたと街中に噂を流した。
道頓堀では、芝居茶屋の女中と役者の色恋はご法度である。特定の役者や芝居小屋を贔屓している見られ、信用を失うからである。福富の女中らの目論見は見事にあたり、シズの芝居茶屋の客がみるみる減った。

シズへの誹謗が大きな結果を生んだのには遠因があった。当時を知る岡安の女中頭・かめ(楠見薫)によれば、20年前にもシズと延四郎との間には一悶着あったという。

シズが岡安を引き継ぐために女中修行をしていた時分、延四郎と恋仲になった。延四郎は東京に進出することになり、駆け落ち同然でシズを連れて行こうとした。シズもその気になり、道頓堀での興行の千秋楽の翌朝に待ち合わせをしていた。
しかし、すんでのところで先代女将・ハナ(宮田圭子)に止められ、それきりになったのだという。

家中の騒ぎを鎮めるために、シズは自ら皆に語った。
過去にしきたりを破って延四郎と恋仲になりかけたのは事実であると認めた。そのせいで現在、岡安の看板に泥を塗る形になって申し訳ないと深く謝った。
そしてシズは、今まで隠し持っていた延四郎からの手紙を全て焼いてしまい、未練を断ち切った。

岡安への客足が遠のいたとはいえ、皆無ではなかった。千代(杉咲花)は残った客のために芝居小屋の座席を整えていた。そこで、噂の出どころである福富の女中たちと出くわした。
千代は、街の事情通である乞食・小次郎(蟷螂襲)から仕入れた情報を語った。曰く、福富の女中たちも二枚目俳優などとこっそり会っているのだ。それを聞かされた福富の女中たちは大いに慌てた。

仕返しをして気の晴れた千代は岡安に戻ろうとした。その道中、延四郎に捕まった。彼は、これが最後だと言ってシズへの手紙を千代に託そうとした。しかし、千代は頑として受け取らなかった。
その代わり、延四郎に請われ、現在のシズの様子を話してやった。シズが夫と娘に囲まれ、幸せに暮らしていると聞いて延四郎は満足した。

逆に千代は、延四郎が廃業する理由を尋ねた。
延四郎によれば、歌舞伎界は名のある家に生まれないと出世できないという。自分は生まれが悪いため、大阪ではうまくいかなかった。それで東京に行ったが、そこでも苦労が多かった。もう潮時なのだと話した。

そうして寂しそうに立ち去ろうとした延四郎を千代が呼び止めた。

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NHK『おちょやん』第12回

今朝はコンタクトレンズを付けずに裸眼で書いてるので誤字脱字がたくさんあったらごめんなさいと先に謝る当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第12回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

千代(杉咲花)は、街で見つけた高城百合子(井川遥)を岡安に匿った。彼女は何かから逃げている様子であり、また、千代が演劇に憧れるきっかけとなった女優だったからだ。

千代は知らないことだったが、百合子は会社と揉めて飛び出したのだった。
会社は、百合子に映画女優に転向するよう説得していた。しかし、映画は舞台よりも格下だと考えられており、百合子のプライドがそれを許さなかったのである。

岡安で安心した百合子は、千代にお茶子になった理由を聞かれた。
しかし、千代は明確に答えられなかった。親に売られ、これ以外に道はなかったのである。他にやりたいことはないのかと聞かれたが、それも特に思いつかなかった。

逆に、千代は百合子が女優になった理由を尋ねた。
まず百合子は、男に負けたくなかったと答えた。血縁者に頼ることができない境遇であったので、自分ひとりの力で生き抜くために女優になったという。
そして、それよりも大きな理由として、自分自身の内なる声がそう告げたのだと話した。その答えは、千代には想像もつかないことで、よくわからなかった。

千代はよくわからなかったものの、今の百合子には女優を辞めろという内なる声が聞こえているのかお尋ねた。不躾な質問をする千代に対して、百合子は気分を害した。それ以上喋らなくなった。

困った千代は、「私は、ただ、しようと思うことは是非しなくてはならいと思っている」と言った。すると百合子は「神聖な義務を思い出した。私自身に対する義務です」と答えた。
それは、演劇『人形の家』の中のセリフであり、過去に百合子が演じたものだった。その台本を持っている千代はそれを読むために字を覚え、今ではすっかり全て暗記してしまったのだ。百合子も過去の出演作でありながら、セリフをしっかりと覚えていた。ふたりでしばし掛け合いをした。

そのやり取りを通じて百合子はすっかり立ち直り、帰ることにした。
百合子は、芝居が好きなら自分でやってみるべきであり、人は一生に一度は本当にやりたいことをやるべきだと言葉を残して去っていった。

その夜、女将・シズ(篠原涼子)は家族と夜店を覗いていた。髪飾りを探しに言った宗助(名倉潤)とみつえ(東野絢香)を待つ間、石段に座って休んでいた。

その時、同じく夜店見物に来ていた歌舞伎役者・早川延四郎(片岡松十郎)に声をかけられた。20年ぶりの再会であった。
延四郎は何度も手紙を書いたのだが、シズは一度も返事を書かなかった。シズは、今でもそれらを持っているが、延四郎には全て読まずに捨てたと嘘を言った。

延四郎は、自分の興行の千秋楽の翌朝、もう一度ここで会いたいと言った。

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