NHK『わろてんか』第11回

ヤバい、しんどい、体調悪い当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第11回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

藤岡家では、てん(葵わかな)と伊能栞(高橋一生)の結納の準備が大急ぎで進められていた。

しかし、栞の父・伊能(南条好輝)から、結納を延期するよう通知された。
藤岡家の薬品倉庫が焼け、店が存亡の危機にあることが知られてしまったのだ。経済的援助を目的に結婚を進めるわけにはいかないというのだ。儀兵衛(遠藤憲一)は抗弁することができなかった。

医者によれば、喘息の発作から肺炎を起こした新一(千葉雄大)は長くてあと1ヶ月程度の命だと宣告された。
家の中は火が消えたように沈み込んだ。

病床にてんを呼んだ新一は、てんに笑い続けるよう頼んだ。
新一によれば、笑いは人間だけの特権だという。人間は金や地位、名誉を競い、ひどい場合には戦争で殺し合う生き物である。そしてまた、人生は思い通りにならず、辛いことばかりである。そういった苦しみから開放されるために笑いがあるのだと話した。だから、辛いときこそ、みんなで笑えと命じた。
てんは満面の笑顔で、そうすることを約束した。

儀兵衛の姿が見えなくなった。
しかも、姿を消す直前には、自分のせいで店を潰してしまったと言い、使用人全員に暇を出したという。

みなで探すと、儀兵衛は蔵にいた。
天井から縄を吊るし、その前おいた踏み台に乗っていた。

首吊りを阻止しようと、みなは儀兵衛にすがりついた。
口々に、儀兵衛はギョロ目の仏頂面ですぐに怒るが、それでもかけがえのない家長であると訴え、思いとどまらせようとした。

やっとのことで床に引きずり下ろされた儀兵衛は、大声で叫んだ。
儀兵衛は、延期になった結納の品々を蔵の中に片付けようとしていたのだという。品物を縄に結びつけ、蔵の2階に持ち上げようとしていたところだったのだという。儀兵衛の言うとおり、縄は滑車に通されていた。

人騒がせな事件に、一同は大笑いした。
みなが笑う姿を見た儀兵衛は、笑いは人を幸せにする薬だとしみじみつぶやいた。仏頂面の儀兵衛も、この時ばかりは泣きながら笑った。
そんな儀兵衛の様子は、ますますみなを沸かせた。

新一は、病床でひとりその声を聞いていた。

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テレビ朝日『トットちゃん!』第9話

我が最愛の山瀬まみが今月20日の有馬隼人とらじおと山瀬まみと復帰するというニュース(スポニチ)を知って喜んでいる当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第8話の放送を見ましたよ。

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徹子(豊嶋花)は小学校で問題ばかり起こしていた。
担任教師(千葉雅子)が厳しく叱っても、徹子には馬耳東風だった。

学校の机には蓋がついており、中が物入れになっている。家の机とは違って珍しいので何度も開け閉めしていたところ、叱られた。開閉する理由があればよいと思った徹子は、学習用具は全て机の中にしまっておいた。それらを使うたびに取り出し、授業の途中でも使用を終えると必ずしまった。
たとえば、カタカナの書き取りをする時は、(1)ノートを机から取り出す、(2)筆箱を机から取り出す、(3)筆箱から鉛筆を取り出す、(4)筆箱を机にしまう、(5)書き損じる、(6)筆箱を机から取り出す、(7)鉛筆を筆箱にしまう、(8)筆箱を机にしまう、(9)筆箱を机から取り出す、(10)筆箱から消しゴムを取り出す、(11)消し終わる、(12)消しゴムを筆箱にしまう・・・といった具合である。

開閉の音がうるさいため、教師は徹子を廊下に立たせた。反省しろと言われたが、徹子には「反省」という言葉の意味がわからなかった。それどころか、自分が悪いことをしているとは少しも思っていなかった。廊下から教室の窓に顔を押し付けて、級友たちを笑わせたりした。

ある日、学校のそばにちんどん屋(東京チンドン倶楽部)がやって来た。授業中にもかかわらず、徹子は窓からその様子を眺めた。しまいには、ちんどん屋の演奏に合わせて教室で踊りだした。級友たちもつられて踊りだし、授業は崩壊した。

絵を描けば、犬の顔を画用紙いっぱいに描いてしまったので胴体が収まらなくなった。徹子は、画用紙をはみ出して、教室の床や机に胴体を描き足した。

朝(松下奈緒)が担任に呼び出され、家庭での躾をきちんと行うように注意された。
おとなしく承諾した朝であったが、本心では徹子には自由な生き方をしてほしいと願っていた。そのため、徹子の態度が改善されることはなかった。

ついには、校長(外波山文明)にまで呼び出された。
徹子の奔放さは他の生徒への悪影響が大きすぎる。その上、学校側では手に負えない段階に来ている。この学校は公立校なので退学させることはできないが、自主的に転校という形で出ていって欲しいというのだ。期限は夏休みの終わりまでということになった。

朝は納得できなかったが、負い目があり反論できなかった。

帰宅した守綱(山本耕史)に相談したが、彼は全く意に介していなかった。家でも教育ができるというのだ。読み書きは誰でも教えられるし、計算はそろばん塾に通えばよい。守綱のバイオリンの音色を聞くだけで情操教育はできる。朝からは洋裁を習うことができる。以前住んでいた乃木坂上倶楽部の芸術家仲間に協力してもらえば、絵画、ダンス、料理などを身につけることができる。
それだけで立派な花嫁修業ができ、嫁の貰い手に困らないというのだった。

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NHK『わろてんか』第10回

小西真奈美さんがいつの間にかシンガーソングライターとしての活動を始めているということを知って驚いた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第10回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

憧れの芸人・籐吉(松坂桃李)に会うため一人で大阪に向かったてん(葵わかな)は、ゴロツキ連中に乱暴をされた。

てんの後を追って大阪に向かった手代・風太(濱田岳)が彼女を見つけた時、騒ぎは収まっていた。
偶然通りがかった、てんの婚約者・伊能栞(高橋一生)があっという間に数人の男たちを叩きのめしたのだ。

てんは見合い写真で栞のことをよく知っていた。しかし、栞の方は てんのことを知らないでいた。
栞は薬品の貿易会社を率いており仕事が忙しい。文化芸術や大衆芸能にも興味があり、将来はそれを事業にすべく、趣味と実益を兼ねて取り組んでいるという。
そのため、自分の結婚には全く関心がない。てんの見合い写真は確かに送られてきていたが、書類の山に埋もれたままだった。てんと出会って初めてその写真を見た。

てんは大阪に来た経緯を話した。将来の夫である栞の前で、うっかりと藤吉に会って親の決めた結婚に応じる心の整理をしに来たと説明してしまった。
自分との結婚は本意ではなく、しかも別の男に会いに来たと聞かされたが、栞は意に介さず大笑いした。
そこで話は打ち切りになり、その晩は栞が手配してくれた宿に泊まり、翌朝一番の汽車で風太と共に帰宅した。

藤吉と栞の両方に会ったことのある風太は、藤吉よりも栞のほうがよほど良い人物であると評した。
てんも、藤吉はおとぎ話の登場人物のようだと言い、自分はもうおとぎ話に憧れる年でもないなどと、当吉を忘れようとする発言をした。

家では父・儀兵衛(遠藤憲一)が待ち構えていた。妹・りん(堀田真由)や女中・トキ(徳永えり)から事情を聞き、藤吉からの手紙のこともすっかりバレていた。
手紙はてんの目の前で火にくべられ、てん自身はお仕置きとして蔵に閉じ込められた。

兄・新一(千葉雄大)が独断で てんを蔵から出してくれた。彼が父に掛け合って、てんを許してくれるよう頼んでくれるという。
新一は、てんのことを糸口に、家業の状況について父に訴えた。儀兵衛は神戸港に借りていた薬品倉庫が全焼し、店が危機に陥っていることを誰にも話していなかった。新一は独自にそのことを知ったのだ。跡取りの自分に正直に打ち明けてくれなかったのが不満だという。まるで自分に期待を寄せていないように思われる。
さらには、儀兵衛が金策や店の存続のために てんを政略結婚させようとするのも納得いかないと訴えた。儀兵衛はカッとなって新一に平手打ちをするだけで口では整然と反論することはできなかった。

その時、藤岡屋の取引先の主人がこぞって押しかけてきた。
藤岡屋の倉庫の火災が噂となって広まってしまっているのだ。藤岡屋は輸入薬品に大きな投資をしていたことに加え、倉庫管理会社は夜逃げをして補償が受けられない、保険金もおりるあてが無いなど、藤岡屋にとって不利な話ばかりなのだ。債権者たちは、手形が不渡りになる前に金を回収しようとしているのだ。

商売人たちからの信用を失った儀兵衛は、遠くに住む親戚を回って金策をするしかない。しかし、儀兵衛なしでは押しかける債権者の対応ができない。
そこで留守番をかって出たのが新一だった。跡取りとして債権者への対応を立派に務めると豪語した。他の方法はないので、儀兵衛もその策を取ることに決めた。

実際、新一は見事に務めを果たした。しかし、元々体の弱かった新一である。3日目の晩に激しい喘息の発作を起こしれ倒れてしまった。連絡を受けた儀兵衛もすぐに帰ってきた。
医者によれば、肺炎を起こしており、難しい容態だという。ドイツでは特効薬が開発されたというが、それはまだ日本に入ってきていない。静養すること以外手はないというのだ。

日本に薬のないことは、誰よりも儀兵衛が一番よく知っていた。だからこそ、儀兵衛は店の命運をかけて、ドイツからの薬品輸入の道筋をつけようとしていたのだ。
儀兵衛は新一のことを高く評価していた。家に尽くすために無理をして勉学に励んでいる。実際に新一には見どころがあり、儀兵衛本人よりも世の動向をよく理解しており、将来への見通しも優れている。そして何よりも、新一が薬品流通に取り組んでいるのは、自分と同じように苦しんでいる人を助けたいという一心なのだ。

儀兵衛は、なんとかして彼の夢を叶えさせてやりたいと思っているのだ。

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テレビ朝日『トットちゃん!』第8話

今日はめっちゃ暑かったので勝手に観光協会ZのTシャツを着て出社した当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第8話の放送を見ましたよ。

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守綱(山本耕史)と朝(松下奈緒)の長女・徹子が生まれた。

実家とは絶縁状態の朝だが、子どもの生まれたことを電報で知らせた。
母・三好(古村比呂)はたいそう喜んだが、父・周通(佐藤B作)の反応はひどく冷淡だった。周通は「連絡無用、父」としか返信しなかった。

アパートで周通からの電報を受け取った守綱は、入院中の朝に見せるべきかどうか迷った。しかし、朝に隠し事をするべきではないと考え、電報をそのまま見せた。
あまりに冷たい仕打ちで、朝は実家に打電したことを後悔し涙を流した。守綱は、誰がなんと言おうが夫婦の愛情は変わらないと慰めた。それで朝は救われた。

親の決めた結婚に反発した朝なので、自分の娘に同じ苦労はさせたくないと願った。徹子には親の価値観で縛らずに育てようと決意した。

守綱と朝の住んでいた乃木坂上倶楽部は芸術家のためのアパートであり、子どもとの同居は厳禁だった。それに従い、一家は北千束に一軒家を借りて移り住んだ。それと前後して守綱の仕事も増え、一家の暮らしに少しは余裕も出てきた。

1939年(昭和14年)、日本と中国の間に戦争が起き、日本は軍国主義化していた。
徹子(豊嶋花)は6歳になり、小学校入学の春を迎えていた。
赤ん坊の頃から徹子の子守唄はベートーベンの第九だった。いつしか本人のお気に入りとなり、暇さえあれば自分で歌っていた。守綱がドイツ語の発音を教えると、徹子はすぐに習得した。音楽学校に通って声楽を目指していたが全く才能のなかった朝と違って、徹子の歌はなかなかのものだった。

黒柳家には、徹子より2歳年下の長男・明児(めいじ; 伊藤駿太)が生まれたほか、ロッキーという名の犬も飼っていた。

また徹子は、守綱の兄・修治(日向丈??)からアメリカ土産のぬいぐるみを貰った。彼は報道カメラマンとして世界中を飛び回っているのだ。
白と黒の斑模様の奇妙なぬいぐるみで、修治の説明によれば中国に生息するクマをかたどったものだという。たいそう奇妙なクマの姿に黒柳家の一同は驚いた。
徹子は、中国にちなみ、そのぬいぐるみを「シナシナ」と名付けた。

徹子の入学式の日。
徹子は快活ではあるが、落ち着きのない子どもだった。まず、小学校に行くまでが一騒動だった。魚屋の商品ひとつひとつに挨拶をしたり、通りがかったちんどん屋(東京チンドン倶楽部)に憧れてついて行こうとする。
それでも徹子は、商店街の人々の人気者だった。

商店主から大きな飴玉をもらい、徹子は大喜びした。
しかし、学校で飴玉を持っていることがバレては叱られる。機転を利かせた徹子は、耳の上に飴玉を挟み込み、オカッパ髪で巧妙に隠すのだった。

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NHK『わろてんか』第9回

7:15の『花子とアン』の再放送で黒木華さんを見て機嫌のいい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第9回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

神戸港の大火災で、藤岡屋の薬品倉庫が全焼した。ドイツから輸入した薬品が全て焼けてしまった。事業転換の矢先の災難で、藤岡屋の経営が急落した。
儀兵衛(遠藤憲一)は金策に走るが、担保も将来性もない状態では応じてくれる者もいない。
こうなっては、伊能製薬との提携を一挙に進めるしかない。

儀兵衛は、てん(葵わかな)と伊能栞(高橋一生)との縁談を早急にまとめることにした。結婚はまだ先にするとしても、両家の結納だけは済ませてしまうことに決めた。次の大安の日に結納をすることにし、家族に準備をすすめることを命じた。家族は誰も反論することができなかった。

肝心のてんは気持ちの整理ができないでいた。
伊能栞は家柄もよく頭脳明晰であることに加え、男前である。非の打ち所のない結婚相手である。しかし、どういうわけか、結婚のことを考えても笑えないのだ。自分でもどうしてそのような気持ちなのかわからないでいた。
けれども、父の命令に逆らうことはできない。

てんは、一度、北村籐吉(松坂桃李)を訪ねてみることにした。彼の手紙にはいつも笑わせてもらっているからだ。
最近来た手紙には、彼が大阪・法善寺の寄席でトリに抜擢されるほどの大出世をしたと記されていた。てんは単身で法善寺へ向かうことにした。

京都以外を知らないてんは、手代・風太(濱田岳)に法善寺への道順を聞いた。使いで各地に出かけることの多い風太は、大阪の地理にも詳しかった。風太から教えてもらったとおり、てんは出かけていった。

その直後、風太はてんの行動を怪しんだ。しかも、法善寺の付近はガラの悪い地域である。世間知らずの てん がひとりで出かけることは適切ではない。
風太は仕事を放り出して、慌てて後を追った。

法善寺に到着した てんは、京都とは違う活気に溢れた大阪の町が物珍しかった。見るもの全てが新鮮だった。

そうして、藤吉の手紙にあった寄席・南北亭にたどり着いた。ところが、そこに藤吉は出演していなかった。客引きに尋ねても、当吉の名を知らないという。
付近には複数の寄席が建っている。てんは全ての寄席に問い合わせたが、藤吉の名を知る者はひとりもいなかった。

途方にくれた てんは、往来で座り込んでしまった。
そこへ、4-5人の男たちが声をかけてきた。自分たちは藤吉のことを知っていると述べ、てんを人影のない路地裏へ連れ込んだ。
男たちは てんに乱暴をはじめた。

少し前から彼らの様子を観察している者がいた。
その男が飛び込んできて、あっという間に狼藉者たちを叩きのめし、追い払ってしまった。

てんはその男に見覚えがあった。
自分の婚約者の伊能栞だったのだ。

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テレビ朝日『トットちゃん!』第7話

朝晩2回のまとめ記事は流石にきつくなってきた当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第7話の放送を見ましたよ。

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朝(松下奈緒)は臨月を迎えた。
それでも家計は火の車である。守綱(山本耕史)は相変わらず金銭感覚に乏しい。妊娠中の朝に対しても態度を変えることはない。
朝は大きな腹を抱えて仕立て屋の内職を続けていた。

近頃、朝は守綱に演奏会の日程を事細かに聞くようになった。次の演奏会はおよそ2週間後だという。

実は、朝は守綱のステージ衣装である燕尾服を質入れしているのである。他に金目のものはなく、そうでもしなければ生活が立ち行かないのである。
演奏会の日程を聞き出したのは、前日までに燕尾服を取り戻すためである。その燕尾服がなければ、守綱は絶対にステージに上がらない。
朝は質屋から急場の金を借りつつ、期日までに燕尾服を取り戻すよう、自転車操業で仕立て仕事に取り組んだ。

ある日、守綱は燕尾服が無いと騒ぎ出した。朝は洗濯屋に預けていると言ってその場をごまかした。守綱は、演奏会の前日までに取りに行くよう命じた。
しかし、その演奏会の日程は、朝が把握していた日よりも10日も早かった。ふたりの間のどこかで行き違いがあったようだ。しかし、今さら本当のことを言えるわけもなく、朝は金策に奔走することとなった。

アパートの住人はいずれも芸術家であり、まとまった現金を持っているわけではなかった。
仕方なく、住人の貴重品を借りて、それを質入れすることにした。カフェ・マスターのシイナ(小澤征悦)からは両親の形見の象牙製の像、画家の華子(高岡早紀)からは亡き夫からプレゼントされたダイヤのネックレス。しかし、質屋(江藤漢斉)の鑑定によれば、いずれも偽物で値がつかなかった。

そこへ通りがかったダンサー・ダニー市川(新納慎也)を見ると、翡翠のカフスボタンをつけていた。幸いなことにそれは本物の翡翠で、朝はなんとか燕尾服を引き出すことができた。

演奏会の前日。危機を脱し、守綱をリハーサルに送り出そうとしていたところ、アパートの大家・島田(小松利昌)が訪ねてきた。
彼が言うには、このアパートでは子供の居住を禁じているという。芸術家のためのアパートであり、子供の出す騒音が創作活動の妨げになるというのが理由だった。例外は一切認めないという。
守綱はそのことを知っていながら、これまで一度も朝に話したことがなかった。あとで考えると言ったきり、リハーサルへ出かけていってしまった。

ただでさえ家計は危機的状態であるのに、家まで追い出されてしまっては生活が破綻する。
心労のあまり、予定日より早く産気づいてしまった。

リハーサル中の守綱には、朝が入院したことが電報で知らされた。しかし、守綱はリハーサルをやり遂げ、それが終わると病院に直行した。そして、徹夜で朝に付き添い、そのまま演奏会の本番に出かけた。疲労にもかかわらず、守綱は見事な演奏をやりきった。

その演奏会の最中、朝は赤ん坊を産んだ。

病院に駆けつけた守綱は、期待に反して女の子が生まれたと知り、落胆した。
男の子につける予定だった「徹」という時に一文字付け足して、徹子と名付けた。

1933年8月9日のことだった。

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NHK『わろてんか』第8回

昨日はアウトドアビンゴ(まとめ)などという遊びをしていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第8回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

父・儀兵衛(遠藤憲一)は、大阪の大手製薬会社・伊能製薬との提携を企図している。そのため、てん(葵わかな)と伊能家の次男・栞(高橋一生)との縁談をまとめてきた。

栞は東京帝国大学を卒業後、現在は系列の貿易会社を任されているという。家柄が良く、頭も良いばかりでなく、見合い写真の姿も男前だった。家の女たちは羨ましがった。
しかし、肝心のてんには実感がわかず、どこか他人事のように思えた。

手代の風太は幼い頃から藤岡屋に奉公し、使用人でありながら、てんの幼馴染として共に育った。ケンカも多かったが、互いが良き理解者だった。
旅芸人・北村籐吉(松坂桃李)から届く手紙を仕分けし、秘密裏にてんへ渡しているのも風太である。

風太は、縁談に差し障るので、籐吉のことは忘れてしまえと諭した。そもそも自分が籐吉からの手紙を仲介していたことも誤りであったと反省し、今後は渡さずに処分すると話した。これまで届いた手紙は、風太が燃やすと言いだした。
籐吉からの手紙はてんの宝物である。辛いことがある度に読み、笑うことで救われた。たとえ別の男と結婚することになっても、この手紙だけは捨てられない。

てんと風太の間で手紙の束の奪い合いになり、揉み合ううちに手紙が破れてしまった。決まりの悪くなった風太は立ち去るしかなかった。
てんは泣きながら、台紙に破れた手紙を貼り付けて修繕した。手紙のことを知っている妹・りん(堀田真由)と女中・トキ(徳永えり)はてんの味方だった。その後、3人そろって風太のことを完全に無視した。

ある朝、登校するてんは兄・新一(千葉雄大)とふたりきりで歩いた。
新一が言うには、てんは父の決めた結婚には従わず、好きなように生きれば良いと助言した。一家の跡取りである新一には、伊能製薬と手を組まずとも難局を乗り切る計画があるのだという。だから、てんが政略結婚をする必要はないというのだ。

加えて、新一は風太のことにも触れた。風太が籐吉からの手紙を仲介していることに、新一はとっくに気付いていたという。とはいえ、父・儀兵衛にだけはバレなかったことは大いに評価するし、なによりも、彼が一人で危険を犯していた事は並大抵の苦労ではなかっただろうと評した。
てんは感じ入るところがあった。

その夕方。風太は池にかかった、人気のない橋でいじけていた。
そこへてんが姿を現した。風太は幼いときから、叱られる度にここへ来て泣いていた。てんはそのことをよく知っていたのだ。

てんは、持参した饅頭をふたつにわり、風太に分け与えた。
風太は、小さなときから、泣く度に てんから饅頭をもらっていたことを思い出した。悔しいが、涙がこぼれた。
嬉しく思いつつも、てんの前では強がって、憎まれ口を叩くのが風太の性分である。本当は自分の方が3歳も年上なのに、てんが自分のことを弟扱いするのが昔から気に入らないと悪態をついた。

そんな風太を てんは暖かく見守った。
籐吉の手紙と同じように、風太も自分にとって大切な宝物だと話して聞かせるのだった。

そんな頃、神戸港で大火災が発生した。
そこには藤岡屋の薬品庫が建っており、それが全焼したという。

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テレビ朝日『トットちゃん!』第6話

今日は初めてリアルタイムで視聴する当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第6話の放送を見ましたよ。

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朝(松下奈緒)のことを偏執的に愛する夫・黒柳守綱(山本耕史)は、自分が出かけるときは外から鍵を締めて彼女をアパートの部屋に閉じ込めた。朝が自分以外の人間と親しげにすることが我慢ならないのだ。

しかし、朝はベランダ越しに隣人・華子(高岡早紀)の部屋へ移動し、やすやすと脱出に成功した。もちろん盛綱の帰宅前に同じ経路で部屋に戻り、素知らぬ顔をしていた。
また、芸術家肌で金銭感覚に疎い盛綱は蓄えがないどころか、日々の家計も火の車だった。朝は結婚祝いとして貰ったミシンを使って、仕立て屋の内職を始めることにした。アパート1Fのカフェサロンは客を取るのに最適だった。アパートの住人たちは朝に協力し、盛綱に秘密を明かすことはなかった。

そんなある日、朝の父・周通(佐藤B作)が決めた元婚約者・児玉久興(本多力)が会いに来た。
児玉は朝のことを罵った。開業医という名家の娘が仕立て屋の真似事をするなど落ちぶれたものだと言うのだ。家の跡取りという大切な役目を忘れ、家族を捨て、さらには素性の知れない男にうつつを抜かして駆け落ちまでした。人として醜いとなじり、自分とは住む世界の違う人間だと吐き捨てた。
もちろん朝は反論した。幸せには様々な尺度がある。自分は内職をしているが、夫とふたりで幸せに暮らしていると訴えた。

児玉との話が長引いたせいで、部屋に隠れ戻る前に盛綱が帰ってきてしまった。
盛綱は自分が騙されていたことに気付き、激怒した。しかも、朝が自分の知らない男と話し込んでいたことにも我慢がならなかった。
児玉は、帰宅するなり妻を怒鳴りつける男の様子に驚愕した。そして、東京には変人ばかりが住んでいるのだと吐き捨てた。自分は大自然とともにまっとうな暮らしをする北海道に愛着があると述べて去っていった。

部屋に戻った朝は、盛綱に深く謝罪した。盛綱はまだヘソを曲げていたが、少しは怒りも収まった。朝が急ぎの仕立て仕事のあることを説明すると、夕飯までミシンを使うことも許してくれた。

しかし、ミシンの騒音が盛綱を苛立たせた。音楽家の耳には耐え難いと文句を言いはじめた。朝がミシンを止めると、盛綱はバイオリンを取り出して弾きはじめた。すると今度は外から犬の吠える声が聞こえてきた。
癇癪を起こした盛綱は、手元にあった小物を窓に投げつけた。割れた窓ガラスの修繕費の心配を朝がもらすと、盛綱の怒りがますます激しくなった。窓ガラスは取り替えれば済むものだが、盛綱の有する芸術的感性は何を持ってしても取り返しのつかないものだというのだ。

ついに朝の我慢も限界に達した。盛綱の大切なものはバイオリンと朝の2つだけだと言っていたが、自分はバイオリンよりも下に見られていると言うのだ。今でも朝は盛綱のバイオリンを愛している。しかし、盛綱の芸術に愛はなく、誰一人への愛も無いと断じた。
朝は、もう盛綱と一緒に暮らすことはできないと宣言し、部屋を出て行こうとした。

出て行かせまいとする盛綱ともみ合った。はずみで転倒した朝の目の前に盛綱の靴があった。
彼の靴はつま先がひどくすり減っていた。それは、毎日、朝に会うために前のめりで大急ぎで帰って来た証拠だった。
朝は、それが何よりの幸せだと思い直すのだった。

それから3年が経過し、1933年(昭和8年)8月。
朝は妊娠していた。盛綱は男の子が生まれると決めてかかっており、すでに名前も付けている。
彼の芸術的直感に基づいて「徹」という名が与えられた。

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NHK『わろてんか』第7回

昨日の発表会の『M』(プリンセス プリンセス)はボロボロすぎて、とてもじゃないけれど記録映像を公開することのできない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第7回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

1910年(明治43年)夏。
てん(葵わかな)は女学校に通っていた。商家の娘ならば、そろそろ嫁に行ってもおかしくない年頃だし、そのための躾も十分にできていた。

年に一度か二度ではあるが、旅芸人・北村籐吉(松坂桃李)から途切れること無く手紙が届く。幼女(新井美羽)の頃に会ったきり、8年間一度も会ったことはないが、てんは籐吉への気持ちが募るばかりだった。

手紙が届くたびに嬉しそうにしているてんの姿を見て、妹・りん(堀田真由)や女中・トキ(徳永えり)は、てんが恋をしているとからかった。これまで恋という感情を抱いたことのなかったてんは、慌てて否定する一方で、彼女らの言うことも的を射ていると感じるところがあった。
藤岡家の丁稚として てんと一緒に育った風太(濱田岳)は手代にまで出世していた。家に届く手紙を整理しているのは彼である。他の家族には知られないよう配慮してくれている。風太は奉公人として、雇い主の娘である てんのために身を粉にしているのだ。しかし、うさんくさい旅芸人から手紙が届くことを面白くは思っていなかった。

籐吉からの手紙を女学校で読んでいたところ、校長(林英世に見つかってしまった。旅芸人などという下賤な者から手紙を受け取るなど、はしたないことであり女学生にあるまじき行為である。母・しず(鈴木保奈美)が学校に呼び出され、激しく叱責された。
しずは、父・儀兵衛(遠藤憲一)には黙っておくことを約束してくれた。その代わり、籐吉のことは金輪際忘れてしまうよう命じた。商家の娘は、いずれかの商家へ嫁ぐのが運命である。旅芸人とは結ばれないのはもちろん、悪評が立っても困るのである。

そのころ、父・儀兵衛は大阪の先進的な薬品会社の社長・伊能(南条好輝)を訪ねていた。京都でも、西洋式の薬品を扱う問屋が台頭してきた。このままでは藤岡屋の商売が脅かされる。そこで、伊能製薬と手を結んで対抗したいと言うのだ。
伊能にとっても、京都の老舗薬問屋と提携することは願ったり叶ったりだった。ただし、そのためには家同士の確固とした結びつきが必要であると言う。

儀兵衛が大騒ぎしながら帰宅した。
伊能の息子(高橋一生)と てんとの縁談をまとめてきたのだ。

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