朝晩2回のまとめ記事は流石にきつくなってきた当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第7話の放送を見ましたよ。
朝(松下奈緒)は臨月を迎えた。
それでも家計は火の車である。守綱(山本耕史)は相変わらず金銭感覚に乏しい。妊娠中の朝に対しても態度を変えることはない。
朝は大きな腹を抱えて仕立て屋の内職を続けていた。
近頃、朝は守綱に演奏会の日程を事細かに聞くようになった。次の演奏会はおよそ2週間後だという。
実は、朝は守綱のステージ衣装である燕尾服を質入れしているのである。他に金目のものはなく、そうでもしなければ生活が立ち行かないのである。
演奏会の日程を聞き出したのは、前日までに燕尾服を取り戻すためである。その燕尾服がなければ、守綱は絶対にステージに上がらない。
朝は質屋から急場の金を借りつつ、期日までに燕尾服を取り戻すよう、自転車操業で仕立て仕事に取り組んだ。
ある日、守綱は燕尾服が無いと騒ぎ出した。朝は洗濯屋に預けていると言ってその場をごまかした。守綱は、演奏会の前日までに取りに行くよう命じた。
しかし、その演奏会の日程は、朝が把握していた日よりも10日も早かった。ふたりの間のどこかで行き違いがあったようだ。しかし、今さら本当のことを言えるわけもなく、朝は金策に奔走することとなった。
アパートの住人はいずれも芸術家であり、まとまった現金を持っているわけではなかった。
仕方なく、住人の貴重品を借りて、それを質入れすることにした。カフェ・マスターのシイナ(小澤征悦)からは両親の形見の象牙製の像、画家の華子(高岡早紀)からは亡き夫からプレゼントされたダイヤのネックレス。しかし、質屋(江藤漢斉)の鑑定によれば、いずれも偽物で値がつかなかった。
そこへ通りがかったダンサー・ダニー市川(新納慎也)を見ると、翡翠のカフスボタンをつけていた。幸いなことにそれは本物の翡翠で、朝はなんとか燕尾服を引き出すことができた。
演奏会の前日。危機を脱し、守綱をリハーサルに送り出そうとしていたところ、アパートの大家・島田(小松利昌)が訪ねてきた。
彼が言うには、このアパートでは子供の居住を禁じているという。芸術家のためのアパートであり、子供の出す騒音が創作活動の妨げになるというのが理由だった。例外は一切認めないという。
守綱はそのことを知っていながら、これまで一度も朝に話したことがなかった。あとで考えると言ったきり、リハーサルへ出かけていってしまった。
ただでさえ家計は危機的状態であるのに、家まで追い出されてしまっては生活が破綻する。
心労のあまり、予定日より早く産気づいてしまった。
リハーサル中の守綱には、朝が入院したことが電報で知らされた。しかし、守綱はリハーサルをやり遂げ、それが終わると病院に直行した。そして、徹夜で朝に付き添い、そのまま演奏会の本番に出かけた。疲労にもかかわらず、守綱は見事な演奏をやりきった。
その演奏会の最中、朝は赤ん坊を産んだ。
病院に駆けつけた守綱は、期待に反して女の子が生まれたと知り、落胆した。
男の子につける予定だった「徹」という時に一文字付け足して、徹子と名付けた。
1933年8月9日のことだった。