NHK『おひさま』第54回

昨日の人工知能学会の「仕掛学」セッションはネットでライブ中継されていたのだが(関連tweetもまとめられている)、それを見ていた臨月の妊婦さんがその夜に産気づき、本日未明に無事に女の子を出産したと聞いて、ああいう小難しい中継を見るのって胎教的にどうだったのよ?と不安に思いつつも、もしかしたら超英才教育だったかもしんない!と思ったりもし、何はともあれ第一子のご誕生おめでとうございますと喜びを申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第54回目の放送を見ましたよ。

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第9週「お見合いと泣き上戸」

丸庵で勧められるままに酒を飲み、陽子(井上真央)はすっかり酔っ払ってしまった。
そして突然、「好きな人のお嫁さんになりたい」と涙ながらに訴えた。

一同は陽子の気持ちを理解できる一方で、和成(高良健吾)の苦しい決断のことも知っており、何も言えなくなってしまった。

和成は微動だにせず、陽子をまっすぐに見つめた。1週間後に出征することが決まったと知らせ、きっと生きては帰れないと告げた。陽子は、たとえそうであっても構わない、「あなたのお嫁さんになりたい」と何度も何度も頭を下げた。
しかし、そのまま酔いつぶれてテーブルに突っ伏してしまった。

翌朝、陽子は知らない布団で目を覚ました。自分の置かれている状況が全く理解できなかった。
おそるおそる店に降りていくと、みんながすぐに集まった。誰も何も教えてくれず、ごく普通の朝食が始まった。ただし、陽子のために二日酔いに効く料理が並べられていた。

陽子が前夜のことを全く覚えていないと言うと、一同はあきれて大笑いした。

笑いが収まるのを待って、和成は姿勢を正して陽子に向き直った。昨夜と同じく、自分が1週間後に出征することをあらためて知らせた。

続けて、和成は自分との結婚を申し込むのだった。それは、みんなの前で苦しい思いを打ち明けてしまったという、陽子の恥を全て帳消しにするためのものであった。そしてもちろん、和成の正直な気持ちである。

陽子には、和成の心変わりの理由がわからなかった。しかし、とても嬉しいことであり、涙ぐみながらも、迷うことなく承諾した。

一同は、プロポーズが2度も見られることなどそうあるものではないと言って、また笑った。そして、和成の出征までに結婚の手続きを済ませるため、大忙しになると言い合うのだった。

陽子は即座にみんなに結婚の報告をした。ある者には手紙で、ある者には口頭で伝えるなどの違いはあったが、一人も反対する者はおらず、みんながまるで自分のことのように喜んでくれた。
亡き母(原田知世)には、輝く太陽に向かって晴れ晴れと報告するのだった。

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かなりのツッコミどころをこの土曜日に詰め込んできましたね。

まず、陽子の泥酔告白から。
最初彼女は「好きな人のお嫁さんになりたい」と言っただけである。好きな人が和成なのかどうかは一切言っていない。陽子と和成が悪くない雰囲気であることは周囲からも見て取れたのだろうが、必ずしも陽子が和成にゾッコンだという証拠はこれまで周囲に示されることはなかった。ということは、「好きな人」と言ったときに、それを和成に結びつけることは難しいはずだ。

ちょっと常識があれば、「陽子には他に好きな人がいる。その人と結婚したいのに望まない見合いをさせられた。その上、一度破談になったのに、しつこく引き合わされてしまった。私は別の本当に『好きな人のお嫁さんになりたい』」(e.g. 真知子)と訴えた可能性も考慮に入れねばならぬ。
見合い後、陽子の様子がおかしかったのも、「本当に好きな人との結婚が遠のく!」とおそれをなしているのだと、父・良一は解釈する余地が必要であったのではないか。なんで真知子が須藤家に立て篭もったか考えろよ、と。

ましてや、今まで2度しか陽子に会ったことがなく、誰が好きか嫌いかとかの話をしたことのない和成が、なぜ「好きな人」と言われただけでそれを自分に結びつけるんだよ。自信過剰もいいとこだろうよ。オマエはそんなにモテモテなのか、と。どんだけリア充なんだよ。イケメンなのは認めるけど。

そりゃ。視聴者は陽子の視点で物語を追っているから、陽子が和成にベタ惚れなことはよくわかる。しかし、ドラマの登場人物の視点や理解とは別だろうよと。その点どーなのよ?と。
登場人物は全員エスパーで他人の気持ちがわかるんですか?と。そうでなければ、脚本家に「心の理論」(ある人の知っていることと、別の人の知っていることは、必ずしも一致しないものだという理解)が無いんじゃないかと、ちょっと心配になってくる。

もう、ここまで書いて疲れたので、あとはあっさりと。

酔いつぶれて他人の家で寝かされるって、女学生時代にご飯を食べ過ぎて気持ち悪くなって失神し、真知子の家で寝かされたのを彷彿としますね。これは6週間前からのロングパスを受け取って、笑うべきシーンだったのか?

それから、和成の出征までの1週間で結婚を進めるとか。去年の大ヒット朝ドラ『ゲゲゲの女房』の前半のクライマックスとモロかぶりじゃねーか(参考: 布美枝と茂の結婚スケジュール)。1年越しのロングパスを受け取って笑えってことか。

笑えないけど。

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