先週からずっと花粉が原因と思われる咳が出まくって苦しいし、腹に力が入るから腹筋も痛くなってきたんだけれど、ふと見れば腹筋がかすかに割れ始めてきていて、これはこれでアリだなと思いもした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第117回めの放送を見ましたよ。
1956年(S31年)秋。経済白書に「もはや戦後ではない」と記されるなど、日本は新しい時代へと進み始めていた。
愛子(このか)の誘拐未遂事件から1年が過ぎていた。愛子はたくさんの友達ができ、その子らと毎日遊んでいた。特に愛子はかけっこが得意で、男の子にも負けないほどだった。愛子は誰よりも早く走ろうと、寝室でも腕を振る練習やストレッチに余念がなかった。
その頃、芸能界では新人歌手・水城アユミ(吉柳咲良)が台頭していた。雑誌にも鈴子(趣里)との比較記事が書かれ、あからさまに鈴子よりも水城アユミを持ち上げる内容だった。『東京ブギウギ』の大ヒットから9年、もうブギや鈴子の時代は終わったとまで書かれていた。さらには、羽鳥(草彅剛)もスランプに陥り、彼もまた時代に取り残されたと悪様に書かれた。
鈴子は自分も歳をとり、体も昔ほどには動かなくなってきたこともあり、ある程度は仕方のないことだと言って気にしないようにしていた。しかし、マネージャー・タケシ(三浦獠太)は心底腹を立てた、
年末に『オールスター男女歌合戦』という番組が放送されており、今年で7回目となる。その番組から鈴子に出演依頼があり、鈴子とタケシは打ち合わせのために丸の内テレビジョンへ向かった。
プロデューサー・代々木(遠山俊也)とディレクター・沼袋(中村倫也)は、鈴子にトリを務めてもらうと話した。
ただし、そのトリ前に水城アユミを出演させたいという。沼袋は、鈴子と水城アユミの比較記事を見せながら軽薄な口調で、ふたりの新旧対決で盛り上がることは間違いないなどと話した。
マネージャー・タケシは水城アユミに敵対心を剥き出しにて反対した。しかし、鈴子は番組の演出上必要なことならと言って消極的ながら受け入れた。
打ち合わせを鈴子が帰ろうとすると、廊下で股野義夫(森永悠希)と再会した。彼は、鈴子が大阪の梅丸少女歌劇団に所属していた時のピアノ奏者で、退団後は大和礼子(蒼井優)と結婚して音楽教室などを開いていた。彼と会うのは礼子の葬式以来約18年ぶりだった。
しばし立ち話をしていると、彼を「お父さん」と呼びながら近づいてくる女性がいた。それは水城アユミだった。水城アユミは股野と礼子の実の娘で、股野が彼女のマネージャーをしているという。
鈴子と水城アユミはそれが初対面だった。アユミは鈴子の大ファンであり、両親からよく話を聞いて尊敬していると話した。鈴子も亡き礼子にはとても世話になったと話した。するとアユミは、まだ赤ん坊だったので母・礼子の記憶はないが、いろいろな話を聞いて鈴子と同じくらい母のことを尊敬していると話した。
そして、アユミと股野は番組打ち合わせのために会議室に入って行った。そこからは、ディレクター・沼袋の調子のいい声が聞こえてきた。鈴子に向けたのと同じか、それ以上の持ち上げぶりだった。
鈴子は、礼子のことを思い出してしばし呆然と立ち尽くしていた。
幼かった頃、礼子から「あなた、どうして踊るの?」と聞かれたことを反芻していた。