NHK『おひさま』第44回

以前に見た映画『墨東綺譚』(監督・新藤兼人、ヒロイン・墨田ユキ)や『カンゾー先生』(監督・今村昌平、ヒロイン・麻生久美子)では、女を知らない若者が出征するにあたり、その母親がヒロインに息子の初体験を頼んで成就させるというシーンがあったのを思い出し、タケオ(柄本時生)も母親(角替和枝)の仲介でヒロイン(井上真央)で筆おろしするのではないかとワクワクドキドキしながらも、NHKでそれはないよなぁ・・・と思い直した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第44回目の放送を見ましたよ。

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第8週「それぞれの朝」

タケオの母(角替和枝)は、もう二度とタケオ(柄本時生)に生きて会えないものと思い、激しく泣き崩れた。母から見れば、タケオは要領が悪く、いつもぼーっとしている。だから、タケオは真っ先に死ぬと考えているのだ。

ところがタケオ自身は、兵士になるのが嬉しくて仕方がない様子だった。徴兵検査に集まった若者の中で、タケオはほぼ一番の成績で合格した。何かに合格したことは生まれて初めての事だったし、検査官からたいそう褒められたことが何より嬉しかったという。不合格だった者の分まで頑張ってくるつもりだという。

タケオから意見を求められた良一(寺脇康文)は、一瞬戸惑いつつも、タケオの意見に力強く賛成し、応援した。

すると、良一が陽子(井上真央)に目配せをした。陽子の部屋でふたりっきりで別れの挨拶をしろという意味だった。幼なじみのタケオは、初めて陽子の部屋に入った。

タケオが話したことは、最近の陽子から笑顔がなくなったということだった。太陽の陽子は、笑うことだけが取り柄で小さい頃から笑ってばかりいたのに、近頃は難しい顔ばかりだというのだ。タケオは、陽子の笑顔を取り戻すためにも、自分が戦って早く戦争を終わらせるのだと豪語した。
タケオは、自分のセリフを自画自賛した。その冗談に、陽子はやっと笑顔を見せた。

タケオは、もう一つ何かを言おうとしたが、そのセリフを飲み込んで帰っていった。

数日後、タケオは村中に見送られて、誇らしげに出征して行った。

タケオの居なくなった畑を物憂げに見つめながら陽子が帰宅すると、家の前には真知子(マイコ)が立っていた。4年ぶりの再会だった。

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NHK『おひさま』第43回

YouTube で 83thekurokawaというユーザーが「手袋フェチ」という、女優が手袋をはいている映像ばかりを集めているのを見つけ、その着眼点に深く感じいった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第43回目の放送を見ましたよ。

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第8週「それぞれの朝」

1943年(昭18)5月。
陽子(井上真央)の受け持ちの子供たちは6年生になった。しかし、戦争で日本は疲弊し食糧事情も悪化、子供たちは皆腹をすかせて元気がなかった。

授業の内容も戦争にかんするものばかりになった。たとえば、敵国の戦闘機の音から機種を推測し、適切な避難法を選択することが教えられた。
そのような授業でも、陽子はなるべく明るく楽しく実施した。しかし、同僚の中村(ピエール瀧)や福田(ダンカン)は、他の教員の目の前で、陽子のやり方は生ぬるい、子供たちの命がかかっているのだからもっと厳しく教え込むべきだと批判した。

そこへ、普段は無口で、教師たちの言い争いにも無関心な校長(綾田俊樹)が割って入った。しかし、校長の話は陽子の結婚についてだった。県からの指導で、女性の婚姻と子作りが奨励された。それに従って、校長は陽子の見合いを世話しようというのだ。頭に来た陽子は、話を遮って職員室を出、雑務を片付けに向かった。

夏子(伊藤歩)と共に宿直室の掃除をしながら、陽子は不満をぶちまけた。見合い話ももちろんであるが、今の国や学校の情勢に対する違和感もあった。自分が教師であることを見失いつつあったのだ。
すると夏子は、戦争のことしか考えない教師だけでは子供たちがかわいそうだ、自分たちのような教師も居続けることが子供たちのためなのだと話して聞かせた。陽子は自分が暗く、後ろ向きになっていたことを反省した。夏子の前で愚痴をこぼしても、子どもたちの前では明るく照らす太陽でいようと決意するのだった。

陽子が帰宅すると、父・良一(寺脇康文)がラジオで熱心に戦況を聞いていた。その時の陽子には、父の戦争に対する思いはさっぱり解らなかった。しかし、何も言わない父であったが、胸の中に複雑な思いを秘めているであろう事だけは理解していた。

すると、タケオ(柄本時生角替和枝村松利史)一家が突如訪ねてきた。タケオに召集令状が届いたのだという。出征の前に一緒に食事がしたいと言って、料理や酒を携えてきたのだ。
良一は彼らを歓迎し、座に着くや、男達に酒をついでやるのだった。

タケオの母は、タケオを送り出したくなかった。しかし、そんなことをおおっぴらに言うわけにもいかず、歯切れ悪く話しながらしくしくと泣き出した。彼女に同情した良一は、両家は家族同様の付き合いだ、家族だからこそ本音で話していいのだと声をかけた。
すると、タケオの母は堰を切ったように激しく泣きはじめた。

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NHK『おひさま』第42回

若尾文子が演じる現代の陽子は、実は陽子の元教え子であり、陽子への憧れが高じるあまり本人になりきり、本人から聞いた思い出話をさも自分のことのように話している、だからこそ井上真央が演じる若い陽子との違和感が大きいし、すべて陽子に都合のいいように話が捏造されている・・・などという妄想をした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第42回目の放送を見ましたよ。

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第7週「教室の太陽」

夜、陽子(井上真央)が慌てて学校に戻ると、幹太(相澤大翔)は暗い教室で泣きながらバケツの修理を続けていた。陽子は無理難題を命じたことを謝り、修理を手伝うのだった。
やっと壊れたバケツが元通りになった。幹太は陽子が持ってきてくれた握り飯を頬張りながら、陽子と一緒に下校できることがむしろ嬉しいと笑うのだった。

陽子(若尾文子)は、自分は児童たちの母親がわりだったと当時を振り返った。子供たちのほとんどは農家の子であったが、母親たちは野良仕事で忙しく遊び相手になってくれなかった。自分がその代わりとなっていたのだと。
一方で陽子は、今にして思えば、子供たちを正しい方向に導くことができなかったと反省もしていた。目先の世の流れに右往左往し、国のために死ぬことを指導していたことを悔やんでいた。

1941年(昭和16)11月。
日本の戦争は激しさを増し、陽子の同僚教師も次々と出征して行った。教え子たちの父兄も同様で、中には肉親を失う者もあった。
圭介(平岡拓真)の自慢の父が中国戦線で戦死した。本当は学校どころではなかったが、兄から「少国民の勤めだ」と言われた圭介は遅刻しながらも出席した。しかし、授業に身が入らなかった。父を失った悲しさと、動揺を抑えることのできない自分の不甲斐なさに、圭介は教室で涙を流した。陽子は彼を抱きしめて慰めてやること以外、何もできなかった。

その時陽子は、こんな時代に教師をしていることが恐ろしくなった。

ある日の帰り道、陽子は女学校時代に道草をしていた飴屋・村上堂を覗いてみた。しかし、店は休業しており、女将ら(渡辺えり)の姿もなかった。

するとそこへ、もう一人村上堂を訪ねてきた婦人(樋口可南子)がいた。彼女とは一度、陽子が女学生時代に蕎麦畠で出会って立ち話をしたことがあった。互いにその時のことを覚えていて、しばらく話し込んだ。
彼女は水飴を買いに来たのだという。また、贔屓にしている蕎麦農家も出征してしまって、少々困っていた。その上、跡取りである一人息子も戦地に送り出したという。

それでも、婦人はひとつも落ち込む素振りを見せなかった。男がいなくなった分、女がしっかりして社会を支えていかなくてはならないと論を展開した。痩せた土地でも太陽の光さえあれば成長する蕎麦を引き合いに出しつつ、「太陽の陽子」を応援するのだった。

そして、12月8日(真珠湾攻撃の日)を迎えた。
全校児童が校庭に集められ、校長(綾田俊樹)から訓示があった。日本軍の大勝利が伝えられると、教師も児童も大喜びに湧いた。誰しも、日本の強さを自慢に思い、このまますぐに戦争が終わると信じた。

明るいニュースに触れて、陽子はふと親しかった人々を思い出した。彼らに会いたいと強く願った。

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NHK『おひさま』第41回

以前に一度取り上げていたにも関わらず、サントリーオールドのCMで國村隼の娘を演じているのが、夏子先生役の伊藤歩である(YouTubeで参考映像を見る)と今まで気づいていなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第41回目の放送を見ましたよ。

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第7週「教室の太陽」

1941年(昭和16)秋、陽子(井上真央)が教師になって半年が過ぎた。

その日は、とても忙しい日になった。
福田(ダンカン)からは、修身(道徳)の指導案作成を押し付けられた。しかも、白紙の指導案をその日のうちに仕上げるように命じられてしまった。
夏子(伊藤歩)が研修で留守にするため、放課後の雑用も全て陽子が行わなければならなかった。
昼休みには、陸軍飛行隊と海軍飛行隊のどちらが強いかをめぐってケンカする子供たちの仲裁をしたため、弁当を食べることができなかった。

陽子は我知らずイライラとし始めるのだった。

放課後、掃除をしながら戦争ごっこをしていた幹太(相澤大翔)が学校のバケツを壊してしまった。その日の授業で物を大切にすることを教えたばかりなのに関わらず、早速言いつけが破られたことに陽子は頭に来てしまった。
バケツを直すまでは帰宅してはならないと幹太に言いつけ、陽子は指導案作成に戻った。

日暮れまでかかって、やっと指導案作成が終わった。ヘトヘトになった陽子は、家路を急いだ。

家に帰ってからも、何か忘れ物をしているような感じが拭えなかった。
しばらくして、やっと幹太のことを思い出し、急いで学校に戻るのだった。

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NHK『おひさま』第40回

明日のNHK総合『おはよう日本』では、7:00-8:00のどこかで、よく知っている場所からの中継があるという情報をキャッチした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第40回目の放送を見ましたよ。

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第7週「教室の太陽」

体操を失敗したミチオ(鏑木海智)が竹刀で殴られそうになったところへ、陽子(井上真央)が進みでてかばった。竹刀が頭部にあたり、陽子は気を失って倒れた。宿直室の布団で目を覚ますと、集まった子供たちが、陽子はこのまましんでしまうのだと全員で泣いていた。陽子は、自分の怪我が軽いことを説明しつつ、たんこぶを子供たちに触らせて笑わせるのだった。

陽子が職員室に戻ると、怪我を負わせた張本人である中村(ピエール瀧)が殊勝にも謝ってきた。
ところが、陽子が自分も悪かったと社交辞令を言ったとたん、中村の態度は豹変した。陽子は女だてらに豪傑だと言って、同僚の福田(ダンカン)と一緒になって笑い出す始末だった。さらに、子供たちが正確に海軍体操をできない場合は教師の責任問題になるため、自分は仕方なくやっているのだと言い出した。その上、戦場では一挙手一投足が自身の生死に関わる。彼らが戦場で長生きしてもらうためにも、しっかりと体操技術を教え込むのだと言って、自分を正当化した。

その時、夏子(伊藤歩)が職員室に戻って来て、陽子に教室を覗くよう指図した。行ってみると、子供たちが全員集まって、ミチオの体操の練習に付き合っていた。みんなでタイミングを合わせる練習を繰り返し行い、ついにミチオはそれを身につけた。

それからしばらくして、家庭訪問の時期になった。新米教師の陽子にとって、それはとても緊張する仕事だった。

1軒めで、お茶受けとして蜂の子が出された。本当は蜂の子が苦手な陽子であったが、話を合わせるために大好きだと言いながら食べた。すると、その噂が村中に広がり、どこに行っても蜂の子でもてなされるようになってしまった。隣家のタケオ(柄本時生)にまで伝わり、仕事帰りの陽子に蜂の子ご飯を差し出すのだった。

ハナ(木村真那月)の家を訪問する日、ハナは家に帰らず教室で泣いていた。気づいた陽子が声をかけると、自分の家は貧乏だから蜂の子を出すことができないのを悔やんでいるのだという。

なんとかハナを慰めて、彼女に家へ行った。確かに貧しいボロ屋に住んでいた。なんとか陽子をもてなそうと、ハナの母は小さな壺を持ってきた。陽子の手のひらの上で逆さにすると、中からひとつまみの砂糖がこぼれ出た。
その時舐めた砂糖の味は、陽子にとって、どんなお菓子よりも甘くて美味しいものだった。

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NHK『おひさま』第39回

ネットオークションで落札したのだが、取引相手の名前が、よくある名前とはいえ、以前にオフィスで同じ部屋だった人と同姓同名であって、もし本人だったらどうしようとちょっとドキドキしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第39回目の放送を見ましたよ。

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第7週「教室の太陽」

学校では、鍛錬として海軍体操が行われていた。
陽子(井上真央)はその複雑な動きをなかなか覚えることができず、家でもそのことばかり気にしていた。

陽子と同様、児童のミチオ(鏑木海智)も海軍体操を苦手としていた。鍛錬担当の中村(ピエール瀧)に目をつけられ、失敗するとで竹刀で叩きつけられた。

あざを手当してやりながら、陽子はミチオとよく話し合った。飛行兵になりたいというミチオに対して、自分の兄・茂樹(永山絢斗)が飛行予科練にいること、彼も子供の頃は成績がよくなかったが夢を叶えたことなどを話して聞かせた。すると、ミチオも元気を取り戻すのだった。
最後に、ふたりで海軍体操のおさらいをした。すると、ミチオは一人でやればうまくできることがわかった。みんなと動きを合わせようとすると緊張してしまい、失敗するのだ。

陽子はますます体操のことで頭がいっぱいになった。しかし、愚痴は言うまいと決意している陽子は、指導教師の夏子(伊藤歩)や父(寺脇康文)に悩み事はないかと聞かれても、心を打ち明けることはなかった。

ただし、幼なじみのタケオ(柄本時生)だけは別だった。帰宅途中に彼を捕まえ、海軍体操の練習に付き合ってもらった。タケオも子供の頃は体操が苦手だったので、その理由を聞いた。すると、出だしでタイミングがずれてしまうと、それを取り戻そうとしてますますチグハグになる。最初さえ気をつけて揃えば、あとは自然に上手くいくとアドバイスしてくれた。
タケオは、本当はいつも陽子に見とれていたせいで失敗していたのだが、それだけは秘密にしておいた。

そして、また鍛錬の時間になった。陽子はミチオに、出だしを注意深く行うよう言い聞かせた。しかし、またしてもミチオは失敗してしまった。
中村が竹刀を振り上げミチオを殴ろうとした時、陽子がミチオを身を持ってかばい、代わりに殴られてしまった。

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NHK『おひさま』第38回

白鳥のようにきれいなお姫様と森の中の古くて静かな城の中で恋に落ちるという、中年のおっさんが見るにはどうかと思われるような夢を見ていたせいで寝坊し、7:35に目を覚ました当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第38回目の放送を見ましたよ。

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第7週「教室の太陽」

陽子(井上真央)は、自分の恩師であり指導係でもある夏子(伊藤歩)に良い先生の定義を訪ねてみた。意外なことに、夏子にも具体的にはわからないという。夏子は、子供たちが成長した後も心に残っている先生こそが良い先生であり、その教師像は一概には言えないというのだった。

陽子はとても忙しい毎日だった。
学校では通常の授業のほか、職員室の掃除やお茶くみ、宿直室の準備などの雑用もこなしていた。当時の風潮では、それらは全て女教師の仕事とされていたからだ。本人も周囲も、それが当然のことと思い、なんら疑問を差し挟むことはなかった。さらに陽子は、父(寺脇康文)のために家事も全て一人で行っていた。家事が終わると、自室で夜遅くまで授業の準備をした。睡眠時間はとても少なかった。

しかし、どんなに大変でも、子供たちの顔を見ると陽子の苦労は全て吹き飛ぶのだった。自分が彼らの母親になったような気分になっており、彼らのためならどんな事でもできると思っていた。

陽子の受け持ちの生徒の中に、弁当を持ってこれないほど家の貧しい生徒がいた。それを知った陽子は、握り飯を作り、その子の机の中に忍ばせておいた。ところが、その子が弁当の作り主を同級生に明かしてしまい、次の日には教室全員が弁当を持たずに学校に来てしまった。
困った陽子は、授業の内容を急遽変更し、みんなで野草を集めて雑炊を作るという授業を始めた。植物辞典と首っ引きで、食べられる野草をより分けるのだ。子供たちは、楽しくて美味しい授業を喜んだ。

それを覗き見た中村(ピエール瀧)と福田(ダンカン)は、職員室で度が過ぎると陰口を叩いた。それに対して夏子は、食べられる野草を知ることは戦地で役に立つし、本土でも倹約を勧めることになると、戦時に照らしてかばうのだった。

その後、陽子は「私の夢」をテーマにした授業を行った。子供たちに夢を聞いてみると、男子は兵隊、女子は従軍看護婦になるという回答ばかりが得られた。逆に、陽子の夢は何かと聞かれ、自分やこの場の生徒たちが老人になっても仲良く付き合っていられることだと答えた。

しかし、ある男子がそれを否定した。自分たちは国のために命を捧げるのだから、そんな時まで生きているはずがないと言うのだ。きれいな目で力強く語る彼の目が、陽子にはとても印象的だった。

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NHK『おひさま』第37回

先週の土曜日に図書館から大佛次郎『赤穂浪士』を借りてきて読み始めたのだが、その5月14日は1927年(昭和2年)に同作の新聞連載が始まった日だと知ってちょっと感激した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第37回目の放送を見ましたよ。

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第7週「教室の太陽」

1941年(昭和16年)4月、師範学校を卒業した陽子(井上真央)の初出勤の日だった。

学校では、小学校時代の恩師・夏子先生(伊藤歩)が陽子を出迎えてくれた。
陽子を歓迎する一方で、夏子は様変わりしてしまった学校の様子について、陽子に優しくアドバイスした。小学校は国民学校と名称を変え、子供を将来の戦力と考え、国に奉仕する人材を育成することが主眼となった。周りの教員たちもそれを第一に考えていることを忘れないようにしろと言う。さらに、陽子のように師範学校出身の女教師は生意気であると目をつけられがちなので気をつけるように諭された。ただし、夏子はあくまで陽子の味方であるようだった。

職員室の雰囲気は、確かに陽子を戸惑わせるものだった。
梅田校長(綾田俊樹)からは国民学校の指導方針の説明に加えて、問題を起こさないようにといきなり陽子に釘をさすのだった。
代用教員の中村(ピエール瀧)と福田(ダンカン)からは、陽子が師範学校出であることを皮肉交じりにはやし立てられた。陽子が師範学校で学んだことは戦場では役に立たないと切り捨てた。また、兵士に笑顔は必要ないと言い、陽子の指導方針にいきなりケチをつけるのだった。
赴任したばかりで様子のよく分からない陽子は、それに腹を立てるでもなく、黙って聞いていた。教室に向かう途中、ふたりっきりになったところで夏子が援護してくれたことも助けとなった。

4年生の受け持ちとなった陽子は、初めて教壇に立った。その瞬間、なぜか急に涙ぐんでしまった。
すると、生徒のひとりが陽子をなぐさめようと、手に握った何かを差し出した。見てみるとそれはカエルだった。驚く陽子であったが、そのいたずらで気を取りなおした。

あらためて子供たちを見ると、どの子も目がキラキラしていてかわいいと思った。

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NHK『おひさま』第36回

アンサイクロペディアの「タモリ」というウキウキウォッチング式フットグラサンの説明を読み、支離滅裂な文章ながらもなんとなく意味が分かってしまい、じんわりとおかしく、笑いが止まらなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第36回目の放送を見ましたよ。

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第6週「旅立ちの季節」

陽子(井上真央)が松本へ旅立つ日となった。これから2年間、師範学校の寮生活である。

仏壇の母・紘子(原田知世)に向かって、初めて家を出る不安と、残していく父・良一(寺脇康文)の心配を語りかけた。
そんな心配をよそに、良一は終始明るく、おどけてばかりいた。陽子が玄関に出ると、真新しい靴があった。父が密かに用意してくれていたのだ。それを履き、陽子は意気揚々と家を出た。

安曇野を出る前に真知子(マイコ)の家へ立ち寄ったが、陽子は門前払いされてしまった。しょんぼりと去っていく陽子に、家政婦(大島蓉子)がおそるおそる封書を手渡した。それは密かに真知子が陽子に宛てた手紙だった。
手紙には、先日の事件の詫びと共に陽子の前途を応援する内容が書かれていた。そして、陽子の家の便所の取っ手の切れ端が同封されていた。真知子の抵抗の記念として、ふたりで半分ずつ持っておきたいと記されていた。姿は見えなかったが、陽子は真知子の部屋へ大きくてを振ると、あらためて松本へ向かった。

それから2年間は師範学校で猛烈に勉強をした。楽しみといえば、みんなと近況を知らせあう手紙のやり取りくらいのものだった。

父・良一は慣れない一人暮らしであったが、隣に住むタケオ(柄本時生)一家に助けてもらいながら、なんとかやりくりしているようだった。
長男の春樹(田中圭)は、名古屋大学の医学部に進学した。
次男の茂樹(永山絢斗)は、霞ヶ浦の海軍飛行予科練で厳しい訓練を受けながらも、充実した日々を送っていた。
育子(満島ひかり)からは東京の出版社で充実した日々を送っているという知らせが届いた。勤務先である、丸の内のビルの前で撮った写真も同封されていた。ただし、後に分かることだが、それは育子の嘘だった。

真知子は、卒業式を終えた翌4月に婚約した。相手は神戸の資産家中西氏の次男・武伸(萬雅之)であり、新聞の経済欄で取り上げられるほどの出来事だった。武伸はヨーロッパで鉄道経営を学ぶ予定になっており、それが終わり次第、正式に婚姻するという。

それぞれがそれぞれの道を歩んでいた。
そして、ついに陽子は小学校の教師として安曇野に帰ってきた。

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NHK『おひさま』第35回

ちょうど1年前おたふく風邪にかかったわけだが、そういえばここ数日もちょっと体調が良くなく、5月中旬はそういう季節なんだろうかと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第35回目の放送を見ましたよ。

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第6週「旅立ちの季節」

陽子(井上真央)と真知子(マイコ)は、真知子の父・剛三(平泉成)から逃れるため、便所に立て篭もった。扉を腕でしっかりと押さえ、剛三を説得するまでは出て行かない覚悟だった。

玄関先では、陽子の父・良一(寺脇康文)が穏便に済ませようと対応していた。しかし、剛三が陽子のことを不良娘呼ばわりし、真知子は陽子にそそのかされたのだと口走ったせいで、良一も頭にきてしまった。一気に険悪な雰囲気となり、剛三は手下に良一を力で押さえつけさせた。その隙に、自分は勝手に家探しを始めた。

陽子と真知子は、近づいてくる郷三の大声に怯えた。しかし、そんな状況でありながらも、ふたりは育子(満島ひかり)のことを思い出した。16,7の少女が家出して上京するということは、現代では想像できないほど勇気の必要な行動である。彼女の勇気にあやかって、自分たちも最後まで戦い抜こうと励まし合うのだった。

ついに剛三が便所にたどり着いた。真知子は、父の言いなりになるのはもう嫌だ、自分の結婚や人生の選択は自分で行いたいと訴えた。もちろん、剛三はそんなものには耳を貸さず、強引に扉を開けようとする。しかし、少女らの必死の抵抗により一度引き下がった。

小康状態になったことに安堵し、陽子は真知子に秘密にしていたことを打ち明けた。
陽子の見立てによれば、春樹(田中圭)も真知子のことが好きに違いないことを知らせた。それを聞いた真知子は、うれしさのあまり涙ぐんでしまった。

そうするうちに、そばにあった道具を駆使して、剛三は扉をぶち壊してしまった。ついに真知子は力づくで連れ戻されてしまった。
陽子は泣き崩れるばかりで、これ以上どうすることもできなかった。

それ以降、真知子とは音信不通になった。

ある日、陽子のもとに育子からの電報が届いた。彼女の試みは成功し、無事に東京で生活を始めたらしかった。同じ電報は真知子にも届いていた。育子の成功は、ふたりを勇気づけるものだった。

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