以前に見た映画『墨東綺譚』(監督・新藤兼人、ヒロイン・墨田ユキ)や『カンゾー先生』(監督・今村昌平、ヒロイン・麻生久美子)では、女を知らない若者が出征するにあたり、その母親がヒロインに息子の初体験を頼んで成就させるというシーンがあったのを思い出し、タケオ(柄本時生)も母親(角替和枝)の仲介でヒロイン(井上真央)で筆おろしするのではないかとワクワクドキドキしながらも、NHKでそれはないよなぁ・・・と思い直した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第44回目の放送を見ましたよ。
タケオの母(角替和枝)は、もう二度とタケオ(柄本時生)に生きて会えないものと思い、激しく泣き崩れた。母から見れば、タケオは要領が悪く、いつもぼーっとしている。だから、タケオは真っ先に死ぬと考えているのだ。
ところがタケオ自身は、兵士になるのが嬉しくて仕方がない様子だった。徴兵検査に集まった若者の中で、タケオはほぼ一番の成績で合格した。何かに合格したことは生まれて初めての事だったし、検査官からたいそう褒められたことが何より嬉しかったという。不合格だった者の分まで頑張ってくるつもりだという。
タケオから意見を求められた良一(寺脇康文)は、一瞬戸惑いつつも、タケオの意見に力強く賛成し、応援した。
すると、良一が陽子(井上真央)に目配せをした。陽子の部屋でふたりっきりで別れの挨拶をしろという意味だった。幼なじみのタケオは、初めて陽子の部屋に入った。
タケオが話したことは、最近の陽子から笑顔がなくなったということだった。太陽の陽子は、笑うことだけが取り柄で小さい頃から笑ってばかりいたのに、近頃は難しい顔ばかりだというのだ。タケオは、陽子の笑顔を取り戻すためにも、自分が戦って早く戦争を終わらせるのだと豪語した。
タケオは、自分のセリフを自画自賛した。その冗談に、陽子はやっと笑顔を見せた。
タケオは、もう一つ何かを言おうとしたが、そのセリフを飲み込んで帰っていった。
数日後、タケオは村中に見送られて、誇らしげに出征して行った。
タケオの居なくなった畑を物憂げに見つめながら陽子が帰宅すると、家の前には真知子(マイコ)が立っていた。4年ぶりの再会だった。