NHK『ゲゲゲの女房』第101回

 松田聖子の「夏の扉」を口ずさんでいる当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第101回めの放送を見ましたよ。

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「プロダクション旗揚げ」

 梅雨でジメジメとした季節。村井家には人間がすし詰め状態で仕事をしている。その上、家事をする布美枝(松下奈緒)や藍子(篠川桃音)が歩きまわり、電話のベルなどの騒音も激しい。

 ついに我慢の限界に達した茂は、自ら図面を引き、家の改築を行うことにした。やんわりと反対する布美枝の意見には耳も貸さず、早速大工を雇って工事を始めた。夏の盛りに、家は見違えるほどきれいになり、部屋も増えた。布美枝には近代的なダイニングキッチンがあてがわれた。
 以前の暮らしに比べれば夢のようだが、改築に金がかかった。またしても節約に励まなくてはならないことが、布美枝の悩みにもなった。

 茂は連日徹夜で仕事をしている。今日の締切りは、全アシスタントが残って徹夜作業だという。彼らの身体を案じる布美枝は、手作りの夜食を用意することにした。人が増えたせいで、大量の品物を買わなくてはならない。妊娠中なのに歩いて大量の荷物を運搬する布美枝に、乾物屋の女将さん(尾上紫)が心配して声をかけた。大事なときだから、手伝いの人を頼んで身体を気遣ったほうが良いと言うのだ。
 しかし布美枝は、他人がこれ以上家に出入りするのをあまり望んでいない様子だった。

 布美枝の実家の父母(大杉漣古手川祐子)も布美枝の身を心配し始めていた。東京に住む長女・暁子(飯沼千恵子)は夫の仕事の都合で地方に行くことになったため手伝いに行けない。母は自分が上京して面倒を見ると言うのだが、父はそれを押しとどめる。彼は何か妙案を思いついたようだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第100回

 放送回数をインクリメントし、「ほふぅ」と小さく息を吐いた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第100回めの放送を見ましたよ。

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「プロダクション旗揚げ」

 布美枝(松下奈緒)は、町の井戸端会議仲間に帳簿の付け方を相談した。茂(向井理)がプロダクションを作ったら、自分が経理を担当しようと思っているからだ。簿記の勉強をすると良いとアドバイスされ、早速問題集を入手して家へ帰った。

 家には、茂の兄夫婦(大倉孝二愛華みれ)が会社設立の発起人になるための打ち合わせに来ていた。ついで経理担当者を相談しはじめ、兄嫁に任せることになった。彼女は簿記の資格を持ち、職務経験もあるため最適なのだ。
 布美枝は自分が手伝おうと思っていたことを言い出せなくなってしまった。人々が集まってワイワイと仕事をしている声を聞きながら、布美枝は2階の部屋でひとりで洗濯物を片付けはじめた。自分が手伝えなくなったことが残念であり、疎外感も感じるのであった。しかし、今は元気な子供を生むことが何より大事なことだと自分に言い聞かせ、奮い立たせた。

 昭和41年6月。ついに、株式会社水木プロダクションの設立の日がやって来た。関係者を招待し、村井家で宴が催された。とても賑やかで明るい宴席であった。

 そこへ、少し遅れて戌井(梶原善)がやって来た。戌井は茂のことを一心同体のように思っており、茂の成功が何よりも嬉しい。茂の方も、不遇の時代を一緒に乗り越えてきた同志として、彼を大歓迎する。しかし、今や人脈の広がってしまった茂は、挨拶も終わらないうちに引っ張られていってしまった。その様子を見ていて、戌井は疎外感を感じてしまった。

 戌井の姿が見えないことを心配した布美枝が探しに行くと、彼は庭でひっそりと盃を傾けていた。戌井は昔を思い出し、世間から認められなくても布美枝だけは茂の成功を信じおり、それが実現したとしみじみ話す。布美枝はそのことを喜ぶ一方で、この成功がいつまで続くのかと不安も感じ始めているのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第99回

 冷凍保冷剤をタオルで巻いて首に当てて寝ているので、連日の熱帯夜の中でも意外と快適に眠れている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第99回めの放送を見ましたよ。

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「プロダクション旗揚げ」

 漫画経験のある小峰(斎藤工)と倉田(窪田正孝)が臨時で手伝ってくれるおかげで、原稿ははかどっている。もう一人、未経験のくせに押しかけてきた菅井(柄本佑)はまったくの戦力外だった。しつこく仕事の割り振りを願い出るので、一番簡単な消しゴムかけをやらせてみたが、それすらも失敗する有り様だった。
 少々のトラブルもあったが、締め切りギリギリに原稿は完成した。『少年ランド』編集者の北村(加治将樹)はそれを受け取ると急いで帰社した。

 漫画で足手まといだった菅井は、罪滅しのつもりで布美枝(松下奈緒)の台所仕事を手伝うが、少々迷惑がられる。彼は栃木の農家の出だという。自分より若い倉田から漫画の指図をうけたことに腹を立てていたが、倉田の苦労話を聞いて涙を流す一面もあった。
 倉田の父は身体を壊していて、母が自分たち兄弟4人を育ててくれた。中学を卒業するとすぐに看板屋に就職したが、寮では6人相部屋だった。夜中に布団の中に電気スタンドを持ち込み、同室の者たちを起こさないように漫画を描き続けた。やっと報われて『ゼタ』に掲載され、茂(向井理)のアシスタントに採用されたことが嬉しいという。
 もう一人の小峰は村井家で風呂を借りていた。茂が深大寺で出会ったときは汚らしい風貌であったが、風呂で身なりを整えると見違えるようないい男だった。

 茂は、経験者の2人だけを雇い、菅井は今日限りで追い払うつもりだった。しかし、強引に頼み込む菅井に根負けして、とりあえず様子見で雇うことにした。3人のアシスタントたちは、仕事部屋を溢れ出て、居間も使って日常的に仕事をするようになった。

 深沢(村上弘明)の秘書の加納(桜田聖子)が、プロダクション会社設立のための説明に来てくれた。難しいことばかりで混乱する茂であったが、加納は自分に任せておけば大丈夫だと安心させる。また、布美枝が経理担当として手伝うことを提案する。

 そこへ、「少年ランド」編集長の豊川(眞島秀和)と、映画会社の船山(風間トオル)が連れ立ってやって来た。船山によれば、『墓場の鬼太郎』のテレビ番組化は難航しているという。恐ろしい内容なので子どもに人気が出ないという予測が大勢をしめているのだ。「墓場」という言葉のイメージも悪い上、ロクなスポンサーも獲得できないという。テレビドラマで長期的な企画にするよりも、夏の怪奇映画として単発企画にした方が良いという声も社内では出始めた。
 しかし、茂はあくまでテレビ番組化にこだわっている。自分のこれまでの作品は、いずれも人気が出るまでに時間がかかった。テレビ化の話も、時間がかかってでも成功させたいと訴えるのだった。その決意を聞いて、船山と豊川も腹をくくった。

 横で話を聞いていた加納は、雑誌とテレビが手を組んで全国的なブームを作り上げようとする、スケールの大きな話に憧れを抱く。こっそりと布美枝に対して、自分もあのような仕事を手掛けたい、しかし深沢の『ゼタ』の下にいては無理かもしれないと話すのだった。布美枝は、いつもと様子の違う加納の姿に少し胸騒ぎを覚えた。

 数日後、テレビ番組化の噂を聞きつけた浦木(杉浦太陽)が怒鳴りこんできた。映画であれば、自分も一口乗って儲ける方法があるのに、テレビ企画からは締め出されているのだ。ハイリスク・ハイリターンなテレビ番組よりも、少額でも確実に金の入る映画へと乗り換えるべきだと説得するが、茂は耳を貸さなかった。布美枝にまで八つ当たりをする浦木。

 浦木に詰め寄られた布美枝は、突然吐き気をもよおした。
 心配する茂であるが、どうやら2人目を妊娠したようだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第98回

 オープニングテロップの出演者情報があまりに大量すぎてどうなることかと思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第98回めの放送を見ましたよ。

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「プロダクション旗揚げ」

 鬼太郎を連続テレビ番組にする企画を始めることになった。映画会社の船山(風間トオル)はテレビ局への企画売り込み、出版社の豊川(眞島秀和)は雑誌「少年ランド」でのタイアップへと、早速動き始めた。

 茂(向井理)は、今のチャンスをものにし、できるだけ長く好調を維持したいと思っている。紙芝居や貸本漫画など、これまでに業界の浮き沈みに辛酸をなめてきた。漫画もいつダメになるかわからないので、テレビにも進出の足がかりを付けたいと思っているのだ。

 「少年ランド」の締め切り日、担当編集者の北村(加治将樹)が家に張り付いて原稿を待っている。茂は深沢(村上弘明)の会社へ渡す原稿を先に仕上げ、布美枝に届けるよう命じる。そして、北村の目を盗んで、気分転換を兼ねて神社へ逃げ出してしまった。布美枝は、慌てる北村を押しとどめ、さらには藍子の子守と留守番を頼んで、深沢のところへ原稿を届けに行ってしまった。

 神社の茂がスケッチブックを広げて構想を練っていると、頭髪もヒゲも伸ばし放題の男(小峰; 斎藤工)が近づいてきた。彼もそばに座り、スケッチブックに精密な写実画を描き始めた。聞けば、元貸本漫画家で現在は無職だという。茂は彼を見込んで家に連れて帰った。

 深沢の事務所では、最近の茂の忙しさが話題の中心となった。これからは新入社員・斉藤(渡辺敬介)を原稿受け取りに向かわせるので、布美枝が足を運ぶ必要はないと言ってくれた。また、茂のところもプロダクション制にして、分業と権利保護に務めた方が良いとアドバイスされた。他の作家のプロダクション立ち上げを手伝った経験のある秘書・加納(桜田聖子)が近いうちに説明しに来てくれることになった。

 そこへ、大阪弁を話す男が事務所に飛び込んできた。茂が目をつけ、深沢経由でアシスタントに就任してくれるよう連絡をとった漫画家・倉田(窪田正孝)が、大阪で務めていた看板屋を即座に辞めて、身一つで上京してきたのだった。早速、布美枝に連れられて家に案内された。

 布美枝と倉田が家に着くと、玄関で茂と菅井(柄本佑)が押し問答をしていた。菅井は以前にアシスタントに応募してきたのだが、絵が下手すぎるので断ったのだ。しかし諦めきれない菅井は、家の近所に引っ越してきて、しつこく頼み込みに来たのだ。

 布美枝から倉田を紹介されると、茂は倉田を居間に連れ行き、ちゃぶ台で早速仕事をさせた。そこでは、神社で出会った小峰が既に黙々と作業をしていた。白熱する仕事場の雰囲気を感じ取った菅井は、許可無く家に上がりこんで、勝手に仕事の輪に加わってしまった。締切り直前で切羽詰った茂は、それ以上菅井に構う暇もなく、放っておいた。

 気がつけば、原稿を取りに来た北村の他に、よく知らない男たちが3人も家の中にいて、訳が分からなくなる布美枝であった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第97回

 時間に追われて焦っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第97回めの放送を見ましたよ。

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「プロダクション旗揚げ」

 昭和41年春。
 マンガ賞受賞で一気にスターダムにのし上がった茂(向井理)には、漫画原稿の依頼が殺到した。一人では捌き切れなくなったので、アシスタント募集の広告を出した。しかし、面接にやってくるのはエレキ・ギタリストや体力だけが自慢のトラック運転手など漫画未経験者ばかりであり、茂は途方にくれてしまった。。

 最後に、菅井(柄本佑)と名乗る若者が訪ねてきた。胸に原稿入りの封筒を抱えており、見所がある。しかし、茂の作風を真似たと自称するサンプル絵は、素人同然で使い物になりそうになかった。茂はそのまま追い返してしまった。

 アシスタントが見つからないまま、原稿締め切りの日がやって来た。急場を凌ぐため、布美枝(松下奈緒)が付きっきりで作業を手伝った。昔、ふたりで原稿作成したことを思い出し、少し楽しくなる布美枝。
 しかし、作業に熱中しすぎたため、夕食の支度を忘れてしまい藍子が泣き出す。原稿を取りに来た編集者が張り付いて催促する。家の電話まで鳴り出して、慌てた布美枝はベタ塗りに失敗してしまう。完全にオーバーワークになってしまっていた。

 なんとか締切りは守れたがこのままではたち行かない。アシスタント希望者を待つのではなく、茂は自分から目ぼしい人物に声を掛けることにした。『ゼタ』に掲載された作品を眺め、倉田という作家に目星をつけた。すぐに編集長・深沢(村上弘明)に相談した。倉田は大阪在住だが、すぐに連絡してくれるとのことだった。

 翌日、「少年ランド」の豊川(眞島秀和)が2人の男を連れてきた。
 ひとりは、北村(加治将樹)という若い編集者で、新たに茂の担当になるという。原稿を受け取ると、編集作業のためにすぐに帰っていった。

 もう一人は、サングラスに紺のストライプスーツを来た、ヤクザのような風貌の船山(風間トオル)だった。怯える布美枝であったが、話してみると気さくな男だった。
 彼は、映画会社でテレビ部門に所属するプロデューサーだという。豊川と組んで、「少年ランド」の漫画を映像化する企画を進めており、茂の『墓場の鬼太郎』を実写作品にしたいという。映画にするかテレビドラマにするか迷っているという。映画は企画書を書けばすぐに話が進む一方、テレビ番組にするためにはスポンサーを獲得する必要があるという。原作者・茂の意向が聞きたいという。

 突然のことに戸惑う茂であったが、すぐにテレビ番組にしたいと強い希望を述べた。スポンサーの獲得がどんなに難しいか念を押されるが、茂の決意は強かった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第96回

 原作者・武良布枝の故郷である島根県安来市がドラマにあやかって観光に力を入れるのは分かるが(松下奈緒レトロ美人効果…愛のマル秘スポットで夫婦円満?)、まったく縁の無い北海道石狩市の図書館が「ガロ」の特別展示を始めたという記事を北海道新聞のサイトで見つけて(「ゲゲゲの女房」で注目 人気漫画雑誌 「ガロ」創刊号から展示)、あまりに傍若無人な便乗記事っぷりに腰を抜かした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第96回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 『テレビくん』が第6回雄玄社マンガ賞を受賞した。電話を受け取り、だんだんと実感が湧いてきて、興奮し始める茂(向井理)。しかし、布美枝(松下奈緒)は茂が拍子抜けするほど落ち着き払っている。茂の努力を考えれば受賞して当然だから驚くに値しないと言うのだ。「おめでとうございます」と深く頭を下げること以外、オーバーな表現をすることは一切なかった。

 一方で、関係者の歓喜ぶりは異常であった。茂の両親(風間杜夫、竹下景子)は電話を受け取るやいなや、受話器を放り投げて万歳を唱えた。酒屋を営む布美枝の父(大杉漣)は最高級の酒を贈ろうとするが、茂は下戸であると妻にたしなめられて困惑つつ(古手川祐子)、婿の大成功と布美枝の幸せを心から喜ぶのだった。茂の良き理解者の一人、戌井(梶原善)は吉報を妻(馬渕英俚可)に伝えようとするが、感極まってしまい言葉が出ず、泣き出してしまう。村井家と同じか、それ以上に貧しい戌井家であったが、妻はウィスキーを奮発して祝杯をあげようと提案するのだった。

 仕事部屋の戸棚の中には、相変わらず貧乏神(片桐仁)がいた。しかし、貧乏神は身体が小さくなり、弱りきっていた。茂に見つけられると、慌てて家の外に逃げ出してしまった。そして、ぽんと消えてなくなった。
 ついに、貧乏神を打ち倒した。

 昭和40年12月。
 茂は10年ぶりに背広を新調することができた。悪戦苦闘しながら、布美枝が初めて茂のネクタイを結んでやった。嫁入り前、片腕の茂のためにと教えてもらったこと(第18回)がやっと役に立つ時が来たのだ。授賞式に向かう茂の姿を惚れぼれと眺めながら送り出すと、今夜のご馳走作りを始めた。

 受賞会場では、戌井、深沢(村上弘明)、その秘書・加納(桜田聖子)、浦木(杉浦太陽)、そして雄玄者の豊川(眞島秀和)ら、茂の関係者が初めて一同に会した。加納に惚れている浦木は深沢に嫉妬心を抱くが、胡散臭い風貌の彼は誰からも相手にされないのだった。

 茂の受賞スピーチは、堂々としていて誰が聞いても非の打ち所のないものだった。式典の後、取材陣に囲まれたが、豊川が全てを引き受け、連載中の『墓場の鬼太郎』を巧妙に宣伝してくれた。その後も、バーなどに連れまわされる茂であった。

 なかなか帰ってこない茂を、家でじっと待つ布美枝。そろそろ待つのを諦めようかとした時、茂が帰ってきた。連れていかれた先は酒ばかりで食べ物がなく腹ペコだといって、布美枝の料理を喜んで食べ始める。野菜でカサを増した餃子やふかし芋など、貧乏時代と変わらないメニューをむしろ喜ぶ茂。
 食事を済ませると、茂は慢心することなく、早速次の原稿にとりかかるのだった。

 仕事部屋の襖を見つめながら、布美枝は過去のことを思い返していた。先行きの不安を抱えながらも、命を削るように熱心に漫画を描いていた茂の姿を思い出す。一人でうれし涙を流す布美枝。茂の前では強がっていたが、もちろんこれ以上に嬉しいことはなかったのだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第95回

 万城目学(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞; 今年の直木賞にもノミネートされたが受賞は逃した)のエッセイ集『ザ・万歩計』を読んでいて、「万歩計」は山佐時計計器株式会社の登録商標だと知った(普通名詞は「歩数計」)当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第95回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 茂(向井理)の『墓場の鬼太郎』は、月一読み切り連載として8月と9月に「週刊少年ランド」に掲載された。しかし、2回とも読者アンケートで最下位となってしまった。浦木(杉浦太陽)は絶体絶命の危機だと騒ぎ立て、子ども受けのする安易な路線変更を提案する。
 そこへ、「ゼタ」を出版する嵐星社の秘書・加納(桜田聖子)が激励に訪れ、個性を貫けという深沢社長(村上弘明)の言葉を伝えた。浦木は、美人で聡明な加納に一目惚れした。

 「週間少年ランド」の編集会議は紛糾していた。市場2位でトップを狙っている時期にあり、茂の漫画のように雑誌の足を引っ張る不人気漫画は即座に打ち切るべきだという意見が大勢だった。しかし、若き編集長である豊川は、茂の漫画に運命を託すつもりであった。常識を打ち破る斬新な紙面づくりをしなくては、トップを獲得するのは難しいと考えるからだ。もちろん、茂の漫画の真価を見ぬいてのことだ。彼は編集長権限で、「墓場の鬼太郎」の週刊連載化を決めてしまった。

 そのことをまだ知らない茂は、自分の進むべき道を迷い始めてしまった。しかし、自分が良いと思う作品を作るしかないと自身を奮い立たせ、原稿にとりかかるのだった。

 月刊連載の3回目が発表された直後、豊川が茂を訪ねた。彼は読者からの手紙を携えていた。束を見た瞬間、貸本時代に苦情の手紙を大量に受け取った記憶がよみがえり、落胆する茂だった。しかし、その予想に反して、手紙はいずれも好意的なものだった。熱烈なファンの付いた漫画は大成すると信じる豊川は、それらの手紙を根拠に茂も大ヒットすると確信している。
 豊川は「墓場の鬼太郎」を週刊連載化すると伝えた。週刊化にあたっては、読者の興味を次回に引っ張る仕掛けが必要だが、茂は紙芝居作家時代の経験が活かすことができると胸をはる。砂かけばばあや一反木綿、ねずみ男など、仲間となる妖怪の構想を披露し、鬼太郎が仲間と力をあわせて大きな戦いに巻き込まれていくというストーリーを展開することに決まった。

 昭和40年11月。
 茂は質屋にやって来た。無理をしてテレビを買っていったことを心配していた主人(徳井優)は、茂がとうとう食い詰めたのかと心配顔である。ところが、彼の予想に反して、茂は鼻息荒く、これまでの質札を全て叩きつける。そして、質入していた品物を全て引き上げて行った。

 ついに村井家は極貧生活を脱したのだ。
 引き上げてきた品々を広げ、感慨にふける茂と布美枝。布美枝が母から貰った着物もきれいなまま残っていた。預けた品物が早く帰ってくるようにと、布美枝が忍ばせておいたオマジナイの札もそのままだった(59回; オマジナイの意味について調べたのはこちら)。

 その時、黒電話が鳴り響いた。茂がビクビクしながら受けると、豊川からの吉報だった。「テレビくん」が今年の漫画賞を受賞することが決まったという。にわかには信じられず、呆然とする茂と布美枝であった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第94回

 昨日、当方の職場のエライ人のアリガタイお話を拝聴していたところ、「人は得意なことをやってこそ能力が発揮される。『ゲゲゲの女房』の水木しげるは、SF物の依頼を断固として引き受けなかった。その後、自分の得意なジャンルで勝負したのです」などという話が出て、「あのエライ人が見てるんだったら、社内で『ゲゲゲの女房』はオーソライズされたってことだな、俺の毎朝の作業も無駄じゃないってことだな」と勝手に解釈した当方が、「だけど、所長に当blogの存在は告げ口しないでね、お願いだから」と懇願しつつ、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第94回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 大手出版社の週刊漫画誌「少年ランド」に鬼太郎を描く事になり、茂(向井理)は編集者・豊川(眞島秀和)が帰るのを見送ろうともせず、机に向かった。
 「テレビくん」の原稿料は、口座振込みで支払われるという。弱小出版社との付き合いでは手渡しだったので、大手出版社の秩序正しいやり方に布美枝は思わず興奮してしまった。また豊川は、電話を引くよう頼んだで帰っていった。調布にある茂の家まで、毎回通って原稿依頼や打ち合わせをするのは大変なのだ。

 成功のきっかけを掴み、布美枝は有頂天になった。

 布美枝は、深沢(村上弘明)の事務所へ「ゼタ」用の原稿を届けに来た。大手雑誌の仕事が決まったことを報告すると、深沢は大喜びしてくれた。深沢は時代が変わったという手応えを感じていた。すでに漫画は子供だましの二流文化ではない。最近は、大学生も「ゼタ」を熱心に読むようになっている。そこへ、茂の作品が大手出版社を経由して広く世に伝播するのは望ましいことだと、心の底から喜んだ。

 深沢の美人秘書・加納(桜田聖子)だけは、茂の状態を面白くないと感じた。布美枝が帰ったのち、即座に深沢に不満を述べる。「墓場鬼太郎」は、以前に深沢の会社が手がけて出版していたシリーズだ。それが大手出版社に横取りされたように感じるのだ。「ゼタ」では新人賞を設けて新進作家の発掘を行っているが、自分たちが見つけた才能を金の力で大手に引きぬかれてしまう状況を招きかねないと警戒しているのだ。
 しかし、深沢はそんなことは意に介していなかった。奥深いストーリーと斬新な表現の漫画を世に出すことが自分の願いであり、それが実現するなら、自分の会社だろうと他社だろうと関係ないと言い切る度量を持っているのだ。

 通帳を記帳した布美枝は、桁違いの金が振り込まれているのを見つけて、処理間違いが起きていると思った。大手出版社の原稿料は、それほど破格だったのだ。たった32ページの原稿で、貸本1冊を丸々描いた以上の原稿料が支払われるのだから、驚くのも無理がない。
 布美枝は茂に相談して、家に電話を設置することを決めた。

 早速、豊川から原稿依頼の電話連絡が来た。鬼太郎を本誌「少年ランド」で連載することが正式に決まったのだ。

 そうこうしているうちに、「テレビくん」の掲載された雑誌が発売された。すぐに戌井(梶原善)と浦木(杉浦太陽)がやって来て、それぞれ感想を述べる。戌井ができを褒めるのに対して、浦木は冷ややかな反応を示す。古臭い絵柄でオドロオドロしい物が子供に受けるはずがないと言うのだ。この調子では鬼太郎の連載も失敗するから方向転換しろと言い出す浦木。それを聞いた戌井は怒り出し、いつの子供たちも怖いものや不思議なものを好む。それに、日本は明るく豊かな時代に変わりつつあるからこそ、その反動で暗い物語が受け入れられる余地があると主張する。
 戌井もまた、茂の漫画の大ファンなのである。自分の出版社の仕事は後回しにしても良いから、大手の連載に注力しろとまで言うのだった。

 時が流れ、鬼太郎はすでに2回分の連載が発表された。しかし、期待に反して人気はどん底であった。編集会議で茂の漫画は酷評された。編集長の豊川でさえ、編集部員たりの士気低下を抑えることはできなくなっていた。
 同社に出入している浦木は、鬼太郎が窮地に立たされているという噂を布美枝に伝えた。読者アンケートで3回連続最下位になると、連載は打ち切りになるのだ。そうでなくても、すでに2回とも人気が低迷しているので、3回目の原稿は難癖を付けられてボツになる可能性が高いと知らせるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第93回

 明日の木曜日は、3週間ぶりにサラリーマンNEOの放送が行われるので、今から楽しみにしている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第93回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 茂(向井理)は、「テレビくん」の主人公の顔が奇怪すぎて、かわいらしさが足りない点が失敗だと気づいた。編集者の豊川(眞島秀和)も、摩訶不思議な世界にかわいい顔の子どもが飛び込むというギャップが、人気の契機になるだろうと賛成した。

 構想がまとまり、いよいよ原稿作成にとりかかる茂。しかし、主人公の顔がなかなか決まらない。その上、放送局の様子など、茂はテレビのことを何も知らなくて作業は難航した。

 梅雨で蒸し暑い中、懸命に描き続ける茂のために、布美枝は何か安くて精のつくものを食べさせてやろうと、町の乾物屋に相談に行く。テレビを買ってしまった直後なので、うなぎや干しアワビといった高級食料は買うわけには行かない。餃子なら、野菜でカサを増やして満腹になるし、ニンニクで精もつくとアドバイスをもらった。

 その時、町に古紙回収トラックがやって来た。そこで、あることを思いついて、井戸端会議仲間から古雑誌を大量に貰い受けた。さらに家に帰る途中には、喫茶店などめぼしいところを回って、さらに古雑誌をかき集めた。自転車のカゴと荷台に載り切らないほどに大量の古雑誌が集まった。

 夕食時、布美枝はおそるおそる茂に声をかける。テレビを知らない茂のために、雑誌からテレビに関する記事を集めておいたと言って差し出した。仕事に口出したり、自分の無知を指摘されると茂が怒鳴りだすことを知っているので、布美枝は萎縮しているのだ。
 しかし、食いしん坊の茂が目の前の大量の餃子を後回しにするほど、それらの切り抜きに熱中してしまった。すぐに、より多くの記事を集めてスクラップブックにまとめるよう命じた。その言い方は素っ気無かったが、布美枝には茂が喜んでいることがよくわかった。嬉々としてスクラップブックつくりに没頭した。

 「テレビくん」の主人公の最終スケッチも完成した。ほっぺたが丸くてかわいらしい姿に、布美枝も愉快な気持ちになった。
 そのスケッチを布美枝が一人で見ていると、何もしていないのにテレビのスイッチが入った。食料品のCMが流れる中、テレビくんが自由自在に動き回り、商品を勝手に食べ始める。驚いて見ていると、彼はテレビを飛び出して布美枝の目の前にやってくるのだった。
 そんな幻覚を見ることができるほど、テレビくんのラフスケッチは活き活きとしていて、見るもののイメージを膨らませるものだったのだ。

 梅雨の終盤。豊川が原稿を受け取りにやって来た。難しい表情で、寡黙に読み続ける豊川の横で、茂と布美枝は不安で落ち着かなかった。一通り目を通し終えると、豊川は感情をあえて抑えつけながら好評価を告げた。うやうやしく頭を下げると、原稿を受け取った。茂らがほっとしたところで、豊川は自身の感情の堰を切った。
 豊川は、テレビくんの秘密を唯一知る少年の位置づけが絶妙だという。その少年は貧乏の中で苦労しながら生きている。貧乏で苦しいからこそ夢の世界に憧れる。それを普遍的なテーマとして描きたい茂の意図を豊川は完全に理解したのだ。

 さらにその場で、豊川は次の原稿の依頼を行った。いよいよ、本誌『週刊少年ランド』へ漫画を掲載したいという。最初は読み切り16ページで始めるという。ただし、またしても条件が付いた。奇抜でインパクトのある戦闘シーンのある漫画にして欲しいというのだ。

 一瞬考えを巡らせた茂は、『墓場鬼太郎』を描きたいと答えた。豊川は手を叩いて喜んだ。彼は古くからの茂漫画のファンで、鬼太郎のこともよく知っていたのだ。茂が言い出さなくても、自分から願い出るつもりだったという。トントン拍子で話は進み始めた。

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NHKかんさい特集「天王寺ブロードウェー」に平愛梨

 映画『20世紀少年』で、ヒロイン・遠藤カンナ役に抜擢された女優・平愛梨が、NHKの単発ドラマ「天王寺ブロードウェー」で主演を務めることがわかった。
 同ドラマは、2010年7月30日(金) 20:00 より、NHKの関西地方でのみ放送される(かんさい特集)。

 天王寺ブロードウェー

大阪・下町の檀家さんに愛されて300年。由緒あるこのお寺の唯一の悩み・・・それは「跡継ぎ」がいないこと。
ブロードウェーのミュージカル・スターを夢見る一人娘・楠楓(くすのきかえで)(=・平愛梨)は、お寺を継ぐことに一切興味なし。
しかもあろうことか、アメリカからボーイフレンド・マイケル(=ジェロ)を連れてきたりする。

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