NHK『ゲゲゲの女房』第92回

 つかこうへい(つかこうへんさん死去・・・早過ぎる62歳: サンスポ)といえば『蒲田行進曲』を思い出し、本ドラマでも共演する風間杜夫(ヒロインの義父役)と松坂慶子(ヒロインの良き相談相手役)が主要キャストで共演していた(「蒲田行進曲トリオも衝撃: スポニチ)ことを思い出す当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第92回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 戌井(梶原善)の貸本出版社への原稿を徹夜で仕上げ、休む間もなく茂(向井理)は大手出版社の豊川(眞島秀和)から依頼された仕事の構想を練り始めた。自由な作品を描いて良い代わりに、豊川からは「テレビよりも面白いもの」という条件が突きつけられている。ここで期待に応えられないと、二度とチャンスは与えられない。プレッシャーと無理難題を前に、茂の思考は停滞していた。

 原稿を届け終えた布美枝(松下奈緒)が帰宅すると、茂はもらってきたばかりの原稿料を渡すように言いつけた。その上、生活費のためにとっておいた現金も全て奪い取り、何も言わずに慌てて家を出て行った。

 茂が向かった先は質屋だった。有り金全てをカウンターに叩きつけ、中古の白黒テレビを購入した。蒸し暑い中、片腕の茂はテレビを一人で運ぶことはできない。そこへ偶然、茂の家に行く途中だった浦木(杉浦太陽)に出くわし、彼を使役して家までテレビを運んだ。

 ただ働きさせられた浦木は機嫌が悪い。一度断ったのに、大手出版社が二度目の依頼をしてきたのは、彼らの腹いせではないかと勝手な想像をまくし立てる。無理難題を押し付けることで茂を苦しめ、その挙句、原稿をボツにして仕返しをするつもりなのだと言うのだ。自分は広告代理店を始め、その会社にも出入しているからよくわかるという。あまりにやかましいので家から追い出されたが、浦木は心の底から半信半疑なのであった。

 茂は、テレビを知るために、一歩も動くことなくテレビに見入っている。
 藍子(篠川桃音)も不思議そうにテレビを眺める。その姿を見た布美枝は、子どもはテレビの中に小さな世界があると信じているのかもしれないと、何気ない感想を行った。ふと何かが心に引っかかった茂であるが、まだ漠然としていて掴めない。

 夜遅く、家族が寝静まっても、まだ茂はテレビを見続けていた。
 CMのラーメンを見ていて、自分もあんなものが食べたいとぼんやりしていた。すると、自分がテレビの中に入り込んで、宣伝されているラーメンをうまそうに食べる幻覚が見えた。
 その瞬間、茂の頭の中で瞬く間に構想が膨らみ、「テレビくん」というタイトルの物語ができあがった。ついに腰をあげた茂は、仕事机に座り込んで、スラスラとラフスケッチを始めるのだった。

 「テレビくん」は、現実の世界とテレビの中の世界を自由に行き来することのできる子どもが主人公の物語である。テレビを経由して、どこへでも行けるし、好きなものを手に入れることができる。それが現実の世界に大騒動を巻き起こすというあらすじができあがった。茂自身、大きな手応えを感じた。

 約束の日に、豊川がやって来た。「テレビくん」の構想を見せられ、豊川はヒット間違いなしだと太鼓判を押した。子ども達の夢をそのまま写しとったかのような漫画なので、人気が出るに違いないと予測したのだ。

 しかし、どんどんと乗り気になる豊川と半比例するように、茂の顔色が徐々に曇ってきた。「テレビくん」の絵柄に納得がいかなくなってきたのだ。
 ぼんやりと藍子を眺め、彼女の丸くて愛らしい姿を見て、やっと何かがひらめいた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第91回

 朝マックでホットケーキセットを頼んだらフォークがついておらず、ワンセグを見ながら慌ててレジカウンターに戻った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第91回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 梅雨の初め、豊川(眞島秀和)が再び訪ねてきた。どんなジャンルでも良い、茂(向井理)が描きたい作品を32ページ、読み切りで「別冊少年ランド」に掲載するという。その代わり、テレビよりも面白いものを描き、テレビに夢中になっている子供たちを漫画雑誌に取り戻して欲しいと注文が付いた。
 それは、豊川から茂に対する挑戦状であり、試金石でもあった。自由に作品を作れるということは、逆に言えば作家本人の真の実力が試されることである。ここで失敗してしまうと、茂に後はない。それを理解した上で、茂は引き受けることにした。5日後に構想を提案することで話がまとまった。

 茂の仕事部屋を観察した豊川は、精巧な戦艦模型や漫画資料として保管されている大量のスクラップブックに舌を巻く。さらに、茂の描きかけの原稿を見て、緻密で高密度の絵に圧倒された。それは、当時の印刷技術では再現できないほどの細かさだった。茂自身も無駄になることは理解しながらも、自分のやり方なのでやめるつもりはないと言う。

 豊川は、社内では前代未聞の若さで編集長に抜擢され、翌月からその任に就くことになっていた。とはいえ、漫画雑誌編集部は社内でも冷遇されている。自分が編集長に就任したあかつきには、雑誌を大胆に改革し、売上トップを目指すと野望を抱いている。茂の仕事ぶりを間近に見た豊川は、茂の漫画こそが新機軸の中心となる確信を得たのだった。

 布美枝(松下奈緒)は、戌井(梶原善)の貸本出版社へ原稿を届けるついでに、茂に与えられたチャンスの報告をした。自分のことのように喜ぶ戌井であったが、一方で楽観できないことも告げた。豊川からの依頼が茂に与えられた試練であることに布美枝は気付いていなかったのだ。戌井にそのことを説明され、急に不安になる布美枝であった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第90回

 明日はちゃんと参院選挙の投票に行く予定である当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第90回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 大手出版社の編集者・豊川(眞島秀和)からの原稿依頼の内容は以下の通りあった。5月発売の雑誌に32ページの読み切り漫画。ただし、編集長からの命令で、子供たちに大人気の宇宙SF物を描いてもらわなければならない。

 喜んで引き受けようとした瞬間、茂(向井理)は仕事部屋の中のある物に気づいた。そして、仕事をきっぱりと断ってしまった。自分は宇宙SF物は得意ではないというのが理由であった。

 話が終わると、茂は溜まっていた仕事を再開した。豊川が帰るのに気づかないほどの没頭ぶりだった。仕事を断った上、見送りもしようとしない茂の態度に、布美枝(松下奈緒)はひどく恐縮して謝る。しかし、豊川はそれほど意に介するでもなく、茂の仕事姿に何かを感じ取っていた。

 一部始終を見ていた浦木(杉浦太陽)には、テレビも無い生活をしているから人類の初宇宙遊泳などの大ニュースを知らないのだ、そのせいで宇宙物を描くことができないのだろう、となじられる。頭に来た茂は、彼を家から追い出してしまった。
 布美枝も、茂が仕事を断った原因は、宇宙のことを何も知らないからだろうと想像している。そこで、金のことは心配せずに資料を買えば良いと提案した。しかし、茂はかなり虫の居所が悪く、仕事に口出しするなと怒鳴りつけるのだった。

 社に戻った豊川は、茂に断られたことを報告した。編集者たちには、たかが貸本漫画家が大手出版社の仕事を断るとは信じられないことだった。茂は、大舞台で勝負する度胸のない弱虫なのだろうと、編集者たちに嘲笑される。豊川だけは、茂の真意は何か別のところにあると思い、それを知りたいと強く思うのだった。

 夜になったが、布美枝も茂の真意がわからずいたが、やはり世の中の情報に対する知識不足がコンプレックスになっているのだろうと考える。嫁入り道具の一つとして、大切にしていたミシンを金に変え、テレビを買うことを決意する。仕事場を覗き、そのことを相談した。
 しかし、茂は相変わらず不機嫌で、その案を頭ごなしに否定した。すぐに話を打ち切り、夜食を用意するように冷たく言い放つのだった。しかし、茂もさすがに言い過ぎたことを反省し、夜食のカステラをつまみながら本当のことを話し始めた。

 漫画雑誌に移籍した貸本漫画家が、作風を変えて失敗し、消えていった例をたくさん見てきた。自分はその轍を踏まないよう、得意な分野で勝負したい。だから断った、と言うのだ。チャンスだからこそ、失敗しないように万全の備えをしたいというのが茂の意見である。
 それに加えて、豊川の背後で貧乏神(片桐仁)がニタニタ笑っているのが見えたという。貧乏神の罠だと思った茂は、とっさのところで仕事を断ったのだ。

 茂は、豊川の熱意をひしひしと感じたという。彼はきっと再びやってくるという確信を持っていた。
 その予言は的中した。数カ月経った梅雨入りの頃、豊川が訪ねてきた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第89回

 昨夜、ものすごく久しぶりに恒例のアレを送ってもらったのに、悪夢の中で四苦八九した・・・などとオヤジ・ギャグを放つ当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第89回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 布美枝(松下奈緒)とはるこ(南明奈)は、深大寺の茶屋で休憩していた。話題は茂(向井理)のことばかりであった。茂の食いしん坊は父(風間杜夫)譲りであること(父は同じ店で団子、まんじゅうを大食いした)、そばにある墓地は茂のお気に入りの場所であることなどを布美枝が話して聞かせていた。
 はるこは、先日、布美枝に対して漫画家の気持ちなど分からないと暴言を吐いたことを改めて謝った。そして、茂の作品に対する布美枝の見えない貢献を高く評価した。茂自身も自覚していないだろうが、妻として支えているから茂は漫画だけに打ち込むことができ、立派な作品が作れるのであると。野に咲くナズナのうに、目立たないがいつもそばにいて、可憐でありながらたくましいところが布美枝のいいところだと、はるこは言うのだった。

 そして、はるこは勢いのあまり、茂のことが好きだと口走ってしまった。失敗したと思ったはるこは、作家として尊敬している、夫婦として自分の憧れという意味であると、慌ててごまかす。しかし、布美枝は彼女が男女の恋愛感情として茂に惚れていると見抜いた。けれども、彼女の気持ちを慮って、気づかぬふりを突き通すのだった。

 はるこは、これまでの生活とはきっぱり決別して山梨へ帰っていった。上京のきっかけとなった深沢(村上弘明)にはハガキではっきりと断筆を知らせた。彼女の才能を評価していた深沢は残念がるが、漫画家の新陳代謝も仕方のないことだと冷静に受け止める。
 そして、はるこが去った下宿には、茂たちと一緒に写った写真だけが残されていた。

 浦木(杉浦太陽)が茂の家にやって来た。はるこが帰郷することを引き止めたり、自分に知らせたりしなかったのはどういうことかと、泣き崩れながらなじるのであった。

 そんな騒ぎの中、人気漫画雑誌の編集者・豊川(眞島秀和)が訪ねて来た。『別冊・少年ランド』への原稿依頼である。貸本漫画の依頼とは違うスマートで羽振りの良い依頼の仕方、そして何よりも、大手出版社からの依頼ということで、布美枝や浦木は茂以上に緊張してしまう。せっかくのチャンスを無駄にしてほしくないと、布美枝は身を縮こませるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第88回

 ドラマの中で茂が自分の趣味を押し付けて布美枝を連れて行った映画『ナバロンの要塞』を僕も見たのだが、予想をはるかに上回る面白さで、いやいや見始めた布美枝が茂以上に熱中した気持ちもよくわかった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第88回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)が急に泊まっていくと言い出した。迷惑に思うが、強引に押し切られてしまった。女は女同士、男は男同士、一緒に寝ることになった。

 義母は布美枝(松下奈緒)に、茂は朴念仁で昔から女にモテなかった。だから、はるこ(南明奈)と抱き合っていたのも、色恋沙汰であるはずがないと断言した。また、病気を克服し、40歳を過ぎてから大ヒットした三浦綾子を引き合いに出し、茂にもチャンスはあるかもしれないと言って聞かせる。一方、このまま芽が出なくても、茂のことを見捨てないでくれと頭を下げるのだった。

 父は茂に、小説出版が破談になったことを愚痴る。母は芸術を理解しないのに、余計な口出しばかりするのだと文句を言っている。母の言い分が正しいと思う茂は、仕事をしながら適当に聞き流していた。しかし茂は、昔から小説や劇、映画などを愛好した父の姿に共感する部分もあった。また、金だけを追いかける人生はつまらない、好きなことを追いかけていればあとはなんとかなる、という父の「なんとかなる主義」には特に強く共感するのだった。

 翌日、両親は境港に帰っていった。

 それから数日経ち、はるこが村井家に謝罪と近況報告に来た。
 最後の原稿を描き直し、自信満々で出版社に持っていったが、採用されなかった。ついに漫画家の道は断念し、翌日田舎に帰るのだという。

 はるこは、昔から漫画家になることしか頭になかったので、これからどうやって生きていけばいいか分からない、修行をした3年間も全くの無駄になったと話す。それに対して茂は、人生経験はどこでどのように役に立つか分からない、だからそんなに落ち込む必要もないと言い聞かせる。小さい頃、父は周りから馬鹿にされながらも、小説や劇の話を自分に教えてくれた。それが、今になって漫画を描くタネになっている。父から授かった「なんとかなる主義」で生きているのだと話してやった。

 それを聞いて、はるこは持ち前の明るさを取り戻すことができた。
 東京を離れる前に、一度深大寺に行ってみたいと言い、布美枝を強引に連れて出かけていくのだった。

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アニメ『四畳半神話大系』最終回のエンディングテロップ

スロー再生で読んで、書き起こしてみた。

おやすみ
ごきげんよう
ありがとう
いかかがでした
おしまい
またいつか
ごきげんよう
おつかれさま
おやすみ
またね
またいつか
ごくろうさま
さよなら
ありがとう
おしあわせに
おせわさま
かたじけない
さよなら / またね / ごきげんよう
おせわさま / ごくろうさま / いかがでした
ごきげんよう / さよなら / おしあわせに
おつかれさま / ありがとう / またね
おやすみ / おしまい / ごくろうさま
ありがとう / またいつか / おしまい

分かる人にだけ分かっていただければ。
最終回を見たはずなのに分からないと言う人は、エンディングテロップの黄色い文字を目を凝らして見ること。

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NHK『ゲゲゲの女房』第87回

 先日出かけた郵便局で、火の用心かなにかのポスターに南明奈が起用されているのを見て、「お、なかなかかわいいじゃん」と思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第87回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 今日は、布美枝(松下奈緒)が義理の父母(風間杜夫、竹下景子)を深大寺へ案内することになっていた。名物そばも食べさせようと思うのだが金が心配だ。出かけてみると、義理の父は無類の食いしん坊で、そばの後に数人前の団子まで食う始末。呆れる布美枝だが、天気の良い3月を満喫する一同だった。

 その頃、漫画雑誌『少年ランド』の編集部では、新機軸を打ち出そうと会議を続けていたが、どうも決め手がない。売れっ子発掘に定評のある豊川(眞島秀和)に意見が求められ、彼は茂(向井理)を推薦した。今までに何度か提案したのだが、その度に貸本漫画は胡散臭く、古臭い、内容も子供向けではないと却下されていたのだ。ところが今回、編集長(長谷川公彦)は、宇宙物のSF漫画を描くという条件で茂の採用を決めた。

 豊川が会議を終えて出てくると、少女漫画誌の編集者(山本圭祐)に呼び止められた。ちょうど、はるこ(南明奈)が原稿を持ってきていて、それを見て欲しいというのだ。豊川の評価は、絵が上手で無難な作品だが、個性がないというものだった。その言葉を好意的に引きとり、少女漫画の編集者は手直ししてもう一度持ってくるように励ました。
 俄然やる気の出てきたはるこであったが、編集者の目論見が別のところにあるのを立ち聞きしてしまい、絶望する。少女誌の編集者は、はるこの絵の上手さにだけ着目し、売れっ子作家のアシスタントに送り込もうと考えていたのだ。はるこにはデビューの見込みがないのである。

 家族が観光にでかけ、一人で仕事をしている茂。そこへ、落ち込んだはるこが訪ねて来た。普段は他人にほとんど関心のない茂であったが、はるこの様子があまりにおかしいのできちんと話を聞くことにした。
 はるこは、3年以内に漫画家として成功するという約束で、親の反対を押し切って状況した。今月がそのタイムリミットであり、がむしゃらに作品作りと持ち込みに取り組んだ。貸本漫画では軌道に乗りかけていたが、今では業界自体が尻すぼみでうまく行っているとは言えない。漫画雑誌に移籍しようとしているが、もうほとんど見込みがない。そこまで言うと、ついにはるこの感情は臨界に達した。

 茂が妻帯者だとわかっていながら、好きだったことを打ち明けた。ただしそれは、プラトニックな恋であり、そばにいれるだけで良かったのだと付け足した。しかし、突然そんな告白をしたことを自分でも驚き、慌てて家を出て行こうとする。その時、手が滑って、自分の原稿の上に茶をこぼしてしまった。
 原稿が汚れてしまったこと、そして、秘めていた思いを口にだしてしまったことで、はるこは感情を抑えつけることができなくなった。涙を流し、茂の胸にすがりつくのだった。

 そこへ、布美枝と両親が帰宅した。ふたりが寄り添っているのを目撃される。はるこを帰した後、茂は整然といきさつを説明する。はるこの境遇をよく知っている布美枝なので、誤解はすぐに解けた。
 しかし、茂の父が、彼女は茂に惚れているに違いないと、不用意に話を蒸し返す。父の意見には誰も耳を貸さないが、布美枝だけは心に引っかかるものがあった。以前に、はるこが茂と一緒に写っている写真を隠し持っていたことを思い出したのだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第86回

 自分の年齢を鑑みれば、白髪が増えてきたことは仕方ないことと諦めるが、白髪だけがチリチリに縮れており、妙に浮かび上がって目立つのだけは勘弁して欲しいと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第86回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)は、小説の出版は諦めたが、1週間ほど東京に滞在することになった。兄(大倉孝二)の家に泊まることになり、帰っていった。

 村井家に一人残った浦木(杉浦太陽)は、はるこ(南明奈)と音信不通だと知らせた。半月前にパチンコ屋の住み込みを辞め、行方がわからないという。そう言われて、布美枝(松下奈緒)たちも最近は姿を見ていないことを思い出した。

 別の日。こみち書房がなくなり、仲良し連中は乾物屋(尾上紫)を新たな集会場にしていた。
 太一(鈴木裕樹)の同人誌がついに完成し、それをみんなで見ていた。話の流れから、その同人誌を布美枝の紹介で『ゼタ』出版社に持ち込むことになった。

 そのころ、はるこは『ゼタ』の深沢(村上弘明)のところへ漫画を持ち込んでいた。しかし、掲載を焦るあまり、はるこの個性が活きておらず、人気漫画の亜流でしかない原稿だった。そのことをはっきり伝え、深沢は応援しつつも、掲載を断った。つい頭に来たはるこは、大手の商業誌では読者に受けるように描かないと掲載されてもらえない、弱小雑誌の『ゼタ』の方針がおかしいのだと食ってかかってしまった。

 ちょうどそこへ、太一を伴った布美枝が事務所に現れた。はるこを見つけて驚いた布美枝は、下宿を引き払って行方をくらましたことをみんなの前で言ってしまった。当然、そのことが深沢の耳にも入った。慌てて、逃げるように事務所を出て行くはるこ。
 布美枝は途中まで追いかけ、親身になって話を聞いてやろうとする。しかし、はるこは、布美枝は漫画家の妻ではあるが、漫画家本人ではない。そんな人間に、漫画家の本当の苦しみなどわかるはずがないと捨て台詞を吐いて、足早に立ち去るのだった。

 布美枝が事務所に戻ると、深沢は太一の目の前で、作品を褒めて、励ましているところだった。すぐに、『ゼタ』で同人誌を紹介してくれることが決まった。深沢は太一に連絡先を書くよう命じるが、太一は一瞬躊躇した。近々、厚木に転勤になるのだが、そのことを言い出せずにいたのだ。しかし、思い切って告げた太一の姿や同人誌を見て、布美枝は彼がたくましく成長したことを心強く思うのだった。
 深沢は、太一が自分の好きなように詩を書いていることを評価している。はるこも、自由に自分らしい作品を描くようになればいいのにと、願っているのだった。

 夜、茂は一心不乱に仕事をしている。その姿を見た布美枝は、やはり自分は傍観者であり、漫画家本人の苦しみはわからないのかもしれないと思った。はるこの言葉を思い出した。

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NHK『ゲゲゲの女房』第85回

 出勤途中のマクドナルドで携帯電話のワンセグを起動した当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第85回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 村井家は、いまだに貧乏のままである。茂(向井理)も布美枝(松下奈緒)も、家に居座る貧乏神(片桐仁)の気配を感じている。

 昭和40年3月。
 茂の兄夫婦(大倉孝二愛華みれ)がまたしても風呂を借りに来た。兄は白黒テレビを買ったことを自慢する。テレビがどんなに面白いかを話し、茂の漫画もテレビで放送しろと勝手なことを言う始末だった。

 その時、突然茂の父母(風間杜夫、竹下景子)が家に現れた。上京のハガキよりも先に本人たちが到着してしまったのだ。父の書きかけの小説を出版するという話が持ち上がり、その打ち合わせのために急遽上京してきたという。父は、主婦からベストセラー作家になった三浦綾子を引き合いに出し、自分の小説も大ヒットすると思い込んでいる。しかし、母はどうも胡散臭い話だと疑っている。素人の小説がいきなり本になるのもおかしいし、出版費用の半分を負担しなければならないというのもおかしいと疑っているのだ。

 そこへ、浦木(杉浦太陽)までもがやって来た。玄関で茂に向かって、インチキ商売の話を大声で話し始めた、素人に出版話を持ちかけ、多額の費用を本人に負担させる。それをピンハネして儲けるのだという。その声は、居間の一同に筒抜けで、父が騙されていたことが明らかになった。母は怒り狂い、インチキ商売をしている浦木、彼と付き合っている茂、茂の交友関係に注意を払わない布美枝、まんまと騙されかかった父へと次々に怒鳴り立てるのだった。

 その頃、日本一の売上を誇る漫画雑誌『少年ランド』を発行する雄玄社では、編集者の豊川(眞島秀和)が茂の漫画を熱心に読んでいた。彼は茂の漫画に惚れ込み、雑誌で取り上げるようこれまで3回も提案した。しかし、絵柄が似つかわしくないといずれもボツにされてしまった。独特の雰囲気こそが持ち味だと信じる豊川は、もう一度掛け合ってみようと意欲を燃やしていた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第84回

 お盆に故郷でクラス会を行うからぜひ帰って来いと電話があったのだが、夏の北海道は飛行機代が高いばかりか、実家に滞在すると朝から晩まで親にかまわれてしまい、落ち着いて朝ドラを見ることも難しく、この連載に穴をあける懸念があり、実際に過去『だんだん』の連載を取りやめたのは同ドラマが面白くなかったことが理由だけれど、実家滞在中で集中してドラマを見れなかったことも少なからず影響していると思われ、その二の舞を避けるというだけ理由で帰省をやめようかなぁ、どうしようかなぁと悩んでいる当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第84回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 村井家のふたりに、政志(光石研)は自分の過去を話し始める。腕の良い電気工だった彼は、シベリアに抑留された時も人一倍働いた。ソ連人からの評価も高く重宝がられたのだが、反対に日本人の仲間からは妬まれ、いじめの対象となった。そのせいで、人間不信、無気力になってしまったのだ。
 戦争の悲惨さに共感する茂(向井理)ではあるが、自分で自分を不憫に思うことは筋違いであると断言する。戦争で死んでしまった人間に比べれば、どんなに苦しくても、好きなことをやって生きているのが幸せなことである、と。その言葉に、政志は何かを思うのであった。

 その時、商店街の靖代(東てる美)がやって来て、美智子(松坂慶子)が行方不明だと伝えた。政志は、心配はするものの、照れ隠しと強がりで、探しに行こうともしない。布美枝は、美智子が店も夫婦もおしまいだと言って泣いていたことを政志に知らせた。
 それを聞いた政志は、居ても立ってもいられなくなり、美智子を探しに行くことにした。息子の墓がある深大寺にいると予測し駆けつけてみると、やはりそこで美智子は見つかった。

 家に帰ると、政志はついに自分の決意を打ち明けた。千葉の会社に就職し、電気工として出直したい。調布の貸本屋を閉めて、一家で千葉に引っ越そうと言うのだ。
 今まで家のことはなんにもしてこなかったのに、勝手なことを言わないで欲しいと反論する美智子。しかし、不満を述べる顔も、どことなく嬉しそうだ。ついに政志の言い分に同意し、転居することが決まった。
 夫婦の溝も埋まり、ふたりは明るい夫婦に戻った。

 昭和39年10月10日。今日は東京オリンピックの開会式である。人々はテレビやラジオに釘付けである。村井家のラジオは調子が悪く、なかなか放送を聞くことができない。
 そこへ、貸本屋の常連・太一(鈴木裕樹)が慌てて飛び込んできた。こみち書房が突然閉店し、トラックで引越し作業をしていると伝えに来た。

 美智子は、人々に見送られるのが辛いので、秘密裏に町を去ろうとしていたのだ。そのため、引越しの日程を誰にも話さずにいた。オリンピックの開会式の日ならば、人々の目をそらすことができるだろうと、かねてから計画を立てていたのだ。しかし、それは失敗してしまった。

 真っ青な秋晴れの下、美智子らの一家は、意気揚々と新しい生活へ向けて旅立って行った。

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