NHK『ゲゲゲの女房』第83回

 ブロンソンズ(みうらじゅん田口トモロヲ)の「大脱走’95」を聴いて衝撃を受け、映画『大脱走』を一度見てみたくてDVDを借りたのだけれど、170分もあると知り、『ナバロンの要塞』より10分も長く、週末にかなり強烈に気合を入れないと見れないなぁと思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第83回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 布美枝(松下奈緒)は、漫画雑誌『ゼタ』の編集長・深沢(村上弘明)に原稿を届けに来た。雑誌はまだ赤字であるが、売上も伸びつつあるし、茂(向井理)の人気も上々だという。読者からの反響の手紙も多い。
 新人漫画家の持ち込みもひっきりなしだ。漫画以外にも、詩や散文も郵送で投稿されてくるという。その中には、布美枝の知人である太一青年(鈴木裕樹)からのものもあった。即掲載というわけではないが、深沢はなかなか悪くない詩であったと評する。

 茂の漫画が人気なのは、社会の矛盾や滑稽な点を風刺する作風にあるのだ。布美枝も深沢も、その点を認めている。
 話は膨らんで、深沢は自分自身のことを語り始めた。終戦直前、満州で働いていて、一歩間違えばシベリアに抑留されるところだった。シベリアでは多くの仲間が死んだという。また、自身が身体を壊して長期入院した体験から、やりたいことはすぐに始めないと、次の機会が与えられるかどうか分からないという人生観を得た。だから、無謀だと認めながらも『ゼタ』の発行に全身全霊をかけるのだという。そしてまた、社会風刺を通じて、世の中に一石を投じたいとも思っている。

 深沢の事務所からの帰り道、布美枝はこみち書房に立ち寄った。しかし、客は一人もいなかった。
 その代わり地主(九十九一)が来ていて、美智子(松坂慶子)に先日の暴力沙汰の苦言を呈していた。地代さえ払ってくれれば文句はないと言うものの、商売替えしてはどうかと、善意とも嫌味とも取れない一言を告げて帰っていった。

 布美枝は、親身になって美智子の話を聞いてやることにした。そこへ、夫の政志(光石研)が外出しようと姿を現した。美智子は店や家族の生活のことについて政志に相談したいのだが、彼は店を閉じてつつましく暮らせばいいと冷たく言い放つだけだった。心ない一言に、美智子はつい感情的になる。店は単なる生活の道具ではなく、人々との交流の場なのだ。一家が社会と繋がっている窓口でもあるのだ。それがなくなってしまうことは、心の大きな支えが失われてしまうことになるのだ。
 されに加えて、政志が自分に心を開いてくれないことも悲しくて、辛い。そう訴えるのだが、政志は無視して出かけてしまった。辛抱できなくなった美智子は布美枝の前で涙を流す。布美枝もまた、夫婦の危機を目撃し、もらい泣きするのだった。

 帰宅し、美智子夫婦のことを思いながら台所に立つ布美枝。ふと気づくと、そばに居たはずの藍子の姿が見えない。外からは、野犬の唸り声と藍子の泣き声が聞こえてくる。目を離した隙に、勝手に外に出ていったようだ。
 慌てて家を飛び出すと、政志が藍子を抱き抱えて救出してくれていた。藍子は無事だった。

 政志は、美智子との夫婦喧嘩で家に帰りにくい。町をブラブラしていたら、茂(向井理)のことを思い出して、もう一度話をしてみたくなったという。漫画が大好きであり、それを仕事にすることで、貧しくとも幸せを感じている茂。政志は何かを思いつめたように、その好きなこと(漫画)で仲間から裏切られることがあったとしたら、どんな思いがするだろうか、と茂に問いかけるのだった。

 その頃、こみち書房からは美智子の姿が消えていた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第82回

 茂と布美枝がドラマの中で見た映画(第57回)だという『ナバロンの要塞』のDVDを借りたのだけれど、160分もあると知って、週末にかなり気合を入れないと見れないなぁと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第82回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 布美枝(松下奈緒)が発案したメダル作戦でこみち書房は賑わいを取り戻した。商店街でも評判になっており、同店の夫・政志(光石研)は羨ましがられる。しかし、政志は他人事のようで、しらけた素振りを見せていた。

 子供たちが集うこみち書房に、貸本廃止を主張する市民団体がやって来た。PTAで議論した結果、小学生の貸本屋への出入禁止が決定されたという。穏便に事を収めようと下手に出る美智子(松坂慶子)であったが、すでに待ったなしの状態になっている団体側は、反発する子供たちにも一切耳を貸さず、強引に追い立て始めた。

 ちょうどそこへ政志が帰ってきた。激昂した政志は、団体の男性ら数人と暴力沙汰を起こした。もみ合いの中で子どもが1人押し倒された。警官も駆けつける騒ぎとなった。幸いにして、子供の怪我は軽く、警官も事件にせずに寛大な対処をしてくれた。しかし、こみち書房の評判は地に落ちてしまった。

 書店のおばあさん(佐々木すみ江)は政志に説教を始める。せっかく美智子が平和的に解決しようとしていた矢先、政志が全てをぶち壊したのだ。申し開きのできない政志は、ふて腐れて家を出て行った。店の前に落ちていたメダルを拾い上げ、何かを思いながら歩き出すのだった。

 おばあさんは、美智子にも強い口調で怒りをぶつける。美智子が政志に遠慮して何も言わないのもよくないのだと。図星をつかれ、彼女にしては珍しく、落ち込んで黙りこんでしまった。美智子は、政志の出征中に一人息子を病気で死なせてしまった負い目があるのだ。そのせいで、自分で自分を責め、政志に対して心の壁を作り出しているのだ。
 おばあさんは、そんなふたりを情けなく思い、つい大声を出してしまったのだ。話を聞いた布美枝も、彼ら夫婦の問題をどうにか解決できないものかと思うのだった。

 その騒ぎから1ヶ月。こみち書房を訪れる客はほとんどいなくなった。子供たちは貸本を利用せず、書店に雑誌を買いに行くありさまだ。

 茂(向井理)は漫画雑誌「ゼタ」の読者層を考慮し、かなり大人向けの漫画を描いている。布美枝もとても面白いと、夢中になって読んでいる。
 新しい原稿が完成し、布美枝は原稿の配達を頼まれた。出かけようとすると、家の前が騒がしい。最近、近所を野犬がうろついているらしいのだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第81回

 女の子から「木公さんが好き♪」と言われ、年初に受け取った年賀状を含めると、今年に入って告白されたのは2回目であり、有頂天になっている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第81回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 ゼタ創刊を知って、浦木(杉浦太陽)がやって来た。広告仲介の儲け口があるのに、どうして自分に黙っていたのか、と。しかし茂(向井理)は、美人秘書(桜田聖子)が浦木以上のやり手であると言って、冷たくあしらうのだった。

 他にも浦木はいくつかの噂を持ってきた。はるこ(南明奈)が焦り始めていることと、貸本屋の夫・政志(光石研)を喫茶店で見かけたという話である。政志は、連れの男と電気工事の会社を始めるなどと話していたという。それを聞いた布美枝(松下奈緒)は、いよいよ貸本屋を閉めて、商売替えするのではないかと心配になった。

 東京で暮らし始めた時から、布美枝はこみち書房には何度も助けられた。そのため、個人として何か恩返しをしたいと思うし、みんなの集会場とも言える同店を存続させたいとも思う。そこで、商売繁盛のためのアイディアを持って、こみち書房を訪れた。
 もうすぐ行われる東京オリンピックにあやかって、子供たちに紙で作ったメダルをプレゼントするというキャンペーンである。借りた数に応じて、金・銀・銅のメダルが貰えるのだ。そのアイディアには美智子(松坂慶子)らも乗り気になった。

 その時、地主(九十九一)が地代を2倍にしたいと言いに来た。物価上や固定資産税の上昇で仕方のないことだと言われ、美智子も受け入れざるを得なかった。いよいよ貸本屋の経営が難しくなった。
 電気工事店に商売替えするつもりだという噂が真実味を増し、布美枝はうっかりと口に出して聞いてしまった。しかしそれは誤解だという。戦争のせいで無気力になってしまっているが、政志は元々腕のいい電気工であった。千葉の会社で働かないかと誘いを受けているだけだという。

 美智子は店を閉めるつもりはない。経営が苦しくても、貸本代金の値上げもしない。布美枝の作ってくれたメダルで起死回生するのだと、明るく言うのだった。
 その試みは大成功だった。本を借りに来る子供たちが一挙に増えて、昔のように店が賑わった。子供たちに釣られて、大人の客も戻り始めた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第80回

 天気予報において、高気圧が青、低気圧が赤で表示されるのは、低気圧は強い雨や風で災害が発生するおそれがあり、注意喚起のため気象庁が必ずそうするよう定めていると知った(NHK「おはよう関西」で言っていた)当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第80回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 「好きなことに裏切られることだってある」貸本屋の夫・政志(光石研)は、胸の内に何か暗いものを抱えているように思われた。
 場の雰囲気が暗くなったので、布美枝(松下奈緒)は慌てて太一(鈴木裕樹)の近況に話題を変えた。太一は、新しい仲間を得て、詩や短歌の同人誌を作ろうとしている。急に競馬に興味を持ちだしたのは寺山修司に憧れてのことだという。ただし、太一以外に寺山の名を知る者はその場にいなかった。

 それからしばらく経って、ついに深沢(村上弘明)の漫画雑誌「ゼタ」が創刊された。3日で描き上げたという茂(向井理)の短編漫画には、ケチな金の話をする登場人物(ねずみ男)がいた。布美枝はそれを見て浦木(杉浦太陽)にそっくりだと思うのだった。

 ゼタを見た戌井(梶原善)がお祝いに駆けつけてくれた。戌井も深沢と面識があり、深沢はここぞという時に大勝負に出る山師のような男だと好意的に評する。
 そこへ、深沢本人が創刊の挨拶にやって来た。戌井に再会した深沢は、彼にも寄稿してくれるよう声をかけた。深沢は戌井のスリラー漫画を評価していたのだ。しかし、戌井は自分の才能の限界が見えてしまったといい、漫画はもう描かないと言って断ってしまった。その代わり、出版者として、斬新な漫画を世に送り出すことに人生を捧げると、強く決意を表明するのだった。

 その頃、はるこ(南明奈)が思いつめた表情でこみち書房に入っていった。素性を伏せたまま、自分の漫画の人気を聞いてみた。貸本屋のおばあさん(佐々木すみ江)は、全く人気がないと率直に言うのだった。人気のある本は何度も貸し出されてボロボロになると聞いて、はるこは何冊かある自分の本を点検するが、どれも新品同様であった。

 その後、商店街の喫茶店で浦木と落ちあって、いつものように彼から小説のカットの仕事を請け負った。しかしはるこは、カットの仕事はこれを最後に辞めたいと告げる。自分はゼタに掲載されるような一流の漫画家になりたい、今は漫画に集中したいと理由を説明した。さらに、浦木に聞かせるでもなく「もう時間がない」と意味深な言葉をつぶやくのだった。

 その喫茶店に、政志が他の男と一緒に入ってきた。彼は浦木の存在に気づいていない様だ。聞き耳を立てると、政志はあまり乗り気ではないものの、何かを計画している様子だった。

 村井家では、男たちが戦艦模型を並べて鑑賞会を開いていた。布美枝と深沢の秘書・郁子は食事の後片付けをしながら話をしている。郁子は、大企業の重役秘書を辞めた理由を「自分の名前」がなかったからだと説明した。女は「重役秘書」、「○○の妻」、「××のお母さん」などと役割で呼ばれるのみで、名前で呼ばれることがない。いくら待遇がよくても、それが不満で前の会社を辞めたという。深沢のもとでは、自分の名刺を持って仕事ができるのを心地良く感じている。
 布美枝は、自分も名前で呼ばれていないことに、はたと気づくのであった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第79回

 高温多湿な気象でヘトヘトになりかけている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第79回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 弟・貴司(星野源)の婿入りが正式に決まった。布美枝(松下奈緒)は祝いにパッチワークのクッションカバーを手作して贈ろうとするが材料の端布が足りない。商店街に買いに出かけた。
 市井の人々の生活レベルは高まっている。秋に行われるオリンピックを控え、テレビの普及率が8割を超えたという。ジャズ喫茶などもできて若者を惹きつけている。一方で、物価も上昇し始めている。

 美智子(松坂慶子)は貸本料金を5円増して15円にしたいと思っているが、客離れを心配して踏み切れない。ただでさえ、生活の変化に伴って、貸本利用者が急激に減っているのだ。さらに、反貸本漫画の抗議行動も相変わらずだという。
 貸本屋の夫・政志(光石研)は相変わらず道楽者で、今日も競馬に出かける予定だ。居合わせた太一(鈴木裕樹)も競馬に興味を持ち始めたという。そこで、太一は政志について競馬場へ出かけることにした。

 深沢(村上弘明)の新しい出版社は順調だった。特に、美人秘書(桜田聖子)の活躍がめざましく、広告主の獲得や業者への値下げ交渉など、深沢以上の働きを見せている。
 秋に創刊予定だった漫画雑誌「ゼタ」の発行も前倒しすることになった。深沢は結核で肺を一つ摘出した。それによって人生観の変化した深沢は、できることは何でも素早く成し遂げたいと思っているのだ。最初はいぶかしく思っていた茂(向井理)であったが、彼の話を聞いて協力する気になった。創刊号に間に合うように大急ぎで原稿を作ることを依頼されたが、茂は快諾した。

 帰宅し、早速原稿に取り掛かろうとする茂であったが、運悪く浦木(杉浦太陽)が訪ねてきた。競馬でスってしまったので、飯を食わせて欲しいと図々しく上がりこんだ。彼は、競馬場で知り合ったと言って、政志と太一も連れてきた。競馬場で茂の噂話をしているふたりに出くわし、意気投合したというのだ。そして、全員そろってオケラになってしまった。

 食事の場では、政志が茂の片腕に言及した。そのような身体では細々と漫画を描く以外に満足な職に付けないのだろうと、独りよがりな同情を示す。しかし、茂は、仕方無しに漫画家をやっているのではなく、自発的にやりがいを感じて漫画を描いているのだと胸をはる。

 茂の誇る態度に、政志はへそを曲げた。「好きなものに裏切られることもある」という政志の言葉に、布美枝は言い知れぬ不安を感じるのであった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第78回

 本日は6月26日である。この日だけは私にとって実に重大な日である。そう、当方の愛する山瀬まみの結婚記念日なのである。1999年のこの日、情報バラエティ『ブロードキャスター』内の名物コーナー「お父さんのためのワイドショー講座」の生放送中に、自身で結婚を発表した。それを見ていた当方は、彼女の嬉しそうな笑顔に感激するとともに、突然のことに言葉を失って呆然としてしまった。翌日は、1日中パソコンに向かって山瀬まみスクリーンセイバーの作成に没頭し、自分の喜びと落胆を昇華させたりしていた。
 そうそう、今日はマイケル・ジャクソンの命日でもある。マイケル・ジャクソンが死んだのはアメリカでは6月25日午後であるが、その時日本では6月26日であった。だから、マイケル・ジャクソンへの追悼は6月26日に行うのが正しい。ちょうど1年前、当方が朝ドラの『つばさ』を見るためにテレビをつけたら、マイケル死亡のニュースが飛び込んできてしばし呆然としたことを思い出す(当日の当blog記事)。
 ・・・などと、すでに6年以上も更新の止まったままである森で屁をこくの定番マクラをパクった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第78回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 貴司(星野源)は、洋裁器具店の一人娘・満智子(長澤奈央)の婿養子となることを父(大杉漣)にはっきりと宣言した。父は、貴司を家業の酒屋の跡取りにすると決めてかかっていたので、激しく拒絶する。相手の家に怒鳴り込もうとする父を、貴司は体を張って止めに入った。普段は物静かなのと打って変わって大声を出し、何よりも彼女が大切なのだと叫んだ。

 店先に家族が集まり行方を見守っていると、甥(佐藤詩音)が慌てて奥の間から飛び出してきた。藍子がビー玉を誤飲し、喉に詰まらせたという。
 父は自分に任せろと言うのだが、布美枝(松下奈緒)はそれには一切耳を貸さず、自分で吐き出させようと奮闘する。手を口の中に突っ込んで、やっとのことでビー玉を取り出すことができた。安心する一同。しかし、父だけは思うところがあった。

 父は、自分の子供達はいつまでも半人前なので、自分が手取り足取り面倒を見てやらなければならないと考えていた。しかし、さっきの布美枝の緊急対応を見て、彼女は一人前の母親になったのだとわかった。子供たちは自然に独り立ちする、自分が何もかも指図する必要は無いのだと、やっと悟ったのだ。
 照れくさそうな様子で、満智子を連れてきて紹介しろと貴司に告げた。本人に会うまでは結婚を許すかどうか決められないとは言うものの、話は決まったも同然な柔らかい態度だった。そんな父の姿を影から見ていたいずみ(朝倉えりか)は嬉しい気持ちになった。

 いずみは早速、布美枝に貴司のことを報告に行った。そして、話は自然と藍子のビー玉事件へ発展した。布美枝は、いずみが赤ん坊の時の話を聞かせてやった。肺炎にかかったいずみは、痰を喉に詰まらせて窒息しそうになった。その時、父が手を突っ込んで痰を掻きだした。布美枝はその父の姿を覚えているから今日の対応ができたと話す。
 東京で働きたいといういずみの希望を父が猛反対している。親が子のことを何よりも心配するのは当然なのだから、喧嘩して家出するようなことはするなと諭す布美枝であった。いずみは突然、運転免許を取得すると言い出した。その理由は、貴司が家を出て行ったら、酒の配達などは自分が手伝わなければならないからだという。強がっていて、素直に表現することをしないのだが、彼女も態度を軟化させたのだ。東京行きを諦めた様子だ。

 布美枝が東京の家に帰って来た。
 茂(向井理)は破顔して、布美枝と藍子の帰宅を出迎えた。
 家の中が思った以上に片付いていていた。はるこ(南明奈)が手伝いに来たことは当然伏せておいて、自分の手柄のように誇る茂。自分がいなくても平気らしいと思い、少々くやしい布美枝であった。

 しかし、茂は一人でいると、一緒に笑う相手がいなくて寂しかったと殊勝なことを言う。屁をしても聞かせる相手がいないのもつまらない、と。
 それを聞いて、茂のそばこそが自分の居場所なのだと思いを強くする布美枝であった。目の前で屁をされるのがむしろ楽しいくらいだった。どんなに貧乏でオンボロな家でも、我が家が一番安心できる場所だと言うのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第77回

 カラオケでは必ずチェッカーズの「NANA」を歌うけれど、矢沢あいの「NANA」は読んだことのない当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第77回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 布美枝の父(大杉漣)は、いずみ(朝倉えりか)の上京も、貴司(星野源)が婿養子に行くことも、一切許す気がない。イライラとして妻(古手川祐子)に当り散らすほどだった。

 夜、貴司が店にひとりでいるところへ、布美枝(松下奈緒)が話をしに来た。布美枝は、父が激怒する理由は中途半端にしか話していないからだ、腹を割って話をする必要があるとアドバイスをする。しかし、貴司は、一家が苦労して続けてきた酒屋なので、自分の一存で放り出すことはできないという。
 それに対して布美枝は、他の家族には黙っているような、もっともひどい苦労話を打ち明ける。そんな生活であっても、漫画を描く事が大好きな茂(向井理)と一緒にいることが幸せなのだと付け足す。人は、自分にとって一番大切なことを諦めてはいけないと言い聞かせた。
 その話に何か思うところのあった貴司であったが、口では家を放り出すわけにはいかないと強がりを言うのであった。

 翌日、布美枝は茂の実家へ出かけた。大喜びする両親は、近所の人々も招いて藍子をお披露目する宴会を開いた。その宴会の給仕は全て布美枝一人に任されてしまった。
 茂は自分の暮らしぶりを故郷には秘密にしている。近所の人々は、茂は大成功していて、次々に舞い込む仕事のせいで帰省できないのだと、勝手に噂話を始める。問いかけられて、布美枝は曖昧に返事をするのが精一杯だった。

 客が帰った後、茂の母(竹下景子)は茂らの本当の暮らし向きを訪ねる。明確な返事を避けた布美枝であったが、母な全て見通していたのだ。その理由は、村井家の男たちは父(風間杜夫)をはじめ、全員金に締りが無いからだという。それを支えるために、布美枝がしっかりしなければならないと発破をかけられるのだった。

 その夜、布美枝は境港に一泊した。
 その頃、店で仕事をする貴司の所へ、思いつめた表情で恋人の満智子(長澤奈央)がやって来た。

 翌日、布美枝が実家に帰宅した。家の様子がおかしい。ついに父と貴司の間で何かが起きたらしい。

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NHK『ゲゲゲの女房』第76回

 10日以上続いた水便がやっと収まって、ほっとした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第76回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 調布の村井家に、はるこ(南明奈)がパチンコ景品の缶詰を差し入れに来た。布美枝(松下奈緒)が帰省したと聞き、荒れるに任せた家の状態を見て、勝手に家事を始めてしまう。茂(向井理)は遠慮するが、仕事がはかどるので、つい任せてしまった。しばらくすると浦木(杉浦太陽)が様子を見に現れた。案の定、はるこが茂と親密になりそうなのを見つけ、立ち去るように説得する。その騒ぎに立腹した茂は、ふたり揃って追い出すのであった。

 安来の喫茶店では、布美枝が弟・貴司(星野源)からじっくりと話を聞いていた。恋人・満智子(長澤奈央)の家は裁縫機器の販売代理店を営んでいる。彼女は一人娘でもあり、婿養子をとって店を続けなければならない。貴司の父(大杉漣)は、すっかり自分に見合いをさせて、家業の酒屋を継がせる気になっている。彼女と父との間で板挟みになってしまっているのだった。

 ふたりが家に帰ると、父が妹・いずみ(朝倉えりか)を怒鳴りつけていた。彼女が内緒で東京の会社に就職活動をしていたことがバレてしまったのだ。父は、いずみを地元の小学校の先生にさせるつもりなのだ。自分の人生を親に決められることに反発するいずみ。
 立場上、貴司は仕方無しにいずみのことをたしなめる。彼が味方をしてくれなかったことでますます激昂したいずみは、みんなの前で貴司の秘密をばらしてしまった。家族の中にいくつものしこりが残った。

 夜、布美枝はいずみと向き合った。布美枝から見ると、彼女の東京への憧れは一時の気の迷いのようにも見える。東京の暮らしは必ずしも良いことばかりではないし、地元・安来の方がよっぽど良い所だと話す。それは理解するものの、いずみは若いうちに一度は東京を見てみたいのだ。そして何よりも、親に勝手に人生を決められることへの不満で渦巻いているのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第75回

 「今日はマクラが思いつかないので、勘弁してくれ」と冒頭に謝罪する当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第75回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 布美枝(松下奈緒)が実家に帰って来た。布美枝の初めての里帰りを喜ぶ面々だが、それ以上に藍子のかわいらしさに大賑わいとなった。
 幼い頃に一番仲が良く、現在は農家へ嫁いだ姉のユキエ(星野真里)も顔を出してくれた。なかなか里帰りしないので汽車賃にも困る生活なのかと心配していたが、元気そうな顔を見て安心したと、気遣ってくれた。

 おばの輝子(有森也実)は、布美枝の弟・貴司(星野源)の見合い話を進めようとしている。父(大杉漣)もとても乗り気である。酒屋をもう1店舗つくり、貴司に所帯を持たせた上で全てを任せようと計画しているのだ。

 周囲で勝手に話が進んでいく中、貴司は何か思うところがありそうだったが、雰囲気に飲まれ、モジモジとして言い出せないでいた。母(古手川祐子)は貴司の様子がおかしいことに気づき、父をそれとなくたしなめるのだが、彼は聞く耳を持たなかった。
 夜、布美枝が部屋で藍子を寝かしつけていると、貴司と妹・いずみ(朝倉えりか)の低い声が聞こえてきた。布美枝にはっきりと聞こえたわけではなかったが、どうやら貴司には恋人がおり、店を継ぐことも完全には同意しているわけではないようだった。

 ある日、布美枝は幼馴染の親友・チヨ子(平岩紙)と喫茶店で会っていた。布美枝は、チヨ子が東京に訪ねてきたとき、家に招待せずに追い帰してしまった非礼を詫びた。貧しい生活を見せたくなかったのだと、本音を告げた。それを聞いたチヨ子はかえって安心したという。家に招かれないのは、夫が気難し家であるせいだと解釈していたのだ。夫の機嫌を伺いながら苦労することに比べれば、金の苦労の方がよほどマシだろうと、チヨ子は明るく言うのだった。

 しばらくすると、その喫茶店に貴司が入ってきた。彼は布美枝の存在に気づかないようだ。貴司は恋人・満智子(長澤奈央)に、勝手に縁談を進められていて困っていると打ち明けたようだ。しかし、それを体の良い別れ話だと思った満智子は泣きながら店を飛び出して行った。
 貴司は、そこで初めて布美枝に一部始終を見られてしまったことに気づいた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第74回

 目覚ましをセットし忘れて、危うく寝坊しそうになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第74回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 こみち書房に顔を出した布美枝(松下奈緒)は、そこで一心不乱に漫画を読む富田(うじきつよし)に出くわした。茂(向井理)に20万円の手形を振り出したが不渡りになった過去があるので、布美枝の顔を見て逃げ出そうとする。しかし、なんとかなだめて家まで連れてきた。

 出版社を倒産させた富田であったが、本への未練が断ちがたく、現在は製本会社の工員として働いているという。身なりもみすぼらしかったが、なんとか金を集めて、8,500円ばかりを茂に返した。受け取るべき金額としては少なすぎたが、茂も布美枝も過去のことは水に流す気になった。

 そこへ、浦木(杉浦太陽)がひょっこりと顔を出した。過去に浦木が怪しげなビジネスを富田に入れ知恵したことで、彼の会社の資金繰りが悪化したという過去がある。一瞬、浦木に対して激昂する富田であったが、自分が欲に目がくらんだことを思い出し、反省するのだった。漫画が大好きで貸本出版社を始めたはずなのに、いつの間にか漫画を金儲けの道具にしか見ることができなくなっていた。それが失敗の元だったと悟り、現在は心を入れ替えているという。
 茂は富田の新たな門出を応援する一方、貸本業界からまた一人消えたことを悲しく思うのだった。

 深沢(村上弘明)が復帰したと聞いて、浦木は自分が心を寄せるはるこ(南明奈)のことを思い出した。彼女は、漫画家になるために深沢を頼って状況した。しかし、すぐに深沢が倒れたことで路頭に迷ったという経緯がある。深沢の良いニュースを伝えたら、はるこは自分への好意を増すに違いないと都合よく考えた。
 それと同時に、布美枝の帰省中にはるこが茂の所へ近寄らないように、何か策を打つべきだと思い至るのだった。

 そして、布美枝が故郷へ向けて出発する日になった。家のことが心配で茂にあれこれと申し付けながら、布美枝は慌ただしく家を出るのだった。

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