NHK『あさが来た』第14回

今朝は7:45までテレビを見て、7:55の電車に乗ることを目指した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第14回めの放送を見ましたよ。

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第3週『新選組参上!』

ある夜、はつ(宮﨑あおい)は家に大量の反物が並べられているのを見た。季節の変わり目なので、新しい着物を作るようにと取り寄せたらしい。しかも、惣兵衛(柄本佑)がはつのためにと発案したのだという。

はつは、突然のことに驚くとともに、心から喜んだ。
あまりにたくさんの反物があるので、はつは惣兵衛に柄選びの助言を求めた。惣兵衛はどこかぎこちない様子ではあったが、ポツリポツリとはつにアドバイスをした。そんな惣兵衛の様子も、はつにとっては嬉しいものだった。

あさ(波瑠)にとって、初夜は惨めなものだった。
抱き寄せられたことに驚いて新次郎(玉木宏)を投げ飛ばしてしまい、そのまま新次郎は外出し、朝まで彼は帰ってこなかった。

新次郎がいないこともあるし、初めの朝が重要だとも思ったあさは率先して女中たちに混じって炊事、掃除の手伝いをした。義母・よの(風吹ジュン)は家事はほとんどしないため、女中たちは若嫁が一緒に働くことに恐縮し、遠慮した。
あさは家事を手伝う名分として、新次郎が留守だからだと漏らしてしまった。その一言で、初夜に新次郎が外泊したことが家中の噂になってしまった。

両替商の店を開く頃になって、やっと新次郎が帰ってきた。彼は少しも悪びれるでもなく、いつものように飄々としていた。
幼い弟の榮三郎(吉田八起)が跡取りとして一人前になるまで、新次郎はその後見人を務めることになっている。そのため、店にいるよう命じられているが、退屈そうに決められた席に座って時間を潰した。たまに、顔なじみの客が来ると冗談を言い合うこと以外は、特に何もしなかった。

他の者たちが仕事をしている中、新次郎だけは早めに仕事を切り上げた。
やっと開放された隙に、あさは新次郎に話しかけた。昨夜、彼を投げ飛ばしてからはじめての会話である。あさは、新次郎を投げ飛ばし、指に怪我をさせてしまったことを詫びた。しかし、新次郎は何も意に介していない様子だった。笑いながら、自分の方が恥ずかしくなるから、もう忘れてくれと言うのだった。

その夜、またしても新次郎は出かけてしまった。
あさは、新次郎は顔では笑っているが、本心は違うのではないかと少々心配になった。

それから1ヶ月。
新次郎は夜になると毎日出かけてしまう。あさと一緒に過ごすことは一度もなかった。

新次郎が出かけていたのは、三味線師匠・美和(野々すみ花)のところだった。

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NHK『あさが来た』第13回

三谷幸喜脚本の大河ドラマ『新選組!』といえば、鈴木砂羽の演じる明里が艶っぽくてとても好きだったわけで、何度かネタ(アッチの意味ではなく)にさせてもらったことを思い出す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第13回めの放送を見ましたよ。

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第3週『新選組参上!』

あさ(波瑠)の嫁入りの日、新次郎(玉木宏)はすっかり忘れていて、紅葉見物に行ってしまった。番頭の亀助(三宅弘城)が探しに行き、慌てて帰ってきた。

あさをはじめ、一同はイライラしながら新次郎の到着を待った。
新次郎は全く悪びれるでもなく、のんきに帰ってきた。自分は雨男なので、楽しみなことがあると必ず雨が降る。今日は、予定を忘れていたせいで良い天気になって良かったなどと破茶目茶なことを言い出す始末。あまりに呑気な様子に、一同の怒りにますます油を注ぐ。

そんな中、新次郎はあさの花嫁姿の美しさを褒めた。その笑顔に舞い上がり、あさは一瞬怒りを忘れるのだった。
また、ふたりの言い争いはまるで漫才のようだった。新次郎は、今日の反省を活かし、二度と祝言の日を忘れたりしないと約束した。それに対して、自分たちの祝言の日が二度あるはずがないとあさがツッコむのだった。

一同はハラハラしながら見ていたが、あさの母・よの(風吹ジュン)だけはそんなふたりを微笑ましく見ていた。言い争ってはいるが、とても仲睦まじい夫婦に見えたからだ。

結婚の宴の半ば、新次郎の父・正吉(近藤正臣)は加野屋の新しい体制を発表した。
長男(木内義一)の死去に伴い、三男の榮三郎(吉田八起)を跡取りとすると言うのだ。分家の新次郎は、その後見人とすると決めた。まだ幼い榮三郎は立派に挨拶をした。その様子に一同は感心した。
一方の新次郎は、自分はアホだから商売には一切関わらない、全てを榮三郎に任せるなど、頼りのないことしか言わなかった。

宴が終わり、あさは初夜の準備にとりかかった。
全く初めてのことで、あさはひどく緊張した。お付のうめ(友近)からは、流れに身を任せていれば大丈夫だと助言された。

そしていよいよ、寝室に新次郎が入ってきた。
ふたりっきりになると、新次郎はいきなりあさを抱きしめた。あさは身を固くするばかりで、どうしていいかわからなかった。

新次郎の手が腰に届き、帯に手がかかったところで、あさはうめの「流れに身を任せろ」という助言を思い出した。
すると、相撲が得意なあさは、思わず癖で新次郎の帯を握り返し、そのままの流れで上手投げをしてしまった。

転がされた拍子に、新次郎は右手の小指に怪我をした。
家の者たちが物音を聞きつけて集まってきたが、新次郎は新婦に投げ飛ばされたなど恥ずかしくて知られたくないと思った。適当に言い訳をして、一同を解散させた。

周囲が静かになると、新次郎は寝室を出て、外出してしまった。
あさはまだ子供で、抱くのは無理だと思ったのだ。

残されたあさは、新次郎に嫌われてしまったと心配した。
しかし、彼の後を追うわけには行かず、加えて今日一日ですっかりくたびれてしまったので、そのまま一人で眠ってしまうのだった。

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NHK『あさが来た』第12回

Wikipedia によれば「日本には明治20年頃に渡来したと言われる」とのことであり、ドラマは幕末が舞台なのでこの花はなかったはずなのだけれど、秋の嫁入りといえばどうしても秋桜(コスモス)を思い出してしまう当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第12回めの放送を見ましたよ。

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第2週『ふたつの花びら』

新次郎(玉木宏)の兄(木内義一)の死去により、あさ(波瑠)との結婚が延期となった。その謝罪に来た新次郎とあさはふたりきりで話をする機会を設けた。

あさは、新次郎が大変な時期に不躾な手紙を送りつけたことを詫た。
すると、それまで憔悴しきっていた新次郎が初めて笑った。新次郎は、あさの威勢のよい字を見て、果たし状だと思ったと冗談を言った。あのような字を書く女には今まで会ったことがないと言って笑うのだ。
あさはしょげてしまったが、新次郎はすぐに冗談を打ち消した。本心では、あさからの手紙が何より嬉しかったと告げた。

新次郎は、あさからの依頼の通り、はつ(宮﨑あおい)の許嫁・惣兵衛(柄本佑)についての情報を知らせてくれた。
現在の惣兵衛は、確かに変わり者で難儀な人物である。しかし、幼いころの彼は面白くて、いいやつだったという。今は、その時の彼が戻ってくると信じるしか無い。はつのことを励ましてやることが一番だと告げた。

新次郎によれば、本当はすぐに返事を書きたかったのだという。しかし、兄が危篤になったせいでそれもままならなかったのだ。兄は自分よりも優れていたと話した。頭の出来も顔の良さも、優しさも自分は敵わないと言う。兄の代わりに自分が死ねばよかったとすら愚痴をこぼした。

それを聞いたあさは、新次郎には誰にも負けない素晴らしい点があると答えた。
新次郎の優しさだけは、彼の兄にも引けをとらないだろうと言うのだ。だから、自分が死ねばよかったなどと言わずに、兄の分までしっかり生きて欲しいと応援した。
それを聞いた新次郎は感謝し、微笑みながら大坂へ帰って行った。

3月の末、はつが大坂へ嫁いでいった。
名残惜しいあさは、はつを乗せた船をどこまでも走って追いかけた。船が遠ざかって追いつかなくなると、その場に崩れ落ち、泣きながら姉の名前を叫び続けた。

はつは、何も答えず、毅然と船に乗っていた。
ただし、彼女も不安だったわけではない。母・梨江(寺島しのぶ)から贈られた手作りのお守り袋を握りしめ、耐えていたのだった。

それから半年後。ついにあさの嫁入りの日となった。
あさの白無垢姿は、普段の姿からは想像できないほど美しいものだった。

母・梨江は、自分で作ったお守りをあさに渡した。同じものをはつも持っているという。
母が餞の言葉を送った。あさの持ち前の根性で頑張れというのだ。そして、いつか女に生まれてよかったと、自分の運命を受け入れられる日が来る。それまで、柔らかい心を持つことを心がけて、良い嫁になれと告げた。
あさは「かしこまりました」と柔和に答えた。

父・忠興(升毅)は、あさの美しい姿に感激して何も言えなくなっていた。二度と帰ってくるなと憎まれ口を絞り出すのに精一杯だった。
昔なら口答えするあさだったが、ここでも彼女は落ち着いていた。言いつけ通り、嫁ぎ先の家をしっかり守ると約束するのだった。

あさが大坂の白岡家に到着した。白岡家の面々は、家族・使用人が総出であさを出迎えた。おてんば娘で評判だったあさが立派な花嫁になっていて、一同は息を呑んだ。

ただし、大坂で大きな問題が起きていた。
その場に新次郎がいないのである。彼は三味線の師匠・美和(野々すみ花)と連れ立って、紅葉狩りに出かけてしまったという。

あさは呆れ果てた。

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NHK『あさが来た』第11回

「なんかほんとやべぇ。近頃めっきり起きれない。あさが来ねぇ・・・。」とボヤきながら、変な時間にまとめ記事を投稿する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第11回めの放送を見ましたよ。

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第2週『ふたつの花びら』

あさ(波瑠)とはつ(宮﨑あおい)の嫁入りの日が刻一刻と近づいてくる。
姉妹が家族と共に過ごせる時間も限りが見えてきた。当時は、よほどのことがなければ、嫁は実家に顔を出すことなど許されなかった。大坂に行ってしまえば今度いつ会えるかわからない。大坂に住むあさとはつですら、気軽には会えなくなってしまう。

父・忠興(升毅)は、あさとはつに嫁としての心構えを再度言い含めた。しっかりと腹を据えて嫁ぎ先の家を守ることが大事な努めであり、二度と帰ってこない覚悟で行けと話した。
昔なら、自身の自由を奪われることに猛反発したあさであったが、近頃では表立って反論することはなくなっていた。多少は成長して自分の運命を受け入れることができるようになったことと、新次郎(玉木宏)への恋心があったからだ。

嫁入りするふたりには、それぞれ女中が付き添っていくことになっている。あさには年少のふゆ(清原果耶)が、はつには年長のうめ(友近)が従うことに決められていた。
はつは、うめと仲が悪いわけではないが、あさとうめが一緒に行くのがいいと考えていた。あさは幼い頃からうめと特に気が合ったし、まだ精神的に幼いあさには精神的に成熟したうめの手助けが必要だと思うからだ。
はつは、母・梨江(寺島しのぶ)にそのことを頼み込んだ。この家での最後のわがままを聞いて欲しいと懇願した。めったにわがままを言わないはつの珍しい様子に、母・梨江は応じるしかなかった。

嫁入りの2日前、新次郎とその父・正吉(近藤正臣)が今井家を訪ねてきた。
それはなんの前触れもなく、早朝にわざわざ船に乗って大坂から京都までやって来たのだ。しかも、ふたりの姿は憔悴しきっており、いつも明るく朗らかなはずの新次郎の顔も青ざめて無表情だった。

新次郎の父・正吉は深く頭を下げ、あさと新次郎の結婚を延期して欲しいと頼み込んだ。
長男の正太郎(木内義一)が結核のため、10日前に死んだ。そのため、今は嫁を受け入れられる状況ではないと言うのだ。

今井家では、正太郎の病気のことを知らず、全くの寝耳に水だった。
むしろ、そのような大変な時期にわざわざ知らせに来てくれたことに恐縮した。結婚の延期も受け入れた。

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NHK『あさが来た』第10回

昨日と一昨日のマクラでは「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」をネタにしたわけだが、この歌の意味についてクドクド説明するのは興ざめだし、WEB検索すればすぐにわかるので割愛するけれど、ひとつだけ言っておきたいことは、僕はドラマ『タイガー&ドラゴン: 三枚起請の回』でこの歌を知ったという事実であり、このドラマはダブル主演の長瀬智也と岡田准一が男の僕から見てもカッコイイなぁと思うし、伊東美咲は僕のストライクゾーンを外しているのだけれど純粋に美人だなぁと思ったし、Crazy Ken Bandの主題歌もキマっているし、古典落語をうまく翻案した宮藤官九郎の脚本も冴えてるし、なんといっても西田敏行笑福亭鶴瓶の配役の妙にニヤリとさせられたりする(この点に関しては、連続ドラマ版を全部見ていく必要があるが)ので、みんな一度は見てみるといいよとお勧めする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第10回めの放送を見ましたよ。

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第2週『ふたつの花びら』

あさ(波瑠)が新次郎(玉木宏)に手紙を出してから2ヶ月が過ぎたが、彼からの返事が来ない。あさは新次郎のことばかり考え、気を揉んでいた。

新次郎は番頭の亀助(三宅弘城)が破れた手紙を復元しているのを見つけた。聞いてみると、新次郎の母・よの(風吹ジュン)が、読む前に誤って破ってしまった手紙の内容を確認しているのだという。
それというのも、彼女は長男・正太郎(木内義一)が肺の病で寝込んでしまったことをひどく悲しんで泣いてばかりいる。涙を拭いているうちに鼻紙を使いきってしまい、たまたまそばにあった手紙を掴んで鼻をかんだ。それがあまりに字の汚い手紙だったので腹を立て、中身を見る前に破り捨ててしまったというのだ。

あまりの滑稽さに新次郎もおかしくなった。亀助と一緒に面白半分で紙片を並べ始めた。惣兵衛(柄本佑)の人となりを教えて欲しいという切なる願いがしたためられており、それを長い間放置していたことに青ざめた。

早速、新次郎は、一人で料亭にいる惣兵衛を尋ねた。そこでふたりだけで話をした。
結婚のことを話題にすると、惣兵衛は全く興味がなさそうだった。自分の意思とは無関係で、家同士の決まり事なので知ったことではないと言うのだ。

そればかりか、惣兵衛は母・菊(萬田久子)を殺したいほど憎んでいると打ち明けた。
そもそも菊が家の跡取り娘で、惣兵衛の父・栄達(辰巳琢郎)は入婿なのだ。そのため、菊は威張っているばかりか、男のことを単なる道具だとしか思っていない。惣兵衛自身も彼女の駒として使われていると感じているのだ。
さらに、そのような経験から惣兵衛は女達が大嫌いだという。女はずるくて、煩わしくて、意地汚いと評した。

そこまで一方的にまくし立てると、惣兵衛は帰って行った。
新次郎は、あさになんと言って伝えたらいいものか思案にくれた。

大坂でそのようなことが起きているとは知る由もなく、京都ではあさとはつ(宮﨑あおい)の嫁入り準備が着々と進められていた。ふたりは揃って、弥生の晦日に嫁入りをする。その日まで1ヶ月を切っていた。

はつはその日に向けて淡々と準備していた。彼女が言うには、自分には親が決めてくれた道を進むことしかできないし、それが自分のやれる精一杯のこと。後悔するはずもないと話すのだ。

一方のあさはまだ気持ちの整理がつかなかった。
その上、嫁入りの際のお付の女中として、あさにはふゆ(清原果耶)が付き従うこととなった。彼女と仲が悪いわけではなかったが、あさは幼い時から面倒を見てもらった女中のうめ(友近)と別れるのが悲しいのだ。うめははつのお付となることが決められている。

イライラしたあさは、庭の木に登って苛立ちを発散させようとした。
その危険な行為を見つけ、止めに入ったのは女中のうめだった。

うめは、木登りの代わりに自分と相撲を取ることを提案した。あさは喜んで応じた。小さな時から、相撲では男の子にも負けたことのなかったあさだが、うめだけにはどうしても勝てなかった。これが最後の相撲だと思ったあさは、今度こそ勝つと意気込んだ。

うめと組み合うと、あさの胸中にはいろいろな悩みが去来した。
なぜ自分たちは親の言いなりに結婚しなくてはならないのか。どうして新次郎は自分に手紙を書いたり、会いに来てくれたりしなくなったのか。はつは、なぜ許嫁や姑から冷たく扱われなければならないのか。

女中のうめは、そんなあさにも手加減はしなかった。夢中になり、あさのことを思い切り投げ飛ばした。直後、我に返ったうめは、慌ててあさを助け起こした。
あさは、うめの胸で号泣した。くれぐれも、姉・はつをしっかり支えてくれと頼み込むと同時に、これまで育ててくれた感謝を精一杯述べるのだった。

その頃、大坂では新次郎の兄・正太郎が危篤に陥った。

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NHK『あさが来た』第9回

昨日のマクラで「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」などと書いてしまったせいで、「これってもちろんワタシのことよね?」といった問い合わせが殺到したとかしないとかの噂があり、まるで落語の『三枚起請』みたいな状況になったとかならなかったとか漏れ伝わってくるし、鴉が皆殺しにされたのかされなかったのかわからないわけだが、唯一はっきりしている事実は今朝も思いっきり朝寝坊してしまったということである当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第9回めの放送を見ましたよ。

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第2週『ふたつの花びら』

あさ(波瑠)は祖父・忠政(林与一)に手紙の書き方を習い、新次郎(玉木宏)に手紙を書いた。誰かに手紙を書くのは初めてのことであるし、習字もサボってきたのでなかなか上手に書き上げることができなかった。けれども、下手くそなりになんとか書き上げた。

あさが新次郎に手紙を書いた理由は、姉・はつ(宮﨑あおい)のことが心配だったからだ。
はつの許嫁である惣兵衛(柄本佑)がどんな人物かわからないので、はつが幸せな結婚生活を送れるかどうか不安である。そこで、新次郎に惣兵衛のことを尋ねたいと思ったのだ。どちらも大坂の大きな両替商であるし、新次郎は彼のことをよく知っていると思った。そこで、惣兵衛の人となりを知らせて欲しいと依頼した。
そこには、新次郎への親愛の情は一切書かず、もっぱら姉・はつのために手紙を書いた。

父・栄達(辰巳琢郎)が新次郎の家へ手紙を出すついでに、あさは自分の手紙も一緒に送ってもらった。

しかし、2ヶ月経っても新次郎からの返事は来なかった。また、これまで季節の変わり目ごとに京都へ遊びに来ていた新次郎本人もパッタリと姿を見せなくなった。
結婚が1ヶ月後に迫っているにもかかわらず音信不通になったことで、あさは気をもんだ。自分の字が汚くて文意が伝わらなかったのか、それとも失礼な内容のため新次郎に嫌われてしまったのではないかと心配をした。

そんなある日、1通の手紙があさに届いた。
待ちに待った新次郎からの返事かと期待して受け取ったが、それは外国から送られてきたものだった。それは4年前に大坂で出会って無礼な振る舞いをされた武士・五代(ディーン・フジオカ)からのものだった。

五代の手紙によれば、彼はイギリスのロンドンにいるという。
外国で見聞を広めた彼から見ると、日本はとてもちっぽけな国なのだという。ロンドンでは日本では考えられないくらい、女性が自由で活動的だという。ある時、彼は自転車に乗って颯爽と走っていく女性を見かけたという。その活発な姿からあさを思い出したのだという。それで手紙を書いたと書かれており、彼がスケッチした自転車と女性の絵が同封されていた。

あさは、五代からの手紙に感激した。
とても細い筆(羽ペン)で字が書かれていたり、宛先や差出人欄に書かれている外国の文字、五代の肖像写真などどれも日本ではほとんど見たことのないものだった。

ところが、母・梨江(寺島しのぶ)はその手紙を見つけるやいなや、取り上げて破ってしまった。嫁入り直前の娘が、よその男から手紙を受け取ったなど外聞が悪いというのだ。

あさは貴重な手紙を取り上げられたことに少々がっかりしたが、そんなことはすぐに忘れてしまった。
あくまで、あさの心は新次郎に向いているからだ。

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NHK『あさが来た』第8回

昨夜「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」などという都々逸を思い出しながら眠りについたら、今朝はまんまと朝寝坊してしまったのだけれど、艶っぽいことは当然何もなかったし、朝のうちにまとめ記事も書けなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第8回めの放送を見ましたよ。

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第2週『ふたつの花びら』

はつ(宮﨑あおい)の許嫁・惣兵衛(柄本佑)が会いに来た。
しかし、彼は無愛想なままで、はつと口を聞かない。彼の母・菊(萬田久子)がはつを侮辱した時も、はつを庇おうともしない。

その態度に腹を立てたあさ(波瑠)は、惣兵衛が一人になった時を捕まえて、はつに優しく笑いかけて欲しいと頼んだ。
ところが、惣兵衛は相変わらず冷たかった。物静かなはつのことを辛気臭い女だと侮辱したのに加え、自分に指図をするあさのことはおてんばで生意気な女だと言い放った。
あさは腸が煮えくり返った。

惣兵衛たちは帰ることとなった。
惣兵衛は、はつが見送りに来ても相変わらず無視し続けた。
また、彼の母・菊は、新次郎(玉木宏)の家が大変になっているらしいと意味深に告げて去っていった。

彼らが帰った後、はつの母・梨江(寺島しのぶ)は心配になった。惣兵衛も姑も癖がある人物だと思ったからだ。はつは母を安心させようと笑ってみせたが、その笑顔にはどこか力がなかった。

そこへ、あさが飛び込んできた。
惣兵衛に腹を立てているあさは、結婚に反対だと言うのだ。しかし、あさの抗議を押し留めたのは、はつだった。本人に言われると、あさも黙らざるを得なかった。

その場で、あさの父・忠興(升毅)は懐から手紙を取り出した。それは、今しがた届いたもので、差出人は新次郎の父・正吉(近藤正臣)だった。本来、今日は新次郎が京都に遊びに来るはずだったが、それができなくなったと伝える手紙だった。詳しい事情は書かれていなかったが、惣兵衛の母の噂と合わせて、なんとなく胸騒ぎがした。

その手紙には、新次郎からあさへ宛てた手紙も同封されていた。
新次郎が来れないことに一度はがっかりしたあさであったが、自分への手紙のあることに舞い上がった。すぐに読んで見ようかと思ったが、女中たち(友近清原果耶)が覗き込もうとするので落ち着かない。

そこであさは、はつだけを伴って別室で読み始めた。
あさが新次郎から手紙をもらうのは初めてのことで、胸がドキドキした。一人で読む勇気がなかったので、はつにも一緒に読んで欲しかったのだ。
初めて見る新次郎の字はとても美しかった。あさは光源氏が書いたのではないかと錯覚するほどだった。

新次郎からの手紙は、短くて素っ気ないものだった。約束の日に会えなくなったことを詫び、あさの健康を気遣う程度の事しか書いていなかった。あさは期待はずれで、つまらなく思った。

一方のはつは、とても興奮していた。それはどこから見ても恋文に違いないと言うのだ。新次郎のあさに対する恋心に溢れていると説明した。はつからそう言われると、あさもまんざらでもない気がしてきた。たった数行の手紙がとても情熱的な恋文に思えてきたのだった。

はつはすぐに返事を描くように勧めたが、あさは躊躇した。
どんな文面を書けばいいか思いつかないし、悪筆を自覚しているので、下手に手紙など書いたら失望されてしまうのではないかと心配したのだ。

あさが返事を逡巡している間に夕方になった。あさははつにもう一度相談しようとしたが、彼女の姿が見えなかった。探してみると、人気のないところではつが泣いていた。
あさは、はつが惣兵衛と結婚したくなくて泣いているのではないかと尋ねた。しかし、はつはそれを否定した。最近、どういうわけか自然と涙が出てくるのだと説明し、心配はないと答えた。

そして、あさが幸せで良かったと言うのだ。新次郎はとても素敵な男性なので、あさが羨ましいと言うのだ。そして、自分が新次郎と結婚できたらよかったのにと、つい本音をこぼしてしまった。
失言に気づいたはつはすぐに冗談だとごまかしたが、あさは心を傷めた。実は、本来ははつが新次郎と結婚するはずだったからだ。あさと結婚するはずだった惣兵衛の家にあさの悪評が伝わり、そのせいで許嫁が取り替えられたのだ。
あさはそのことを聞かされていたが、はつには生涯秘密にするよう命じられていた。あさははつの本音を聞いて心が苦しくなった。

その夜、あさはあることを思いついた。
祖父・忠政(林与一)に手紙の書き方を教えてくれと頼むのだった。

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NHK『あさが来た』第7回

「花びら」って単語を聞くと「回転かな?」などと下品なことしか思いつかないという、薄汚れた大人になってしまったことを後悔している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第7回めの放送を見ましたよ。

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第2週『ふたつの花びら』

あさ(波瑠)とはつ(宮﨑あおい)は成長し、次の春にはそれぞれ大坂に嫁ぐことと決まった。

父・忠興(升毅)はこの期に及んで、娘かわいさのあまり、嫁に出すのが早過ぎるのではないかと心配し始めた。一方、母・梨江(寺島しのぶ)は自ら娘たちに嫁入り修行の追い込みを行い、むしろ嫁に行くのが遅すぎるくらいだと忠興を諭した。
加えて、あさの様子を見ると、今の機会を逃すわけにはいかないと言うのだ。

あさは、幼いころは親に決められた結婚など受け入れられないと反発していた。しかし、最近ではすっかり嫁に行く気になっているのである。梨江はあさの気持ちが変わる前に嫁がせてしまうのが得策だと考えていた。

あさが結婚に前向きなのには理由があった。
許嫁の新次郎(玉木宏)は、季節の変わり目ごとに京都を訪れる。その度にあさを連れ出し、ふたりで対話を重ねた。それで新次郎のことをすっかり理解し、結婚する覚悟もできたのである。
あさは、新次郎の笑顔が素敵だと思っていた。目を細くして笑う表情に不思議な魅力があると思い、惹かれていた。

ただし、あさのおてんばぶりは昔のままだった。近所の子どもたちがチャンバラをしていれば、晴れ着のまま乱入するなど乱暴な性格は変わっていなかった。粗暴な性格のせいで、花嫁修業もほとんど落第生であった。

一方、姉・はつは嫁入り修行をそつなくこなし、何をやらせてもあさとは天と地ほどの違いがあった。
ところが、嫁入りの日が近づくにつれて、どこかふさぎ込みがちになっていくのだった。その様子にはあさも気づいていており、彼女の婚約者・惣兵衛(柄本佑)をあまり気に入っていないのだろうと想像もできた。しかし、あさは姉には何も言うことができなかった。

ある日、京都へ能の見物に来たついでだと言って、はつの婚約者である惣兵衛とその母・菊(萬田久子)が訪ねてきた。彼らと会うのは4年ぶりである。

あさがこっそりと覗いていると、惣兵衛は昔と変わらず無表情で、ほとんど何も話さなかった。はつも元来の奥ゆかしい性格と緊張のせいで、聞き役に徹していた。主に惣兵衛の母・菊が時候の挨拶や幕末の動乱の話など、比較的当たり障りのない話題を提供していた。

たまたま家族が席を外し、はつが一人だけ残されて対応した。
惣兵衛の母・菊は彼を促し、少しははつと話をするよう水を向けた。しかし、惣兵衛は少しも打ち解けようとする態度を見せなかった。挙句には、結婚後は嫌でも毎日顔を合わせて口をきくことになるのだから、今話すのは無駄であると言って口をつぐんだ。そのような態度であっても、母・菊ははつにたいして詫びるでもなかった。

それどころか、菊ははつに恥をかかせるような質問まで始めた。
大坂一の両替商に嫁ぐからには、はつの身は潔白である必要がある。男関係の醜聞は起こしていないかなどと聞くのである。
もちろん、はつにはそのような問題はなかったが、あまりに侮辱的な物言いに黙り込んでしまった。

それを盗み聞いていたあさは腹が立って仕方がなかった。
彼女の怒りの矛先は、無礼な質問をした菊ではなかった。将来の妻をかばおうともせず、黙ってばかりの惣兵衛に対してふつふつと怒りが湧いた。

あさは、惣兵衛が一人で中座するのを待ち伏せた。彼が出てくると、あさは直談判した。
惣兵衛に、せめて笑顔を見せてくれと頼んだ。はつはよくできた姉であり、どこに出しても恥ずかしくない女性だ。しかし、そんな彼女だって、一人で知らないところに嫁に行くことに不安を感じるのも無理のないことだ。せめて、夫となる惣兵衛が笑ってくれたら、そんな不安も払拭されるだろうと言って、協力を乞うた。

しかし、惣兵衛の返事はつれなかった。
自分はあさに指図を受ける筋合いはない。少女時代はおてんばで少しは大人になったかと思ったが、相変わらず子供だ。それに比べれば、はつは奥ゆかしくてマシではあるが、辛気臭いのはどうしようもない。
などと冷たく言うのだった。

あさの怒りはエスカレートした。

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NHK『あさが来た』第6回

途中で脱落することなく1週間を乗り切ったことを嬉しく思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第6回めの放送を見ましたよ。

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第1週『小さな許嫁』

新次郎(玉木宏)から算盤を贈ってもらい、あさ(鈴木梨央)はとても喜び、機嫌が良くなった。朝目を覚ますと、必ずそれを手に取るほど気に入った。

ある日、母・梨江(寺島しのぶ)はあさとふたりきりで、ある秘密を打ち明けた。

実は、当初の予定では、あさとはつ(守殿愛生)は嫁ぎ先が逆だったというのだ。ふたりが生まれる前から、長女は白岡家に、次女は眉山家にそれぞれ嫁ぐことに決められていた。つまり、はつが新次郎と、あさが惣兵衛(柄本佑)と結婚するはずだったのだ。

しかし、ある時、あさの悪評が眉山家に漏れ伝わった。すなわち、あさは木に登って転落して傷らだけになるほどおてんば娘だという噂である。
惣兵衛の父・栄達(辰巳琢郎)は、あさは嫁としてふさわしくないと思い、はつを寄越すよう交渉にやって来た。しかし、あさ達の父・忠興(升毅)は、すでに決まったことをひっくり返すなど道理に合わないと言って突っぱねた。

忠興を攻略でいないと悟った眉山栄達は、新次郎の父・正吉(近藤正臣)に直談判した。栄達は、新次郎は次男で分家に出すのだから劣った嫁でも良いが、惣兵衛は長男で跡取りだからしっかりした嫁でなくてはならない。故にはつが欲しいなどと、歯に衣を着せずにまくし立てた。もちろん、そのような理由では白岡家も受け入れる訳にはいかない。しばらく押し問答が続いた。

そこへ、話を盗み聞いていた新次郎が現れ、彼自身がそれを承諾した。
その理由は単純で、新次郎はあさのことが好きなのだという。赤ん坊の時からあさを見ており、彼女のことを気に入っているから結婚するのは大歓迎だし、仲良くやれる自信もあるというのだ。

あさの父母も新次郎の思いを聞き、娘達がより幸せになる可能性があるならそれが良いと判断した。こうして、現在の許嫁が決まったのである。
母は、あさに他言しないよう注意した。本来は、本人たちに知らせるつもりは一切なかったのである。ましてや、はつには一生知られてはならないと釘を差した。

あさはあまりのことに驚いた。
驚くとともに、新次郎のことを見なおした。そして胸が苦しくなった。それは、あさの初恋だったが、彼女にはまだその苦しさの意味が理解できなかった。

その後、あさは算盤を習うことが許された。新次郎からの贈り物だということで特別に許可されたのだ。
するとあさはメキメキと腕を上達させた。これまで何をやらせてもあまりうまくいかなかったあさだったが、算盤だけは別だった。すぐに、店の丁稚や番頭にも負けないほどの腕前となった。

そして、1865年(慶応元年)。
あさとはつは年頃の娘に成長した。

ふたりとも体は立派に成長したが、中身は昔を変わらなかった。
はつ(宮﨑あおい)はおしとやかな立ち居振る舞いと琴の巧みな演奏で人を魅了させた。
あさ(波瑠)は晴れ着で木に登り、家族を心配させるというおてんば娘のままだった。

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NHK『あさが来た』第5回

今日は山瀬まみの46回めのお誕生日なので、彼女のこと以外は極力考えたくない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第5回めの放送を見ましたよ。

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第1週『小さな許嫁』

大坂の嫁ぎ先に挨拶に行き落胆して帰ってきたあさ(鈴木梨央)とはつ(守殿愛生)。その夜、ふたりは自分たちの不自由な身の上を悲観し、抱き合って号泣した。

しかし翌朝、あさが目を覚ますと隣にはつの姿はなかった。
はつは何事もなかったかのように朗らかに、朝早くから家事の手伝いをしているのだ。それがはつ本来の人柄とはいえ、昨夜の本音とは全くの別人であることを不思議に思った。

あさは、母・梨江(寺島しのぶ)とふたりっきりの機会を捉え、あらたまって自分たち姉妹のことを相談した。
家をもり立てるため親の決めた相手と結婚することの重要性は理解しているし、活気ある大坂の町もたいそう気に入ったと断った上で、それでも嫁に行きたくないと訴えた。自分の道は自分で決めたいという希望を伝えた。姉・はつも同じ気持ちでいることを確認したと主張した。

しかし、母・梨江は取り合わなかった。
梨江がはつと話したところ、はつは自分が泣いたのはなんでもないと言っていたというのだ。

不利だと悟ったあさは、許嫁・新次郎(玉木宏)のことを取り沙汰した。彼は挨拶もそこそこに中座した。それは、彼が自分のようなじゃじゃ馬を気に入っていない証拠に違いない。自分も結婚したくないし、相手も望んでいないのだから、誰も得をしない愚策であると主張した。

加えて、自分は嫁に行くのではなく、学問をやりたいという希望を伝えた。
母・梨江は、口調は優しかったが、考え方は父・忠興(升毅)と同じだった。女に学問は必要がなく、ただ嫁に行くことが努めだと諭した。梨江自身も嫁に来て、子どもたちが生まれたことを幸せだと思っている。そして、それは女にしかできない大事を成し遂げたことであると話した。
女が浅知恵で商売をやっても失敗するだけである。女には女の生き方があるのだと言い含めた。
あさは納得できなかった。

ある日、家からあさの姿が消えた。
探してみると、寺小屋で男の子に混じって読書を学んでいた。
家に帰るなり、あさは父・忠興に激しく叱られた。大きな商家の娘が寺子屋で学ぶなど家の恥だと嘆いた。

あさは口答えをした。
男子には許されている学問を、なぜ女子はしてはいけないのか。女だって学問を身に付けることで、何か良いことがあるはず。加えて、なぜ女は親の決めた相手と結婚しなければならないのか。女だって自分で考えて、進むべき道や生き方を決めたい、などと訴えた。
もちろん、あさの訴えは聞き入れられることはなかった。

腹を立てたあさは、押し入れに籠城した。

それと前後して、許嫁の新次郎が訪ねてきた。
先日の顔合わせを中座した非礼を詫びに来たのだ。

新次郎の来訪に気づかないあさは、嫁になど行きたくないと叫び声をあげていた。
自分と結婚したくないという訴えを漏れ聞いた新次郎は思わず苦笑いをした。

はつは一人で押し入れに入り、あさに優しく話した。
父・忠興は厳しいだけではなく、自分たち姉妹のことも優しく考えてくれているというのだ。その証拠に、大坂から帰ってきた日に、忠興はふたりの許嫁の欠点を嘆いていたのだという。あさの許嫁の新次郎は三味線にうつつを抜かすような遊び人である。はつの許嫁の惣兵衛(柄本佑)は貧乏ゆすりばかりしていて、大きな家の主の器ではない。
はつは、ちゃんと物事を見ている父を信用し、父の決めてくれた道を進むのだと話した。

その話を聞くと、あさも少し落ち着いてきた。はつに手を引かれて押入れから出てきた。
すると、そこに新次郎を見つけた。自分が新次郎と結婚したくないと喚いたことを全て聞かれたと悟った。恥ずかしくなって、再度押し入れに隠れた。

新次郎は押し入れの外から優しく語りかけた。
子供の頃から自分の結婚相手を決められないという気持ちはよく分かる。やめたかったら、やめてよい。全てはあさの好きにすればよいと話した。自分で考えて選んだ道を信じて進むのが最も良いと後押しした。

新次郎は、ふすまを少しだけ開けて、土産の算盤を差し出した。算盤は、ふたりが初めて会った時に、あさが楽器代わりにして遊んでいたものだ。
新次郎は、振ってみろと言った。その算盤はとてもいい音を鳴らした。

新次郎は、あさがよく考えた結果、自分と結婚することに決めたなら、その時は仲良くしようと言い残して帰って行った。
その時、あさの心のなかで何かが変わった。

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