気仙沼で渡し船に乗りながらカモメに餌をやると言えば勝手に観光協会の『哀愁っちゃナイト』だなと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第11回めの放送を見ましたよ。
百音(清原果耶)は気象の独学をはじめた。
気象予報士・朝岡(西島秀俊)から海と山と空は水を介して繋がっていると教えてもらったこと、そして気象を知ることは命を守ることに繋がると経験から思い知ったからである。
早速、テキストを購入して眺めてみたが、難しい数式がたくさん出てきたことに百音は怖気づいた。
しかし、できることから始めようと思い、様々な雲の名称を覚えることにした。ちょっとした時間には必ず空を見上げ、スマホで雲の写真を撮影した。それらをテキストと見合わせ、プリントアウトして名称を記入して壁に貼り出した。2ヶ月の間にたくさんの写真が集まった。
そうしているうちに、盆休みの時期になった。
祖母・雅代(竹下景子)の初盆であり、サヤカ(夏木マリ)ら周囲の人々の後押しもあって、百音は実家に帰省することにした。
百音が帰省するという噂を聞きつけた医師・菅波(坂口健太郎)は、いつものように皮肉交じりで百音に話しかけてきた。一般的に言えば、里帰りは嬉しいことだが、中には地元では居心地が悪い思いをする人がいるかもしれないというのだ。
それに対して、百音は明確に否定も肯定もしなかった。家族に会うことは楽しみであるとだけ言って、それ以上は口ごもった。
そして、いよいよ百音の帰省の日になった。朝早く、登米の野菜や木材など、両手いっぱいの土産を持って気仙沼行きのバスに乗り込んだ。
沿岸部の鉄道は3年前の大震災で被害を受け普通になっていた。そのため、代替交通として沿岸部にはバスが走っているのだ。約1時間半の道中、百音は複雑な思いをしながら海を眺めていた。
気仙沼に着き、実家の亀島に向かう船着き場に行くと、ちょうど父・耕治(内野聖陽)と妹・未知(蒔田彩珠)が船から降りてきた。父は職場へ、妹は夏休み中のインターンで水産試験場へ向かうところだった。しばしの再会を喜びつつ、入れ違いに百音は船に乗り込んだ。
懐かしい潮のにおいを嗅ぐと、百音の心は落ち着いた。
実家に到着すると、母・亜哉子(鈴木京香)が出迎えてくれた。百音はなによりも先に仏壇の前に座り、手を合わせるのだった。