NHK『べっぴんさん』第2回

10年近く朝ドラを見ていると、「大阪制作朝ドラ(下半期)によく出てくる俳優」というのがわかるようになってきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『想いをこめた特別な品』

坂東一家の暮らす邸宅は、最近建築されたものである。坂東五十八(生瀬勝久)は大勢の客を招いて、完成披露パーティーを開催した。

パーティーには貴族院議員の田中五郎(堀内正美)や五十八の会社の取締役である野上正蔵(名倉潤)などの名士も招待されていた。田中と野上はそれぞれ息子の田中紀夫(玉山詩)と野上潔(大八木凱斗)を伴っていた。

すみれ(渡邉このみ)と姉・ゆり(内田彩花)が招待客の前で挨拶をすることとなった。
上品で外交的なゆりは卒のない挨拶を行った。一方、内向的なすみれはモジモジとして声を出すことすらできなかった。そんな彼女に代わって、姉のゆりがすみれの紹介をしてやった。

姉・ゆりは取締役・野上の息子である潔に好意を抱いていた。彼にいいところを見せようと、潔と議員・田中の息子・紀夫の前でピアノの演奏を披露した。ゆりの腕前は確かで、大人の客たちも耳を傾けるほどだった。
しかし、演奏を終えたゆりが振り返ると、そこに残っていたのは紀夫だけで、肝心な潔の姿はなかった。

その頃、すみれは別室で刺繍の練習をしていた。入院している母・はな(菅野美穂)のためにユリとスミレの刺繍を持っていったのだが、誰にも分かってもらえなかったことが悔しかったのだ。暇さえあれば、刺繍の練習に熱中していた。
そこへ、潔がやって来た。潔は一目見るなり、モチーフがユリとスミレであることを見抜いた。すみれは、自分の技術が向上したのだと思って嬉しくなった。

ある日、町の靴職人・麻田(市村正親)が家へやって来た。来年、女学校へ入学する姉・ゆりが靴を新調するためである。
その場ですみれは、靴は針と糸で革を縫い合わせて作られていると知った。刺繍の参考になると考えたすみれは、その夜、父・五十八の革靴を自室に持ち込み、ハサミで分解して構造を調べた。元に戻せなくなってしまったが、翌朝にはこっそりと元あった場所に戻しておいた。

靴を分解するだけでは飽き足らず、すみれは靴職人の麻田に話を聞きたいと思った。そのことを女中頭・喜代(宮田圭子)に相談したが、喜代には反対された。近頃、神戸の町中には人さらいが頻発していると新聞で報じられており、すみれが出かけるには危険だからだ。

そんな矢先、バラバラになった靴が執事の井口(曾我廼家文童)によって見つけられた。その靴は舶来物の高級な靴で、五十八のお気に入りのものなのだという。本人に知られる前に、麻田に依頼して修理してもらうことになった。

その時、偶然にも野上潔がお使いで家に来ていた。潔は町に帰るついでに、麻田へ靴を届けることを買って出た。
すみれは、靴職人・麻田を訪問するため、こっそりと潔の後を付けていった。すみれに気づいた潔は、夕飯までに帰ることを条件に連れて行ってやることにした。

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NHK『べっぴんさん』第1回

半年のご無沙汰で、いきなりこんなこと言うのもなんですけど、今回の朝ドラには義務感以外にほとんど関心のない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『想いをこめた特別な品』

昭和9年(1934年)、坂東すみれ(渡邉このみ)は神戸の高台に建つ豪邸で豊かな暮らしをしていた。

父・坂東五十八(生瀬勝久)は、大阪で衣料品を取り扱う会社・坂東営業部を経営していた。はじめは外国から輸入した布生地を取り扱う問屋業だったが、東京に工場を構え、洋服など自社製品を流通させることで事業を拡大。今では衣料品だけではなく、香水やカミソリなどの高級な衣料雑貨を手広く扱うことで業績は右肩上がりだった。
五十八は、自社ブランドを特別な品「べっぴん(別品)」として自信を持っていた。

母・はな(菅野美穂)は病気のため、長期入院していた。五十八が起業したころ、はなが会社を手伝っていた。彼女の内助の功は、会社の中でも広く知られていた。

すみれには、年の近い姉・ゆり(内田彩花)がいた。ゆりは快活で外交的な少女だった。

一方、すみれは思ったことをはっきりと口に出せないタイプだった。
父・五十八がイギリスから取り寄せた高級な生地を神戸の一流仕立て屋に持ち込んで、娘たちにおそろいの洋服を作ってやった。姉・ゆりは着用した姿を満面の笑みで父に披露したが、すみれはモジモジしてばかりだった。五十八は、すみれが洋服を気に入らなかったものと誤解して機嫌を悪くした。実際のすみれは、襟にあしらわれた刺繍をたいそう気に入っていたのだが、それをきちんと伝えることができなかったのだ。

人との社交性に難のあるすみれだったが、芯が強く、一度熱中したものはとことんまで突き詰める性格だった。
ある夜には、分厚い子供向け文学集を読み始めたら止まらなくなり、夜を徹してまるまる読んでしまうほどだった。もっとも、そのせいで翌朝はひどく寝坊してしまった。

すみれの宝物は、母がつくってくれた四つ葉のクローバーの刺繍だった。
母が元気だった頃、家族でピクニックに出かけた。そこですみれは、四つ葉のクローバーを見つけた。その時、母・はながクローバの4つの葉にはそれぞれ「勇気、愛情、信頼、希望」という意味があり、その4つが全て揃うと幸せになれるのだと教えてくれた。そして、クローバーをかたどった刺繍を作ってくれたのだ。
それ以来、母の言葉と共に、すみれはいつもクローバーの刺繍を持ち歩いていた。

一家は、病院の母を見舞うことにした。
姉・ゆりは家の庭に咲いていた花を摘んで持参した。ゆりの少女らしい振る舞いに一同は感心した。

一方のすみれは、母の刺繍道具を借りて、夜遅くまでかかって刺繍に取り組んだ。しかし、生まれて初めて見よう見まねで作業したため、そのできはひどかった。白い糸と紫の糸で何かが縫い付けてあったが、何をモチーフにしたものか判然としなかった。
父・五十八はそれを見て、悪意は無かったものの、吹き出してけなしてしまった。悲しくなったすみれは、一度手渡した刺繍を奪い取って病室を飛び出してしまった。

みんなには何を縫ったのか分からなかったが、母・はなだけはそれが「スミレとユリ」をかたどったものだと分かっていた。そう言って、五十八をたしなめた。

その夜、すみれは泣くほどの悔しさと悲しさで眠れなかった。
しかし、そこで諦めてしまうほど心の弱い少女でもなかった。夜中に起き出し、もっと上手くなれるようにと刺繍の練習を始めるのだった。

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NHK『とと姉ちゃん』第1回

昨日からどうもコンタクトレンズの調子が悪くて目がゴロゴロと痛くて、その痛みのせいか頭痛もしていて、どうにも発言がネガティブになったりイライラしていたりムッツリしていたりするのだけれど、それは全てコンタクトの調子が悪いせいであって、特定の何かや誰かに腹を立てているわけではないと理解して欲しいと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『常子、父と約束する』

昭和5年(1930年)、静岡県浜松。
同地は、江戸時代から綿花の栽培が盛んで、今では綿織物や染色業で栄えていた。

小橋常子(内田未来)は作文の宿題が課されていた。「きれいなもの」という題で作文を書かなくてはならない。常子は周囲の風景のことを気に入っており、それを作文に書こうと考えた。

ただし、地面から風景を見ていても当たり前である。もっと高いところから眺めれば、もっときれいな風景が見えるに違いないと考えた。そこで、染めた綿織物を干すための櫓に登って周囲を見渡すことにした。この付近では櫓がもっとも高い建物だからだ。
職人たちや妹たちが止めるのも聞かず、常子ははしごを登った。

櫓のてっぺんに立つと、遠くまでよく見えた。風になびく織物がまるで万華鏡のようであり、それは美しい風景だった。常子は感動した。

しかし、我に返った常子は恐ろしくなった。あまりの高さに目がくらみ、一人では降りられなくなってしまった。
大騒ぎになった。

常子の父・竹蔵(西島秀俊)は地域で一番大きな染色工場の営業課長として働いていた。
常子が櫓に登って騒ぎになっているという話がすぐに伝えられた。竹蔵は立場上、染色職人たちとの関係を大切にしている。自分の娘が騒ぎを迷惑をかけたことを知り、大急ぎで現場に駆けつけた。

常子は無事に救出されたが、竹蔵は職人たちに深く頭を下げて誤った。
常子に対しては、危ないことや人に迷惑をかけることは厳に慎むよう伝えていたはずだと言って叱った。

一方で、宿題をこなすためにどうすればよいか、自分で考え行動したことは偉いと言って竹蔵は常子を褒めた。

この時代は家父長権が強く、一般的に父親は家庭の中で畏怖される存在だった。
ところが、竹蔵は誰に対しても威張るようなところは少しもなく、家族に対しても柔和に接していた。自分の幼い娘達に対しても、常に敬語で優しく話しかけるのだった。

竹蔵は3つの家訓を定めており、自ら率先してそれを守っていた。
3つの家訓:
・朝食は家族皆で取る
・月に一度、家族皆で出かける
・自分の服は自分でたたむこと

ある土曜の朝、家訓通りに家族で食卓を囲んでいた。
前の晩、遅くまで仕事だった竹蔵は眠くて目をこすってばかりいたが、家族との朝食を優先していた。

明日の日曜は、家族全員で紅葉狩りに行く約束をしていた。家訓の2つめを実行するためだ。
常子はもちろん、妻・君子(木村多江)や常子の妹である鞠子(須田琥珀)や美子(川上凛子)もたいへん楽しみにしていた。

その日の夜、竹蔵は社長・杉野(田山涼成)と共に、紡績業の最大手企業・西洋紡の専務・大迫(ラサール石井)の接待会食に出向いた。竹蔵の会社は西洋紡との取引契約を結ぼうと奮闘している最中であり、今日の接待はとても重要なものであった。西洋紡との取引を望む企業は多く、競争が激しい中、重大な機会なのである。

竹蔵は帰宅するなり、沈んだ顔で家族に謝った。
翌日に予定していた紅葉狩りに行けなくなってしまったというのだ。
初めて家訓が破られた。

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2016年4月2日7:30 『サワコの朝』 vs 『あさが来た』

月曜から土曜日の朝7:30といえば、NHK BSプレミアムで朝ドラを見ている当方なわけで。
寝坊して見逃すことも頻繁なので、この時間はレコーダーの予約録画をしているわけで。

そして、来る4月2日(土)は現在放送中の『あさが来た』の最終回なわけで。
当ブログにおけるまとめ記事連載は2月下旬にやめてしまったけれど、このドラマの最終回がどうなるかには関心があるわけで。
当然、4月2日の最終回はリアルタイムで見るつもりだったわけで。

しかし、今日ゲットした情報によれば、TBS系列の番組『サワコの朝』4月2(土)7:30放送分のゲストは我が最愛の山瀬まみ様だと言うではないですか!

『サワコの朝』2016年4月2日予告

これはもう、『あさが来た』のリアルタイム視聴もレコーダー録画もキャンセルして、『サワコの朝』を見るしかない。
同番組のサイトに掲載された写真を見ると、山瀬まみと阿川佐和子がピンク・レディーの振りまねしてるようだし、これはもう激烈に萌える。びっくりぽんや!
絶対にリアルタイムで見るしかない。放送終了後(8:00)からは録画を見返すくらいの勢いかもしれない。

今期の朝ドラが『ちりとてちん』か『あまちゃん』だったならば、『サワコの朝』とどちらをリアルタイム視聴するか悩んで毛が抜ける思いだったかもしれないけれど、今期が『あさが来た』でよかった。なんの迷いもなく山瀬を見れる。

まとめ記事も断念しておいてよかった。朝ドラまとめ記事は、一刻も早く掲載することに命をかけていたので、山瀬が裏番組となると本当に困ったことになっていたはずなのだ。

ご清聴ありがとうございました。

『あさが来た』まとめ記事終了のお知らせ

ドラマ自体はつまらないわけではないのだが、毎日まとめ記事を書くほどに熱中しているわけではなく、数週間前からほとんどやる気がなくなっていたものの、決め手となる理由がなかったのでズルズルと続けてきたわけだけれど、幸か不幸か今日はものすごく頭が痛くて萎えており、ちょうどいい潮時だと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』のまとめ記事を終了します。

ご愛読ありがとうございました。
次は『とと姉ちゃん』でお会いできるといいですね。

NHK『あさが来た』第122回

2016年4月15日(金)よりTBSラジオで「有馬隼人とらじおと山瀬まみと」(放送時間8:00-11:00)という新番組が始まるという情報をゲットした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第122回めの放送を見ましたよ。

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第21週『夢見る人』

あさ(波瑠)の回復ぶりは医者も驚くほどだった。生死の境をさまよったにもかかわらず、意識を取り戻したその日のうちに体を起こして食事が摂れるほどだった。

病院や銀行には多くの人々が見舞いに訪れた。
しかし、あさを刺した萬谷(ラサール石井)が捕まらないうちは大事を取って身内以外の面会を全て断った。見舞客への対応と説明は、九州から駆けつけてきた亀助(三宅弘城)があたった。

あさは病室に集まった見舞いの花を見て、まるでお通夜のようだと軽口を叩いた。まるで自分の葬式のようだというのだ。
あさの怪我のために千代(小芝風花)は長い間女学校を休んでいる。あさはもったいないことだと言い、自分の心配はせず、千代に京都の女学校へ戻るよう話した。

千代は、あさが悪い冗談を言ったり、心配して付き添っている自分が邪険にされることに腹を立てた。あさが眠っていた時はいつ死ぬかと取り乱していたが、今のあさの様子を見ていると気持ちがすっかり冷めてしまった。あさに対して以前のように喧嘩腰で話すようになった。
あさは無神経で無鉄砲であり、デリカシーが無いと罵った。刺されておとなしくなるくらいがちょうどいいと言い捨てて病室を出て行ってしまった。
あさは、全て冗談で、柔らかい心を持って笑って生きていくための方便だと弁解しても聞く耳を持たなかった。

病室を出た千代は、花瓶の水を変えるために給湯室へ向かった。そこには、リンゴを切っている大学生(工藤阿須加)がいた。
特に彼に対して関心のない千代であったが、彼が手にしている果物ナイフを見るとあさの事件を思い出して恐ろしくなった。手にした花瓶を落として割ってしまった。
騒ぎを聞きつけたよの(風吹ジュン)に助けられ、千代はその場を去った。

その日の夜、「アサキトク」とだけ電報で知らされたはつ(宮﨑あおい)と惣兵衛(柄本佑)が慌てて加野屋にやって来た。
はつはあさの様子を見てすぐに帰るつもりでいた。しかし、あさの命に別状はないと言うだけで、よのは話せば長くなると言って泊まっていくように勧めた。ちょうど加野銀行で働く息子・藍之助(森下大地)とも久しぶりに会えたことだし、話をするのにちょうどいいというのだ。
はつは、押し切られて泊まることにした。

その夜、病院では千代と新次郎(玉木宏)が付き添うことになった。
病室という状況ではあるが、久しぶりに親子3人の夜だった。

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NHK『あさが来た』第121回

堀北真希にそっくりな某女子と交際を始める夢を見たわけだけれど、彼女が初めて僕の家に遊びに来て、炊き込みご飯とお味噌汁と塩鮭を焼いてくれて、どれもおいしくてお腹いっぱいになって、それじゃそろそろ寝室に行きましょうかというすごくいいところで目が覚めてしまってものすごくがっかりした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第121回めの放送を見ましたよ。

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第21週『夢見る人』

萬谷与左衛門(ラサール石井)に刺され、生死の境をさまよったあさ(波瑠)であったが奇跡的に死を免れた。

一度目を覚ましたあさだったが、再度眠りにつき夢を見た。
生前の五代(ディーン・フジオカ)や義父・正吉(近藤正臣)と話した楽しい思い出が夢に登場した。

子供の頃、一番仲の良かった祖父・忠政(林与一)は幽霊となってあさの夢枕に立った。
忠政は、あの世であさが来るのを首を長くして待っていたという。あの世からあさの様子をいつも気にかけていたのだが、近頃のあさは厳しい顔ばかりしていて、少しも笑顔を見せない。それを心配し、あさを笑わせてやりたいと思っていたのだ。ちょうどよくあさが刺されたので、これからはあの世でいくらでもあさを笑わせてやれると喜んだ。
一方のあさは、まだ死にたくないと訴えた。それに、自分が笑わなくなったのにも理由があると説明した。いい年をした大人が笑ってばかりいるのはおかしいというのだ。加えて、自分は先頭に立って皆を導く必要がある。笑ってばかりもいられないというのだ。

忠政は、大人が子どもと同じように笑ってはいけないという決まりはないと話した。
そう言われるとあさも納得し、忠政に満面の笑みを向けた。

あさは再び目を覚ました。夢の内容はほとんど覚えていなかったが、気分は明るく前向きになった。
すると今度は、病院で寝ていられなくなった。早く帰宅して仕事に復帰したいと言い出した。
傷が深いためしばらく安静が必要だが、言うことを聞こうとしない。医者(井之上淳)ですら手を焼き、説得を放棄してしまった。

そんなあさの態度を見ていて、千代(小芝風花)がカンカンに怒った。仕事のせいで人に恨まれたのに、その原因である仕事に早く復帰したいなどと言うのはアホであるというのだ。そう叫ぶと、千代は病室を飛び出していった。
あさは、千代が心配してくれるのももっともだと思い、追いかけて謝りたかった。しかし、体の自由が効かない。ここは千代の言い分を聞き入れ、静養することにした。

病室を飛び出した千代を追いかけたのは新次郎(玉木宏)だった。
新次郎の前では、千代は素直に自分の気持ちを吐き出すことができた。あさ本人の前では憎まれ口を叩く千代であるが、あさの回復をとても喜んでいるのだ。泣きながらそう話した。
新次郎は、その素直な気持ちをあさに伝えれば良いと助言した。しかし、強情な千代は、自分の柄にもないことはできないと拒絶するのだった。

警察は、あさを刺した萬谷を捜索しているがまだ捕まらないという。再度病院に襲いに来るとも限らないので、萬谷が捕まるまでは身内以外の見舞客は全て断ることとした。

その矢先、あさの病室の前に不審な男がいることに気づいた。
新次郎が慌てて組み伏せると、それは九州から駆けつけてきた亀助(三宅弘城)だった。

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NHK『あさが来た』第120回

昨夜は@HIGUCHI_MAさんと一緒に思う存分フライデーナイトギター(金曜の夜にギターの練習をネット中継するという企画)ができて楽しかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第120回めの放送を見ましたよ。

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第20週『今、話したい事』

萬谷与左衛門(ラサール石井)に刃物で腹部を刺されたあさ(波瑠)は意識を失い、病院に担ぎ込まれた。
手術は成功したものの、大量に出血したため危険な状態であった。あさは数日間眠ったままだった。

あさ危篤の知らせは、電報ですぐさま親族にも知らされた。
和歌山の姉・はつ(宮﨑あおい)は電報を受け取ると驚きのあまり腰を抜かして動けなくなってしまった。東京からは弟・忠嗣(興津正太郎)が駆けつけてきた。

新聞でも報道され、大隈重信(高橋英樹)も知るところとなった。大隈は、あさと会ったことで政界に復帰することを決意し、女子大学校の設立に向けて国から援助しようと思っていた矢先だった。あさを見舞う手紙を送った。

一方、加野銀行の店頭は大混乱した。あさが倒れたという噂を聞きつけ、加野銀行の経営に不安を持った顧客が殺到したのだ。
その中には、あさの容体を聞きに来た成澤泉(瀬戸康史)の姿もあった。しかし、支配人の山崎(辻本茂雄)は成澤を罵って追い返した。成澤があさへ女子大学設立をそそのかしたため今回の事態を招いたと言って恨んでいるのだ。成澤はどうすることもできず帰るしかなかった。
成澤が女子大学設立事務局に戻ると、大隈からの見舞いの手紙が届いていた。それを読んだ成澤は勇気づけられ、あさの回復を祈るのだった。

病院では、千代(小芝風花)がずっと看病していた。家族は千代の体調を心配し、一度家に帰って体を休めるように勧めたが、千代はその場を動こうとしなかった。
あさと折り合いの悪い千代ではあるが、自分の母がいなくなるかもしれないと思うとやはり悲しいのだ。千代は、これまであさが死ぬことなど一度も想像したことがなかった。その可能性を目の当たりにし、動揺しているのだ。新次郎(玉木宏)の前で泣き崩れた。

泣きつかれて眠ってしまった千代に変わって、新次郎が病室に付き添った。
目を覚まさないあさに向かって、新次郎は声をかけた。新次郎は、自分はあさに心の底から惚れていて、あさのすることは何でも応援するし、何をしても怒らないと約束した。
ただし、自分より先に死ぬことは絶対に許さないと話しかけた。話しながら新次郎は泣いていた。

そうしていると、あさは弱々しい声で「まだ死にたくない」と言った。
それを聞いた新次郎は、あさを励ますよう応えた。あさの座右の銘である「九転び十起き」と何度も声をかけた。
すると、あさはおうむ返しをした。最初は弱々しかった声がだんだんはっきりとしてきた。

そうしてついにあさは目を覚ました。
もう二度と意識が戻らないと思われていたところの奇跡の生還であった。

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NHK『あさが来た』第119回

フクロウちゃん(花粉症歴10年以上)に「今日もいっぱい花粉が飛んでますねー。木公さんも花粉症デビューしちゃいましょうよ。今日なんて目が腫れてるじゃないですか!インディーズの時代は終わりです、病院で血液検査を受けてメジャーデビューしましょう!!」とニコニコ顔で言われて切ない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第119回めの放送を見ましたよ。

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第20週『今、話したい事』

大隈重信(高橋英樹)が賛同したことで、あさ(波瑠)は東京で多くの賛同者を得ることができた。女子大学校設立へ向けて大きな弾みがついた。

喜んで大阪に帰ってきたあさであるが、大阪では大問題が発生していた。あさと加野銀行に関する悪い噂が流布していたのである。
あさは加野銀行の儲けを女子大学校につぎ込んでいるが、それが成功する見込みはない。莫大な投資が加野銀行の経営を圧迫し、銀行が倒産し、預金が返ってこないおそれがあるという噂である。このため、加野銀行には預金解約を求める人々が大勢詰めかけた。

頭取・榮三郎(桐山照史)、支配人・山崎(辻本茂雄)はこれまであさに対しては一目置いており、あさにやることにほとんど口出しはしなかった。しかし、今回の事件だけは重く見て、騒ぎが収まるまであさは表に出ないよう命じた。
根も葉もない流言ではあるが、事態は深刻である。新次郎(玉木宏)もあさを庇うことができない。あさは従うしかなかった。

あさは家の中でふさぎ込んでいた。そこへ、数日前から帰省している千代(小芝風花)が声をかけた。女学校卒業後の進路についてあさと相談したいのだという。
しかし、大阪での騒ぎに頭を痛めているあさは、まともに取り合う気力がなかった。千代は千代の好きなようにすれば良いと、力なく答えただけだった。

あさが真剣に取り合わなかったので千代は傷ついた。
あさにとって自分は足手まといであり、生まれてこなければよかったのだろうと怒鳴った。自分がいるせいであさは商売や学問に集中することができないに違いないと断じた。あさが自分に興味が無いのなら、自分は卒業後は好きな様に生きると宣言した。

その言い分にあさは気分を害した。
自分は千代のことを足手まといだなどと思ったことは一度もないと激しく反論した。むしろ、千代の相手をしてやれず申し訳ない気持ちでいっぱいだったと弁解した。千代に満足に乳を与えることもできず、千代が初めて言葉を喋ったり歩いたりした時も仕事で家を空けていた。それをとても残念に思い、辛かった話した。それでも、全ては娘のためだと思えば仕事にも精が出るのだと説明した。

あさの弁解も千代の耳にも届かなかった。
千代の立場からすれば、あさは常に娘より仕事を優先しているようにしか思えないのだ。あさがどれだけ話しても千代は受け入れなかった。
最後には互いに涙ぐみながら言い争い、物別れに終わった。

そんな折、萬谷与左衛門(ラサール石井)がまたしても加野銀行にやって来た。何度も融資を頼みに来るのだが、酒ばかり飲んで担保のあてのない萬谷に金を貸すわけにはいかず、毎回追い返している。

今日も追い返そうとしたところ、萬谷は大声でわめき始めた。加野銀行はあさが女子大学校に莫大な投資をするので直に潰れる、預金は早く引き出すべきだと叫んだ。周囲の客たちは不安になった。
さらに萬谷は、女子への教育は全くの無駄だと言いふらした。女にできることは男を悦ばせることくらいだなどと卑猥な発言をしながら、加野銀行の女子行員たちを追い回した。あさから学んだことを見せてみろというのだ。

普段は温厚な新次郎であるが、この時ばかりは激昂した。
新次郎は、男が女に乱暴することと、的はずれなあさの悪口を言うことだけは許せないというのだ。
萬谷を力づくでねじ伏せ、追い払った。

あさは、千代と和解したいと思った。
外出した千代を家の前で待ち構え、声をかけようとした。

その時、萬谷が再び姿を現した。
自分が冷遇されている仕返しとして、包丁であさの腹部を刺して逃走した。
あさはその場に倒れた。

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NHK『あさが来た』第118回

ここ数日、コンタクトレンズの調子が悪いし、全身に倦怠感があるし、鼻が少しムズムズするのだけれど、自分が花粉症だとは信じたくないので怖くて病院に行けない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第118回めの放送を見ましたよ。

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第20週『今、話したい事』

あさ(波瑠)は大学設立の助言をもらうべく大隈重信(高橋英樹)に手紙を送った。
しかし、大隈からの手紙は待てど暮らせど届かなかった。

噂によると、大隈と話をしたい人は彼の家を訪問するのだという。大隈も来る者は拒まないと聞いた。
そこで、あさは東京の大隈の屋敷へ直接出向くことにした。

大隈の家に着くと、確かに大勢の人々が集まっていた。
大隈の妻・綾子(松坂慶子)に訪問を告げると、彼女はあさの名前を知っていた。大隈はあさから届いた手紙を読んでおり、会うことを楽しみにしていたのだという。そのため、あさはすんなりと大隈に会うことができた。

大隈は、自分の教育観について語った。
女性の理想の姿は良妻賢母である。日本の女子教育が西欧に比べて立ち遅れているのは確かだが、良妻賢母となるのに必要な教育制度はすでに確立している。特に明治以降、女学校が整備され、良妻賢母教育は軌道に乗っていると言うのだ。
大隈の取り巻きたちも大いに頷いた。

あさは、雰囲気にのまれるわけにはいかないと決心した。周囲に気圧されないよう、力強く自分の考えをまくし立てた。
確かに今でもある程度の女子教育は行われているが、それで満足すべきではないと話した。それはまるで、目の前に落ちているビー玉に気を取られて、道の向こうにある宝石を見逃すようなものであるというのだ。100年先の社会を見据え、より大きな観点から教育方針を打ち立てるべきだと主張した。

確かに良妻賢母になることは重要であるが、より優れた良妻賢母になるためには世の中の動きに敏感である必要がある。そのためには高等教育が必須なのだと説得した。明治以降、女子が小学校に通えるように成り、女学校も設立された。しかし、男子に比べて就学年数は少ないし、女子向けの教科書では道徳教育に重きが置かれている。学問や実学を学ぶ機会はずっと少ないのだ。

女性も社会の一員となり、自立して生きる術や人を助ける術を身につけ、自らの幸せを追求し、国や社会の役に立つ人材となることが必要である。そのためには女子にも高等教育が必要だと説得した。
そこまで一気に話し終えると、成澤泉(瀬戸康史)の教育論を手渡し、あさは一息ついた。

大隈は終始難しい顔をして、口をへの字に曲げて黙って聞いていた。
他の訪問客たちも、あさの生意気な態度に反発した。

大隈は会合をお開きにして、あさ以外の訪問客たちを全員帰してしまった。

大隈は、あさの弁舌に心底感心したと話した。
大隈が政治家になって以来、政界を引退した今でも、周囲にはその場を言いくるめるような弁論をする者しかいなかった。それに対して、あさの主張は大局的で熱意があったので気に入ったというのだ。
そして、自分の周りには大勢が集まるが、自分の真の味方は一人もいないと嘆いた。

あさは大隈に同情した。
大隈が身を置いていた政治の世界も、あさが身を置く商売の世界も、生き馬の目を抜くような世知辛さがあると感じるのだ。

一方で、教育はそれと違っているという点であさと大久保の考えが一致した。
この世知辛い世の中において、裏表なく後世に残すことができるのは人材だけである。だから人を育てることが何よりも大切であるのだ。

ふたりは意気投合した。
そして、大隈はあさに協力すると約束した。

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