今日も人間ドック2日目で夜までお預けとなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第95回めの放送を見ましたよ。
靴磨きの少年・達彦(蒼昴)が商売敵の少年たち(池田龍生、宮崎奏太)に暴力を振るわれ怪我をした。鈴子(趣里)は達彦を助けて家まで送って行った。そこで、達彦が大親友の幼馴染・タイ子(藤間爽子)の息子だと知った。
鈴子はタイ子との奇跡的な再会に感激した。しかし、タイ子は赤の他人であるかのように振る舞った。今やすっかり落ちぶれ、母と子ふたりきりで貧乏な暮らしをしている。その上、自身は病気で働けず、一人息子を学校にも行かせずに働かせている。そのような姿を鈴子に見られたことをこの上なく恥じているのだ。
タイ子は鈴子を追い返した。鈴子もそれ以上引き下がるわけにもいかず、渋々退散した。
後日、鈴子は街で靴磨きをしている達彦に声をかけた。達彦は初めこそ母に気を遣って鈴子を無視しようとしたが、鈴子が屈託なく明るく話しかけたことで態度を軟化させた。
これまで鈴子は歌手をやっているとは話していたが、名乗ってはいなかった。けれども、達彦は目の前の人物が福来スズ子だと見抜いた。母・タイ子は以前から『東京ブギウギ』など鈴子の歌を大変嫌っていた。鈴子はタイ子の幼馴染だと言って声をかけたのに、タイ子が激しく拒絶する様子を見て勘付いたという。
達彦によれば、彼の父は戦死したという。親戚もみんな死んでしまっており、父が戦死した時も、母・タイ子が病気になった時も助けてくれる人はいなかった。鈴子は、子供の頃タイ子とどんなに仲が良かったか話して聞かせた。特に、鈴子に歌劇団の存在を教えてくれたのはタイ子であり、いわば福来スズ子の生みの親だと話した。達彦はそれを聞いて喜んだ。
別の日、鈴子はパンパンの元締め・おミネ(田中麗奈)にタイ子のことを話して相談した。
おミネは、タイ子が貧乏で病気までした姿を幼馴染に見せたくないのは当然だろうと話した。鈴子がいくら助けたいと思っても、施しなど受けたくないと言うのも当然だと説明した。おミネたちパンパンも誰かに施しを受けるのではなく、自分の力で生計を立てたい気持ちは同じである。だから、人々から後ろ指を刺されても売春を続けるのだと話した。
おミネの話を聞いているうちに、鈴子はタイ子と達彦が自分たちの力で生きていく方法を思いついた。それは、パンパンたちを達彦に紹介するということであった。パンパンたちは客引きのために派手なハイヒールを履いており、その美しさが売上に結びつく。達彦にとっても労せず多くの客を得ることができる。
おミネはそのアイディアに賛同し、多くの女性たちを達彦のところへ連れてきた。パンパンたちはこれまで利用していた老人の靴磨きよりも達彦の方が上手だと褒めそやした。しかも、以前の老靴磨きはどさくさに紛れてスカートの中を覗き込んでくるという。そのようなスケベ心のない達彦をますます気に入ったのだ。
その様子を見た商売敵の少年たちがまたしても達彦に難癖をつけようとしたが、おミネは彼らも追い払ってくれた。おミネが付近を仕切っているヤクザの名前を出すと少年たちは恐れ慄いて逃げて行ったのだ。
その日、達彦は過去に例がなかったほど多額の売上金を手にした。タイ子の治療費にはまだまだ足りなかったが、この調子で続けていけば近い将来には治療の目処が立ちそうだった。
帰宅した達彦は、喜び勇んで売上金をタイ子に見せた。しかし、タイ子は達彦のことを叱りつけた。今までに見たことのない売り上げだったので、達彦が盗みをはたらいたと思い込んだのだ。
外から様子を伺っていた鈴子だったが、タイ子の一方的な誤解を正すために家に飛び込んだ。もちろんタイ子は赤の他人を装い、鈴子を追い返そうとした。
我慢のならなくなった鈴子は、子ども時代の思い出を次から次へと捲し立てた。鈴子自身の本名、鈴子の実家の銭湯、転校生の鈴子にはじめに声をかけてくれたのがタイ子だったこと、それから大親友になって毎日一緒に遊んだこと、タイ子の母は綺麗な人で芸者だったこと、その母から二人一緒に日舞を習っていたこと、タイ子の初恋相手に鈴子がラブレターの代筆をして騒動になったこと、そんなラブレター事件もタイ子が優しく許してくれたことなどである。
タイ子は泣き叫びながらやめさせようとした。しかし、鈴子は止まらなかった。いつしか鈴子も目に涙を浮かべ、ふたりは抱き合った。
タイ子はついに本音を話し始めた。
芸者だった母が空襲で死に、夫も戦死した。他に身寄りもなく、自分は病気で寝たきりである。年端もいかない一人息子を働かせなければ生きてけない。自分は不幸のどん底にいるのに、あちこちから鈴子の歌が聞こえてくる。自分はギリギリ生きてくのに精一杯なのに、鈴子は自分の夢を叶えて活躍している。鈴子と自分は天と地の違いがあると嘆いた。