今回のまとめ記事も短命に終わる予感のしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ばけばけ』の第1回めをNHK+で見ましたよ。
1875年(明治8年)の松江に、松野家があった。
一家は松江藩に使えた武家であったが、明治維新によってすっかり落ちぶれてしまった。
他の家がちょんまげを落とし商人や役人となって新たな時代に適応していったのと対象的に、松野家は昔ながらの生活にしがみついたままだった。父・司之介(岡部たかし)も祖父・勘右衛門(小日向文世)もいまだにちょんまげを結ったままである。周囲からも半ばバカにされていた。
父・司之介はまとも働こうともしない。そればかりか、維新によって武家社会を崩壊させた薩摩・長州や新政府に深い恨みを抱いていた。司之介をバカにする周囲の人々と同じくらい、司之介自身も周囲の者をバカにしていた。彼らがそれまでの生活や考え方を簡単に捨ててしまったからだ。
一人娘のトキ(福地美晴)も学校で同級生たちからからかわれた。同級生たちの多くは元武家の子どもたちだが、どの家も新しい生活を始めているのだ。担任教師もトキの父が全く働こうとしないのは異常なことだと遠慮なく言い放った。
トキは、自分の父は間違ったことをしているわけではないと信じていた。父の言う通り、悪いのは父ではなく、世の中の方だと思っていた。
それでも、トキの信念が揺らぐこともあった。母・フミ(池脇千鶴)によれば、父は戸惑っているのだという。トキが生まれた直後、急に世の中が様変わりしてしまって、どうしてよいかわからず困惑したままなのだと説明した。その話を聞いて、トキは父に落ち度はないのだと再び信じることができた。
司之介は世間には馴染めずにいるが、家族には優しく明るい父であった。
トキは、父をバカにした教師への仕返しのつもりで、怪物に化けた父が教師を食い殺す絵を描いた。それを見た司之介は、描かれた怪物の真似をして家族を追いかけた。トキは笑いながら家中を逃げ回った。